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家庭医療学研究会会報 第39

発行所 事務局(川崎医大総合臨床医学)
編集人 東町ファミリークリニック
発行日 2000.4.1.  武田 伸二

第8回家庭医生涯教育のためのワークショップ開催される

  さる3月18、19日の2日間、名古屋の邦和セミナープラザを会場に春のワークショップが開催されました。今年は第1日目に北海道大学医学部総合診療部の北守茂氏に「ストレス関連疾患に対する自律神経訓練法の実際」と題してお話を聞き、実際に訓練法を体験をしていただきました。第2日目には茅ヶ崎徳洲会病院の木村眞司氏に「めまいの救急処置」の理学療法を中心にユーモアを交えて話していただき、その後で緑園こどもクリニックの山中龍宏氏に「不慮の事故防止へのアプローチ」「こどもの病気を診る」と題して、先生の取り組んでいる事故防止、小児を診るための注意点等について話していただきました。
 参加者は3人の講師を含めて45名で、記録を更新しました。毎年参加してくださる常連の先生も多く、いつもながらの和気あいあいとした雰囲気の中でプログラムを進めることができました。

プログラム

【3月18日】
  13:30〜14:00 受付
  14:00〜14:30 アイスブレイク
  14:30〜16:00 リラックス法としての自律訓練法の紹介(基礎編)  北海道大学医学部総合診療部 北守茂氏
  16:00〜16:30 休憩
  16:30〜18:00 自律神経訓練法の臨床的効果(応用編)  北海道大学医学部総合診療部 北守茂氏
  18:00〜19:00 夕食
  19:00〜20:30 自律神経訓練法の体験ワークショップ(実践編)  北海道大学医学部総合診療部 北守茂氏
  20:30〜 語り合いの時

【3月19日】
  7:30〜 8:30 朝食
  8:30〜10:00 めまいの救急処置  茅ヶ崎徳洲会病院 木村眞司氏
  10:00〜10:30 休憩
  10:30〜12:00 不慮の事故防止へのアプローチ−小児における取り組み−  緑園こどもクリニック 山中龍宏
  12:00〜13:00 昼食
  13:00〜14:30 こどもの病気を診る(入門編)  緑園こどもクリニック 山中龍宏
  14:30〜15:00 次年度のワークショップのテーマについて
  15:00 解散

 まず北海道大学医学部総合診療部の黒川健氏の司会で、アイスブレイクを始めました。自己紹介に簡単なコメントを付けて全員にお話しいただきました。毎年楽しみに参加されている先生、病院で総合診療を担当され、今後の方向性を模索しておられる先生、診療所ベースで孤軍奮闘し、疑問と安らぎを求めておられる先生、将来の進路について考えている学生など参加者の思いは様々なものがありました。
 お互いを少し分かり合えた後は、早速北海道大学医学部総合診療部の北守氏によるワークショップを始めました。第1回目のお話は、ストレスがいかに健康に障害を与えているかを液晶プロジェクターを使って示し、自律神経訓練法の実際を解説されました。ストレスと病気の関わりは実際の臨床の場でよく遭遇する課題でよく理解できましたが、これに対する自律神経訓練法の有効性については、いまひとつ実感できませんでした。
 第2回目のセッションでは、応用編として実際の訓練前後の体の変化についての説明がありました。最初にビデオで実際の訓練を視覚的に学習し、その後でこの訓練で体に起こる変化(手の温度の変化、食道内圧や動きなど食道機能の変化など)が提示されました。そして実際に現在の西洋医学で対処しきれなかった症状に対して自律神経訓練法が有効であった症例が示され、具体的な効果の説明がありました。1日に数回自律神経訓練法でリラックスすることによって、体全体の機能が整えられ、いろいろな機能障害、心身症的な疾病が良くなるのだと言う説明を聞いても、十分納得できないという方もおられましたが、臨床の場で治療に難渋している症例に対する一つの選択肢として自律訓練法を考えてもよいのではないかとの結論が得られました。
 夕飯の後に、いよいよ実習に入りました。医学生で非常にうまくいった訓練が、集まったメンバーが個性的すぎるのか指標の測定方法が十分でないのか、自律神経訓練によって自分の体の変化をはっきりと捕らえることは難しかったようです。グループ毎に討論された意見も、積極的にこの方法を取り入れるというよりも治療の選択肢が増えるという意味で取られたところが多かったように思います。ワークショップを通して、ストレス関連疾患が外来で非常に多い中、新しいアプローチを系統的に学べたことはよかったと思います。北守先生、ご苦労様でした。
 夜の時間は飲み物とつまみを用意し、ざっくばらんな話し合いの時が持てました。今回は二つの場所を用意したのですが、狭いところでひしめき合いながら話すのが良いようで、いつものように8畳6畳の部屋に25〜30名が集まって、楽しい夜のひとときを過ごしました。
 翌朝、8時半からきっちりプログラムが始まりました。茅ヶ崎徳洲会病院の木村眞司氏がめまいの理学療法についてお話しくださいました。朝の何となくボーとする時間ですが、話の中にクイズを取り入れ、めまいの理学療法のビデオが景品として当たるというアイデアで聴衆の集中力を高め、楽しい学びの時間を作っていただきました。短い時間にめまいの臨床の場におけるポイントと、良性頭位性めまいの診断、理学療法を中心とした治療をまとめ、本では理解しずらい実際の手技を体験することができました。
 二つ目のセッションは、こどもの事故防止へのアプローチについて緑園こどもクリニックの山中龍宏氏から教えていただきました。こどもの死因のトップに上がる事故について、どうして医療現場では取り上げられることが少ないのか、防止できる事故が放置されているために毎年繰り返している現実や、日本のそれらに対する対応の遅れについて私たちが日ごろあまり積極的に関わっていないことを情熱的に語っていただきました。事故に遭遇したこどもが医療現場にも運ばれてくる現実の中で、医師としてもっともっと関わるべきことを学びました。
 昼食をはさんで午後の最後のセッションでは、こどもを長年診てこられた先生の経験からこどもを外来で診察し扱うときのポイントを話してくださいました。先生が今年大会長をされる日本外来小児科学会の働きの説明もあり、診療所レベルでいろいろな調査が進行しており、まだまだ身近な事柄に対する十分なエビデンスが少ない中で、プライマリ・ケアを担当する医師が集まって研究をしている報告には刺激を受けました。

