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家庭医療学研究会会報 第33

発行所 事務局(川崎医大総合臨床医学)
編集人 東町ファミリークリニック
発行日 1998.4.1.  武田 伸二

第6回家庭医療学研究会ワークショップ開催される

 3月7・8日名古屋にて家庭医療学研究会の春のワークショップが開催されました。 名古屋の邦和セミナープラザをここ3回会場として使い、新しい顔ぶれや毎年ワークショップを楽しみにしてくださっている方など43名の参加がありました。今回のテーマは内分泌疾患(前立腺、甲状腺、乳腺)の診察と検査、Evidence-based Medicine と関節穿刺の実際で、講義と活発な討論、そして実習が行われました。プログラムと簡単な内容を紹介いたします。


第6回ワークショッププログラム

1998年3月7日(土)
  13:00〜14:00 受付
  14:00〜14:30 アイスブレイク
  14:30〜15:30 前立腺の診察と検査の進め方
川崎医科大学総合診療部 佐々木宏起氏
  15:30〜15:45 休憩
  15:45〜16:45 甲状腺の診察と検査の進め方
川崎医科大学乳腺甲状腺外科 園尾博司氏
  16:45〜17:00 休憩
  17:00〜18:00 内分泌疾患におけるEvidence-based Medicine(1)
京都大学医学部総合診療部 山本和利氏
  18:00〜19:00 夕食
  19:00〜20:30 関節穿刺の実際
さくらい整形クリニック 桜井隆氏
  20:30〜 懇親会

3月8日(日)
  7:30〜 8:30 朝食
  8:30〜10:00 乳腺の診察と検査の進め方
川崎医科大学乳腺甲状腺外科 園尾博司氏
  10:00〜10:15 休憩
  10:15〜11:30 内分泌疾患におけるEvidence-based Medicine(2)
京都大学医学部総合診療部 山本和利氏
  11:30〜12:00 これからのワークショップについて
  12:00〜13:00 昼食
  13:00〜15:00 前立腺、甲状腺、乳腺の診察の実際(実技)
川崎医科大学乳腺甲状腺外科 園尾博司氏
  15:00 閉会

【一日目】
  世話人代表の津田氏の挨拶で口火を切っていただき、各自の自己紹介によるアイスブレイクの時間が始まりました。余った時間をどの様に使おうかと心配していましたが、ふたを開けてみると時間の超過に気を使うほどでした。集まったメンバーは北海道から九州までで、講師を入れて43人、この内開業されている方が12名いて、まだ少数派ですが着実に診療所レベルで働いておられる方の参加が増えているのでうれしく思いました。
 自己紹介のあと、早速川崎医大の佐々木氏による前立腺の講義を拝聴しました。先生の講義は泌尿器科を中心に働いていたときの集団検診の経験をもとに、前立腺疾患の症状、診察や検査など、実践的で解りやすいものでした。時間が十分になくて digital rectal examination の実習があまりできなかったのが残念でした。
 続いて川崎医大学乳腺甲状腺外科の園尾氏により甲状腺疾患に関する講義を受けました。甲状腺の解剖や生理学から始まって血液検査、穿刺細胞診など病気の考え方と診断にいたるプロセスを実践に照らし合わせながら教えてくださいました。超音波検査、穿刺細胞診までは家庭医が手を出して良いとのアドバイスをいただきましたが、なかなか難しいようにも感じました。
 Evidence-based Medicine に関する山本氏の時間は、学生向けに2時間に内容を詰め込んだものをさらに1時間に濃縮した講義で、少しとまどいもあったようですが、細かな式や計算ができなくても考え方がなんとなく解れば良いですとの言葉にホッとしました。頭の中で考えた予想と蓄積されたデーターをもとに出された確率とでは、随分差があるなという印象を持ちました。
 夕食をはさんで夜の時間は関節穿刺の講義を伺いました。毎年参加してくださっている桜井氏の講義で、実践的で患者さんの顔や状態を思い浮かべながら外来をやってるように楽しく聞くことができました。穿刺の実技は個別にすることはできませんでしたが、デモンストレーションでクリップを利用した工夫は聴衆をうならせていたようです。
 講義を終えた後の懇親会は、いつもの狭い畳の部屋でワイワイと和やかな雰囲気の中で時を過ごしました。講義で聞いて学ぶことが中心の時間を過ごした後なので、酒も入って口が滑らかになって日ごろの疑問や考えていることなどをぶつけ合う楽しい時間となりました。

