〇発生地:阪神地区および淡路島
〇気象条件:晴れ〜うす曇り、気温5度、無風
〇被災者数:
〇道路:主要幹線は国道2号線と43号線を残してすべて不通
〇ライフライン:停電、水道の途絶、ガス供給停止が広い範囲で生じた。
〇医療機関の損害:
神戸市の約90%の病院がなんらかの被害を受け、診療所の約60%が診療不能となった。
診療を続けた病院も、ほとんどライフラインの損害のため臨床検査が不可能であったり、患者の給食を準備することができなかった。またCTを含む放射線検査機器が使用不可能となった病院も多く、西宮市内の病院を例に取ると、11病院中手術室が使用できたのは2病院にしか過ぎなかった。
・ 一度に各所で家屋や建物の倒壊や火災が発生したので、負傷者も同時多発的に発生した。そのため、現場でのトリア−ジもまったく行われなかった。また、電話が不通で情報交換ができなかったため、損害を受けた病院に多数の負傷者が殺到したのに、被害が少なかったりまったく受けなかった病院には負傷者があまり来院せず、医療資源の全体としての有効利用ができなかった。
窒息(外傷性窒息を含む)は約54%、胸部や全身の圧迫によるものが12.5%、一酸化炭素中毒を含む熱傷死が12.2%などで、70%以上は即死と考えられる。
2、 入院に至った症例の外傷
脊髄損傷、脊椎骨折と四肢の骨折、骨盤骨折が多い。
3、 救急部を受診した患者の外傷部位
四肢が約31%、頭部外傷が約26%、腹部外傷は以外と少なく約0.6%。
4、 時間の経過と疾病構造の変化
重傷外傷患者への救急対応は被災地内ではほぼ24時間で終息に向かい、3日目ころから数週間にわたって、軽度の創傷処置、従来からの疾病の増悪、通常内服している医薬品を失ったことによる医療需要の増加、寒冷による感冒、肺炎、ストレス潰瘍や心筋梗塞の発症などが、主として避難所生活を送っている人たちを中心として問題になってきた。
5、 挫滅症候群crush syndromeについて
今回の地震で目立った挫滅症候群とは、重量による長時間の圧迫の後、四肢または体幹および骨盤部への荷重の解放によって起こるショック様の症状のことをいう。損傷を受けた筋肉からのミオグロビン尿や高カリウム血症によって気付かれるが、CPKの異常高値も診断のよい指標となる。
2、 傷病者の集中
4、 転送搬送と受け入れ
2、 避難所での患者は、当初大半が上気道炎など感冒様症状を訴えるものであった。従来服薬中の薬を失ったり、かかりつけの開業医が診療をしていないために薬をもらいにくる人も多く、高血圧や不眠、腰痛などの症状で受診することが多かった。
2、 自然災害後に伝染病が蔓延するか否かはもっぱら飲料水の良否にかかっているので、保健所は水質検査を行って、住民にその結果を公表すべきだ、とのこと。
3、 被災地からあまりに遠い所に集積所が設けられたため、援助物資の分配は困難だった。
2、 通信と交通の問題が救急医療を円滑に行う上で大きな障害となった。
3、 これらを解決する災害医療対策が望まれる。
2、 火災:青苗地区で起こり、189棟が全焼、焼死者3人。
3、 崖崩れ:奥尻地区のフェリー埠頭の裏山が崩落し、ホテル押し潰した。28人死亡。
今後)災害時に優先して使えるように契約を結ぶ必要がある。
2、 防災消防無線:桧山支所側でも使用していたため、混線し十分機能しなかった。
今後)医療専用無線システムの設置
3、 消防無線:各消防署が一斉に広域共通波を利用したため、交信が不能となった。
今後)周波数の増強と全国共通波の有効利用
2、 今後の対策
2、 陸上:医療チーム(医師7人、看護婦5人、薬剤師1人、衛生救護員17人)を編成し、救援活動を行う。
3、 海上:たまたま洋上訓練中であり、海に流された人の救助、捜索にあたり、医官の機内配置と救援物資の補給などが行われた。
