本邦では、安定虚血性心疾患(Stable Ischemic Heart Disease: SIHD)の診断と治療の実態把握は不十分であり、特に冠動脈バイパス手術(CABG)を遥かにしのぐ勢いで増加している経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の治療実態やその治療成績、特に予後に与える評価が十分とは言えません。さらに、薬物治療の進歩と相まって、SIHDにおける診断と治療の適正化と標準化、アウトカム評価を考慮した費用対効果分析が、臨床経済学上においても今後さらに重要になっていくものと推察されます。
このSIHD治療の将来を考えるにあたり、昨今、虚血評価のウエイトが高まりつつある点が注目されます。2018年度診療報酬改定では、待機的PCIに対する機能的虚血の確認が必要となったのは記憶に新しいところであります。
この背景を踏まえ、この度、安定型冠動脈疾患における包括的な画像診断戦略の医療経済学的評価の研究を多施設で実施致します(コホート研究、多施設、観察、対照群あり)。本研究は、当該診療について、臨床面のみならず経済面からも成果の最大化を図りつつ、新たな診療戦略を立案するために、SIHD治療に関わる包括的な検査・診断技術(CTA、負荷MPI、FFR、CAG等)の医療経済学的な価値評価を行うことを目的とします。