表1.
性別・年齢分布 | 男性6名、女性2名 19〜74歳(平均41.5歳) |
受診の動機 | 全例外傷
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原因 |
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その他 |
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診療該当科 | 外科(症例 3, 5)、整形外科(症例 6, 8)、眼科(症例 2, 7) 泌尿器科(症例 1)、脳神経外科(症例 4) |
麻酔法 | 全身麻酔6例、局所麻酔2例 |
輸血 | ショック(症例 1, 3, 5)、開頭術(症例 4) |
清潔手術 | 8例中7例(症例 1〜5, 7, 8) |
術者および手術介助の消毒は、石鹸を用いて給水車からの汲み水で手を洗い、速乾式擦式手指消毒剤(WELPAS)の擦り込みを行った。その後術衣を着て、手袋を2重に着用することを義務づけた。手術器材の滅菌は、都市ガスの供給停止によりオートクレーブの使用ができないために、エチレンオキサイド(EOG)滅菌が施行された。8症例における術後の経過は良好で、術後の感染やその他の合併症は見られなかった。
震災を通じて今後備えるものとして、1)中央酸素配管の損壊が見られたため、酸素ボンベの備蓄を増やす。2)WELPASの擦り込みによる手洗いで十分な結果が得られたが、超音波手洗い器などの設置も考慮する。3)EOGは滅菌に日数を要することより、過酸化水素を用いた低温プラズマ滅菌システム(sterad100: Johnson and Johnson社製)などの設置も考慮する必要があると思われた。
阪神・淡路大震災では、5502名の死亡を記録した。本災害における医療展開を災害医学の立場から分析し、広域大規模災害における後方医療機関の役割について考察を加えた。
a)救助期(発災〜48時間)
b)救急医療期(発災〜72時間)
振り分け(Triage)、救命治療(Treatment)、搬送(Transportation)の3要素からなる。
c)感染症期(3日〜2週)、PHC(Primary Health Care)期(1週〜1月)
d)精神的援助期(1月〜1年)
b)困難性
b)急性期以降の構図
近代災害プランは医療人だけで構築できるものではなく、地震学などの自然科学から、経済学などの人文科学までを含めた学際的な研究スタイルが必要である。その中で、医学、特に災害医学は医療面を保証するもので、今回市民の間にも浸透した生命価値を基盤としている。このような学際的な視点から新しい災害プランが構築されることが望まれる。
このアンケートは、医療機器の関連企業が阪神・淡路大震災に対して如何に対処しほぼ1年経た時点でどのような対策を実施しているのか、また今後どのような対策の必要性を感じているかを調査した。
これらの結果を踏まえて医療機器業界の危機管理システムの構築に役立てるために行なわれた。
ほぼ半数は、機器自体が破損、あるいは機能不全であり、さらにこの原因を探ってみると機器の転倒、落下事故によるものである。
2 使用可能とするために実施した処置
以上4項目で全処置の80%を占めている。また、日常処置である上位2項目で50%を占めており、営業員が適切な部品を持って現場に行く事が出来れば50%は処置できるようになる。
3 阪神・淡路大震災により、取り扱い機器で支障を来さなかったのはどのような理由ですか。
4 大震災に備えて、今後どのような対策を講じる必要がありますか
i. 主に開発・設計・生産のサイドから
以上より半数弱の企業が技術開発の立場から意気込みを示している
ii. 主に管理機構・営業のサイドから
5 大災害を想定してどのような対策を実施していますか。
i. どの災害を想定して対策を実施していますか
ii. 実施している対策(自社に被害が生じた場合)
iii. 実施している対策(ユーザーに被害が生じた場合)
iv. ユーザーに被害が生じた場合を想定して被害対策に必要なユーザーへの依頼事項
6 その他の大災害に対して企業として検討すべき事項
i. 緊急災害システムの構築
ii. 交通手段の確保
iii. ライフラインの確保
災害時における医療機器メーカーの危機管理を円滑に行なうためには、平時に、特別対策組織やその運用マニュアルなど災害時の緊急対応体制の整備、機器・システムの保管や管理方法等についてメーカーとユーザー間での充分な意思疎通、有事を想定した情報窓口の設置や特別ネットワークラインの確保など情報ネットワーク作りを行ない、有事には、企業内における情報の一元化とトップマネージメントへの迅速な伝達、必要な機器・システムの確保と搬送など組織的、体系的に行ないうる緊急供給体制の整備、機器・システムの事後点検及び修理マニュアルの提供など、必要に応じた点検・修理に必要な人及び物の供給体制の整備などが考えられる。
【情報伝達について】
A.よいコミニュケーションを作ることが重要
