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家庭医療学研究会会報 第46
発行日 : 2002年8月31日
  この号の主な内容
夏期セミナー記録
第17回家庭医療学研究会(学術集会・総会)のお知らせ
速報!ミッション・あり方検討WGから
・家庭医のためのCME
   大腸がんのスクリーニング方法
   女性医師のロールモデル
   患者の求める未来の医療者像
世話人会議事録
事務局からのお知らせ

第14回家庭医療学研究会 夏期セミナー記録

プログラム
《8/9(金)》 (敬称略)
開会挨拶
前野哲博(担当世話人,筑波大)
加藤はるか(実行委員長,信州大5年)
家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図(1)
Madelyn Pollock(亀田総合病院)
司会 : 佐野 潔(ミシガン大)
家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図(2)
名郷直樹(作手村診療所)
家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図(3)
吉見太助(堂園メディカルハウス)
家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図(4)
尾藤誠司(国立東京医療センター)
家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図(5)
前野哲博(筑波大)
研修プログラム紹介
夕食
講師・世話人紹介+懇親会
《8/10(土)》
朝食
家庭医に必要な臨床能力1[選択制]

 A. 在宅ケア
一瀬直日,草場鉄周,西川武彦(カレスアライアンス)
 B. ACLS
宮島賢也(自衛隊中央病院)
 C. 身体診察法(頭頚部+バイタル)
大橋博樹(聖マリアンナ医大)
山下大輔(武蔵野赤十字病院)
 D. 医療面接
中田裕子(奈義ファミリークリニック)
吉見太助(堂園メディカルハウス)
 E. 症例へのアプローチ
鈴木将玄,久永貴之(筑波メディカルセンター病院)
高屋敷明由美(自治医大)
  F. EBM(初級編)
古賀義規(春日村診療所)
昼食
家庭医に必要な臨床能力2[選択制]

 G. 小外科実習
徳山秀樹,鈴木富雄(名古屋大)
横谷省治(三重大)
 H. 身体診察法(腹部+神経)
大橋博樹(聖マリアンナ医大)
山下大輔(武蔵野赤十字病院)
 I. 医療面接
中田裕子(奈義ファミリークリニック)
吉見太助(堂園メディカルハウス)
 J. 在宅ケア
一瀬直日,草場鉄周,西川武彦(カレスアライアンス)
 K. 症例へのアプローチ
鈴木将玄,久永貴之(筑波メディカルセンター病院)
高屋敷明由美(自治医大)
 L. ACLS
宮島賢也(自衛隊中央病院)
家庭医に必要な臨床能力3[選択制]
 M. 小外科実習
徳山秀樹,鈴木富雄(名古屋大)
横谷省治(三重大)
 N. 医療倫理
山田健志(都立豊島病院)
 O. EBM(初級編)
古賀義規(春日村診療所)
 P. EBM(中級編)
下田泰彦(国立東京医療センター)
 Q. 身体診察法(腹部+神経)
大橋博樹(聖マリアンナ医大)
山下大輔(武蔵野赤十字病院)
夕食
講師・世話人紹介+懇親会
学生・研修医部会
(次期代表/幹部交代/今後の活動について/MLについて/家庭医療学研究会紹介)
《8/11(日)》
朝食
モーニングセッション[選択制]
選択1 : 「家庭医になるために〜ミクロ近未来予想図」
中村明澄(東京医療センター)
西川武彦(カレスアライアンス)
高橋壮芳(王子生協病院)
菊地涼子(国立病院東京医療センター)
吉本尚(筑波大5年)
選択2 : 「世界で活躍する家庭医」
佐野 潔(ミシガン大)
Madelyn Pollock(亀田総合病院)
岡田唯男(9月から亀田総合病院)
浜野 淳(筑波メディカルセンター)
村井三哉(鹿島病院)
選択3 : 「家庭医の家庭〜家庭医の先生は普段どんな生活をしているのでしょうか」
高屋敷明由美(自治医大)
前野貴美(つくば総合健診センター)
松村真司(松村医院)
閉会式
伴 信太郎(研究会世話人代表,名古屋大)
記念写真撮影
解散
昼食

 医学生・研修医のための第14回夏期セミナーは,千葉県長柄町の日本エアロビクスセンターという,リゾート施設で開催されました。世話人の前野哲博先生(筑波大)の指導のもと,今年も学生・研修医部会の皆さんが企画から実施まで担当しました。セミナーの規模は昨年よりも更に大きくなり,学生90人,研修医60人,講師・世話人を含め合計190名が参加して,二泊三日の日程で行われました。
  プログラム(左記)に沿って,参加者から寄せられたレポートの一部を引用して,セミナーの様子を紹介します。

「家庭医の現在と未来〜マクロ未来予想図〜」
 全然違った道を歩んで違った場所で活動しているはずなのに,根本でつながっているような先生方のお話が印象的でした。どの先生方も,信念をしっかり持っていて,一方では柔軟で個性的に,そして真剣に医療に取り組んでいる姿がよく分かりました。家庭医に必要なものとして,医学的知識や技術以外をまとめるなら,先生方のように人間としての魅力を持つことではないかと思いました。

Pollock先生の講演について
  「日々の暮らしが健康につながるように手伝いをしている」「work where you needed, hospitals, clinic, home, schools, city hall」人々が健康に暮らせるように,その健康に関する問題をお手伝いする,というのが,私の理想的な医療だったので,これらの言葉はとても心に響いた。とともに,この会場にはこの言葉にともに感動している仲間が少なからずいるのだな,と心強く思った。また,「no boundaries」(no limitではなく)という言葉はとても素敵な表現だと思った。ありふれた事がありふれて起こる,家庭医はそのcommon diseaseのエキスパート,というお話は感動的だった。とかく,専門医と比較されると「浅い」といわれる家庭医だが,そのように考えると,広さと深さが感じられると思った。プレゼンテーション自体,とてもわかりやすく,ユーモラスで楽しい中に大切なメッセージを伝えてくださったと思う。ポロック先生の才能を感じた。

名郷先生の講演について
  「患者に合わせる医療」という一言が非常に心に残った。医者,おごる勿れ。家庭医は,人々の生活のお手伝いをしているにすぎず,けれど,そのお手伝いはとても大事なお手伝いなのだ,と思った。EBMが自分を支えているとおっしゃっていたけれど,具体的にどう支えているのか,と質問しかたった。指導医がいるわけでも,同僚がいるわけでもない環境で,EBMは必須なのだろう。その辺りまで触れていただけると,EBMのすばらしさを伝えることもできたかな,と感じた。いずれにしても,名郷先生の生き生きとした姿を見ていると,本当に勇気を与えてもらえたように感じた。

吉見先生の講演について
 離島での医療風景がすごく伝わってきて感動しました。そこでの様々な逸話を聞けたのも良い経験になりました。患者さんにあれほどまでに必要とされることはどのくらい責任感を持つものなのか、困ったことは無かったのか、などもう少し聞きたかったです。
 吉見先生による講演は目次を見たときから,楽しみにしていた。なぜなら,吉見先生がおられる「堂園メディカルハウス」のことを以前から知っていたからである。ある知り合いのガン患者の方から,この病院の話を聞いたことがあった。吉見先生もおっしゃっていたように,病院とは思えない環境だ。NPOである「風に立つらいおん」にも参加してみたいとおもっている。先生の講演にも写真が多用してあり,わかりやすかった。

尾藤先生の講演について
 パワーのあるお話,とても楽しかったです。面白いたとえ話も新鮮で、その日の懇親会まで考えつづけてしまいました。先生のマインドはとてもよく感じられ,お話の中にみられた反骨精神というのも若気の至りの類とは異なる,純粋なマインドに従うものであることがわかりました。私もその姿勢を参考にしていきたいと思います。
  ニーズ志向 : ニーズをこちらから積極的に見つけて行く,自分のフィールドを自分だけで設定しない。現場志向 : どれだけ役に立てたかが大切。アウトカム志向。「まだ足りない自分志向」 : 専門家とは成長することをあきらめた人たちのことを言う。といった幾つもの強烈なフレーズを楽しい雰囲気の中で伝えてくださった。とても心に残った。このように,自分のコアに残るフレーズというのは,これから研修などをしていく上でも,苦しい時の助けになると思う。

