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理事長挨拶



 日本赤十字看護学会の理事長に就任いたしました。本学会は2000年の設立からちょうど15年目を迎えます。これを機に改めて初代理事長樋口康子先生による設立趣意書を読み返しました。

 冒頭に、赤十字の理念に基づく個々の実践を学術的に意味づけ、体系的に明らかにするのは赤十字看護専門職の使命であると力強く言明されています。これを受けて、学問的探究と実践・教育・研究の結びつきを強めることの重要性から、次の3つの課題に取り組む学術的な組織基盤としての本学会の設立が呼びかけられています。

  1. 看護学の学術水準の向上・研究の高度化専門化に向けて、発表・共有の機会となる
  2. 変化する状況のなかで研究知見に基づく教育と実践を展開するための実践・教育・研究に携わる者同士の交換・共有・研鑽の場とする
  3. 国際的に活躍する看護専門職育成と研究ネットワークを拡充する

 これらの課題への取り組みをさらに活発なものとしていくこと、組織基盤をより確かなものとしていくことがこれまでのそして今期の理事会の使命であると認識しています。その意味で、現状を確認して取り組みを強化するべきところを明確にしたいと思います。

 学会誌発行を主な役割とする編集委員会、学会の活動を会員や社会に広く知らせる広報活動委員会、そして会員の研究活動を支援促進する研究活動委員会等はどのような学会でも不可欠なものと言えます。つまり、より基盤的な機能を担うものです。その基盤の上で、本学会の特色は臨床看護実践開発事業委員会、国際活動委員会、そして災害看護活動委員会などに表れていると言えそうです。言うまでもなく3つの課題に関連する委員会として設けられており、それぞれに成果を挙げています。昨年タイで第1回国際赤十字看護学会が開催されていることから、国際活動委員会は今後重要性を増していくと考えられます。

 学会の組織基盤に目を移します。この数年会員数は1200名前後で推移しています。会員規模に比べるとやや入退会者数が多いかもしれません。これらの状況からやや伸び悩みの状態にあります。会員の獲得に努めると共に、学術集会等を機に入会してくれた会員が魅力を感じて会員であり続けるような学会にしていく工夫も必要と考えます。その工夫のひとつは、会員参画や会員還元を意識した委員会活動です。年度予算という制約はありますが、年に1度の学術集会にとどまらない参加の機会を広げたり増やしたりして、実践・教育・研究の交流をさらに活発なものとすることにより、学会員に学術的な面白さや手ごたえを実感してもらうというものです。さらに、赤十字活動を含む歴史や人道支援のあり方に関連する新たな委員会の立ち上げの検討も視野に入れています。

 発足から15年、世の中の変化、保健医療環境の変化は加速しています。めまぐるしさ、あわただしさに惑わされず、今こそ「人道」という理念の意味、理念に基づく実践のあり方を自らに問い、互いに確認し合うこと、学問の目的・学会の目的を再確認することが求められていると考えます。