会長挨拶
第18回日本胎児心臓病学会・学術集会開催にあたって
筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻
筑波大学附属病院小児内科 病院教授
堀米 仁志
このたび日本胎児心臓病学会の幹事会におきまして、第18回学術集会の主催を仰せつかりましたことを大変光栄に存じますとともに、第1回の研究会が現学会顧問・里見元義先生主催で長野県立こども病院において開催されて以来、長年にわたって集積されてきました胎児心臓病学の知見と会員の皆様の情熱を途絶えさせることなく、さらなる発展の契機となる学術集会にすべく責任を痛感いたしております。
平成23年3月11日の東日本大震災では茨城県も大きな被害を受けました。今回、学会場となります、つくば国際会議場も天井が落ちるなどの被害を受け、また、一時は隣県の福島県を中心とする東北地方の被災者の避難所として利用されていました。その後、数か月経っても連日のように起きる余震や、福島第一原発事故による放射能汚染、茨城県産業の風評被害が続くなか、開催できるかどうか心配もありましたが、まずは学術集会ホームページの開設にこぎつけることができましたのは、ひとえに本学会幹事の先生方のご協力、会員の皆様の胎児心臓病学に対する意気込みの賜物と感謝いたしております。
演題は胎児心臓病学全般に広くお受けします。要望演題としては今回は2つ設定しました。一つは「胎児不整脈の診断と治療」です。分子生物学の進歩により、胎児期から問題となる遺伝性不整脈の領域でも多くの知見が得られています。小児循環器科医が直接かかわる胎児治療の一つと思います。胎児心磁図などで私たちのグループと交流のあるWisconsin大学のJanette F. Strasburger先生に胎児不整脈に関する特別講演をお願いしましたところ、ご快諾いただきました。米国の現状をお聞きする良い機会になると期待しています。もう一つは「胎児心不全・well-beingの評価法」です。出生前診断学でもっとも重要なテーマの一つで、ドプラ計測、心拍変動などを含め様々なスコアが提唱されています。一度、知見を整理することも重要ではないかと考えています。
また、もう一つの特別講演として、つくばの特色を生かし、JAXA(宇宙航空研究開発機構)教授の石岡憲昭先生に「無重力空間における発生学と循環動態研究(仮題)」についてご講演をお願いしました。普段聞くことができない宇宙空間における興味深い研究成果をやさしく解説いただけると思いますので、楽しみにしています。
つくばエクスプレスの開業以来、つくばも陸の孤島ではなくなり、東京圏に含まれるようになりました。今回のつくばでの学術集会が会員の皆様の今後の臨床、研究面での発展の一助になることを願っています。また、胎児心臓病学を専門とする先生方の有意義な交流の場となれば幸いに存じます。
それでは、つくばでお会いできる日を楽しみにいたしております。
平成23年9月