春の集会は実践に役立つようなテーマをワークショップ形式で開催するもので、年々参加人数が増えてきています。ワークショップということで50名程度が限界と考えており、今回も参加人数を50名までと考えました。申込人数が途中で50名を越え、少し窮屈になるかと思いましたが、キャンセルされた方もおられ、最終的にはちょうど良い人数であったと思います。来年、また新しいテーマで開催したいと思います。




医学生・研修医のための第12回家庭医療学夏期セミナーへのお誘い

 今年の夏期セミナーは、久しぶりの関東での開催になります。今年もいろいろな企画を用意しましたので、多数の皆様方の参加をお待ちしています。
 宿泊も、エンドレス懇親会OK、会場まで送迎付きのホテルですから、心ゆくまでみんなで盛り上がりましょう!!

 ● と き/8月4日(金)・5日(土)・6日(日)
 ● ところ/筑波メディカルセンター病院 http://www.tmch.or.jp

<内容>
詳細は家庭医療学研究会ホームページ(http://www.kawasaki-m.ac.jp/family/)をご覧ください。
 ● ワークショップ 家庭医療とは
 ● 家庭医の現在と未来
家庭医として第一線で活躍されている先生方に、なぜ家庭医を志したか、現在の仕事内容、将来のビジョンなどについて話してもらいます。
 ● 家庭医に必要な臨床能力 ((1)〜(4)それぞれいずれかを選択)
家庭医に必要な臨床能力について、講義・実習を行います。
(1) A. 小外科実習 B. 家族志向のケア
(2) C. 症候からのアプローチ D. 在宅ケアにおけるケアマネジメント
(3) E. 身体診察法 F. 医療面接
(4) G. EBMの基礎 H. 医療倫理
 ● 家庭医養成教育機関の紹介
<申し込みについて>
 ● 申込み締切;7月10日(必着)
 ● 定員 50名
 ● 参加費 : 15000円 (宿泊費・懇親会費・昼食代・資料代含む)
 ● 申し込み方法
インターネット環境をお持ちの方は、家庭医療学研究会ホームページからお申し込みください。Faxまたはハガキの場合は、(1)住所 (2)氏名 (3)性別 (4)所属および学年 (5)電話番号・選択コースの希望 をご記入の上、下記までお申し込みください。
<連絡先>
〒305-8558 茨城県つくば市天久保1-3-1
筑波メディカルセンター病院総合診療科 前野 哲博
TEL. 0298-51-3511  FAX. 0298-58-2773  E-mail : seminar12@anet.ne.jp



