厚生労働省 地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究

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研究成果

  • 2020.10.01
    研究班の論文がCirculation Heart Failureに掲載されました。
    Kamiya K, Sato Y, Takahashi T, Tsuchihashi-Makaya M, Kotooka N, Ikegame T, Takura T, Yamamoto T, Nagayama M, Goto Y, Makita S, Msobe M. Multidisciplinary Cardiac Rehabilitation and Long-Term Prognosis in Patients With Heart Failure Circ Heart Fail. 2020 PMID: 32986957

 循環器診療施設における心不全患者への多職種心臓リハビリテーション(心リハ)の有効性に関する研究をAMED(磯部班)研究事業の一環として研究しました。

 本研究は、国内15施設の多施設共同研究で、合計4339例の心不全による入院患者を対象として、後ろ向きに5年間追跡して得られたデータの解析をしました。

 その結果、心臓リハビリテーションを行った心不全患者では、統計的に様々な影響の要因を調整した上でも、退院後の死亡および再入院のリスクが23%低いことが明らかとなりました。また、未だに有効な治療が確立されていないフレイル心不全患者や心臓の収縮機能が保たれている患者においても、心臓リハビリテーションの実施は良好な予後と関連していることが明らかとなりました。

 本研究は、フレイルや心臓の収縮能が保たれた心不全患者においても多職種の心臓リハビリテーションが有効である可能性を示した世界でも初めての多数例での研究です。一般的には心臓が悪ければ安静が第一と考えがちですが、過度な安静はむしろ害であり、病気の経過を改善するうえで包括的な心臓リハビリテーションが重要です。