HOME委員会活動広報委員会訪問記 > 訪問記2014

訪問記 2015

徳島赤十字病院訪問記

この度、徳島赤十字病院看護部を訪問する機会を得ました。「徳島赤十字病院」は、平成13年に「小松島赤十字病院」から病院名を変更され、全国にさらに良く知られるようになったと記憶しています。

平成18年には、旧病院を新築移転され、同時に病床を450床から405床に縮小して、より機能的な病院となっています。在院日数の短縮を図って、急性期に特化するために外来を縮小し、入院中心の診療にして病診連携を強化されたこと、職員には経営の分かりやすい目安として新入院患者数と平均在院日数を設け、スタッフに周知されたことなどは、赤十字職員はもちろんですが赤十字以外の方々にも「日本の医療の将来を見通した先見の明のある病院」として知られています。

看護師をはじめとした職員教育の面でもその独創性が、いかんなく発揮されています。訪問した日本赤十字看護学会広報委員が、時に関心をもって取材させていただいたことは、平成14年に水口艶子前看護部長が中心となって立ち上げられた「臨床研修看護師制度」についてです。この制度は水口前看護部長の跡を引き継いだ庄野泰乃副院長兼看護部長・看護部スタッフの努力があって軌道に乗りました。庄野看護部長はこの14年間を振り返って、「臨床研修とともに歩んだ・・・」とおっしゃいますが、今では全国的に有名になり、徳島赤十字病院には全国から看護師の応募が来るようになっています。

平均在院日数が8日前後の重症度の高い現場で、忙しい中でも「皆で育てる、教えることは当たり前、研修の時間は確保して保証する」という風土があり、お会いした看護師の皆さんの姿から、看護職の質が格段に高いことをひしひしと感じとりました。独自の研修プログラムで育成された彼ら彼女らは現在、中堅看護師となり、病院の発展に大いに寄与しておられます。

以下に庄野泰乃副院長兼看護部長から伺ったお話の概要を報告します。

*********************************

徳島赤十字病院では新人看護師を対象に「臨床研修看護師制度(以後、研修制度)」を全国で初めて導入し平成27年度で14年目を迎えています。研修は新人看護師全員を対象(助産師資格者含む)に1年間施行され、一般病棟などのローテート研修と集合研修の組み合わせで構成しています。新人全員が「研修看護師」として採用(1年間の雇用限定)されて研修をしていますが、処遇は正規職員と同一です。

1年後に正採用試験を実施する際には、研修生本人の意思を最優先して決定することとし、就職・進路の選択は自由です。これまで、ほとんどの方が2年目以降も徳島赤十字病院に就職し、元気に働いておられます。修了者数は看護職員の約半数である270名(平成27年4月1日現在)になりました。

まず、「学ぶこと」が優先されており、これらにより早期離職防止および医療安全の確保の観点で成果が得られています。特徴を、紹介します。

  1. 学ぶことが優先される立場を明確にするため、「研修看護師」として1年間の雇用契約としています。ただし、給料や福利厚生は保証しており、生活面での質が低下しないよう配慮しています。
  2. 研修方式は、一般病棟2カ所、救急部門(手術室、ICU、救命救急センター)を1年間かけてローテーションする、いわゆるスーパーローテーション方式を採用しています。救急医療を中心とした急性期病院の特徴を活かし、全員が救急部門を4ヵ月間研修できるしくみにしています。ローテーション方式のいちばんのメリットは、各領域をローテーションすることにより、多様な症例の治療や看護の実際を、幅広く経験できることにあります。技術面では、急変時の処置など一部の項目を除き、全員がほぼ基礎看護技術項目の習得が可能です。知識面では、多様な実践学習のチャンスがあり、幅広い学習ができます。1年間の臨床研修が基礎となり、2年目以降の成長につながります。
    ローテーション方式のデメリットとして、「慣れた頃に部署が変わるので精神的に疲れる」といった声がよく聞かれます。新しい部署の業務内容やスタッフとの人間関係を新しく築くことが負担になっています。そのため、研修生同士の情報交換の機会を意図的に多く持つよう、心がけています。デメリットもありますが、1年後の最終アンケートでは「後輩にこの研修制度を薦めたい」と答える人は96%と圧倒的に多く、デメリットをはるかに上回るメリットを感じているようです。
  3. 新人研修の担当(専従)を1名配置しています。指導者は、各部署に「指導官」という経験豊かな看護師と「指導ナース」を2名ずつ、合計4名配置しています。
  4. 研修制度を修了した先輩看護師(看護職員の半数)は、屋根瓦式指導・相談の一役を担っています。部門や年代の垣根を超えて、全職員が新人や後輩を育てようという教育的風土があり、互いに「学ぶ」「教える」風土が定着しています。
  5. 1年間の臨床研修は、ローテーションにより多くの経験を自分の中に蓄積する1年間で、即戦力を求めていません。労働の場にいながら学ぶことが優先される、「自分のための1年間」です。“ゆるやかに臨床現場に適応する”しくみにしており、早期離職者が非常に少ないのも一つの成果といえます。
  6. 以下のURLのページも参考にしてください。
    教育計画  http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/nurse/03_nurse/index04.htm
    研修看護師の一日
         http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/nurse/03_nurse/index05.htm

*********************************

今回の、徳島赤十字病院訪問を通して見えてきたことは、「新人看護職員教育を充実させていくために は、看護基礎教育の重要性はもとより、新人看護職員を即戦力として求めず臨床実践を学ぶ人と周囲が理解し、臨床実践的な看護教育とともに精神的なサポートが大きな要素である。」ということでした。

学会員の皆さまもぜひ、病院見学やインターンシップに参加されてはいかがでしょうか?

平成27年3月 (日本赤十字看護学会 広報委員会)