演題

第4回口腔医科学フロンティア開催


  1. NO news is good news : 血管内皮機能のBiology
    国立長寿医療センター研究所
    口腔疾患研究部
    松下健二

     血管内皮細胞は単に血管の内腔を覆うだけでなく、血管のトーヌス、血小板・白血球の接着、血液の凝固線溶などを調節し、血管の恒常性を維持する重要な機能を担っている。この血管内皮機能を調節する最も重要な分子の一つが一酸化窒素(NO)である。NOは、血管を弛緩して血流と血圧をコントロールするだけでなく、血小板凝集や血小板と白血球の血管壁への付着を抑制して、抗血栓と抗動脈硬化作用を発揮している。我々は、血管内皮細胞におけるフォンビルブランド因子 (vWF) のエキソサイトーシスを調べるなかで、NO がエキソサイトーシスを制御していることを見いだした。すなわち、血管内皮増殖因子 (VEGF) やスフィンゴ脂質(スフィンゴシン1リン酸、セラミド)は、それぞれの特異的なレセプターを介してフォスフォリパーゼC-g (PLC-g) を活性化し、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇をひき起こして vWF のエキソサイトーシスを惹起するが、その一方でフォスファチジルイノシトール3キナーゼ (PI3K) およびAktの活性化を介して 血管内皮型NO 合成酵素 (eNOS) を活性化し、NO の産生を促して、フィードバック的にエキソサイトーシスを制御することを明らかにした。1, 2 また、NO はN- エチルマレイミド感受性因子(NSF)をS-ニトロシル化して、血管内皮からのエキソサイトーシスを阻害して、血栓形成と動脈硬化の発症と進行を制御していた。3 さらに、NSF の部分ペプチドは血管内皮からのエキソサイトーシスを強力に阻害し、血栓形成や腹膜炎を抑制した。4 NOによるエキソサイトーシス制御は、血管内皮機能の調節機構の一つであるとともに、神経伝達、血小板凝集、細胞障害性リンパ球による異物排除などの制御機構の一翼を担っている可能性がある。今後、このようなNOの作用を応用した新しい創薬の開発が期待される。
    1. Matsushita, K. et al. Sphingosine 1-phosphate activates Weibel-Palade body exocytosis. Proc Natl Acad Sci USA 101, 11483-7 (2004).
    2. Matsushita, K. et al. Vascular endothelial growth factor regulation of Weibel-Palade-body exocytosis. Blood 105, 207-14 (2005).
    3. Matsushita, K. et al. Nitric oxide regulates exocytosis by S-nitrosylation of N-ethylmaleimide-sensitive factor. Cell 115, 139-50 (2003).
    4. Matsushita, K. et al. A novel class of fusion polypeptides inhibits exocytosis. Mol Pharmacol 67, 1137-44 (2005).



  2. 靭帯細胞においてIntegrin α7は機械的刺激依存的な石灰化を抑制する重要な因子である
    吉澤達也1、滝沢史夫1, 2、丸山 智3、飯沢双葉子1、松田明生1、石橋 宰1、朔 敬3、吉江弘正2、Ulrike Mayer4、川島博行1
    1細胞機能制御学、2歯周診断・再建学、3口腔病理学 大学院医歯学総合研究科 新潟大学、4Wellcome Trust Centre for Cell-Matrix Research, University of Manchester, UK.