前野先生の講演について
 前にも聞かせていただいた話だったが,私が一番好きだった場面は,カエルの絵のスライドである。「これは何という動物ですか?カエルという言葉は使わずに友達に伝えてください」というものである。家庭医というのは,友達にその魅力などを伝えるのがとても難しい。大学にないから,みんな見たことも聞いたこともないのである。「写真を送るよ!見ればわかるから!!」という一言は,とても心に残った。家庭医についても然り。これからは,家庭医に興味を持った学生が現れたら,即「見に行きなよ。見ればわかるから!!」と答えるだろう。学生部会の役割には,そのような興味を見学・実習につなげていくことだと思った。

「家庭医に必要な臨床能力」
在宅ケア
 在宅医療は,ボランティアを通して,介護の面から関わることがあったので,今回は医師としてどのように関わっていくのか興味があった。ある1人の患者に焦点を当てて,そこからマクロ的に在宅医療,地域医療を考えていくという方法は新鮮だった。医師としてできることというのは,「患者が体調が悪く,診療所にかかった」というある1つの出来事があり,その身体面の解決に留まらず,そこからどんどん生活背景をマクロ的に見ていくことで,患者さんの根本的な不安を解決するためのきっかけとなる,という意味で重要な役割を担っていることがわかった。そして,1人の患者さんに対して様々な人々が1つのチームとして動くことが地域医療だと感じた。

ACLS
 BLSは以前にもならったことがあったので,primary surveyは自分の知識確認として参加することができました。AEDを実際に操作できたのはとても感動でした。AEDは本で読んだことがあったのですが理解があまりできていなかったことがよくわかりました。これでBLSは一般の人にも教えることができるのではないかと考えています。今度はACLS応用編に力を入れたいと思います。

身体診察法(頭頚部+バイタル)
 後半の,バイタルを全身状態と広義にとって,患者さんの様子から患者さんがどんな状態にあるのか,理解することをねらいとしたロールプレイがとても面白かったです。私自身患者役をさせていただきましたが,医師側の態度,言葉によって,感情が動いたり,動かなかったりする,ということをとても感じました。そして,インタビュー以外で,得られる情報の多さを実感しました。前半部の,身体診察について,風邪をとおして,いかに身体所見をとるのか,身体所見をとる目的について考えさせられました。常に,どういう疾患を考えて,そのためにどんな所見を見る必要があるのか考える必要性を改めて感じました。

医療面接
 午後一番のセッションだったので,少し眠かったのですが,最初のイントロの部分を最小限に抑えていたところは,とてもよかったです.講義調になっていれば,確実に意識を失っていました.患者,医師,評価者役に分かれたとき,たまたま3年生,6年生,医師5年目の3人に分かれたので,それぞれの立場の違いによる相違をとても楽しむことが出来ました.ほかのグループはどうだったか分かりませんが,同世代を集めるよりも全然違う世代のほうが面白いと思います.

症例へのアプローチ
 このセクションでは一つの症例に対しどのようにアプローチしていくかをプライマリ・ケア的にどうあるべきかを勉強させていただきました。実際の大学の診療ではCTをすぐに適応して画像にて診断することが多く,多くの問診と少ない検査で診断を下すという流れを勉強することが少ないと感じています。大学ではある程度情報があり,それからどのようにアプローチしていくかが問題になりますが,診療所ではまったく分からない状態でこれから診断するという意味でかなり異なります。今回の医療面接はプライマリ・ケアの側面を十分持った医療面接で,かなり有意義なものでした。診断は面接による情報からほぼなされることも事実ということを身にしみて痛感しました。これからは症例に対するアプローチの重要さを常に念頭におき,診療を行っていきたいと思います。

EBM(初級編)
 ここではまず,グループの中で2人組を組んで,医師役と患者役でロールプレイをした。そこで問題となった「血圧が高いがどうすればよいか」ということについて,論文やクリニカルエビデンスを使って検証した。ここでも私は,知識不足で理解できない部分がいくつもあった。しかし,EBMの5つのステップを実際にやりながら学ぶことができたので,大変勉強になった。

小外科実習
 5年生の時に小外科練習をしていましたが,それ以来の経験でした。しかし今は研修医になり何時何処で縫合術をするか分からない身分です。実際に放射線科にいてPTCDをはじめとしていろいろなところでやらなければならない状況にあり,このセミナーで確実に手技を覚え,教えてもらうのはここが最後だという思いで実習をしました。かなり,自分のものになり,参加して良かったと思っています。また何かの機会があったら参加したいと思います。

身体診察法(腹部+神経)
  参加する前は「基本的な診察方法などをじっくりと教えてもらえる」と勝手に勘違いしていました。実際,参加してみると鑑別をあげたり除外する方法を述べたり,確定診断のための腹部診察を考えたりといった内容なので少し驚きました。しかし,かえって楽しく腹部の疾患について学ぶことができたように思います。まだ勉強不足で同じグループになった6年のかたなどの意見を「なるほど」と感心しながら聞くだけしかできなかったのが残念だったのですが,診断へのアプローチをわずかながら理解できたのではないかという満足感に浸っています。また,今回参加してただ暗記するだけではなく,「なぜ」起こるのか?,と考えることを教えていただけたのはとても私にとってプラスになりました。

医療倫理
 医療倫理といえば,遺伝子組替えや臓器移植など,高度医療を主体とした物を想像していた。しかし今回はがん告知など身近な話題で,かえって新鮮だった。医療を行う上で,マニュアルだけでは通用しないことがほとんどだ。到底医師だけでは解決できる物ではないので,様々な人間関係,情報網を持っておくことが重要だと感じた。また,今回多くの人と討論したことは,新鮮な意見を聞くことができ,また自分の考えを整理することができたので,大変充実した物だった。初めて4分割法に触れました。私と同じようにその使い方を知らない人がほとんどだったようで,漠然とした議論に終わってしまったのが残念です。議論の段階で正しい使い方を知っている人に方向性を示してもらいたかったと思います。SP役の方々の演技はすばらしかったです。また医師役の人の医療面接を見られたこと,研修医など自分とは違った立場の人の意見が聞けたことも財産でした。筑波大学のサークルのほうでは4分割法を使いこなしてレベルの高い議論がなされていると聞きました。今後の自分の課題として,ぜひ勉強したいと思いました。

EBM(中級編)
 本を読んでの独学で,実際に症例から疑問を定式化して文献を探してみるのは初めてだったので,自分ではダメエビしか捕まえられなかったのですが,グループで,他の方々の検索式を教えてもらえたので,発想の転換もできて,勉強になりました。EBM はややこしそうなイメージがあったのですが,基本を覚えて使いこなせるようになったら,臨床の場面でもとても便利だろうと思いました。上手にレーダーを利用して,よい漁場で活きのいいエビとって,エビの持ち味を生かしつつ,個々の患者さんにおいしく受け入れてもらえるように調理できるように,これからがんばりたいと思います。

「モーニングセッション」
家庭医になるために〜ミクロ近未来予想図
 はじめにパネリストから研修内容や今の病院を選択した理由など聞くのはとても楽しかったです。特に,ひとりひとり自分の考えをもって動いていることに感動しました。自分の中にぼやっとやりたいことが見えてきたような気がします。次にグループにわかれて「家庭医になるために学生時代にすること」を話し合ったのですがみんな「変わり者」ということが判明したというのがおもしろかったです。私たちのグループは「いろいろな会へ参加したりしてネットワークを広げることが大事」という結論に達したのですが,中には「家庭医の考えをもってお役人になる」という考えがでてきてかなり熱い話し合いをすることができたと思います。こんな風に意見を交わす機会というのはなかなかもてないので,新鮮な感じがしました。自分はこんなことを考えていたのかとあらためて自分を見直す機会にもなったと思います。
 自分たちの選んだテーマは「家庭医の不安と解決」であり,集まったメンバーのバックグラウンドが異なるためさまざまな不安があることが分かり,自分では不安を口にして,いろんな人にアドバイスを求めることが解決につながるのではないかと思いました。また,医療者の対象となる患者さんを把握するためには,医療の世界のみの勉強ではまかなえず,学生のうちは社会勉強に励むべきだという意見に大いに賛成の意を感じました。
 日本で求められる家庭医というのが私の班のディスカッションテーマでした。現役の先生方から研修医の方、上級生と普段聞くことができない意見を伺えたことはとても貴重でした。他の班の結論なども非常に興味深かったです。皆熱心に日々考えているんだなと。同じ意識を持つ仲間が沢山いるのは気分いいことです。

