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家庭医療学研究会会報 第34

発行所 事務局(川崎医大総合臨床医学)
編集人 東町ファミリークリニック
発行日 1998.9.1.  武田 伸二

第10回家庭医療学夏期セミナー開催される

 7月31日より8月2日にかけて、北海道札幌市において北海道大学総合診療部のお世話で夏季セミナーが開催されました。涼しい北海道での開催で、例年と比較して研修医の先生の参加が多く、これに学生と全国より手弁当で駆けつけてくださった先生方を合わせると、総勢64名の盛会になりました。
 昨年に引き続きアメリカより休暇を取って駆けつけてくださった佐野氏の講義や、キリンビール園での懇親会、見学実習と診療実習に分かれた実習、京都大学総合診療部の山本氏によるEvidence-Based Medicineのワークショップと盛りだくさんのプログラムが用意され、参加された方々が多くのものを学んで帰られたことと思います。プログラムに沿ってその様子をご紹介いたします。


プログラム

1998年7月31日(金)
  14:00〜14:30 受付
  14:30〜15:00 アイスブレーク   司会 : 北大総合診療部 大滝純司
  15:00〜16:30 基調講演
「日本の医療改革と家庭医の将来」  北大総合診療部 前沢政次
「米国の家庭医療」  米国 Wright Medical Clinic 佐野 潔
  16:40〜18:40 ワークショップ   司会 : 北大総合診療部 黒川 健
「家庭医について」  北海道家庭医療学センター  葛西龍樹
   東町ファミリークリニック  武田伸二
  20:00〜22:00 懇親会 −キリンビアガーデン−

8月1日(土)
  9:00〜 各グループに分かれて実習
 
診療実習
 医療面接  川崎医大総合臨床医学  津田司
 奈良県立医大衛生学  藤崎和彦
 身体診察  川崎医大総合臨床学  伴信太郎
 小外科実習  北大総合診療部  大滝純司
施設見学
 北海道家庭医療学センター(松山)  葛西龍樹
 美流渡診療所、東町ファミリークリニック(黒川)  楢戸健次郎
 武田伸二
 豊平デイクリニック(瀬畠)  大池ひとみ
 もえれのお家(松山)  
  19:00〜21:00 報告・討論会   司会 : 北大総合診療部 瀬畠克之

8月2日(日)
  9:00〜12:00 ワークショップ 「Evidence-Baced Medicineによる診断・治療についての問題志向型学習」
   京大総合診療部   山本和利
  12:00〜12:30 総括   司会 : 北大総合診療部 前沢政次

【一日目】
 会場は札幌の中央を流れる豊平川のほとりのNTT北海道セミナーセンタで、静かな環境でおいしい食事をいただける会場でした。
 アイスブレークは北大総合診療部の大滝氏の司会で短い時間でゲームを取り入れながらお互いを知り合う時間を過ごしました。
 基調講演は、北大総合診療部の前沢氏より「日本の医療改革と家庭医の将来」と題して、日本の医療の現状と将来の方向性、それを踏まえて家庭医がどの様な役割を担って行くのか、どうして必要なのかを語っていただきました。介護保険を間近に控えて激動する医療事情を解りやすく説明してくださいました。
 基調講演の二人目は、アメリカのミネソタ州バファローで家庭医としてグループで開業されている佐野氏が「米国の家庭医療」と題してアメリカの家庭医療の現状を刺激的に語ってくださいました。アメリカと米国の医療事情の違いや研修、医局制度などから医療の原点が家庭医療にあることを強調され、学生や若い医師からは活発な質問がなされました。
 懇親会前のワークショップは北大総合診療部の黒川氏の司会で、Family-Oriented Careについての学びの時を持ちました。二つの症例が提示され、そのfamily genogramを作ることから見えてくる患者と患者を取り巻く人間関係について考えました。北海道家庭医療学センターの葛西氏と東町ファミリークリニックの武田氏がコメンテーターとなり、参加者の活発な意見が出されました。まとめとして葛西氏の家庭医として患者を診る視点「DR.FAMILY」の説明を聞きました。
 懇親会は札幌歓楽街ススキノの南にあるキリンビール園で、うまいビールと北海道ならではのジンギス汗100分間飲み放題食べ放題を満喫しました。最初から飲み食いのピッチが上がり、潤滑剤が行き届いたところで恒例になった参加者全員による「自己紹介言いたい放題」で盛り上がりました。いつもこの時間は家庭医の勢いを感じます。
 懇親会の後も2次会でススキノに繰り出したグループもあったようです。