     機械的刺激は、生体内の様々な組織の機能や構造を維持するために不可欠であり、例えば骨組織では、運動負荷による骨量増加や無重力状態での骨量減少等が知られている。骨芽細胞への機械的刺激による石灰化促進の主な経路として、細胞接着因子Integrin α2β1, α5β1を介したFAK-ERK1/2のリン酸化経路が報告されており、最終的に骨芽細胞分化決定因子Runx2を活性化させ、細胞分化とそれに伴う石灰化が促進されると見なされている。一方、靭帯・腱組織は、生体内で常に機械的刺激を受けながらもその恒常性を維持しており、通常、石灰化が誘導される事は無い。
     我々はこれまでに、靭帯細胞の特性を検討するため、歯根膜(歯周靭帯)から靭帯線維芽細胞株PDL-L2を樹立し、解析を行ってきた。その結果、PDL-L2細胞はRunx2を発現し、石灰化能を有するが、通常では石灰化を抑制する機構が働いている事、そしてその機構の1つとしてMsx2の関与を明らかにした。そこで更に我々は、靭帯細胞が機械的刺激を受容しても石灰化が促進されないのは、骨芽細胞とは異なる独自の機械的刺激応答機構が存在するためであると仮定した。今回、その一端を明らかにしたので報告する。
     まず始めに、PDL-L2細胞の機械的刺激に対する応答を、FLEXERCELL SYSTEMR(伸展刺激負荷装置)を用いて検討した。その結果、骨芽細胞株MC3T3-E1では機械的刺激によりFAK、ERK1/2、Runx2の活性化が見られ、石灰化量が増加したが、PDL-L2細胞ではいずれの活性化も認められなかった。又、PDL-L2細胞においてもIntegrin α2/α5/β1は発現している事から、靭帯細胞では機械的刺激に対してFAKリン酸化の段階で抑制的に働く機構がある事が示唆された。次に我々は、MC3T3-E1細胞に発現せず、PDL-L2細胞に発現する遺伝子群を単離する過程でIntegrin α7を見いだしたため、この抑制機構に関与するか否か検討した。RNAi発現ベクターを用いて、PDL-L2細胞内でIntegrin α7の発現を恒常的に抑制したところ、機械的刺激に応答したFAK、ERK1/2、Runx2の活性化が見られ、石灰化が認められるようになった。更に、Integrin α7欠損マウスを解析したところ、4週齢において歯槽骨、セメント質の石灰化亢進が見られた。又、膝関節半月板の異所性骨化が高頻度に認められた。以上から、Integrin α7は、靭帯細胞において、機械的刺激依存的なFAKのリン酸化を抑える事により骨芽細胞様細胞への分化を抑制し、靭帯骨化を阻害する重要な因子であると考えられた。



  3. マクロファージ依存的な発毛誘導におけるASK1の役割
    大坂直生1,2、松沢 厚1,2、高橋 巧3、森山啓司3、油谷浩幸4、武田弘資1,2
    一條秀憲1,2
    1東大・院薬・細胞情報、2CREST、3徳島大・IHBS・矯正、4東大・先端研)

     Apoptosis signal-regulating kinase 1(ASK1)はMAP3Kファミリーに属し、炎症性サイトカインや活性酸素等のストレス刺激により活性化され、アポトーシスや細胞分化、サイトカイン産生など様々な細胞応答を制御する分子である。
     皮膚に創傷を作製すると、発毛誘導が促進されることが知られているが、ASK1-/-マウスでは、この創傷による発毛誘導が顕著に遅延していることが明らかになった。一方、毛包の発生ならびに通常の自発的な毛周期には異常は認められなかったことから、ASK1は創傷治癒過程に特異的な発毛メカニズムに関与するものと考えられる。これまで、創傷による発毛の誘導メカニズムについては解明が進んでおらず、このような表現型を示す遺伝子欠損マウスの報告もない。そこで本研究は、ASK1-/-マウスの解析により、創傷誘導性の発毛メカニズムを解明することを目的とした。
     創傷部においてASK1依存的に発現が制御されている因子の同定を目的として、GeneChip解析を行ったところ、ASK1-/-マウスの創傷部では炎症性サイトカインおよびケモカインの発現が抑制されており、さらにマクロファージの表面マーカー分子や活性化マーカー分子も顕著に減少していることが明らかになった。加えて、免疫組織学的にもASK1-/-マウスの創傷部ではマクロファージの浸潤および活性化の抑制が観察された。以上の結果より、ASK1は創傷部での炎症性サイトカインおよびケモカインの産生誘導を介してマクロファージの浸潤および活性化を制御しているものと考えられる。実際、マウス骨髄細胞より分化培養したマクロファージをIL-1βで活性化した後、ASK1-/-マウスの皮内に移植すると、発毛誘導が回復することを見いだしており、マクロファージが発毛誘導に深く関与していることが示唆された。



