福井県立病院 林 寛之氏
天災と救急は忘れた頃にやってくる。教科書的な訴えで来る救急疾患なら恐くない。しかぁし、見逃すと痛い疾患は、古今東西同じはずなのに、非典型的訴えで登場するから性質が悪い。やつらはどんな手を使って我々を騙してくるのか?その手の内を知り尽くして、常に疑う目を持たないといけない。ベテラン医師は「あぁ、あれね」と苦い記憶を追想し、初心者は「マジっすか」とびびってもらいたい。疑うものは救われるってか?
神戸大学附属病院感染症内科 岩田健太郎氏
外来診療で感染症はもっとも頻度が高く、もっとも幅が広く、もっとも難解で(少なくとも難解なものの一つで)、そしてもっとも手が抜きやすい領域です。手を抜きやすい、ということは逆に言えば「俺はよそとはひと味違うぜ」という違いを見せつけることのできる領域でもあります。違いの分かる男の(そして女の)外来での感染症の使い方のコツ、乞うご期待。
東京都立梅ヶ丘病院 市川宏伸氏
発達障害の問題がマスメディアによく取り上げられる。知的障害はないのに、極端な学業不振、人間関係の困難、行動上の問題などを抱えている子どもの増加が中心ある。子どもの医療現場では対象患者の増加、教育では特別支援教育の導入、福祉では発達障害センターの設立、司法では了解不能の触法行為の増加が関連している。子どもだけでなく幼児から成人に至るまで、社会的な問題として取り上げられる。
松前町立松前病院 木村眞司氏
パーキンソン病に苦手意識を抱いていませんか? よくある病気、パーキンソン病についてその症状・症候、診察方法や治療法の基礎を学びましょう。案外見逃しがちなパーキンソン病も、プライマリ・ケア医である私たちが早期に診断し治療を開始することで多くの人々の生活の質が向上します。あなたもぜひ!
北足立生協診療所・日生協医療部会家庭医療学開発センター 井上真智子氏
日本人女性の約15%が過去にパートナーからの暴力を受けたことがあると答えています(2003年内閣府調査)。家庭医が適切に早期発見を行うことで、さらなる健康被害を予防できる可能性があります。その点で私たちの役割は大変重要といえるでしょう。パートナーバイオレンスについて最新のエビデンスを学びつつ、どのようにスクリーニングするとよいのか、皆さまと一緒に考えてみたいと思います。
亀田総合病院リウマチ膠原病内科 岸本暢将氏
リウマチ性疾患・筋骨格系疾患の診断は難しい、と考えている医師は非常に多いようです。日常よく遭遇する関節痛患者に対するアプローチとしてまずは病歴聴取・身体診察で的をしぼることからはじまります。今回は特に頻度の高い関節リウマチを中心に去年同様みなさまで身体診察を実際に体験していただきます。
佐久総合病院 総合診療科・緩和ケアチーム 山本 亮氏
緩和ケアに対する市民の関心は近年高まっており、かつ急速にすすむ高齢化社会、厚生行政施策などからも、緩和ケアに関する技術や知識は、プライマリ・ケア医に必須の能力ということができます。
このワークショップでは、プライマリ・ケア医が、いつでもどこでも使用することができる、疼痛をはじめとした身体症状、精神症状のコントロールのほか、患者や家族とのコミュニケーションなどについて、症例を通じて一緒に学んでいきたいと思っています。どうぞふるってご参加ください。
手稲渓仁会病院 小嶋 一氏
良好な医師-患者関係を築くためには基本的なコミュニケーション技術に加え、症例の行動科学・精神分析的な考察が欠かせません。米国の家庭医療研修プログラムの多くで採用されているバリントグループはこの振り返りや考察を促すためのグループセッションです。WSで実際にバリントグループを経験し、その有効性を体験していただくのが本WSの目的です。良好な医師患者関係構築に関するディスカッションも行います。
聖路加国際病院 アレルギー膠原病科 岡田正人氏氏
「アレルギーかな?」と思ったら、まずはI 型の即時型アレルギーか、それ以外の非I型かを区別して考えるだけで、診察、検査、治療の選択がスッキリと見えてきます。実際の外来で使われることが多いRAST検査に関しては、たとえば「小麦のクラス4と卵のクラス2のどちらが重要か?」など、いつ何をオーダーし、どのように読むかまでを解説します。喘息と鼻炎の治療の相互効果、患者に誤解を与えないアレルゲン曝露の指導方法、アナフィラキシー治療の原則など、各アレルギー疾患の外来診療における原則を網羅します。