【二日目】
 朝食の後、いくつかのグループに分かれ見学・診療実習をしました。
 見学実習は汽車や車を使って、室蘭の日鋼記念病院北海道家庭医療学センター、美流渡診療所・東町ファミリークリニック、豊平デイクリニック、もえれのお家の4つのコースに分かれ、各施設の見学やそこでの実習、実際にそこで働いておられる先生方との貴重な時間を過ごしました。実際の現場で大学では学べない体験をすることができたようです。
 診療実習は、川崎医大総合診療部の津田氏、奈良県立医大衛生学教室の藤崎氏担当の医療面接実習、川崎医大総合診療部の伴氏と佐賀医大の大西氏の身体診察実習、北大総合診療部の大滝氏の豚足を使った小外科実習の3コースを順番にまわる盛りだくさんの実習でした。医師として基本となることですが、大学ではあまり教えてもらえない実習で、多くのことを学ぶことができたことと思います。
 夕方に各実習が終了し、おいしい夕飯を終えた後に北大総合診療部の瀬畠氏の司会で、見学・診療実習報告・討論会の時間を持ちました。3グループに分かれ、それぞれの報告と家庭医に必要な条件十箇条、家庭医のキャッチフレーズという奇抜なテーマを中心にまとめられ、笑いを交えた楽しい一時でした。実習の収穫を確認して二日目を終えました。

【三日目】
 京大総合診療部の山本氏によるEvidence-Based medicineによる診断・治療についての問題志向型学習のワークショップでした。症例の問診から診断を推定し、特定の検査をすることで診断の確からしさを曖昧な言葉ではなく数字で表す学びで、数字と格闘をしながらも山本氏の熱心な解説でワークショップが進みました。内容がしっかり理解されたかどうかは解りませんが、経験として曖昧な言葉で表現されてきた医学判断を数字を使って理論的に表して行くことの面白さの一端を体験できたものと思います。
 最後に北大総合診療部の前沢氏によってセミナー全体の総括がなされ、三日間にわたるセミナーが閉じられました。
 数年前から活性化してきたこのセミナーの流れは、今年も続いてたくさんの方々の参加がありました。今回は特に研修医の先生の参加が多く見られ、学生の活気と合わせて家庭医療の将来に明るさを感じました。医療改革が進行中で、家庭医療の重要性がますます明確になってくるものと思われます。参加された若い方々が受けた思いを実現していっていただきたいと強く感じました。
 準備に当たり、縁の下の力持ちとして裏で支えてくださった北大総合診療部の皆様、ボランティアの学生たち、手弁当で御協力いただいた先生方、お疲れさまでした。




第13回家庭医療学研究会のお知らせ No.2

家庭医*診療所*開業

 現在の日本の医療を考える場合この三者を切り離して考えることは出来ません。いくら家庭医として将来活動したいと思っていても、診療所を自分で開業しなければ働く場所はかなり限られてしまいます。
 今回の研究会ではこの”開業”をテーマに取り上げます。
 若手医師や学生が「開業家庭医」を、自分の将来の実現可能でしかも魅力ある選択肢として認識できるようにしたいと思います。
 また家庭医として活躍中の先生方にも参加していただき、現場の生の声を聞かせていただく予定です。皆さん、ふるってご参加ください。また一般演題への応募もお願い申し上げます。

日 時 : 1998年11月14日(土) 〜 15日(日)
場 所 : 三菱総合研究所ビルディング2Fセミナー室
東京都千代田区大手町2-3-6
TEL 03-3277-0730
テーマ : 「家庭医の開業を考える」
大会長 : 内山富士雄(内山クリニック、茅ヶ崎市)
参加費 : 会員5000円(学生2000円)

* * * プログラム * * *

特別講演 : 「21世紀における家庭医療のあり方」
医療コンサルタント 三原行弘(有限会社 三光情報サプライ)
シンポジウム : 「家庭医の開業を考える」
   
コーディネーター  武田伸二(東町ファミリークリニック 岩見沢市)
シンポジスト  田坂佳千(田坂内科小児科医院 広島市)
 楢戸健次郎(栗沢町美流渡診療所 北海道空知郡)
 森 博彦(森内科医院 名古屋市)
 寺崎 仁(日本大学医療管理学教室)
大会長講演 : 「町医者になってわかったこと、かわったこと」 内山富士雄
一般演題
ワーキンググループよりの報告
総会
懇親会

* * * 一般演題募集 * * *

応募締切 1998年9月30日
申込方法 演題名、発表者、共同発表者、所属と800字以内の抄録をB5用紙にプリントして郵送してください。別紙に、連絡先住所、郵便番号、電話番号、FAX番号 を記してください。
申 込 先 〒253-0044 神奈川県茅ヶ崎市新栄町1-4、大黒屋富田ビル3F
内山クリニック 内山富士雄
TEL : 0467-87-6511  FAX : 0467-59-1560



家庭医療学研究会春のワークショップへのお誘い

と き : 3月17−18日か23−24日
テーマ : 家庭医に必要な精神科疾患、神経内科疾患の考え方と診察方法
場 所 : 邦和セミナープラザ(名古屋市)
※日程、講師、会場についても現在交渉中です。