世界で活躍する家庭医
 実際に世界で活躍している,またはしてきた家庭医の話を聞けてとても貴重な体験が出来た。まだ日本の家庭医とアメリカの家庭医には大きな差があることを実感した。しかし,今回話を聞いて,家庭医への興味が大変わき,将来は是非家庭医を目指そうと思った。
 家庭医について,今までよりもさらにどんなものであるのかということがよくわかりました。先生方の経験談を聞くことができて,とてもおもしろかったです。また,Dr.Pollokの,日本で家庭医を目指す人たちを応援しているというメッセージがとても印象に残っています。
 さすが佐野先生という感じでした。「これが家庭医だ!」というメッセージを存分に浴びさせていただきました。

家庭医の家庭
〜家庭医の先生は普段どんな生活をしているのでしょうか

 このセッションに参加している参加者の顔ぶれでまず楽しめました.「家庭医の家庭」というより,女子医学生の結婚と仕事の両立についてのセッションという感じがしたのですが,とても有意義でした.私は男なので考えてもみなかったことを,女性医師は考えていたのだと,勉強になりました.これからは,このような医師の生活のQOLについて考えるセッションが増えることを望みます.
 「自分にとってのbestではなくbetterを探して行きましょう」という高屋敷先生のコメントが心に残った。このような考え方でいけば,忙しい臨床も家庭生活もきっとうまくいくだろうと,根拠はないのだが勇気つけられた感じがあった。家庭医の職業生活と家庭生活には,開始・発展・分散・独立・交替という共通した諸段階があるなど,実話だけでなく,まとまった概論的な話があったのもよかった。さらに前野貴美先生のプレゼンテーションや,松村先生のプレゼンテーションも,とても面白く,家庭医の家庭をのぞかせていただいた貴重な体験になった。このようなセッションはぜひ継続していきたいと思う。

懇親会
 最初はちょっとばかし,席を移動することが恥ずかしいような気がしていたのですが,だんだんとたくさんの人と話をしたい!っと思うようになって,いつのまにか・・・。ただ次の日の講習のこと,暗い夜道が怖かったのとで,あまり遅くならないように気をつけていました。最終で,懇親会会場を後にした人は4時をまわっていたとか。もったいなかったような気がしますが,年には勝てませんでした。もっと,体力があればよかった! 実際に働いていらっしゃる方のお話を聞けたことや,日本のさまざまなところで同じ「医師になる」という目的を持った人と交流ができたことは,これからの学校生活が苦しくなったときの心の支えなってくれる経験になると思います。

全体を通して
 自分にとって一番プラスになったのは,全国から集まった学生や研修医,講師の先生と話をする機会を得られたことです。自分がいかに井の中の蛙であったか,いかに勉強不足であるかを感じました。また,上の学年や医師の方々からは自分の将来を考える上で様々な可能性を見せていただいた気がします。付け加えるなら,「在宅ケア」で感じたのですが,講師として他職種の人がいてもいいのでは?看護学生などを交えたら規模が大きくなりすぎてしまうでしょうが,どこかの診療所で働く看護婦さんを一人招いてみたら,違った視点からの話が聞けそうです。個人的には,背伸びしてでも目標は高く持とうと決意する夏になりました。このセミナーに参加して様々な人に出会ったことも,そのきっかけになっていると思います。
 参加する前は,どんなことをやるのか?このセミナーは何?と不安だらけで参加したのですが,参加してみて,家庭医とは何なのかとかどんなことをしていけばいいのかという疑問が少し晴れたような気がします。この会に参加して自分の将来などに対して新しい考えが湧いてきた感じがします。ありがとうございました。
 これだけ多くの人たちと一同に会していて,家庭医というキーワードでつながることができる,ということはすばらしいことだと思います。先生方がとてもフランクな態度で接してくださるのも新鮮でした。自分の目指すものは一体何であるのか,まだはっきりとは見えていませんがいろいろな人たちの話を聞き,話をすることで,自分の視野が広がっていくことを感じました。これだけの会を主催されたみなさんにはとても感謝しています。ありがとうございました。
 自分の道しるべになったと思います。頭の中にある理想の医師像をなんとか明確にしたいと思いながらいくつかの勉強会,セミナーなどに参加してきましたが、今回ほどその成果が現れた会合はありませんでした。こうして行きたいという選択肢のようなものが,以前よりも明るくなったのがわかります。これをさらにはっきりさせるため日々勉強を続けたいと思います。

記念写真

(第14回夏期セミナーの記録ここまで)



第17回家庭医療学研究会のお知らせ

最新情報はホームページ http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/ に掲載します

日 時  : 2002年11月9日(土)〜10日(日)
テーマ  : 『家庭医の教育を考える』
大会長  : 亀谷 学(聖マリアンナ医科大学総合診療内科)
会 場  : 建築会館 東京都港区芝5-26-20
JR山手線田町駅(東京駅から4つ目)徒歩3分。http://www.aij.or.jp/jpn/hall
参加費  : 会員・一般6,000円(学生3,000円)
プログラム :
(1) 基調講演
(2) 一般演題
(3) ワークショップ
(4) シンポジウム『臨床研修ニュービジョン−卒後臨床研修必修化と家庭医療』
(日本総合診療医学会、日本プライマリ・ケア学会、日本外来小児科学会、家庭医療学研究会、他の予定)
(5) 特別講演
 1)プライマリ・ケア医の卒前教育への参加−成功するための方略−
   ミシガン大学、Michael D.Fetters, MD.MPH.MA.
 2)メーリングリストが家庭医の生涯教育に果たす役割−TFC-MLの経験から−
   田坂内科小児科医院、田坂佳千先生
ワークショップ(WS)の内容と事前参加登録方法 :
11月10日(日)の午前中に開催するWSについて、予定表、各WSの内容、事前参加登録方法を以下に示します。
ワークショップ予定表
時刻 WS会場
第1会場(メインホール) 301 302 303 304 305 306
前半 8:30−10:30 WS(1) WS(3) WS(5) WS(7) WS(8) WS(10) WS(12) WS(13) WS(15) WS(17)
休憩/移動10:30−10:45      
後半10:45−12:45 WS(2) WS(4) WS(6) WS(9) WS(11) WS(14) WS(16) WS(18)

各ワークショップの内容(敬称略)
WS(1)家庭医のための患者教育
コーディネータ : 奈義ファミリークリニック 松下 明
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 20名
内容 : 「患者教育」と聞くと、医療者から患者への一方的な情報伝達を行えばよいと思われがちですが、実際の外来では意外とうまくできないものです。何故うまくいかないのでしょうか?このワークショップでは「行動科学」をキーワードに患者心理を理解し、上手に患者の行動変容を手助けする術を学んでいただこうと思います。(行動科学とは米国・カナダで発展した臨床心理学の分野です。行動科学者と呼ばれる専門家が、家庭医療学レジデントに対して、患者心理を理解するための教育を担当しています。)
進行予定 : 1) LEARNのアプローチを学ぶ→ロールプレイ
  2) 行動変容のステージ別対応を学ぶ
  3) 重要度・自信度モデルを学ぶ→ロールプレイ
  4) 患者の感情面にどう対応するかを学ぶ
対 象 者 : 患者教育・行動科学に関心のある医学生・研修医・指導医

