この災害は高速道路といういわば閉鎖空間で突発的に発生するため、通報、トリアージ、搬送が傷病者の予後を左右する。
また、搬送先医療機関の選定は、現場で選定するよりも、情報の集約する消防本部(署)で判断すべきである。
以上の様に、高速道路における多重衝突事故は、迅速で正確な通報・現場でのトリアージと応急処置・医療機関への搬送の三点について関係諸機関(道路公団、消防、警察、医療機関等)が平素から対策を立てておけば、被害を最小限にとどめることができると思われる。
懐中電灯は必需品です。懐中電灯がないと真暗なところでは全く動けません。担架も各病棟に2つぐらいでは全く足りません。災害時を前提にした見直しが必要だと思いました。
個人のボランティアでは1人1人に言わなくてはならず、継続性がありません。その意味ではシステム、あるいは一定の期間に組織としてこられた人たちの意義が大きいと思います。
FEMAの活動の基本となっているのは、災害救助及び緊急援助法と、これに基づいて策定された『連邦災害対応計画』であり、この計画が包含する緊急・災害対応分野は輸送・通信から保健医療・食料・エネルギーなどの12項目に及ぶ緊急支援機能と財務支援機能・広報支援機能・国会関係機能である。
そしてこれらの保健・医療分野での緊急・災害対応の中核の一つである被災地緊急災害医療と患者搬送・入院医療を提供するシステムがNational Disaster Medical System(国家災害医療システム)である。NMDSはアメリカ保健・福祉省、国防省、退役軍人省、および連邦緊急管理庁ならびに地方政府および民間部門の協力隊として組織され運用されている。
その他NDMSは州知事または州保健部長の要請に基づいて保健・福祉省の保健次官が活動を開始させることが可能となっている(大統領宣言の行われていない場合)。また、国家安全にかかわる非常事態の場合には国防長官がNDMSの活動を開始させる権限を有している。 NDMSの運用支援センターは保健・福祉省、国防省、FEMA、退役軍人省、アメリカ赤十字及びその他の連邦・民間関係機関で構成されている。
阪神・淡路大震災下における神戸市立西市民病院看護婦の活動
阪神・淡路大震災は、未曾有の被害をもたらし、神戸市立西市民病院は医療機関として、壊滅的被害を被った。看護婦さんに当時の活躍ぶりとその後の活躍について話していただいた。▼崩壊した5階で患者を救出
病院に着くと、5階が崩壊しており6階の患者の救出中でした。5階には46人入院していたが、レスキュ−隊が来ないために手がつけられませんでした。5階は密閉した箱のような状態で、中からの「助けてくれ」と言う声は全く聞こえませんでした。レスキュ−隊の到着をいつまでも待てないので、自分たちで救助を始めました。患者さんを助けるために何人かでリレ−して手渡す形をとり、46人中1人亡くなられましたが他の方は皆無事でした。その後、午後になってやっとレスキュ−隊が到着し、自衛隊も来ましたが遅すぎました。▼入院患者の搬出に難渋
災害時には全員出勤と言うことが頭にありましたので、なんとか病院に行こうと思いましたが渋滞がすごいので車から下りて病院まで走りました。病院に着くと、病棟の患者さんを避難させようと言うことでとりあえず1階に重症患者を運び出そうと担架に乗せて、医師たちと階段を下ろしました。階段には窓もなく外も真暗で、ヘッドライトをつけての作業でした。
▼次々に運び込まれる患者に対応
病棟の患者さんを若い看護婦や夜勤の人たちにお願いし、私はすぐに救急室に入りました。外からの患者さんのうち、かなりの方が圧死でした。また、すごい土埃で一目では亡くなっているかどうかわからず、とりあえず救急蘇生の準備をしたりしました。重症か軽症かを判断している余裕はなく、運ばれてきた人はとにかく医師に見てもらうと言う状況でした。亡くなられた方が次々に運ばれてきて、外来、廊下、待合室など足の踏み場もないほどでした。結局亡くなられた方は67人でした。そのうち電気が切れてしまい、救急処置室は窓もなく真暗なので玄関の外に処置室を作りました。
▼受付で電話での問い合わせに対応
電話での問い合わせがとにかく多く、それに対して「申し訳ありませんが」という感じで極力丁寧に対応しました。西病院に運び込まれた人たちの記録に関しては、最初は走り書きだけで、亡くなられた方も来られた方の記録も全くありませんでした。そのため「分からないと言うことはどういうことだ」とか「どうしてそんなに分からないのか」と相手は怒るので、「出来ることは相手の立場で答えるしかない」と自分に言い聞かせながら対応しました。▼建築基準の見直しが必要
まず、構造的には階段がもっと広くないといけません。踊り場になっているようなところでは、担架が回らないのです。また、面会室のような空間は避難所としても使えるように広めに作るべきだと思いました。廊下も広くすれば良いと思いました。▼保健所を拠点に活動
震災後3日目には、病院が壊れて十分な機能を果たせないことが知れわたったのか、来院患者が少なくなってきました。それで医師も看護婦も神戸市の災害に関わると言うことで、保健所での救護活動に参加することになったのです。各地域をブロック別に分けてそれぞれの担当が全戸訪問を行いました。生存されているかどうか、けがはないか、食べ物はあるか、といったことを聞いて回りました。それが終わるといくつかの避難所を巡回しました。中央保健区内の避難所は最初は212カ所でした。最初の2〜3日は保健所からの派遣ということでいくつかの避難所に足を運び、一段落してきた2月1日から独居老人の安否の確認を地区ブロックごとに始めました。特に寝たきり老人に重点をおき、次に1歳未満の乳児を訪問しました。
FEMAは緊急時や戦争時の緊急対応を総合的に企画・調整・運用する連邦機関として設置され、関係各省庁、地方政府機関に加えて民間部門の協力も得て機能する組織である。▼NDMSの目的
▼NDMSの活動開始と活動調整
大規模災害時には、当該州知事が連邦の支援を要請する。この州知事からの要請はFEMSの地域ダイレクターを通じて大統領あてになされる。大統領はこれに基づき大規模災害又は非常事態宣言を行う。大統領宣言はFEMAによる一連の連邦政府対応を開始させ、これにはNDMSの連邦レベルの対応も含まれる。▼NDMSのシステムと運用のポイント