北中城若松病院 川尻英子氏、荒川幸弘氏
皆様は患者さんの移乗介助をしたことがあるでしょうか。在宅介護の大きな障壁のひとつは「移乗介助」であるといわれています。このWSを受けていただければ、患者さんのご家族やケアスタッフへ「もっと楽にできますよ」とアドバイスができること間違いありません。当WSは実技が主ですので、動きやすい服装でいらしてください(スカートはお避けください)。
鉄蕉会 亀田ファミリークリニック 館山 岡田唯男氏
健生会 大福診療所 朝倉健太郎氏
東京医科大学総合診療科 齊藤裕之氏 氏
このWSは、管理職にある人たちを対象にします(学生勉強会や病棟チーム若手リーダーから、病院長まで含む)。病院の中で自分の科の位置づけがはっきりしない、開業して競合に負けないか心配、チームがまとまらない、プロジェクトを任された、みんなにも手伝って欲しいことがある、などの場合に「知っていると得する」ビジネス理論を1テーマ30-40分ぐらいで4-5テーマ紹介し、各自で現場での応用を考える講義形式のWSです。
トピック(予定):イノベーション普及理論、ブルーオーシャン戦略、バランススコアカード、SWOT分析、タックマンの組織変革モデルなど
赤穂市民病院 皮膚科 和田康夫氏
外虫や動物による皮膚疾患として、マダニ、疥癬、ムカデ咬傷、頭じらみ症、はえ幼虫症、刺毒魚刺傷などについて取り上げます。これらの疾患の頻度はそれほど多いものではありませんが、はじめて遭遇したときには、どのように対応したらよいのか困惑することがあります。各疾患ごとに注意点、対処法につき解説いたします。
城東整形外科 皆川洋至氏
四肢の「痛み」に対して頻用される単純X線写真。しかし、日常診療で骨が主病変であることは決して多くなく、実際には超音波で見える世界にこそ納得いく病変、病態が多く潜んでいます。遭遇する機会が多い運動器疾患に超音波を使いこなすコツを解説するとともに、新技術の臨床応用、さらに病院からフィールドに向けての新たな使い方を紹介し、明日からの診療をワンステップ引き上げます。
NHO東京医療センター教育研修部 尾藤誠司氏
「血圧をシャツの上から測ってもいいの?」「このくらいの状態なら入院しなくても、もう少し在宅で様子見れるのでは?」「家族の介護負担が強すぎると長期的には患者さん自身に返ってくるのでは?」。これらの現場におけるリアルな実感に基づいた疑問に対し、根拠を提示することは、PC医にとっての義務であるとともに至福でもあります。本講演では、現場での漠然とした疑問を臨床研究に持っていくための手順を説明しながら、現実的なPC分野での研究事業の進め方についても皆さんと考えたいと思います。
ミシガン大学家庭医療学科 藤岡洋介氏
手稲渓仁会病院 小嶋 一氏
恵寿総合病院 吉岡哲也氏
皆さんはACLSをご存知だと思いますが、産科エマージェンシーに関してもALSO(Advanced Life Support in Obstetrics)というコースがあります。これは本来、アメリカの家庭医のためのコースとして作られたもので、私達はいまこれを日本に導入しようとしています。正式なコースも近日開催の予定ですが、今回はそれに先駆け、このセミナー参加者向けにHands-Onを豊富に取り入れたイントロダクションコースをお届けしたいと思っています。
東京北社会保険病院 臨床研修センター 名郷直樹氏
特定健診、特にメタボッリクシンドロームについてのエビデンスに焦点を当て、その背景となるエビデンスも含めながら、観察研究のエビデンスの使い方の基本を提示するとともに、健康増進の意味、無意味さについて、参加者のみなさんと議論できればと考えています。
奈良市立月ヶ瀬診療所 藤原靖士氏
ファミリークリニックなごみ 大島民旗氏
内山クリニック 内山富士雄氏
家庭医療を専門的に研修していないけれど、卒後年数制限などで学生夏期セミナーや若手家庭医のためのWSに参加できない/しにくいと思っている方、若手の会をうらやましく眺めていた方、「今さら聞けない家庭医療学の基本」を改めて一緒に勉強してみませんか?今回は、若手や学生向けのWSでもよく取り上げられている、「臨床倫理の4分割法(MPQC)」「LEARNの技法」「患者中心の臨床技法」について簡単に振り返ります。