以上について考えていくことが、良好な情報伝達を行うために大切となってくる。もし、良いコミニュニケーションがなければ、緊急サービス部門はシステムとして機能しない。救急隊は大事故災害での医療サービスの連携を計画、供給し、調整する全体的な責任を負っている。情報伝達は、そのために最も中心となるものである。
まずA.については、大事故災害時の情報、確認、調整を充実させることが必要となる。生きた情報の交換が消防、救急、警察等の間において欠如するようなことがあれば、B.で述べる手段を改善して行くことなどが必要となろう。また救急を担当する部署は、大事故災害を想定して、欠点に焦点を当てた訓練を行うべきであろう。B.については、手段として、1)無線、2)電話(携帯電話、陸上回線)、3)その他の手段(人間、テレビおよびラジオ放送網、手信号)があげられる。基本として、救急隊は救急指令本部、受入先病院と無線によって通信しており、無線通信網を形成している。
しかし、現場では無線以外の連絡手段を考慮すべきである。2)の電話には携帯電話、陸上回線がある。携帯電話にはどこでも話せるなどといった自由さという利点がある反面、携帯電話の不利な点として、伝えるメッセージをコントロールする中央システムがない、限られた局にしかその地域にはないため、すぐ塞がってしまい常に話し中になるという点もある。その他の通信伝達の手段としては、伝令、手信号、予備笛、公衆放送、テレビ、ラジオ放送、ビデオ、衛星放送があり、それぞれ適宜有用となるものである。
情報伝達の方法を多岐にしてゆくことで、マスメデイアとの関係は切っても切れないものとなる。多くの場合、大災害を取り扱うにあたってマスメデイアは邪魔なものとなる。マスメデイアは報道する機会と特権を期待しており、厳しい統制、規制をすることが必要となる。そのためにはまず、
以上がマスメデイアとよい関係を生み出す重要な点である。このようにマスメデイアも情報伝達の手段として、可能な限り効率的に取り扱うべきである。
大震災時においては道路交通を始めとする全ての陸上交通が大きな被害を被り、人や物資の輸送に大きな障害を来す。その結果、救急患者の後方への搬送も大きく障害され、重症患者への適切な治療は不可能になる。このよな場合において、ヘリコプタ−による患者搬送の効果が期待できる。
1993年7月12日に発生した北海道南西沖地震による奥尻島の津波災害の場合、負傷者が比較的順調にヘリコプタ−を用いて札幌市や函館市に搬送された。一方、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災においては、震災後ヘリコプタ−で後方病院に搬送された患者数が少なく、かつ災害直後の使用が少なかったことから、災害時のヘリコプタ−による患者搬送体制の必要性が大きく取り上げられた。この2つの災害時のヘリコプタ−の対応の差は、北海道においては日頃から離島などの救急患者のヘリコプタ−による病院間搬送が行われていたということと、神戸市では医療機関の近くにヘリポートはほとんど設置されていなかったことの2点から、生まれたものと思われる。
一般的に人口密集地内へのヘリポートの設置は不可能に近く、災害用のヘリポート場外離着陸場は、学校の運動場や陸上競技場、公園などに設定されていることが多い。また、これらは患者が多く収容される病院の近辺にはないことが多いため、ヘリポートの患者搬送も困難となる。
今後は、人口密集地に災害用ヘリポートを設定する際、病院との地理的関係を念頭において検討することが必要であろう。また、阪神・淡路大震災の患者搬送の問題点として、1)ヘリコプタ−出動基準が明確でない、2)ヘリコプタ−の出動、依頼方法が確立されていない、3)患者搬送を目的にして設置されたヘリポートが少なかった、4)医療機関とヘリポート間の患者搬送手段の確保ができていない、5)患者搬送先の確保が難しい、ちう5点が如実に表れた。大都会での災害においては、ヘリポートの設置、ヘリコプタ−による搬送は重要であることより、以上5項目も十分ふまえて、システムを作ってゆくことが必要であろう。
後方医療機関の役割
太田宗夫.外科診療 37: 1407-12, 19951.阪神・淡路大震災における医療展開の評価
2.後方救援の在り方と困難性
3.医療展開の構図
阪神・淡路大震災による医療機器の被害および各企業の対応―アンケート集計結果より―
医器学 65, 1995−アンケート集計結果−
肝心なことは日頃からの教育訓練や可能な限りの状況を想定したシミレーションを実施しておくことである。
火災 42%
風水害 13%
防災訓練を実施している 39%
現地への人の派遣体制が出来ている
現地へ機器・消耗品の供給体制ができているなど
その地区の自治体や医師会を中心に情報の集中化
ライフラインの確保
機器の固定化大事故災害:第11章 情報伝達
小栗顕二・監訳、大事故災害の医療支援、東京、へるす出版、1998年、p.67-74
B.大事故災害時のコミュニケーション手段についての検討災害時患者搬送用ヘリポートの適正な設置の必要性について
滝口雅博,日本集団災害医療研究会誌, 3: 143-6,1998