  4. TGF-βシグナルと上皮間葉移行
    東京大学大学院医学系研究科・分子病理学
    斉藤正夫、宮園浩平

    Epithelial-Mesenchymal Transition(EMT;上皮間葉移行)は1980年代初めにElizabeth Hayらが提唱した、上皮細胞が間葉系様細胞に形態変化する現象である。これまでに心臓や腎臓の器官発生過程における重要性が明らかとなり、また口腔領域では口蓋形成時の左右の上顎突起の融合時にEMTが認められることも報告され、口蓋形成や口蓋裂発生との関与が示唆されている。最近になりEMTは発生異常のみならず様々な疾患との関連が注目され、特に癌細胞の浸潤や転移における研究が進められてきた。in vitroの培養細胞を用いた実験やマウスのin vivoでの解析では、EMTを獲得した癌細胞は間質組織への浸潤や転移が促進することが示され、また、転移巣ではMET(Mesenchymal- Epithelial Transition)によって形質が回復することも提唱されている。これまでにEGFやHGFがEMTを誘導する因子として知られてきた。しかしながら、これらの増殖因子はscatteringを惹起するものの、間葉系マーカーの誘導は十分でない。そこで、これら以外の因子として、最近TGF-βが注目されるようになった。TGF-βはEMTの特徴である上皮マーカーの発現抑制と間葉系マーカーの発現上昇を誘導し、さらに、浸潤性や運動性を亢進させる。またTGF-βが器官形成の重要な因子であることや、TGF-β3のノックアウトマウスが高頻度に口蓋裂を発症することから、TGF-βがEMTを誘導する代表的な因子の1つであると考えられるようなった。我々はこれまでに、TGF-βがEMTを引き起こす分子メカニズムを分子生物学的に解析し、HLH型転写因子の重要性を報告し、ごく最近、Znフィンガー型転写因子であるSIP1も非常に重要な機能を有していることを見出した。本会では我々の最近の研究結果をもとにTGF-βがEMTを引き起こす分子機構を紹介するとともに、癌の悪性化促進因子としてのTGF-βの作用を、我々の知見ならびに最近の話題を含めて紹介したい。



  5. ラミニンによる象牙芽細胞の分化制御
    九州大学大学院歯学研究院、口腔保健推進学講座、小児口腔医学分野
    湯浅健司、福本 敏、長谷川智一、野中和明