引き続き日常私達がよく出くわす疾患を対象に、その診断や治療のポイントと注意すべき点などのアドバイスを中心に学びたいと考えています。
 総会までには、大まかなことをご報告できると思いますので、ご期待ください。




家庭医療学研究会世話人会議事録 (8/20/98)

参加者 : 内山、大滝、葛西、小泉、武田、津田、伴、藤崎、前沢、山本(敬称略)

1) 事務局報告 : 会員数 ; 196(1998年8月現在)
名簿 ; 10月末に第13回「家庭医療学研究会」の抄録と一緒に送付する。
研究会案内 ; * 発起人は削除
* 3大イベントを明示する
* 印刷は年内に次年度分を2000部印刷する
* 関連学会の際にテーブルに置かせてもらうなどの情宣に努める

2) 学会誌編集(葛西)
*新編集委員に中泉博幹(川崎医大)に加わってもらう。
*現在投稿論文3編なので、至急各施設から少なくとも1編投稿してもらいたい。

3) 秋の大会(11月14-15日)準備進捗状況(内山)
8月上旬 * 演題募集のはがき発送(7/29)
* ジャーナル上での演題募集
9月30日 演題締め切り
10月 プログラム・抄録集作成
10月末 発送(前もって抄録集を送り会員のmotivationを高める)
  プログラム
    特別講演 : 交渉中「21世紀における家庭医療のあり方」
    シンポジウム : 「家庭医の開業を考える」
    コーディネーター ; 武田伸二
    シンポジスト ; 田坂佳千、楢戸健次郎、森 博彦、寺崎 仁
    会長講演
    ワーキンググループよりの報告
    一般演題、総会、懇親会(演題が少ないようならミニレクチャーの類を追加)

4) 春の『家庭医の生涯教育のためのワークショップ』の予定(企画担当 : 武田)
* 時期 ; 3月13-14日または3月20-21日
* 内容 ; 神経学的診察(大生Dr.)、プライマリ・ケアにおける精神疾患の見方
(佐賀医大の先生)、ファーストエイドシリーズ、などを考慮中

5) 夏の『学生・研修医のためのセミナー』の予定 : 次回世話人会までに考えておいてください。

6) 次期大会について(大滝) : プライマリ・ケア学会との合同大会は諸般の事情で不可能となった。
*時期 ; 1999年11月6-7日の予定

7) ワーキンググループ報告 : 各グループから秋の大会(11月14-15日)に演題をだすことを了承
  • 在宅ケアー研修ワーキンググループ : 白浜(主任)、内山富士雄、武田伸二、佐々木宏起、吉田毎子、大池ひとみ、三瀬順一
    ☆ 名称を"在宅診療研修ワーキンググループ"と変更したい。白浜主任から在宅診療研修カリキュラムが配布された。
  • 外来診療教育ワーキンググループ : 藤沼康樹(主任)、藤崎和彦、大滝純司、斎藤康洋、松村真司、堀内あゆみ、David Wingfield、津田 司
    ☆ 活動開始に向け準備中
  • 外来におけるEBMの実践 : 山本和利(主任)、名郷直樹、吉村学、三瀬順一、浅井泰博
    ☆ 普及のためのカリキュラム作り(1日コース、半日コース、90分コース)開始。

8) その他

9) 次回世話人会



♪♪♪ お知らせ ♪♪♪

<<「家庭医療」誌編集委員会より>>

「家庭医療」誌への投稿が少なく、発行に至りません。
みんなで良い機関誌を作って行きたく思いますので、研究などふるってご投稿ください。
投稿の規定については会誌「家庭医療」の2巻1号81頁を御参照ください。

<<入会手続きについて>>

当研究会では会員を募集中です。学生会員も大歓迎です。
入会手続きについては、事務局までお問い合わせください。
会誌にも手続き用紙が入っています。

<<会費納入のお願い>>

会員の皆様の中で会費の納入をお忘れになっていらっしゃる方はいませんか。
ご確認の上、未納入の方は同封の振込用紙を利用して早急に納入をお願い致します。
2年間滞納されますと、自動的に退会扱いとなりますのでご注意ください。
ご自分の納入状況を確認したい場合は、事務局までお問い合わせください。

<<会報への投稿のお願い>>

会報への投稿をお願い致します。家庭医療学に関する様々な情報をお待ちしています。
宛先は事務局あるいは担当武田まで

● 事 務 局 : 〒701-0192 岡山県倉敷市松島577
川崎医科大学総合臨床医学教室内 家庭医療学研究会事務局
TEL ; 086-462-1111(3707) FAX ; 086-462-1199
Email ; jafm@med.kawasaki-m.ac.jp
ホームページ : http://www.kawasaki-m.ac.jp/family  (注)現在とは異なります
● 広報(武田) : 〒168-0015 岩見沢市東町1条8丁目932-74
東町ファミリークリニック
TEL ; 0126-24-5771 FAX ; 0126-24-3835
Email ; VZE03666@niftyserve.or.jp  (注)現在とは異なります

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