事業計画

タンザニアの母子保健改善に貢献する持続的な若手助産研究者の育成

 

研究交流目標

 タンザニアでは非常に高い妊産婦死亡率、産科医療のアクセス・質の低さに関する問題が山積している。母子保健問題の改善という緊急性の高い社会的なニーズに対応すべく、母子保健を専門に研究教育活動ができる若手研究者の育成が急務であり、助産学専門の修士課程の設立が強く求められている。しかしながら現在まで、修士レベルを教えられる助産学専攻の教員不足とカリキュラム編成の経験のなさから、実現されていない。この研究交流では、「アジア・アフリカ助産研究センター」という共同研究拠点を形成し、交流を通して東アフリカ初となる助産学専門の修士課程をタンザニア・ムヒンビリ健康科学大学設立する。 タンザニアと日本の助産教育の理念は、「エビデンスに基づいた安全な自然分娩を促進する」点において共通している(出産の医療化が進む米国とは助産の目指す方向性が異なる)。日本の助産高等教育は、聖路加看護大学大学院看護学研究科において、1983年度より修士課程が設けられており、助産学の教育者および研究者を数多く輩出してきた実績がある。本研究交流では、日本の持つ知識、人材や経験を移転するだけでなく、現地のニーズに合ったカリキュラム編成を行う。タンザニア国内で助産学専門の大学院教育が可能になることによって、タンザニア人助産師が自国の保健問題改善に向け活動できる能力を育成し、タンザニアの母子保健分野の自立発展性を高めることを目指す。またセミナー等学術会合を通し、設立する大学院修士課程の教員、助産師学校の教員グループや臨床現場の助産師にも学びの場を提供する。 日本の助産高等教育においても、助産師が国際的な視野を持ち、活動を展開する能力を養うことを目標としている。本研究交流で、日本人の若手研究者が国際的な活動の場やネットワークを広げ、今後共同研究などを行う基盤を作ることを目標としている。

研究交流計画の概要
@ 同研究・研究者交流

本研究交流の採用内定後、「アジア・アフリカ助産研究センター」の日本側の拠点を聖路加看護大学助産学研究室に設置する。また、相手国の助産学研究室にアフリカ側の拠点を設置する。本研究者交流を通し、ムヒンビリ健康科学大学に助産学専攻の修士課程設立の基盤を構築する。一年目には、定期的なEメール・インターネット電話での打ち合わせの上、日本でのセミナー開催時に相手国研究者を招へいし、直接の話し合いを行ってカリキュラム原案をまとめる。二年目にタンザニアで学術会合を共同開催し、その際、妊産婦、助産師学校の教員や臨床の助産師と討議を行い、その内容を基にシラバス修正を行う。二年目の9月よりカリキュラムを開始するが、その際には日本の教育者が現地に相談役として滞在する。評価は、学生の学術能力の達成目標に対する評価と、リーダーシップ・キャリア開発に関するインタビューを行い、入学時と修了時の変化を分析する。その後もセンターの両拠点を通じ、共同研究、交換留学などを中心に交流事業を継続する計画である。

 

Aセミナー等学術会合の開催

 日本・タンザニアの助産理念に共通する「エビデンスに基づいた安全な自然分娩」をテーマに、それぞれの母子保健の現状、問題点、助産師のコンピテンシー、助産教育の課題を発表し、ディスカッションを含めたセミナー、学術会合を開催する。一年目は日本に相手国研究者を招へいし、日本の助産教育や実践施設の視察とセミナーで両国の助産を紹介する。二年目はタンザニアに日本の教育研究者・学生が出向き、助産師のコンピテンシーを主題に看護系学術会合を共同開催する。三年目はタンザニアにおいて、修士課程の学生が自分の研究テーマを発表する。参加する助産教育研究者・学生・助産師や伝統的産婆( Traditional Birth Attendant)を含め、エビデンスに基づいた助産実践の改善に向けた啓発を行う。