青苗地区
稲穂地区
神威脇地区
学校のグラウンドがヘリポートとなったが、周囲の電線が離着時の障害になり、今後各避難所のヘリポートの整備が必要である。
〇報道機関のメリット
〇デメリット
2、水道:広範囲に被害、給水車で飲料水を確保。11日後に奥尻地区、13日後に青苗地区が仮復旧
3、LPG、ガスボンベ:10日後ガスボンベ、コンロの運搬終了
4、電話回線:復旧までNTT の臨時無料公衆電話、8日後応急復旧がほぼ完了
(疑問=仮復旧でどの程度機能できたのか、完全復旧はいつ頃か)
2、 日本赤十字北海道支部:同様、8月10日以降は巡回診療班も
3、東日本学園大学:歯科診療班
4、 その他札幌医大など
(疑問=効果はどの程度か)
〇4つの適切性right person、right time、right place 、right
materials からすると評価できる点は多かったと思われる。
2、機動力のあるヘリコプターと、有視界飛行に頼ることのない航空機を組み合わせた搬送体制を確立
3、ドクターヘリの導入
4、 医療専用無線、各組織間の通信網の確立
災害時にはチーム行動をとることが多いが、時には看護婦独自に対応の必要な場面にも遭遇する。柔軟に編成を組みやすい数名の活動単位を構成して、災害規模やニーズに応じて単独または複数の単位が合同して活動出来る構成にする。各単位は独立して活動できるように、各種災害時に予測される傷病の知識・技術を訓練したり、必要最小の医薬品・資器材を携行出来るよう備える。具体的には次のように設定する。
2、 災害地の医療施設
そこで災害看護教育の方法であるが、災害看護に参加する看護婦全員がスペシャリストである必要はなく、知識や技術はピラミッド型でよい。すなわち裾野の広がりは卒業後2〜3年の看護婦に災害看護の初心者訓練を義務づけることで確保できる。最も必要なリーダーの育成は、救急看護経験者や災害看護に興味をもつ看護婦に段階的な積み上げ教育を行う。
教育の成否は、看護部門のみならず医療社会全体の災害看護への認識と十分な支援にかかっている。そのためには医師のみならず、医療外の学識者など一般社会人の協力も必要であり、災害看護の必要性を広く啓発しなければならない。
阪神・淡路大震災 2
鵜飼 卓、事例から学ぶ災害医療、南江堂、東京、1995, pp 42-48
(担当:河野)救急医療
3、 病院での救急医療
・ 手段がなかった。
・ 交通渋滞
・ 連絡調整機能を誰も果たせなかった、ことが上げられる。外部からの応援と救護所の医療
その他の保健衛生・医療をめぐる問題
本災害の教訓
北海道南西沖地震 1
浅井康文ほか、事例から学ぶ災害医療、南江堂、東京、1995, pp 48-55
(担当:中川)災害の概要
〇被災者:死者201人、行方不明者29人、重傷者81人、軽傷者24 0人
〇気象:曇り
〇震源地、規模:北海道南西沖、深さ34km、マグニチュード7.8
災害の特徴
ライフライン、通信
消防活動
自衛隊の役割
疾病構造の特徴
北海道南西沖地震 2
浅井康文ほか、事例から学ぶ災害医療、南江堂、東京、1995, pp 55-61
(担当:舟戸)医療対策
ヘリコプターの役割
報道機関の役割
ライフラインの被害と復旧状況
島外からの医療救援隊の活動状況
防疫
考察
おわりに(今後の対策)
災害看護 III
高橋章子、エマージェンシー・ナーシング 新春増刊200-207、1996
(担当:安岡)災害時の看護活動(活動の場)
災害時における看護婦の立場と行動
災害看護のレベルアップ
等の課題がある。災害看護学の確立
災害医学・抄読会 目次へ
gochi@hypnos.m.ehime-u.ac.jp
までご意見や情報をお寄せ下さい。