WS(2)家庭医のための臨床倫理−四分割法の考え方−
コーディネータ : 三瀬村国民健康保険診療所 白浜雅司
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 20名
内容 : 日常診療の場において、患者、患者の関係者、医療者間の立場や考えの違いから生じる問題に、どう気付き、対応していけば良いのかについてこのWSで学びたい。前半は、ひとつの事例について、その事例に含まれる倫理的な問題の認知、分析、情報収集、介入、評価を一緒に考えながら、臨床倫理の考え方を理解してもらう。後半は参加者が提示した事例を小グループで討論していただこうと考えている。問題の分析には、Jonsenらが開発した臨床倫理の4分割法(医学的適応、患者の選好、QOL、周囲の状況)を用いる。限られた時間を有効に使うため、事前にE-mailで検討事例を参加予定者に送ったり、自分達が悩まれた倫理的な事例を募集する。その内容に応じて、WSを進める予定である。また、以下に示す筆者の「臨床倫理の討論」というホームページで、臨床倫理の考え方について少し予習して来ていただけると理解しやすいと思う。
http://square.umin.ac.jp/masashi/discussion.html

WS(3)機会を逃さないための外来指導
コーディネータ : 亀田メディカルセンター家庭医診療科 岡田唯男
   東京ほくと医療生協北部東京家庭医療学センター 藤沼康樹
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 20名
内容 : 〔背景〕外来における見学、指導は時間が限られており、より効率的な教育のできる技術が要求される。そのためには学習者の知っている事、知らない事を短時間で把握する事が全ての出発点となる。〔目的〕個々の学習者の持つ学習のニ一ズを把握する事の重要性を理解する。短時間で学習者のニーズを把握するために適切な技術が使用出来るNeherの提唱する5つのマイクロスキルを利用して学習者のニーズに合わせた指導ができる。〔方法〕様々な指導例を用いての学習者のニーズを把握する事の意味付け、議論。理論的背景、学習者のニーズを把握するための技術についての小講議。ロールプレイによる技術の修得。
対象者 : 外来、診療所で教育活動を行う医師。特に今まで公式に医学教育を学んだ事のない人。

WS(4)女性医師のキャリアとしての家庭医
コーディネータ : 琉球大医学部附属病院地域医療部 武田裕子
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 20名
内容 : 家庭医療を実践あるいは志している女性医師が、互いに励ましあって元気になれるWSを目指しています。女性医師にとっての家庭医の魅力、キャリアとプライベートライフの両立について、リーダーシップの養成、ワーク・シェアリングは可能かなど、取り上げたい話題はたくさんありますが、第1回はネットワーキングづくりと位置づけてもよいと考えています。また、若手研修医や家庭医療を進路の一つに検討中の女子学生には、お手本となる先輩医師と出会って助言を得るような場(mentoring)を提供できればと思っています。WSでは、以下の先生方がお手伝い下さいます。(敬称略)
   前野貴美 (つくば総合健診センター)
   高屋敷明由美(自治医大地域医療学教室・大学院生)
   大野毎子(北部東京家庭医療学センター・臨床研究部長)
   西村真紀(北部東京家庭医療学センター・生協浮間診療所)
 参加者は、手続きの時にメールアドレス(なければFAX番号)をお報せ下さい。後日、簡単な自己紹介とWSの進め方に関するご意見をお尋ねします。

WS(5)成功する禁煙支援のこつ−家庭医だからできること−
コーディネータ : 奈良女子大・京都大総合診療部 高橋裕子
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 20名
内容 : 日常診療の中で喫煙が増悪因子となっている疾患も多いが、常習喫煙者ではニコチン依存に加え、心理的依存を生じることが禁煙を困難にしている。一般的な情報提供や、職場の禁煙化など環境整備は禁煙の動機付けの強化因子として働くが、すでに依存状態に至っている喫煙者を禁煙に至らしめることができないことはしばしば経験され、動機付けの強化にくわえ、有効性の高い方法の提示が必要となる。このワークショップでは現在の禁煙治療方法の実際的なスキルの向上をめざすもので、ニコチン代替療法剤の有効な利用の仕方、心理的依存の克服のための行動療法の支援方法、さらにはIT利用長期禁煙サポートプログラム等、家庭医として利用しやすく効果の高い禁煙支援方法についてグループワークをまじえて習得する。

WS(6)苦手なフィジカル−乳がん検診−
コーディネータ : 聖マリアンナ医大乳腺・内分泌外科 福田 護
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 20名
内容 : 乳がん検診における視触診の救命効果には論議があるが、早期乳がんやマンモグラフィ(マンモ)が発見しにくい乳がんの発見、自己検診の教育などに、視触診検診は有効である。そのため、わが国の乳がん検診では、50歳未満では毎年の視触診検診、50歳以上では2年毎の視触診とマンモ併用検診を勧めている。しかし、視触診は客観性や再現性などの精度管理が困難であり、検診精度を上げるためには、検診者が検診技術を向上させる必要がある。そのためには、乳房の解剖と乳がんの病態を理解して、合理的に視触診を行う必要がある。触診は座位、臥位の両体位で、平手法(手掌法)、指腹法、指先交互法(ピアノタッチ法)を用いて行う。触診圧は正常な乳腺組織の表面を触れる程度とする。腋窩リンパ節の触診は、腋窩最上部まで挿入した示指、中指、環指を胸壁に滑らすように降ろしておこなう。

WS(7)家庭医学の分野における研究をどのように行っていくか
    −障壁となる因子とその対策−

コーディネータ : ミシガン大学家庭医療学科 Michael D. Fetters
           名古屋大学医学部付属病院総合診療部 佐藤寿一
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕、後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 20名
内容 : 家庭医学は日本では人気も重要性も高まりつつありますが、家庭医学の分野における研究は依然として限られています。このワークショップでは、家庭医学の研究者が出会う障壁を明らかにし、それを乗り越えるための方略を見つけます。このワークショップはあらゆるレベルの家庭医学の研究者にとって役立つものにしたいと考えています。まず、グループダイナミクスを利用して、家庭医学の研究を行おうとした時に出会った障壁をリストアップします。例えば、仕事に追われて研究のための時間が取れないとか、家庭医学の研究者に対する助成金がないとか、研究を直接指導してくれるような人がいないとか、研究技能をトレーニングする機会がないとか、研究内容が広範囲過ぎるとか、研究結果を論文にする場が限られている、などが挙げられると思います。これらを重要な順に並べ、次ぎにどうしたらそれらの問題が解決できるかを挙げていきます。このワークショップの参加者は、研究を行う際に出会うであろう様々な障壁を乗り越える新しいアイデアを手に入れることができるでしょう。最後にこのセッションでは、家庭医学における研究の障壁のリストとそれらに対する解決法を研究会からの提言という形で示します。

WS(8)家庭医のための膝の診察
コーディネータ : 西伊豆病院整形外科 仲田和正
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 35名
内容 : 膝の訴えは日常診療では大変多い割に、きちんとしたトレーニングを受けていない方が多いのではないでしょうか。膝の診察は、正確な解剖の把握なしにはできません。今回は、実際に皆さんに自身の膝を触診していただき、またスライドで解剖をよく理解して頂き、翌日の診療から即使えるノウハウを提供いたします。特に日常よく遭遇する疾患につきましては、詳しく解説します。また、講義中、ノート取りでわずらわされることの無いよう、テキストも充実させます。

WS(9)家庭医の皮膚疾患診療の実際
コーディネータ : 石岡・平本皮膚科医院 平本 力
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 35名
内容 : 診断名に悩んではいけません。写真集と見比べてはいけません。学部で学んだ"皮膚科学"の呪縛から逃れましょう。ステロイド外用剤を主とした簡便で一般的な治療と、それで診療できる皮膚疾患の選択方法。"因→機一疹"と"遠・近・考"。皮膚疾患の一次診療を明日から、自信を持って行えます。

WS(10)家庭医に必要な救命処置−患者・家族・市民へのBLS指導法とACLS入門−
コーディネータ : 船橋市立医療センター救命救急センター箕輪良行
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 16名
内容 : ワークショップの目的は、(1)新しい2000ガイドラインの理念や変更点を理解する、(2)誰でもできなくてはならないBLSを修得して指導できるようになる、(3)医師にとって重要なACLSのアルゴリズムや薬剤使用の原則を理解して、正式なコース受講の意義を考える、である。今回はそのためにプリントとビデオを用いる実技のセッションを予定する。自動除細動器(AED)を実際に使用する。ビデオで実際の救命シーンを見る。ACLSアルゴリズムや薬剤使用について学習したうえで、正式のACLSコースで行なわれているシミュレーションや実地臨床での実際をビデオやスライドで学ぶ。以上のようなWSであるが、参加者から自由な質問を頂き、具体的な臨床上のポイントも学べるようにしたい。