当研究会メーリングリスト開設のお知らせ

平成10年11月15日の総会で会員から要望のありましたメーリングリストを開設しました。
メーリングリストへの参加資格 家庭医療学研究会会員に限る。
メーリングリストの目的 メーリングリストは、加入者でディスカッショングループを作り、あるテーマについて議論したり、 最新情報を提供したりするためのものです。
家庭医療学の発展のために利用していただけたら幸いです。
禁止事項は、個人的な情報をこのリストの中に流さないようにして欲しいことと、ごくプライベートなやりとりを載せないで頂きたいことです。
 入会希望の方は、当研究会のホームページを見て入会手続きを取って下さい。

    以下省略
    こちらをご参照下さい




家庭医療学研究会世話人会議事録 (2000.3.19)

出席者 : 津田、武田、伴、山本、藤崎、内山、亀谷、豊島(敬称略)

1) 事務局報告
会 員 数 : 276人(2000年3月17日現在)
会計報告 : 残金5,015,565円

2) 第15回家庭医療学研究会総会(11/11〜11/12,2000)について
会長 : 山本和利先生
  • テーマ : EBMとnarrative based medicine
  • 特別講演講師は未定
    津田先生からミシガン大のDr(行動科学の専門家)を候補として提案があった
  • 会場はこれまでの会場が手狭になったので、次回は東京都千代田区の主婦会館プラザエフに決定。すでに前払金として340,725円支払い済み
  • 研究会参加費で赤字が出た場合は研究会から補助
  • 事務局から総会準備マニュアルを山本先生へ送付する

3) ワーキンググループの活動状況
(1)EBMワーキンググループ
  • 5月にメンバーが札幌に集まる
  • 今後ワークショップを各地で開催する時の資料を用意できる方向で話をすすめる
  • これまでの活動結果を単行本にする場合、「プライマリケア」企画委員会の伴先生に連絡してから話をすすめる
(2)在宅ワーキンググループ
結果はほぼまとまっており、「プライマリケア」シリーズとして単行本へする方向で検討する

4) 会誌について
会誌残部  5巻1号1冊
 6巻1号1冊
増刷見積り  5巻1号 200冊  ¥136,000
 6巻1号 200冊  ¥96,000
   消費税  ¥11,600
 ¥243,600
5巻、6巻は増刷する。
現在、会員が増加しており、次回からは新しい会誌は500部印刷(これまでは300部)

5) 研究会メーリングリストについて
  • 3/15に新しいメーリングリスト jafmnlistに変更
  • MLで自己紹介を流す
  • 会報にも新しいMLになったことを伝える

6) JIMへの家庭医療学連載計画
  • 研修医および卒後3年以上の医師を対象に30カ月間、2年半の予定で連載する計画案が津田先生から示された。
  • 項目、執筆者についての意見を3月31日までに事務局へ伝える
  • 最終的な人選は事務局で行う

7) 第8回(今回)家庭医のためのワークショップ予算書
武田先生から示された
登録数 47名
講師への謝礼 1講義あたり 会員 30,000円, 非会員 40,000円
収入 956,600円,支出 956,600円

8) 次回世話人会
2000年8月夏期セミナー期間中に予定



♪♪♪ お知らせ ♪♪♪

<<会費納入のお願い>>

会員の皆様の中で会費の納入をお忘れになっていらっしゃる方はいませんか。
ご確認の上、未納入の方は同封の振込用紙を利用して早急に納入をお願い致します。
2年間滞納されますと、自動的に退会扱いとなりますのでご注意ください。
ご自分の納入状況を確認したい場合は、事務局までお問い合わせください。

<<入会手続きについて>>

当研究会では会員を募集中です。学生会員も大歓迎です。
入会手続きについては、事務局までお問い合わせください。
会誌にも手続き用紙が入っています。

<<「家庭医療」誌編集委員会より>>

「家庭医療」誌への投稿が少なく、発行に至りません。
みんなで良い機関誌を作って行きたく思いますので、研究などふるってご投稿ください。
投稿の規定については会誌「家庭医療」の2巻1号81頁を御参照ください。

<<会報への投稿のお願い>>

会報への投稿をお願い致します。家庭医療学に関する様々な情報をお待ちしています。
宛先は事務局あるいは担当武田まで

● 事 務 局 : 〒701-0192 岡山県倉敷市松島577
川崎医科大学総合臨床医学教室内 家庭医療学研究会事務局
TEL ; 086-462-1111(3707) FAX ; 086-464-0261
Email ; jafm@med.kawasaki-m.ac.jp
ホームページ : http://www.kawasaki-m.ac.jp/family  (注)現在とは異なります
● 広報(武田) : 〒168-0015 岩見沢市東町1条8丁目932-74
東町ファミリークリニック
TEL ; 0126-24-5771 FAX ; 0126-24-3835
Email ; VZE03666@niftyserve.or.jp  (注)現在とは異なります

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