【二日目】
  二日目の朝、朝食の後8時30分より再び川崎医科大学乳腺甲状腺外科の園尾氏より乳腺疾患の考え方について講義を受けました。スライドの調子がよくないにもかかわらず、乳腺腫瘤や乳汁分泌などの異常が認められたとき、何を考え次にどんな検査をすすめるか、そしてどの様な場合に専門医に送るかなど、具体的なお話を聞くことができました。
 京都大学総合診療部の山本氏によるEvidence-based Medicine の2回目の講義は、少し時間に余裕を持たせながら、前日同様にワークショップ形式で進みました。日ごろあまり数字を式に当てはめて計算するということの少ない私たちを、実際の甲状腺疾患に照らし合わせ、なるほどとうならせる講義でした。全体の時間が短いということもあって、深い理解を得たというよりも一番のエッセンスがほんの少し見えたように思いました。
 昼食の前に、家庭医療学研究会の事務局や会の中で行ったアンケートのアナウンスがあり、ワークショップに関しては、おおむね今の形態ですすめて良いのではとの意見でした。
 昼食の後は実習の時間で、前立腺、乳腺については模型を使って、甲状腺はお互いに被験者になって実際の診察の手技を学びました。前立腺を講義してくださった佐々木氏が都合でこの時間出席できないため園尾氏が悪戦苦闘して指導してくださいました。
 模型を使った診察も興味ありましたが、被験者を立てての診察の手順の説明は真剣なまなざしで聞き入る参加者が多く、外来での実際の診察場面を想像しながら学ぶものが多かったように思います。いつも乳腺の診察で使っている右手の感覚が、反対の手に比べて数倍以上敏感になっているという先生のお話には、驚きました。実際に私たちも患者さんをよく見て触れて診察して、ワークショップの一つの目的である技術面を磨きたく思いました。
 3年連続して同じ時期同じ会場での開催で、どれくらいの人数が集うことになるのか不安でしたが、年を重ねる毎にたくさんの参加者を得て、活発な議論や他の先生に聞きたいことなど、自由な雰囲気で話ができる会になってきたと思います。 今年参加できなかった方も、来年は是非ご参加ください。




医学生・研修医のための 第10回家庭医療学夏期セミナーへのお誘い

と き : 1998年7月31日(金)・8月1日(土)・2日(日)
ところ : NTT北海道セミナーセンター(札幌市中央区南22西7 TEL 011-552-8400)
● 問い合わせ先 : 北大総合診療部 第10回夏期セミナー係(大滝、瀬畠)
(札幌市北区北14条西5丁目 TEL011-716-1161 (内)7005 or 7020、FAX 011-716-3985、
E-mail : mamaeza@med.hokudai.ac.jp)

 今年の夏期セミナーは、北海道で開催されます。涼しく快適な夏の北海道で、全国から集まる大勢の人たちと交流し、家庭医療学について語り合い、学びあいましょう。期間は例年と同じ2泊3日で、宿泊も同じ施設内の合宿形式です。学生・研修医の参加者の皆さんには、全日程の参加を強くお勧めします。

 初日は、アイスブレイクで緊張をほぐしたあと、基調講演とワークショップで、これからの日本の医療体制の中での家庭医のあり方や、外国の家庭医の様子などについて認識を深めます。夜はジンギスカンを食べながらの懇親会を計画しています。二日目は、AコースとBコースに分かれます。Aコースでは、更に4人程度のグループに分かれて、家庭医療のモデルとなっている施設や、家庭医に密接に関連した地域の活動を、実際の現場へ行って学びます。Bコースでは、家庭医療に必要な基本的な臨床能力である、外来小外科・医療面接・身体所見の取り方について、実習します。夜には、それぞれのコースで学んだことを報告しあいます。三日目はEvidence-based Medicineの勉強です。近年、特にその重要性が指摘されるようになった領域ですが、患者さんの案内役となる家庭医には、特に大切な能力と言えるでしょう。今回は、具体例や演習を取り入れた、初心者にも分かりやすい内容です。参加希望者は、まずは上記問い合わせ先に資料を請求してください。