WS(11)小児によくある病気の診療
コーディネータ : ミシガン大医学部家庭医療科 佐野 潔
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 16名
内容 : とかく小児の疾患に関して診療を余儀なくされる一般開業医。内科系開業医の一番弱いところである新生児、乳幼児期の疾患管理について両親をいかに安心させるか、小児科におけるBioのみならずPsycho-Socialな外来診察は如何にしたら良いかという観点において家庭医的アプローチを紹介し、小児科医の診療と家庭医の診療の違いを明確にしながら小児の良くある疾患についてお話をしたいと思います。また新生児・乳幼児検診、育児指導・栄養指導など家庭医として知っておかねばならない事、思春期のさまざまな問題などについてもお話できればと思います。その他、小児診察のコツ、診察のアイデアなどに関して皆様の経験を語り分かち合う時間も設けたいと思っております。家庭医として必須の小児診療、是非とも皆様の貴重な経験談などを披露して頂いたりと豊富な内容にしたいと思っております。ぜひご参加ください。

WS(12)超音波検査の実技指導―腹部と心臓の撮影のこつ−
コーディネータ : 聖マリアンナ医大総合診療内科 信岡祐彦
           GE社 インストラクター
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕、後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 16名
内容 : 日常臨床における超音波診断は、超音波技術の進歩と診断装置の精度の向上を背景に、検査手技としてルーチン化しつつあり、臓器を問わず、疾病の診断、管理に有力な武器となっています。しかし、実際に超音波診断の技術を習得するための機会にはなかなか恵まれないのが実状ではないでしょうか。このような現状を踏まえ、今回の研究会では心臓と腹部の2つの領域について、「超音波検査の実技指導―腹部と心臓の撮影のこつ」と題したワークショップを企画することになりました。当日は実際の超音波診断装置(腹部と心臓各1台づつ)を使用し、超音波の基礎、機器の構造と基本的な使用法、超音波診断画像の撮り方のこつなどについて、実技を通して学んでいく予定です。奮ってご参加ください。

WS(13)クリニックにおけるインスリン導入法
コーディネータ : 矢倉内科クリニック 矢倉俊洋
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 22名
内容 : 初めてインスリン導入をすることになったクリニックのためにこのWSを構成してみます。外来でのインスリン導入は可能か。答えは勿論'yes'。でも心配はいっぱいあります。誰でも嫌なインスリン注射をどうして受け入れてもらう?では「やります」と言われたら、すぐ始められますか?まず、インスリンの種類と回数選びから。何単位から始める?どのタイプの注射器にする?自己血糖測定も同時に教えたいが、覚えられるかな? 医療費がインスリンと自己血糖で跳ね上るが大丈夫かな? 誰が教える?担当者は十分に予行演習をしておく。インスリンの保管法、針の回収、低血糖の症状と処置法なども教えておかないと。スタートした後もうまく注射できているかの点検も。最終的には血糖が改善したか?心身の障害のある人にはそれなりの配慮を。インスリンで有害事象が起きていないか?実経験例の提示と実用的な図表で以上の疑問に触れ、参加者の質疑に答えたい。参加者が困っている症例の持ち込みも歓迎である。

WS(14)外来処方で注意するポイント―併用薬剤の相互作用―
コーディネータ : 共立薬科大生涯学習センター 工藤三惠子
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 22名
内容 : 薬物相互作用というと"複数の薬剤の同時投与による副作用"を思い浮かべるのが大半である。しかし、本来の薬物相互作用はそれだけではないのは云うまでもなく、薬剤個々の薬理作用をうまく組み合わせることによって、作用の増強や副作用の軽減が期待できることから、臨床現場では、予め薬物相互作用を期待した処方設計がなされることもある。多くの場合、有効活用をしようと考える場合よりも副作用発現を想定することの方が多い。しかしながら、併用する薬剤個々の効果をいかに有効に活用するかという点が非常に重要なのであり、従来から言われてきた複数薬剤の併用による副作用の発現については、予測される副作用をいかに回避するかが重要となる。また、グレープフルーツジュースとカルシウム拮抗剤やニューキノロン系抗菌剤と牛乳の例など、食品や嗜好品との相互作用も考慮するなどいろいろな可能性を考慮してゆく必要がある。

WS(15)寝たきりを防ぐ在宅リハビリテーション
コーディネータ : 保健科学大理学療法学科 網本 和
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 16名
内容 : ねたきりが良くないことは充分に知られた事実です。一日あたり数パーセントもの体力が失われてゆくといわれています。それでは具体的にどうしたら防げるのでしょうか。本ワークショップでは寝ている位置から車椅子までの移乗動作についてのリハ的アプローチ、特に介護される方も介護する方も共に快適で効果的な方法をご紹介したいと思います。その際実際のベッドと車椅子を使って参加者の皆様に体験していただきます。また痛み無く関節拘縮を防ぎ、基本的な身の回り動作での筋力強化についても具体例を挙げながら検討したいと思います。参加される方は是非現在抱えている問題を持ってきてください。明日からの介護や診療が間違いなく改善することを約束します。

WS(16)痴呆と地域医療―痴呆老人を支える地域ネットワーク−
コーディネータ : 医療法人財団天翁会(あいセイフティネット)天本 宏
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 16名
内容 : 痴呆は疾患である。しかし医療で解決のできる分野には限界があり、ケアいやトータルケアサービスといった幅広い問題解決が要求される。過去、いや現在でも医療の関心ごとと利用者である患者、家族のニーズとの乖離が大きく様々な問題が山積している。トータルケアサービスといった手法においては当然医師一人、あるいは看護婦のみといった専門職単独の自己完結型では解決がつくはずは無く様々な専門職がかかわるチームワーク、協業が必要となり、また一医療機関、一福祉機関でも解決のつかない地域内完結が必要となる。そして痴呆の特色として長期の医療、ケアが必要となりこの間のメンテナンスにおけるサービスの継続性、互換性、一貫性の担保が重要となる。更に家族を如何に支援していくかも重要なテーマとなる。自立した生活を支援するには地域における継続し、複合化したサービス供給体制であるべきである。ここに地域ネットワークの構築が不可欠となり利用者最適のために、如何に個々のサービス機関が全体(地域ネットワーク)最適にむかった動きが、機能が果たせるかが重要な課題となる。しかも24時間、365日体制のネットワークを構築し、地域住民の安心と信頼の創造を如何に構築できるか。一人でできないことを、一サービス機関でできないことを地域全体でネットを組み可能としていこうではないか。

WS(17)外来診療での栄養指導のポイント
コーディネータ : 聖マリアンナ医大病院栄養部 中村丁次
時間 : 前半〔8:30〜10:30〕 定員 : 16名
内容 : 生活習慣病の予防、治療において、食事の影響は大きく、栄養指導は外来診療で不可欠になりつつある。特に、今回の診療報酬改正で生活習慣病指導管理料が新設された意義は大きい。食習慣は、栄養素、食品、料理、献立、さらに食事回数、時間等の食べ方から構成され、患者個々のどこに、どのような問題があり、どのような指導をすれば問題が改善されるのか、適正な分析と評価・判定、さらに指導計画が必要となる。疾病と栄養・食事の知識の修得と同時に、限定された時間内で的確に、確実に実行できる指導法の技術も重要である。近年、臨床栄養学は著しい進歩を遂げ、かって信じていた知識も論拠が薄いことが解ってきている。高血圧、高脂血症等の食事療法も変わりつつあり、しかもマスメディアからの大量の情報が流れ、特殊食品の参入もあり、一種の混乱状態を来している。このような中で、どのような栄養指導が有効なのか、参加者で議論していきたい。

