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第22回JPS優秀論文賞受賞論文プロフィール

第22回JPS優秀論証として2014年度から2016年度にJournal of Pharmacological Sciencesに掲載された351篇の中から厳正なる審査の結果,2論文が選考されました.賞状及び副賞が授与されます.

Inhibition of Autophagy Contributes to Melatonin-Mediated Neuroprotection Against Transient Focal Cerebral Ischemia in Rats

Vol. 124, No. 3 pp. 354-3642014
doi: 10.1254/jphs.13220FP

Yongqiu ZhengResearch Center, Xiyuan Hospital

Yongqiu Zheng1 , Jincai Hou1, Jianxun Liu1,, Mingjiang Yao1 , Lei Li1 , Bo Zhang2 , Hua Zhu2, , and
Zhong Wang3

1 Research Center, Xiyuan Hospital, No.1, R. Xiyuangcaochang, District Haidian, Beijing, China
2 Department of Surgery, Davis Heart and Lung Research Institute, The Ohio State University Wexner
 Medical Center, Columbus, OH 43210, USA
3 Institute of Basic Research in Clinical Medicine, China Academy of Chinese Medical Sciences, Beijing
 100091, China

 松果体ホルモンであるメラトニンは脳虚血に対して保護効果を示すと報告されているが,そのメカニズムは不明であった.本研究において著者らは,ラットにおける一過性脳虚血/再灌流(I/R)モデルを用いて,全身投与したメラトニンの用量依存的な脳梗塞改善効果を証明するとともに,メラトニンがI/Rモデルのオートファジーを抑制し,PI3K/Aktシグナルを活性化することを示した.さらに,ウイルスベクターを用いたBeclin-1遺伝子導入によるオートファジーの活性化あるいはPI3K阻害剤の投与によりメラトニンの脳梗塞改善効果が消失することを示した.
 本研究は,脳虚血障害に対するメラトニンの保護効果のメカニズムを様々な実験技術・手法を駆使して解明したものであり,被引用回数も多い.脳虚血障害に対する新しい予防・治療薬の創薬にも資する内容を含んでおり,本論文をJPS優秀論文賞に選考した.

Assessment of Testing Methods for Drug-Induced Repolarization Delay and Arrhythmias in an iPS Cell–Derived Cardiomyocyte Sheet: Multi-site Validation Study

Vol. 124, No. 4 pp. 494-501 (2014)
doi: 10.1254/jphs.13248FP

中村 裕二(東邦大学 医学部薬理学教室)

Yuji Nakamura1, Junko Matsuo1,2,3, Norimasa Miyamoto4, Atsuko Ojima4, Kentaro Ando1,
Yasunari Kanda2, Kohei Sawada4, Atsushi Sugiyama1, and Yuko Sekino2,5

1 Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Toho University, Tokyo 143-8540, Japan
2 Division of Pharmacology, National Institute of Health Sciences, Tokyo 158-8501, Japan
3 Drug Safety Research Laboratories, Shin Nippon Biomedical Laboratories, Ltd., Kagoshima 891-1394,
 Japan
4 Biopharmaceutical Assessments Core Function Unit, Eisai Product Creation Systems, Eisai Co., Ltd.,
 Tsukuba 300-2635, Japan
5 Department of Neurobiology and Behavior, Gunma University Graduate School of Medicine, Gunma
 371-8511, Japan

薬剤性不整脈に関する非臨床安全性薬理試験に関して,さらなる予測性の向上を目指し,現在,ICHガイドラインの改訂が検討されている.特に,ヒトiPS細胞の利用に世界中の注目が集まり,大きな期待が寄せられている.しかしながら,ヒトiPS細胞由来心筋細胞は個々の細胞のばらつきが大きく,分化誘導法や薬理試験プロトコルも様々であり,その実現性に懸念が示されていた.
 本研究では,薬理試験法の開発を目指して,同一バッチのヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを用いて,多点電極システムによる薬理試験プロトコルを整備し,ディッシュのコーティングや播種密度,測定のタイミングなど詳細に実験条件を統一した.その結果,3つの独立した施設において,同じように陽性対照化合物であるIKrブロッカーE-4031による再分極遅延と不整脈誘発効果を評価できることを明らかにした.

特筆すべきこととして,本研究は,我が国の産官学チームによる報告であり,異分野融合研究の手本となるであろう.世界に先駆けて貴重な検証試験の情報を発信し,同様のプロトコルを用いたFDAの国際検証試験にも大きく貢献した点を評価し,本論文をJPS優秀論文賞に選考した.

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