<御協力くださる会員の皆様へ>
 夏期セミナーは医学生・研修医を対象とした企画ですが、例年、会員の皆様の手弁当での御協力によって支えられてきました。今年も、皆様の御協力をお願いいたします。宿泊費等は、医学生・研修医と同じ額を予定しています。詳しくは、上記問い合わせ先まで御連絡ください。なお、会場の宿泊施設は2段ベッドの4人部屋です。個室を御希望の場合は、5キロほど離れた北大構内の施設に数名の宿泊が可能(別料金)ですので、できるだけ早く、お申し出ください。そのほかの札幌市内の主なホテルは、もう予約で満杯の状態です。ただし、道外で旅行業者からホテルと航空券のセットが、とても安く(場合によっては正規の航空券の片道程度で)売り出される場合もあるようです。お近くの旅行業者から、そのような形で個別に予約される場合は、市電(路面電車)の停留所に近いホテルをお選びいただくと、会場までの行き来に便利です。




第13回家庭医療学研究会のお知らせ No.1

と き : 1998年11月14日(土)・15日(日)
● ところ : 東京
テーマ : 家庭医の開業を考える

主旨 : 家庭医をめざしている若手医師や医学生の皆さんが将来その技量をどこで発揮できるのか?メインはやはり患者にもっとも近接した診療所であることはご理解いただけると思います。
 それではその「診療所」は皆さんのために用意されているのか?国保診療所や病院のサテライトクリニックといった例外はありますが、ほとんどの場合は自ら診療所をかまえなくてはならないでしょう。すなわち開業です。

家庭医*診療所*開業

 現在の日本の医療を考えた場合この三者のリンクは自然な結びつきだと考えます。ところがこのうち後二者、ことに開業については、これまでほとんど検討されてきませんでした。
 研究会に参加してくる若手医師達も、具体的なイメージをもてないままなんとなく開業を敬遠しているようにみうけられます。このままでは結局開業しない(できない)で“ひところは家庭医をめざした病院勤務医”ばかり増えてしまうのではないのでしょうか。
 今年11月の研究会では、診療所の仕事や開業に関する発表・討論を通じて、皆さんが「開業家庭医」を将来の具体的な選択肢として認識できるようにしたいと思います。
 詳しくは後日(No.2で)お知らせいたします。




家庭医療学研究会世話人会議事録 (3/8/98)

参加者 : 内山、武田、津田、伴、藤崎、藤沼、前沢、山本(敬称略)

1) 事務局報告
会員数 : 190人
第12回家庭医療学研究会総会決算報告 : -19,990円で研究会より補填→了承

2) 夏の『学生・研修医のためのセミナー』(7/31-8/2/98)(主管 : 北大総診)の準備状況報告
  • NTT札幌研修センター : 部屋は2段ベッドが2つある4人部屋。
    参加予定の世話人で個室希望の人は北大まで連絡してほしい。
  • 内容(予定)
    第1日 : 家庭医とはetc
    第2日 : 地域医療研修 (北大, 美流渡グループ, 日鋼記念等5-6箇所)、小外科、SP・OSCE
    第3日 : まとめetc

3) 第13回家庭医療学研究会総会(11/14/98-11/15/98)(会長 : 内山富士夫) について
  • 家庭医の開業を考える : 若手医師や学生が「開業家庭医」を、自分の将来の魅力ある選択肢として認識できるようにしたい。
  • 会場の確保の件を鈴木氏に確認。
  • 医療法改正を踏まえて、講演を1つ入れることを考える。
  • speakerとして積極的な若手開業医を紹介してほしい。

4) 1999年春の『家庭医の生涯教育のためのワークショップ』について
  • 企画担当は引き続き武田氏。
  • キャンセルの場合は、キャンセル料をもらうことを明記する。

5) 第14回家庭医療学研究会総会について : 次々期大会長等
  • 筑波でプライマリ・ケア学会と合同大会。
  • 会計をどうするかなどは今後の検討課題。
  • 大会長は大滝氏に了承をえる。

6) ワーキンググループについて
  • メンバーを会報に掲載する。
  • 1) 在宅ケアー研修ワーキンググループ : 白浜(主任)、内山富士雄、武田伸二、佐々木宏起、吉田毎子、大池ひとみ、三瀬順一。
      ☆総合診療研究会の時に会合を持った。
    2) 外来診療教育ワーキンググループ : 藤沼康樹(主任)、藤崎和彦、大滝純司、斎藤康洋、松村真司、堀内あゆみ、David Wingfield、津田 司。
      ☆活動開始に向け準備中
    3) 外来におけるEBMの実践 : 山本和利(主任)、名郷直樹、吉村学、三瀬順一、浅井泰博 。
      ☆普及のためのカリキュラム作り(1日コース、半日コース、90分コース)開始。