WS(18)外来における問題患者のマネジメント―関係障害の視点から―
コーディネータ : 北海道大医学部附属病院総合診療部 前沢政次
時間 : 後半〔10:45〜12:45〕 定員 : 16名
内容 : 大学病院の総合診療科にも、地域に密着した医療機関にも、コミュニケーションが取りにくい患者、検査を繰り返しても診断のつかない患者、医療特に医師に対する根強い不信感を持つ患者が訪れる。総合診療担当医、もしくは家庭医はこれらの患者を精神科に紹介する手段を取るのが一般的であるが、本人が精神科受診を拒む場合、精神科になじめず紹介元に戻る場合、精神科で治療を受けても病状の改善がない場合などは、引き続き家庭医が継続的にケアの責任を負わなければならない。そのため家庭医的役割を果たす医師は、こうした患者を受容し、共に歩むための方法論を学習しておくことが望ましい。方法としては、生活実態、養育史・生活史、性格、体調の自覚度、将来展望、ケア資源を知ることなどがあるが、今回は患者の持つ関係性に対するアプローチ方法を学ぶ。関係性には4つの対象がある。(1)自分自身、(2)家族、(3)地域社会、(4)自然。これらに対する認知の適切性、自己調整能力の良否が重要なカギを握る。自験例も準備するが、参加者が症例提示し、グループで討議することも考慮したい。また、医師としての限界点についても議論する。

WSへの事前参加登録方法
WS(1)〜WS(18)の中から、前半と後半の各々について第1・第2・第3希望を1つずつ選んでいただき、次のいずれかの方法で登録していただきます。先着順で各WSの参加者を決めさせていただきます。
(1) 家庭医療学研究会のホームページ(http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/)に、『第17回家庭医療学研究会・ワークショップ事前参加登録』のページがありますので、そこから登録の手続きをしていただきます。(9月2日から開始)
注 : 5日以内に受領の返信が来ない場合は,下記の連絡先に問い合わせてください。
(2) FAXまたは郵送の場合は、前半のテーマについて第1・第2・第3希望を、また、後半のテーマについても第1・第2・第3希望を、それぞれ明記して、下記の連絡先に送ってください。
注 : WS(7)とWS(12)は前半と後半に及びますので、希望者の状況により事務局で調整させていただきます。
※第3希望も満員で登録できなかった方や事前登録されなかった方には、当日、余裕のあるWSをご案内いたします。
※WSによっては事前資料を郵送する場合があります。
※WSによっては資料代の実費をいただく場合があります。
連 絡 先 :
聖マリアンナ医科大学総合診療内科 第17回家庭医療学研究会事務局
〒216-8511川崎市宮前区菅生2-16-1  TEL : 044-977-8111(内線3640) FAX : 044-976-5971
E-mail : 17thjafm@marianna-u.ac.jp


速報!!
家庭医療学研究会の将来を語る
-徹底討論-

伴 信太郎(家庭医療学研究会世話人代表)

 "第14回医学生・研修医のための家庭医療学研究会夏季セミナー"の開催に合わせて、このセミナーの母体の家庭医療学研究会の、世話人全員と、数人の若手会員が参加している「家庭医療学研究会のミッション・あり方検討」ワーキンググループのメンバーが集まって、表記の討論を行ないました。
 この会には、ワーキングのメンバーの他、セミナーに講師として参加していた名郷直樹、岡田唯男、それに北海道から駆けつけてくださった楢戸健次郎の3名が参加してくださいました。
 学生・研修医の急速な家庭医療学への関心の高まりに対して、様々な立場、経験を踏まえて、私たちが日本における最良質の家庭医の養成にむけて集中的に討論できたのは、非常に意義深いことであったと思います。
  討論した内容は、全てテープ起こしをして、記録集としてまとめ、会員の皆様へは実費で配布できるようにしたいと思います。また、今回の討論の要旨は、下記にまとめましたが、より詳しい討論概要は、事務局から参加していただいた三重大学の横谷省治先生に会誌に報告していただく予定です。
 個人的には下記の家庭医療学研修プログラム推薦開始は2003年4月からでも開始できればと考えています(2004年の臨床研修義務化の時には、家庭医養成に適した後期研修プログラムを示す)。そして、世話人会での議論も踏まえて、推薦プログラムが開始され次第、医師会、厚生省、マスコミ、市民に向けて積極的に情宣活動を行なう必要があるでしょう(又逆に、まだ実質のない時期に、空虚なキャンペーンはすべきではないと思います)。
 家庭医療学研究会には、家庭医としての最高の臨床能力が身に付けられる研修方略を発信していく役割があると思います。

― 討論要旨 ―
1.家庭医療学研究会のイニチアチブで下記を推進する。
 (1)短期的目標
家庭医療学プログラム推薦基準の策定
家庭医療学推薦プログラムの募集・認定
*以上の活動は家庭医療学研修プログラムWG(主任;三瀬順一)で直ちに開始する。
*このワーキングへは、三瀬先生の方からメンバーの追加を行なってもらう。
 (2)中期的目標
家庭医の専門医制度
家庭医養成プログラムの全国規模の認定制度
*以上の活動は日本プライマリ・ケア学会等と十分な対話と準備をしながら進める。
2.プライマリ・ケア関連諸団体の連携の模索についての話題提供があった。




CME情報募集
 当研究会では,会員の皆様の生涯学習(Continuing Medical Education: CME)に役立つ情報を会員から募り,会報に掲載します。
(1)募集する情報
  会員の皆様が関係している勉強会などでとりあげられた「文献やニュース」の中から,特に会員の勉強に役立つと思われるもので,その文献紹介やニュースが電子化(ワープロなどのファイル形式)されていて,会報に載せることを認めていただけるもの。商業的な広告などの情報は除きます。
(2)著作権等
  お送りいただいた情報の著作権などに問題が生じる可能性があると,編集者が判断した場合には,掲載いたしません。なお,お送りいただいた会員の御所属とお名前を掲載します。
(3)情報の採否
  紙面に限りがありますので,お寄せいただいた情報の全てを掲載することが困難になる可能性があります。掲載する情報の選択は編集者の判断にお任せください。
(4)送付方法
  jotaki@med.hokudai.ac.jp宛にE-mailでお送りください。情報は「DOS-Vで開けるWord」か「メール本文への貼り付け」でお寄せください。
(5)構成
文献の場合は,

1) キャッチコピー(できれば質問と回答の形で40字以内程度)
例 : 心不全の診断に心電図は有用か?―――きわめて有用。
2) 内容の要約(500字以内を目安に)
3) コメント(300字以内を目安に) 解説や感想や建設的批判や反論など
4) 著者 : 論文題名.雑誌名 巻 : 開始ページ−終了ページ,出版年.
5) 紹介した人の御所属とお名前

その他の資料やニュースなどの場合は
1) から 3) までは文献の場合と同じ
4) 出典など
5) 紹介した人の御所属とお名前

一つの情報全部で,1200字程度にとどめていただけると,編集の都合上ありがたいです。図表は原則として避けてください。

家庭医のためのCME

大腸癌のスクリーニング方法の第一選択肢は?
患者と相談して決める

要約
  米国予防診療タスクフォースは,「50歳以上の,大腸癌に対するリスクが平均的な患者に対し大腸癌のスクリーニングを行うことを強く推奨する」と結論した.ただし,スクリーニング方法の選択については,それぞれ長所短所があり,患者と情報を共有し,相談をして決定するべきであるとしている.
スクリーニング方法の選択肢
1年に1度の便潜血
<効果> 大腸癌による死についての相対リスク減少は,15〜30%.便潜血を毎年,500人〜1000人に10年間行って,大腸癌による死を1つ防ぐことができる.
<偽陽性率> 10年間で,30%の人に大腸鏡が必要.
5年に1度のS状結腸鏡
<効果> 50%の相対リスク減少率
<合併症> 診断的S状結腸鏡後の穿孔率, 10, 000人に1人
1年に1度の便潜血+5年に1度のS状結腸鏡
<効果> 40%の相対リスク減少率
5年に1度の注腸造影
<効果> データなし.
<合併症> 穿孔率, 25,000人に1人
10年に1度の大腸鏡
<効果> 60%の相対リスク減少率
<合併症> 診断的大腸鏡後の穿孔率, 2,000人に1人;ポリペク後の穿孔率, 500-1,000人に1人
コメント
  米国予防診療タスクフォースは, 科学的根拠に基づいて予防診療についての勧告を定期的に発表している国の機関 http://www.ahcpr.gov/clinic/uspstfix.htm である.
  日本においては,健診や人間ドックにおいて,一次検診として便潜血検査,二次検診として注腸造影,又は大腸鏡が,患者との情報の共有が不十分なままに行われているのが現状である.今後,我が国においても,プライマリ・ケア医(家庭医・一般内科医・小児科医・婦人科医)が,個々の患者に対して根拠に基づいた予防診療を日常的に実践できるようなシステムの構築が望まれる.
参考資料
 U.S. Preventive Services Task Force - Colorectal Cancer Screening
 http://www.ahcpr.gov/clinic/3rduspstf/colorectal/

提供者 : 名古屋大学総合診療部 向原 圭(むこうはら けい)

あらたな女性医師のロールモデルとは何か?

