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まえがき


本論文の目的は、18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍したイギリスの思想家ジェレミー・ベンタム(1748-1832)が、法と道徳の関係あるいは区別についてどのような考えを持っていたかを明らかにすることにある。特に問題にしたいのは、道徳家というよりもむしろ立法家の立場に立っていたベンタムが、個人の行動を法によって規制することがどこまで正当化出来ると考えていたかということである。

主として用いるテキストは彼の代表的著作の一つである『道徳と立法の原理序説』(以下『序説』)であるが、適宜彼のほかのテキストにも言及することにする。

なお、この論文を書くにあたって多くの方々から有益なご指導とご支援をいただいた。とりわけ、日頃から大変お世話になっている加藤尚武教授と水谷雅彦助教授、また快く相談に乗ってくださった内井惣七教授、そして私の論文を数回にわたり推敲してくれた倫理学研究室の諸先輩方には、心から御礼を申し上げたい。


説明と弁明

もう最初から苦労してる。「法と道徳」なんてタイトル付けちゃったけど、結局ベンタムが「道徳」っていうときに何を指しているのかがはっきりしなかったんだよね。倫理って言葉もあるし。むつかしいの。すごく悩んだの。今考えたら、功利原理そのものが道徳原理であり規範であるって思うんだけど。

謝辞を書かなきゃいけないことを一日前に知って、直前に急いで書いたのがこれ。「日頃から大変お世話になっている加藤尚武教授と水谷雅彦助教授」という表現が味わい深い。


第1章――人間本性の理論と規範の理論


Satoshi Kodama
kodama@socio.kyoto-u.ac.jp
Last modified on 01/15/97
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