松木泌尿器科医院 松木孝和氏
今回は、”頻尿診療の実際とコツ ”として明日の診療に生かせるように判りやすくお話します。”頻尿診療の実際とコツ 応用編”はあるのか?という疑問に関しては、”構想はある”と申し上げておきますが、日の目を見るかどうかは今回の講演しだいといった所です。
今回は、プライマリケア医に役立つであろう頻尿の診療から、特に入門編として本当に身近な頻尿診療の実際についてご紹介いたします。
難しい話は抜きにして、あえて私の診療経験に特化して紹介させていただく予定です。
教科書的なことはそこそこにお話しする、ちょっと生々な泌尿器科診療・・・
役に立っていただければ幸いです。
医療法人 篤友会 関西リハビリテーション病院 佐藤健一氏
「全ての医師が知っておくべき内容」、「自信を持って機内で対応するために必要」との反響があったレクチャー。昨年に引き続き今年も行います!。普段皆さんが乗る飛行機ですが、機内でDr Callに落ち着いて対応するには事前の知識が重要となります。さあ、皆さんも普段聞くことのできない航空機内医療の知識を得てみませんか。
*今年は搭載医療器具・医薬品の展示はありません。ご了承下さい。
市立福知山市民病院・総合内科 川島篤志氏
市立堺病院 北村 大氏
「病歴と身体所見で診断がつく!」と言われますが本当でしょうか?このWSでは,単純な身体所見の取り方ではなく,どんな時にどんな身体所見を取ることで診断や重症度判定の検査前確率をあげられるかを考えて「身体所見の小テスト」を解いていきます。検査の十分できない在宅・診療所で働くことが多い家庭医の一番の武器は,病歴聴取と身体所見です。WSが終わった後には「大変な医師」になっていることを実感していただきます。
三重大学医学部附属病院総合診療部 稲田美紀氏、横谷省治氏
ライフサイクルの中で、避妊・性感染症予防はとても大切なテーマです。しかし、扱いにくく、つい敬遠しがちです。望まない妊娠・中絶や感染を避けるためにも、家庭医がより積極的に関わりたいところですが、どうアプローチすればよいのか戸惑っていることも多いのではないでしょうか。このワークショップでは、効果的な支援のために、国内外で推奨されているカウンセリング法である、GATHER法を学習します。あなたも家庭医としての幅をひろげてみませんか?
奈良女子大学 高橋裕子氏
禁煙マラソン 三浦秀史氏
たばこ1箱1000円の話題も出て、禁煙はますます社会の潮流となってきた。内服薬の認可、ニコチンパッチのOTC化など、禁煙支援に関してもさまざまな新しい動きが出ている。患者の生活に密着した家庭医は禁煙支援の最良の担い手である。今回のWSでは禁煙支援の基礎から最新知識までを習得いただき、禁煙支援側にとっても元気が出るワンランク上の禁煙支援ノウハウを明日からの診療に生かしていただきたい。
斉藤メンタルクリニック 斉藤聡明氏
H9年4月より三重県津市において,メンタルクリニックを開業しています。この6月のレセプト枚数,1249。とても忙しくしています。もし,みなさんが,うつ病を診てくれていなかったらと考えると,ゾッとします。うつ病患者の苦しみを,ほんのちょっとだけでも,楽にしてあげたい,そんな思いから日常診療をおこなっているみなさんには,心から,感謝しています。当日は,できるだけ具体的に,うつ病の治療について話をしてみようと考えています。
名古屋大学医学部附属病院総合診療部 鈴木富雄氏
昨年のように、家庭医として必要な直像検眼鏡の扱い方、眼底の観察の仕方を参加者の方に2人ずつペアになっていただき、6人に一人の割合で指導者をつけることにより、みっちりと学んでいただきます。 目標としては、このWSで乳頭の観察が(片目でも)できることを目指します。時間があれば、耳鏡の正しい扱い方、鼓膜の観察の仕方も学んでいただこうと思います。
広島大学病院総合診療科 溝岡雅文氏
信愛クリニック 井出広幸氏
宮崎医院 宮崎 仁氏
麻生飯塚病院総合診療科 井村 洋氏
