◆前文
近年、わが国の大学、および官民の医学生物学等の関連研究機関の動物実験施設(以下、「施設」という)における動物実験は、洗練されたバイオメディカルリサーチ(アニマルモデル)の遂行という目標に向かって急速な発展を遂げている。殊に、今後は、遺伝子操作動物をはじめとする各種疾患モデル動物が激増すると予測されることから、当然、施設間における実験動物の往来も頻繁になることが予想される。
ところで、各施設ならびに動物生産業者等の実験動物の微生物学的品質は、わが国の実験動物学に携わってきた関係者の長年の努力により、著しく向上してきていることは周知の事実である。しかし、今後さらに多様化するアニマルモデルに対応するためには、さらなる微生物検査体制等の充実が欠かせないものと考えられる。即ち、大学や研究機関等の施設における実験動物の微生物学統御技術とその検査体制は、それぞれ独自の歴史的積み重ねを経て発展してきているが、アニマルモデルの将来を考える時、施設間の微生物統御に関する認識と、個々の動物における微生物学的情報の開示もまた求められるようになるであろう。
そこで、それらの情報開示に先立って、実験動物の検査体制に求められる検査項目、検査頻度、あるいは検査手技等に関連する多くの要因を、これまでの施設等における独自性を尊重した上で整理する必要があることは、論を待たない。それゆえ、本指針においては、とりあえず検査項目のみを取り上げ、大学等の横断的な検査体制の向上を目指すものである。
◆本文
1、目的
当該指針は、動物の微生物学的背景を常時示せるような検査体制等を充実することで、加盟各校の施設における動物実験を、時代のニーズを先取りした、洗練されたものにすることを目指し、その第1段階として、加盟施設で飼育する実験動物の微生物学的清浄度の基準を設け、動物実験の信頼性の向上を図ろうとするものである。
2、実験動物の微生物学的検査項目
(1)各動物種に対する検査項目は別表のごとくである。
(2)上記微生物的検査項目の他に、各検査動物個体に対しては臨床的ならびに剖検的異常の有無についての検査も併せて行うこととする。
3、公私立大学実験動物施設協議会加盟各校の役割
(1)管理者ならびに施設管理者(以下、「施設管理者」)は、早期に本指針に準じたモニタリングを実施できるよう努力しなければならない。
(2)施設管理者は、常に飼育動物の微生物学的清浄度を把握し、その情報を保管するとともに、学内外等からの情報提供依頼に対しても可能な限り対応しなければならない。
(3)施設管理者は、他機関へ実験動物を分与する際、被分与者から微生物検査成績書等の作成を依頼された場合、協力しなければならない。
(4)施設管理者は、他機関から実験動物を導入する際、分与される動物の微生物検査成績書等の収集に努め、それらの書類を保管しなければならない。
4、付記
(1)微生物学的検査項目については、国立大学動物実験施設協議会等関係者と早期に調整をするとともに、適宜再評価を行なうものとする。
(2)各検査を実施する対象動物、頻度、および検査法等に関する技術的な面での最小限の提案等については、実現の可能性を重んじる必要性から、協議会加盟校の意向を十分取り入れたものにするよう慎重に検討を重ねる必要がある。