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アルコール医学生物学研究会



ご挨拶


アルコール医学生物学研究会

運営委員長 池嶋健一

 

アルコール医学生物学研究会(Japanese Society for Biomedical Research on Alcohol:JASBRA)は「アルコール代謝と肝」研究会を前身として1981年に発足した、伝統ある学術団体です。本研究会の発足当時は、アルコールの代謝経路が概ね解明され、アルコール関連臓器障害の発症機序を生化学的・代謝学的な面から解明する機運が高まっていた時期にあたります。その後、免疫学や分子生物学の進歩に伴い、アルコール医学生物学は大きく発展してきました。私が専門とする消化器・肝臓病学の領域に限ってみても、ウイルス性肝炎の診断・治療が飛躍的に向上したことなども相まって、慢性肝臓病の中心はアルコール関連肝疾患(alcohol-associated liver disease:ALD)と代謝関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated fatty liver disease:MAFLD)にシフトしてきており、アルコール関連臓器障害に改めて関心が高まりつつあります。

アルコール関連臓器障害は、その多くがアルコール使用障害を基盤に発症することから、病態形成には中枢神経系を含む全身の臓器相関が重要な役割を果たしています。腸内細菌叢の変化を含む腸管―肝臓―脳の臓器基軸に一層の関心が向けられており、また代謝の観点からは筋肉、脂肪組織や各種内分泌器官の連関もホット・トピックスであり、各種オミックス解析など先進技術を導入したメカニズムの解析が、盛んに行われています。

アルコール健康障害対策基本法が制定されたことにより、わが国でもアルコール関連問題について、臨床的対応の拡充のみならず研究領域への支援の充実も期待されてきました。しかしながら、アルコール関連問題はマスコミでも頻繁に大きく取り上げられている一方、常に根強い偏見と差別に晒されており、研究活動にも大きなハードルになっています。また、新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われ、国内外の学術集会が軒並み大きな打撃を被っており、研究者の有機的連携の再構築が喫緊の重要課題となっています。

本研究会の使命は、わが国のアルコール医学生物学研究の橋頭堡として、関心を寄せる研究者の横断的連携を促進し、共同研究の礎となることです。また、アルコール関連問題に対して、科学的アプローチをもって正しい知識の普及に努める、社会的役割も一層担っていかねばなりません。アルコール生命医科学に興味を持つ方々に、一人でも多く本研究会にご参画頂けることを願ってやみません。

運営委員長 池嶋健一

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