北部東京家庭医療学センター主催
「女性医師・女子医学生のための,医学教育,卒後研修,そして地域医療をめぐるシンポジウム」(2002.6.22)から

<記念講演>
「アメリカでの臨床研修の光と影」

村重直子先生(Beth Israel Medical Center総合内科レジデント 東京大卒)
 ニューヨークでの内科研修を通じて見えてきたもの.3年間のレジデント生活の中で経験した米国医療の主としてネガティブな側面について語っていただきました.特に,訴訟社会,DRG,無保険者,ドラッグの問題を中心に,そして恐ろしいまでの専門分化の弊害など,卒後研修についても,アメリカは必ずしもバラダイスではないことを強調されました.そうした文脈の中で,プライマリ・ケア自体が高度な専門性を持っていること,またアメリカでは困難な地域に密着した継続性こそ,実はプライマリ・ケアの本質であることを強調されました.
<パネルディスカッション>
「米国家庭医の生活」

大西恵理子先生(インディアナ州ジェニングス・ファミリー・ケア 米国認定家庭医 ユニオン病院家庭医レジデンシー修了 筑波大卒)
 ユニオン病院の家庭医療学レジデンシーでの研修の様子と,現在の開業家庭医の生活を語っていただきました.村重先生の実践の現場とは異なる,アメリカのRural Practiceでの極めて広範囲な医療実践は,地域医療におけるジェネラリストの魅力を大いに感じさせるものでした.彼女は,そのキャリアの割に極めてフツー感覚の人で,軽いフットワークで,等身大でご自身のやりたい医療をすすめていることがとても印象的でした.
「日本で家庭医になること,パート1」
 大野毎子先生(北部東京家庭医療学センター 臨床研究部長 筑波大卒)
 学生時代より家庭医をめざし,確立したプログラムのないなかで,試行錯誤しながら研修を進めてきたことをお話しされました.また,卒業後5年目に一年間診療所所長の経験をする中で,家庭医療への新たな確信を持ったこと.現在子育てをしながら,プライマリ・ケアや家庭医療の研究のパイオニアをめざして診療,研究,教育を行っていることをユーモアを交えて語られました.
「日本で家庭医になること,パート2」
 西村真紀先生(生協浮間診療所 日本プライマリ・ケア学会認定医 東海大卒)
 高校教師から一転して医師をめざす.6年生の時エレクティブとして6ヶ月間の英国留学を実現.その際,英国GPに深い影響を受け,日本で家庭医になる決意をかためる.今,子育て真っ最中であり,また日本に,女性の総合的なプライマリ・ケアとしてのウイメンズヘルスをサブスペシャルとする家庭医を目指して勉強中.
「等身大の政治家として,女性として,母として」
 山崎泰子先生(保健婦 北区区議会議員 日本共産党所属)
 保健婦から地方自治体の議員に転身.政治活動をしながら4人の子供を産み育ててきた.これは日本の政治風土の中では極めて異例であり,様々な影響を各方面に与えた.女子医学生,女性研修医へのメッセージは「自分の本当にやりたいことをあきらめずに追求して欲しい」
「家庭医になるために卒前卒後なにを学ぶべきか」
 伊藤末(こずえ)先生(東京ほくと医療生協 家庭医コースレジデント 山梨医大卒)
 平山陽子先生(東京ほくと医療生協 家庭医コースレジデント 東京大卒)
 お二人とも,学生時代医学教育に強い関心をもち活動する中で,家庭医を目指すようになったこと.家庭医をめざす仲間との共同学習の重要性を強調されました.
<小グループセッション>
「医師として,いかに学ぶか,いかに実践するか」
 地域医療,家庭医療,プライマリ・ケアが女子医学生のキャリア・チョイスとして極めて魅力的なものであるというコンセンサスが得られたと思います.また,産休,育休,休暇,家庭生活の実際など,関心の高いテーマについて熱心な討論が行われました.
多くの意識の高い研修医や医学生が北は北海道,南は沖縄から集まり,とても楽しく有意義な時間を共有できました.参加者の皆様にあらためて御礼申し上げます.

提供者 : 北部東京家庭医療学センター 藤沼康樹

患者の求める未来の医療従事者像とは? ――― 「家庭医的アプローチ」

要約
  北アメリカプライマリ・ケア研究グループの2001年年次学会の発表の中から "Distinguished Paper"(最も優れた論文)として選ばれたフォーカスグループを用いた質的研究である.78人の様々な年令,性別,住環境,文化背景等を持つ地域住民が10のフォーカスグループに参加,「将来の医療従事者(doctor)に何を期待するか」について自由に討論してもらい,その録音内容をコーディングとエディティングを中心とした手法により分析された.その際,'doctor'という単語は「自分の健康に付いての心配事に付いて相談することのある全ての職種」と定義され「医師」のみに限定せず民間療法,鍼灸師,なども含めて発言するよう強調された.結果の詳細は5つの表と本文を用いて5ページにわたっているので原典を参照願いたいが,テーマとして,(1)将来の医療従事者が医学について知っておくべきこと(2)患者の背景や,医療情報へのニーズ(3)将来の医療従事者が兼ね備えておくべき資質と医療へのアプローチ(4)理想的な医療従事者―患者関係の4つについて詳細に記されている.www.stfm.org のHPよりリンクをpublication ->family medicine journalとたどれば全文がpdfフォーマットにて手に入る.
コメント
  家庭医療の学会誌に掲載された家庭医による研究とはいえ,「家庭医」や「医師」という言葉を使わずに面接を行なったにもかかわらず,求められる像が予防に重点を置き,患者の背景を考慮しながら全人的に医療を提供する「家庭医」そのものであったことは非常に興味深い.我々ももう少し「患者が望む医師像」を考えながら医療提供の方法を考える時期にあるのでは.その意味で日本での「患者が望む医師像」を知るための同様の研究が望まれる.家庭医を育てることを目指す研修施設,家庭医を目指す医師の勉強会の教材としてぜひ読んでみたい.また質の高い質的研究の論文として質的研究を学ぶ際の教材としても使える.
出典
Main D, Tressler C, Staudenmaier A, Nearing K, Westfall J, Silverstein M.: Patient Perspectives on the Doctors of the Future. Family Medicine. 2002;34(4):271-277.