7) 学会誌編集について
  • 追加連絡(世話人会後に連絡あり)
    • 「家庭医療」vol. 5 no.1について
      「家庭医のためのCME」の3番目(p.51)の「銅」が「亜鉛」の誤りでした。次号に訂正記事は掲載しますが、次回の広報にも訂正記事を掲載したいと思います (武田先生にお願いします)。
    • 「家庭医療」vol. 6 no.1について
      具体的な企画については近く編集委員会をe-mail、FAXなどを利用して開催して話し合う予定です。現在のところ投稿論文は、葛西自身からの1編のみ。各施設からも投稿されるよう、世話人各位から 積極的な働きかけをお願いします。発行は11月の総会前を目指します。
    • 編集委員について
      川崎医大の張先生が退職されると聞きましたが、出版者が岡山にあることもあり、川崎医大より編集委員を1名推薦していただければ幸いです。

8) その他
  • 住所録 : 隔年で発行しているので平成10年度版を今年作る。
  • 医学書院からの"家庭医療学教科書"は出版社が乗り気ではない。→まずJIM等に連載はどうかと。
  • この件に関しては、前沢が中外医学社から"総合診療ハンドブック"の依頼を受けており、目次・タイトルを変更して"家庭医療学教科書"にすることも考えられる。
  • 名誉会員について : 死亡された会員は名簿から削除。
  • ホームページ : 作成料70,000円→了承
    可能なら機関誌、News Letterを掲載の方向へ。
    ホームページから夏期セミナーに参加申し込みができるようにする(→津田が手続き)。

9) 次回世話人会
  • 1998年8月2日(日)の予定



「家庭医療」誌編集委員会より


○「家庭医療」誌への投稿が少なく、発行に至りません。みんなで良い機関誌を作って行きたく思いますので、研究などふるってご投稿ください。

訂正とお詫び
○「家庭医療」1997年vol.5 no.1, 51ページ、家庭医のためのCMEの3番目の文献で 、微量元素「銅」が「亜鉛」の誤りでした。「銅」を「亜鉛」に訂正ください。お詫びいたします。

会員名簿作成のためのお願い
この度、本研究会では平成10年度の会員名簿を作成し、会員にのみ配布いたします。つきましては、会員から研究会事務局が連絡いただいている記録をお送りしますので、ご確認のうえ必要事項を記入して5月31日までに御返送下さい。

『返信ご記入上の注意』
1. 5月1日現在で、訂正・追加を赤字でご記入下さい。
2. 正確な名簿作成のため、新たな項目にできるだけ記入し、変更のない場合も必ず御返送下さい。
3. 特にE-mailおよび郵便番号の確認をお願いします。




♪♪♪ お知らせ ♪♪♪

<<「家庭医療」誌編集委員会より>>

会誌への投稿をお願いいたします。
大会で発表された方はぜひ発表を論文にして投稿してください。
投稿の規定については会誌「家庭医療」の2巻1号81頁を御参照ください。

<<入会手続きについて>>

当研究会では会員を募集中です。学生会員も大歓迎です。
入会手続きについては、事務局までお問い合わせください。
会誌にも手続き用紙が入っています。

<<会費納入のお願い>>

会員の皆様の中で会費の納入をお忘れになっていらっしゃる方はいませんか。
ご確認の上、未納入の方は同封の振込用紙を利用して早急に納入をお願い致します。
2年間滞納されますと、自動的に退会扱いとなりますのでご注意ください。
ご自分の納入状況を確認したい場合は、事務局までお問い合わせください。

<<会報への投稿のお願い>>

会報への投稿をお願い致します。家庭医療学に関する様々な情報をお待ちしています。
宛先は事務局あるいは担当武田まで

● 事 務 局 : 〒701-0192 岡山県倉敷市松島577
川崎医科大学総合臨床医学教室内 家庭医療学研究会事務局
TEL ; 086-462-1111(3707) FAX ; 086-462-1199
Email ; jafm@med.kawasaki-m.ac.jp
ホームページ : http://www.kawasaki-m.ac.jp/family  (注)現在とは異なります
● 広報(武田) : 〒168-0015 岩見沢市東町1条8丁目932-74
東町ファミリークリニック
TEL ; 0126-24-5771 FAX ; 0126-24-3835
Email ; VZE03666@niftyserve.or.jp  (注)現在とは異なります

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