日々の診療の中で精神科・心療内科・心理学的な問題に直面されたご経験はありますか? PIPCは、内科医が精神科的診療を実践するために体系だった知識を身につけることができるようにデザインされた教育訓練プログラムです。今回のセッションは、精神科診療に関する知識経験がゼロの状態である家庭医のみなさまに、PIPCの基本を体験していただくために企画いたしました。「心療を実践したい!」と希望している医師なら、どなたでも歓迎いたします。
相澤病院褥創治療センター 鳥谷部俊一氏
OpWTは,褥そうに悩む患者・介護者にとって朗報である.「患部を水道水で洗浄し,穴あきポリエチレンフィルムを貼付した紙おむつをあてる」だけで治ってしまう.OpWTには,圧迫やずり応力による創の損傷が最小限であること,低コストのため毎日複数回交換できるため創の清潔が保てること,患部に応じた形状に成型できること,日常生活を制限することなく治療できるといった多くの利点がある。
北海道家庭医療学センター 草場鉄周氏
平野嘉信氏
松田 諭氏
家庭医療の基礎概念である「患者中心の医療の方法」実践の中で、医学知識・技術を積み重ね、患者の思いや背景を理解した上で、最後に待ち受ける難関が「共通の理解基盤の構築」であり、短い診療時間の中でこの基盤を構築し検査や治療などに進むことが、患者・医師双方にとって診療への満足向上につながることが明らかになっている。このWSではコミュニケーション技法の観点から、その方法論の実践力獲得を目指す。
札幌医科大学地域医療総合医学講座 山本和利氏
地域医療の現場でgeneral physicianに強く求められるものの一つに判断力がある。判断をどんなに正確に行おうとしても、いつも万人の満足を得ることはできるわけではない。しかしながら、医師として真のprofessionalであるためには、素早く様々な状況を加味して背景まで考慮して眼前の患者さんの問題を解決しなければならないし、それでうまくゆかなければ枠組みを再構成し直して問題に当たらなければならない。本講義では、「あいまいさ」として括られてものを系統的に考察し、その延長としてEBMの手法の解説をする予定である。
耳原総合病院小児科 武内 一氏
海外では、ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐことが徹底する中、1990年代以降、急速に海外とのワクチンギャップが大きく拡大してしまいました。このWSで、特に髄膜炎から子どもたちを守るワクチンが、小児医療そのものに大きな変革をもたらすことをお伝えしたいと思います。また、ワクチン行政の問題にも触れ、地域で子どもたちを含めて家族を支える医療の担い手であるみなさんが、ワクチン接種にさらに熱心になっていただけるように、行動提起もできたらと思います。
かみで耳鼻咽喉科クリニック 上出洋介氏
本邦では急性中耳炎が冬季と4−5月に多く発症することは以前より知られており、カゼの流行する頃に中耳炎が起きるという季節性の一致は、上気道炎 が中耳炎発症の病因に大きな役割を果たしていると考えられている。生後の小児を追跡調査したプロスペクティブ研究で上気道感染症の30%−37%に急性中耳炎を合併していた。 今回小児急性中耳炎の鼓膜所見の評価と診療ガイドライン(2008改訂)の解説とともに、 気道感染症に関連して、呼吸器系ウイルスと中耳炎発症メカニズムの文献的考察を行い、小児急性中耳炎を再考する。
長浜赤十字病院第一内科 江川克哉氏
長浜赤十字病院 内分泌代謝内科 三澤美和氏
糖尿病治療は、この十数年で内服薬・インスリン共に様々な作用機序のものが開発され、テーラーメイド治療の時代に入りました。さらにペン型インスリン器の登場により、インスリン注射を行う患者のQOLは大きく改善されました。一方でそれだけ治療が多岐にわたり、医師サイドではインスリン導入に躊躇していることが少なくありません。このセッションでは、インスリンを中心に、糖尿病薬の特性を理解し治療戦略を考えると同時に、実際のインスリン自己注射手技について器具を用いての実習を行いたいと思います。「インスリンはいろんなものがあって正直よくわからないな〜」「インスリンの患者さんをみるのは自信がないな〜」と思っているインスリンアレルギーのあなたも、今からでも遅くありません!一緒に学びましょう。