提供者 : 岡田唯男(おかだただお) 亀田メディカルセンター 家庭医診療科/家庭医研修プログラム




家庭医療学研究会世話人会議事録 (08/11/2002)

日  時 : 2002年8月11日 午前11時30分〜13時00分
場  所 : 日本エアロビクスセンター カンファレンスルーム2
出席者 : 内山富士雄,大滝純司,葛西龍樹,亀谷 学,木戸友幸,武田伸二,田坂佳千,津田 司,伴信太郎,藤崎和彦, 藤沼康樹,前野哲博,山田隆司,山本和利

議 題

  1. 会員数報告,新入会員承認,退会者報告(津田事務局長) <資料1>
     2002年8月7日現在で会員数577名(名誉会員 12名,医師 470名,学生 87名,看護師・保健師 2名,ジャーナリスト 3名,その他 3名)と報告された。新入会員 75名(2002年3月23日〜2002年8月7日)が承認された。退会者 5名(期間 同)と報告された。
  2. プライマリ・ケア教育連絡協議会の設置について(伴代表) <資料2>
     プライマリ・ケア教育に関わる諸学会・研究会の代表者で組織する表記協議会の設立趣意書を承認した。当研究会からの代表者は代表の伴信太郎先生(役職指定)および卒後初期臨床研修案への提言ワーキンググループ主任である藤崎和彦先生とした。
  3. 厚生労働省へのプライマリ・ケア研修に関する要望書について(伴代表) <資料3>
     卒後臨床研修制度におけるプライマリ・ケア研修の場として中小病院や診療所の位置づけを明確にすること等を関連諸学会・研究会・協議会とともに連名で要望し,厚生労働省医政局長宛に要望書を提出することを承認した。
  4. 学会昇格,会則改正について(小泉先生;代理 津田事務局長) <資料4,5>
     家庭医療学研究会を学会に昇格させ,会員,役員,総会,学術集会,会計等について定める会則の改正案および役員選挙規則案が選挙制度・学会移行・会則変更検討ワーキンググループより提案された。第15条(役員の任期)1.の後に「但し,運営委員長および副運営委員長の任期は最長2期6年を限度とする。」と追加することが提案された。今後世話人会メーリングリストで検討を進め,11月の世話人会で決議し総会に諮る予定とした。
  5. 第17回研究集会準備経過報告(亀谷先生) <別紙資料>
     プライマリ・ケア関連諸学会から代表者を招いてシンポジウム『臨床研修ニュービジョン−卒後臨床研修必修化と家庭医療』を行うことが承認された。また口演発表を2会場に分けて行うことなどプログラム案が承認された。
  6. 春のワークショップについて(武田先生) <別紙資料>
    第10回の会計報告がなされ,承認された。 収入1,570,100円 支出1,466,022円 残金104,078円(研究会会計へ)
  7. 第18回研究集会の日程等について(藤沼先生)
     例年の日程では北京WONCAと重なることから11月15,16日に開催する案と,6月21,22日のプライマリ・ケア学会(札幌)と同時開催する案とが提案されたが,既にプライマリ・ケア学会の準備が進んでいることや札幌で開催する場合の準備の困難さを検討し,前者の案に決定した。テーマを"Towards Unity for Health (TUFH) と家庭医"とする予定であることが報告された。
  8. 会誌『家庭医療』現状報告(山本先生)
     9巻1号から始まった新企画について報告された。10巻1号から版型をA4にすることが承認された。これまで『家庭医療』では広告掲載を認めていなかったが,9巻1号から編集・印刷費が増大し研究会会計が単年度赤字になる恐れがあることから広告掲載について検討された。医薬品は除外し家庭医療に関係があるものを編集長の判断で認めることとした。ただし,個々の候補について世話人会メーリングリストで世話人の意見を求めることとした。書評の掲載依頼があったことから,今後掲載を認めるか検討された。会員の著書の書評は編集長の判断で無料掲載できることとした。会員外の著書は広告扱いにすることとした。
  9. 会報現状報告(大滝先生)
     次号は8月末に発行予定であることが報告された。研修施設の広告依頼があったが,当面は認めない方針であることが了承された。
  10. その他
    (1) 在宅ケアを支える診療所全国ネットワーク「第8回全国の集い仙台2002」からの後援依頼について(津田事務局長) <別紙資料>
     表記について承認された。
    (2) BI-Deaconess Medical Center Division of General Medicine and Primary CareのFellowshipについて(大滝先生) <別紙資料>
     笹川記念保健協力財団理事長が日本側窓口となっている表記のFellowshipについて,日本からの留学者を対象とした募集枠を設定した場合の予備選考組織を当研究会内に作れないか打診があったことが報告された。これに協力する方針で検討を進めていくことが了承された。当研究会側の窓口は当面大滝純司先生が担当することとなった。
    (3) 夏期セミナーについて(前野先生)
     今回のセミナーには学生・研修医と講師をあわせて総勢約190名が参加した。急速な規模の拡大から全ての準備作業を学生・研修医部会が担うことは困難なため,次回以降は学生・研修医部会が企画と当日の運営を担当し,特に煩雑である参加受付業務を他の部署が受け持つことが了承された。参加受付業務等をどこが担当するかは外部委託も含め今後検討していくこととなった。来年度は8月9,10,11日(土,日,月)の3日間にしたいと考えているので,初日に多くの世話人が参加するよう呼びかけられた。
(世話人会議事録 ここまで)



事務局からのお知らせ

メーリングリストの加入について
メーリングリストに加入してコミュニケーションの輪を広げよう!
現在,約300名の会員が参加しています。希望者は以下の要領で加入してください。

□ 参加資格 : 家庭医療学研究会会員に限ります。
目  的 :  メーリングリストは,加入者でディスカッショングループを作り,あるテーマについて議論したり,最新情報を提供したりするためのものです。家庭医療学の発展のために利用していただけたら幸いです。
□ 禁止事項 :  メールにファイルを添付しないでください(ウイルス対策)。個人情報をこのリストの中に流さないで下さい(自己紹介は可)。ごくプライベートなやりとりを載せないで下さい。
□ 加入方法 : 研究会のホームページ http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/ の「各種届出」のページから申し込むか,事務局 jafm@clin.medic.mie-u.ac.jp 宛に次の事項を記入の上 Email で申し込んで下さい。
○ 会員番号(研究会からの郵便物の宛名ラベルに記載されています)
○ 氏 名
○ 勤務先・学校名
○ メールアドレス
会員であることを確認した上で登録いたします。

入会手続きについて
 当研究会に関心のある方をお誘い下さい。学生会員も大歓迎です。入会手続きについては,研究会のホームページ http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/ の「入会案内」をご覧になるか,事務局までお問い合わせください。

会費納入のお願い
 会費の納入をお忘れになっている方はいらっしゃいませんか。未納の方は早急に納入をお願いいたします。2年間滞納されますと,自動的に退会扱いとなります。御自分の納入状況を確認したい場合は,事務局までお問い合わせください。尚,2002年度(02年10月−03年9月)会費のご案内は次号の会報にあわせてお送りします。

異動届をしてください
 就職,転勤,転居などで異動を生じた場合はなるべく早く異動届をしてください。
異動届は研究会のホームページ http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/ の「各種届出」のページからできます。または事務局宛にEmail,FAX,郵便などでお知らせ下さい。

家庭医療学研究会事務局
〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174
三重大学医学部附属病院 総合診療部内
電話 059-231-5290(総合診療部)
FAX 059-232-7880(家庭医療学研究会専用)
E-mail jafm@clin.medic.mie-u.ac.jp
ホームページ  http://www.medic.mie-u.ac.jp/jafm/



編 集 後 期

 本州以南は猛暑の八月でしたが、札幌はむしろ例年よりも更に気温が低く、ありがたさを通り越して、農作物への影響が心配なお天気でした。そのような中、どうにか会報の46号ができあがりました。
 夏期セミナーの報告から学生・研修医の皆さんの熱気をお感じいただけるでしょうか。集合写真では一人一人の顔が小さくてわからない(わかりやすい人もいますが・・・)ほど、大勢が集まりました。大規模になったこの会を、手弁当で支えてくださったスタッフと講師の皆さん、そして全国から集まった学生・研修医の皆さん、どうもありがとうございました。
 今回の世話人会議事録には、定例的な議題に加えて、プライマリ・ケア教育連絡協議会の設置、研修必修化に関して厚生労働省へ提出する要望書、学会昇格と会則改正など、重要な事項が記載されています。また、今後の当研究会の方針に大きな影響を与える、「家庭医療学研究会のミッション・あり方検討ワーキンググループ」での討論の要旨が伴代表から報告されました。是非御一読ください。
 秋の学術集会の御案内は、最新情報をホームページにも載せますので、そちらも御覧ください。
 CMEのページは、今回もとても興味深い多彩な内容です。情報提供者の皆様、ありがとうございました。
 皆様からのご意見や御要望をお待ちしています。


発行所 : 家庭医療学研究会事務局
編集担当世話人 : 大滝純司
〒060-8648 札幌市北区北14条西5丁目
北大病院 総合診療部
E-mail jotaki@med.hokudai.ac.jp

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