     細胞外マトリックスであるラミニンは、基底膜の主要構成成分の一つであり、5つの a 鎖、3つの b 鎖及び3つの g 鎖の組み合わせによって形成されるヘテロトリマー高分子蛋白である。我々はこの中でラミニン a2 に注目し、歯の発生過程における役割について検討を行った。
     ラミニンの a 鎖のうち a1, a2, a4 鎖は主に歯胚の間葉組織に、a3, a5 鎖は上皮成分に主に発現していることが知られている。組織学的に見ると、ラミニン a2 蛋白は歯原性間葉細胞で産生され、その後歯胚基底膜に局在し、歯原性上皮においてはエナメルマトリックスを分泌する分泌期においてその発現はほとんど認められないが、成熟期において一過性に発現が認められた。 ラミニン a2欠損マウスを用い解析では、エナメル小柱構造には大きな変化が認められなかったものの、再表面の構造が粗造となり、エナメル質形成不全様の表現型を示した。また象牙質形成の著しい減少と、象牙細管周囲の構造異常を示す所見が認められた。免疫組織学的解析では、ノックアウトマウスでエナメル芽細胞の分化マーカーの発現に変化は認められなかったものの、象牙芽細胞の分化マーカーである DSP の著しい発現の減少が認められた。以上の結果は、ラミニン a2欠損により象牙芽細胞の分化が著しく阻害されたことを示しており、ラミンン a2は、象牙芽細胞分化誘導に必須の蛋白分子であることが示唆された。
     さらに、初代培養歯原性間葉細胞を各種細胞外マトリックス(ラミニン2、フィブロネクチン、Ⅰ型コラーゲン等)で表面処理を行った細胞培養ディッシュ上で培養し、細胞増殖能、細胞接着能、分化誘導能について検討を行った。その結果、ラミニン2では非処理群と比べて細胞増殖能、接着能に有意差はなかった。しかしながら、RT-PCR法で各種遺伝子の発現を確認したところ、ラミニン2処理群ではDSP、DMPの発現が著しくに増加することが明らかとなった。
     以上のことから、ラミニン a2は象牙質形成、特に象牙芽細胞の分化及び機能維持に重要であり、ラミニン a2を用いた歯原性間葉細胞の培養法は、象牙芽細胞の in vitro での分化誘導法の開発、さらには人工象牙質形成のための有力な手段となりうることが示唆された。



  6. 発生工学的トレーシングによる味覚情報を伝導する脳内神経回路の可視化
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科・創生医科学専攻・病態探究医科学講座
    (口腔生理学)
    杉田 誠、 柴 芳樹

    生物は有害物質の摂取をさけ、必要栄養物質を摂取するために、進化の過程で味覚受容の多様性を獲得しました。哺乳類は、塩味、酸味、甘味、苦味、うま味の5つを基本味として認識します。そして味覚は5基本味の組み合わせで、認知されます。口腔内に存在する味を感知する細胞(味細胞)に発現する味覚受容体に、味物質が結合することにより惹起される味覚情報は、複数の神経細胞を介し、脳内の各種神経細胞に投射され、受容・識別されるとともに、行動的反応や情動的反応を惹起します。特に味覚感覚は、対照的な嫌悪性・嗜好性の行動的反射や、快・不快の情動を惹起するため、嫌悪性・嗜好性行動、快・不快の情動惹起が、脳内のいかなる細胞機能・分子基盤のもとに遂行されているかを解明するために、非常に有効な感覚であると考えています。
    哺乳類の苦味、甘味、うま味の味覚受容体に関する最近の発見は、異なる味質が味細胞でいかに感知され、暗号化されるのかをさし示しました(1, 2)。しかし、味覚情報がどのように脳に伝達され、味覚の認識がされているかについては不明な点が多く存在します。そこで自身の研究では、発生工学的アプローチを用いて、苦味および甘味情報を伝導する神経回路を可視化することで、味覚認識が脳内でいかに行われるかを明らかにしようと試みました(3)。特にマウスにおいて、苦味受容体(mT2R5)もしくは甘味/うま味受容体(mT1R3)を発現し、苦味もしくは甘味/うま味を感知する味細胞に、シナプス間を移動するトレーサータンパク質(tWGA-DsRed)を選択的に発現させ、脳内でトレーサーに標識される神経細胞の位置を比較したところ、苦味と甘味の情報を伝導する脳内神経回路に差異がみられ、延髄弧束核・橋結合腕傍核・視床後内側腹側核において、甘味受容味細胞からの入力を受ける神経細胞群は、苦味受容味細胞からの入力を受ける神経細胞群に比べ、より前方に配置していました。また大脳皮質味覚野と扁桃体においては、部分的重複と分離がみられました(3)。観察された苦味と甘味の情報を伝導する脳内神経回路の差異は、味覚認識を可能にする神経基盤の一端を示していると考えられ、このトランスジェニックマウスは、味覚受容・識別を可能にする神経細胞群の細胞機能と、神経回路の構築に関与する分子を解明するために、また活性依存的な神経回路の再編機構を解明するために、有効に用いることができると考えられました。
    参考文献:
    1. Y. Zhang., M.A. Hoon, J. Chandrashekar, K.L. Mueller, B. Cook, D. Wu, C.S. Zuker, N.J.P. Ryba, Cell 112, 293-301 (2003).
    2. G.Q. Zhao, Y. Zhang, M.A. Hoon, J. Chandrashekar, I. Erlenbach, N.J.P. Ryba, C.S. Zuker, Cell 115, 255-266 (2003).
    3. M. Sugita, Y. Shiba, Science 309, 781-785 (2005).



