組換え麻疹ウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルスの開発

  私たちは、麻疹ウイルス(HL株)が、乳がんをはじめとする様々ながん細胞に対して強い傷害性を持つことを見出しました。さらにリバースジェネティクスを用いてこの麻疹ウイルス株に遺伝的改変を施し、はしかを引き起こさずにがん細胞に選択的に感染して腫瘍溶解能を発揮する組換えウイルス(rMV-SLAMblind)を作出しました。

 これまでの研究により、rMV-SLAMblindは、乳がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、といった様々ながんに対して、担がんマウスモデルで顕著な抗腫瘍効果を発揮することがわかり、新たながん治療法として有望であると期待されています。


 我々の開発した腫瘍溶解性麻疹ウイルスの臨床開発計画は日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」の支援を受けて橋渡し研究を進めてきました。現在、医師主導治験を実施中です。

https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCT2033210698

組換え麻疹ウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルスの開発

 当研究室は長い経験の中で、我々の持つ麻疹ウイルスHL株が乳がんをはじめ、様々ながん細胞に対して強い障害性を持つことを見出しました。さらにリバースジェネティクスを用いてこの麻疹ウイルス株に遺伝的改変を施し、はしかを引き起こさずにがん細胞のみに選択的に感染して腫瘍溶解能を発揮する組換えウイルス(rMV-SLAMblind)を作出しました(下図)。これまでrMV-SLAMblindは担癌マウスモデルで顕著な抗腫瘍効果を発揮することがわかり、新たながん治療法として有望であることが示唆されています。
 現在rMV-SLAMblindの実用化に向けて、医師主導治験を目指し本格的に研究開発に取り組んでいます。