会員の声

三味線という楽器について

済生会奈良病院 杉村 宗典


 私は高校3年の春に津軽三味線を始めました。習う事になってしまった、という感じではや9年です。もともと古典的な邦楽に抵抗があるわけでもなかったので、辞めることなく現在まで続いています。先日、近畿学会の反省会があり、その席で技師会の皆さんに一曲ご披露する機会を与えられ、その結果(?)まほろばに寄稿させていただく事になったようです。皆様にとって興味のある話となるかどうか分かりませんが、思いつくまま書いてみたいと思います。

1)三味線は難しい
 ピアノを習っていた私は三味線をあなどっていました。しかし、ここ2、3年前からようやく「上手に弾く」のが本当に難しいと感じ始めました。音程(こちらではツボと呼ぶ)は練習次第で良くなるようですが、「ノリ」とか「タメ」、ましてや「津軽らしさ」というのは謎に包まれています。歌の伴奏も簡単でなく、結局は「どれだけ数をこなすか」ということだそうですが、私は今ひとつ掴めていません。

2)撥(ばち)が折れる、胴皮が破れる
 撥はカスタマイズしたほうが、弾きやすくなります。(撥が違うと音色がほんとに変わるので不思議でした)。やすりで丁寧に擦って、自分に一番合った硬さにしているのですが、撥を叩きつけるので、削りすぎていると、たまに撥を折ることがあります。胴の皮も破れます。車に載せているときは、少しでも放置しておくと破裂の危険性があるため、夏の時期はもちろん、日差しが強い日は冬でも車から連れて行きます。ちなみに破裂する時の音は、まず破れる時の破裂音、つぎに皮が裂けていく音の2段階で、割れた後はとぼけたギターのような音となります。

3)環境との戦い
 演奏前に酒を飲むのはご法度です(弦が3本以上見える)。それ以外にも、湿気が大敵です。昔、天理よろずの柴T慶Y先輩のハイツで三味線を弾く事があったのですが、鍋パーティーをしていたため、湿度が高く、部屋に入った瞬間、サオに水滴がべったりと付き、全く弾けなくなりました。そんな経験をしたのは初めてだったので、みんなの期待の眼差しとは裏腹に、もの凄い(ヘタな)演奏を繰り広げてしまいました。
 後日先生にたずねると、やはり湿気は大敵だそうです。怖い環境といえば、「人前で弾く」ということも緊張するものですが、一番緊張するのは、大勢の聴衆の前で弾く事ではなく、実はたった一人のお師匠の前で弾く時です。その次は、全国大会で審査員の前で弾く時だとおもいます。

4)洋楽器とのコラボレーションは可能か
 この手の和洋折衷は、かなりの知識とセンスを要求されるのではないでしょうか。料理でも、一緒に食べたらまずいものって、少なからずあると思います。安易にコラボレーションすると、どのような結果になるかというと、いいたとえではありませんが、曙がK−1に出ているような感じになります。(期待していたのに・‥という意味を含む)私は知識もセンスもありませんが、そのうち、お互いの良さを引き出すような曲が作れたら・・・と思っていますが、難しいかもしれません。

 まとまりの無い話になりましたが、読んで頂いて、ありがとうございました。