  7. MT1-MMPと細胞運動の協調的制御機構
    金沢大学・がん研究所・細胞機能統御研究分野
    滝野隆久

    要旨
    がんの浸潤・転移の成立には細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に働くことが必須となる。しかし、両者の協調的制御機構については不明な点が多く残されている。細胞の細胞外マトリックスへの接着はインテグリンの集積を誘導し、Focal adhesion kinase (FAK)の凝集と自己リン酸化を引き起こす。その後、FAKを足場にしてc-Src、PI-3 kinase、p130Cas、Crk、paxillin等様々な情報伝達分子群が細胞接着斑へ集積し、各々がリン酸化あるいは脱リン酸化されることで情報を伝達する。細胞外マトリックスはインテグリンを介してmitogen-activated protein kinase (MAPK)やphosphatidylinositol 3-kinase (PI-3K)などの活性化を誘導し、遺伝子発現、細胞増殖、細胞運動を制御していることが知られている。特に細胞運動は細胞外マトリックスによる c-Jun N-terminal kinase (JNK) と extracellular signal-regulated kinase (ERK) の活性化が運動時の極性形成に関与していると考えられている。一方で腫瘍細胞は積極的に細胞外マトリックス分解酵素、主にmatrix metalloproteinase (MMP) によって細胞外マトリックスを分解、再構築している。浸潤性がん細胞は単なる障壁の破壊ではなく、周囲の微小環境を調節する意味でも積極的にECMを分解、再構築していると思われる。今回、我々は腫瘍細胞表面に発現する膜型MMP (MT1-MMP) がERK活性化と細胞外マトリックス分解を誘導することで細胞接着斑のターンオーバーを亢進し、I型コラーゲンおよびフィブロネクチン上での細胞運動を増強することを明らかにしたので報告する。
    また、インテグリン/FAK経路はJNKの活性化にも関与しており、JNKは細胞接着斑の構成分子であるパキシリンを直接リン酸化することで細胞接着斑のターンオーバーと細胞運動を制御していることが最近証明された。しかし、従来は核内で転写活性に重要な役割を担うと考えられていたこれらのMAPKが細胞辺縁の細胞接着斑で活性化され、その構成分子をリン酸化する機序については未だ不明である。我々はMAPKの足場蛋白JSAP1がFAKと結合し細胞伸展を亢進することを見出し、別のグループはJSAP1欠損マウスの脳ではFAKの自己リン酸化が低下していることを報告した。我々はJSAP1がFAKと結合し、このFAK/JSAP1がJNK活性化の足場となることを新たに見出した。JSAP1のFAKへの結合はFAKの活性化と下流の情報伝達分子p130Casのリン酸化を誘導し、フィブロネクチン刺激によるJNK活性化を亢進させた。細胞の運動先端部ではJNKとJSAP1の集積が認められ、JSAP1発現はフィブロネクチン上での細胞運動を増強させた。また、脳腫瘍組織では悪性度と相関してJSAP1発現が亢進していることから、JSAP1はFAKと結合してJNKの足場蛋白として機能することで腫瘍の悪性化形質獲得に関与していることが示唆された。
     細胞外マトリックス刺激におけるMT1-MMP、MAPK、MAPK足場蛋白の関係を明確にし、浸潤・転移に適した微小環境の整備機構を解明し、本研究を浸潤抑制法の開発に発展させていきたいと考えている。