今回四国4県について、各自治体は地震防災対策の一環として、いくつかの地震を想定して、それが発生したときにどのような被害をもたらすかについての被害想定調査について紹介する。なお、各自治体の被害想定調査で設定されている地震は防災対策を考えるうえでのモデルケースとして考えられているケースが多い。実際にその地震がおきるかどうかとは関係ない。
このうち三つでは、想定地震2がもっとも大きな被害が予想されている。想定地震2では震度5から7が予想されている。木造建物全壊6万4308棟、半壊4万4655棟、出火2713棟、焼失棟数8108棟、死者6000人あまりなどと言った想定結果になっている。
このうち三つでは、想定地震3がもっとも大きな被害が予想されている。想定地震3では県内の震度が5から7が予想されている。長尾断層に近い平野部と引田町沿岸部では震度7になると予想された。建物全壊8万棟、半壊14万棟、県内全体で出火340件、死者6692人、負傷者3万6188人あまりなどと言った想定結果になっている。想定した震源に近い高松市での死者が全体の62.5%にあたる4184人、負傷者が全体の43.3%にあたる1万5690人と予想されている。
過去に被害をもたらしたおもな海洋型地震には1707年の宝永地震M8.4、1854年の安政南海地震M8.4、1946年の南海地震M8.0などがある。いずれもM8クラスの巨大地震である。
1946年の南海地震を最後に、南海道から東海道沖では海洋型の巨大地震は発生していない。高知県の報告書には、次の南海地震は、「21世紀の中ごろまでには発生することを考えておかなければならない」と記されている。
高知県では、南海トラフ上で発生するM8クラスの地震を設定して地震動による被害想定を行っている。発生時刻は冬の夕方としている。
この地震による最大震度は7で県全体が震度4以上のゆれにみまわれる。死者1433人、負傷者は6374人である。建物の被害は火災の発生件数が231件で、7360棟が焼失する。全壊が9954棟、半壊が3万4953棟と想定されている。
県内には東西に中央構造線が走っている。中央構造線は活断層であるが、それによる被害地震は記録に無い。また中央構造線以外に県内には活断層は見つかっていない。なお愛媛県では、地震被害想定調査を行っていない(雑誌発行現在)。
 
 
 
 
 役割:3つのT――Triage,Treatment,Transportation 
 
 
 
 A.トリアージ部門 
 B.治療部門 
 (1)緊急治療部門 
(2)非緊急治療部門 
 C.搬送部門 
 
 
  大規模な災害が起こった時、被災地の医療機関のみでは被災者の救援は難しい。今回は東京都のマニュアルを参考に、被災地外の医療支援体制についてまとめた。 
 
(2)医薬品、医療資器材および食料等の準備 
(3)応援医療救護班の服装 
 
 出動要請は原則的に都が行い―― 
(2)出動要請の方法 
   出動要請には「出動待機」及び「出動」の2種類とする。 
(3)出動要請の際の留意事項 
 
 
 
 
 
 
 評価と情報管理に乱れがあった。正しい情報を正しく発表する機関があれば、パニックや風評被害も小さくて済んだのではないだろうか。 
 
 関係機関の設立が大幅に遅れ、最も必要な時期の勧告・指示が大きく遅れた。また、行動調査がすぐには行われなかった。 
 
 
 
 
 救護所がこれにあたるが、事故発生直後に発生した医療に対する対応を行う厚生省系列の保健福祉部、保健予防課は訓練などを行っていなかった。 
2)第二次緊急医療 
 茨城県原子力医療センターがこれにあたることになっている。 
 特色ある装置としてガンマ線測定装置などを備えており、放射線関係職員は24時間態勢で対応し、測定機器類も常時使用可能の状態であった。 
3)第三次緊急時医療 
 国の放射線障害専門病院(放医研)に依頼するが、国の方針は原発中心であり、それ以外の原子力施設の多数ある現在、この方針は疑問である。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 *急性期の重傷度の判定を次のように行っている。 
 健康診断の内容は問診、内科的診察、神経学的診察、眼科学的検査を前受診者に行い、
必要に応じて血液検査、心電図、ホルター心電図、脳波、神経伝導速度、単純X線撮影、CT、MRIなどを施行した。 
 *健康診断の結果判定は次のように分類している。 
 
 複数回健康診断を受診している被災者を含んでいるので重複を差し引くとこれら5回の健康診断を受診した住民は合計で107名この内サリン曝露との関連が疑われる異常所見を認めた受信者は12名であった。 
 
 
 被災1年後以降に急性期の重症者6名中4名と高頻度にてんかん性の脳波異常を認めた。しかし、その後の経過観察で2年8ヶ月以降に正常化する症例が認められるようになり、4年8ヶ月後の時点では4名中3名の脳波が正常化していた。文献的にも動物実験でサリンによる長期的な脳波への影響が報告されており、GABAレセプターに対する直接毒性や急性期の低酸素状態による影響の可能性が機序として考えられる。 
2)末梢神経系 
 末梢神経系では、急性期に入院患者の約40%に手足のしびれが一過性に出現した。この痺れは全例で改善したが、これとは別に1重症例で被災7ヶ月後から四肢遠位部のしびれが出現した。 
3)循環器系 
 循環器系では、多原性の心室性期外収縮1重症例で被災直後から認められ4年8ヶ月の時点でも改善を認められなかった。文献的には有機リン系の農薬による心室性不整脈及び心筋障害が報告されており、その機序として、kチャネルの障害、Na/KATPaseの抑制、心筋の壊死などの心筋細胞への直接障害、および低酸素状態による心筋の障害が考えられている。 
4)呼吸器系 
 有機リン中毒では、遷延性の呼吸器障害がintermediate syndromeとしてしられている。Intermediate syndromeは有機リン中毒の約7%に発生すると報告されており、neuromuscular junctionのpostsynaptic blockが原因と考えられている。 
5)精神系 
 今回の健康診断受診者の中では、PTSDと考えられる症例が6名存在した。PTSDはサリン中毒の重症度との関連はそれほど認められず、個人の性格や生活環境の影響が大きいと考えられた。 
 
 
 
 大規模地震が発生すると、家族や身内を失った悲しみに打ちひしがれる、地震で受けた衝撃や余震への恐怖により心の傷を負う、生活の基本である家や財産をなくす、勤務先の被災により失業に追い込まれる、生活再建への不安を訴えるなど、被災者の多くが身体的にも精神的にも大きな苦難に直面する。 
 こうした状況に対応し、被災者の抱える生活上の不安、悩み等の相談、照会、要望、苦情等に応じる緊急災害広聴の推進のあり方については、以下のとおりである。 
 
(1) 緊急災害広聴の目標 
ア 緊急災害広聴の基本目標 
イ 災害広聴の行動目標 
 上記のような基本目標に資するための緊急災害広聴自体の行動目標としては、例えば、次のようなことがあげられる。 
(2) 広聴事項及び方策の基本方向 
 上記の目標を達成するための広聴事項及び方策の基本方向については、次のとおりである。 
(3) 発災直後からの段階別の広聴の基本方向 
 被災者の広聴に関するニーズは、発災直後の初動期、発災直後の避難所運営組織確立期、避難生活長期化と段階的に応じて変化していく。このようなニーズに応じた緊急災害の広聴を推進する必要がある。 
(4) 緊急災害広聴の実施体制の整備 
ア 市町村等の災害対策本部の広聴専属本部班の設置 
 大規模地震時に緊急災害広聴に関する事務を適切かつ能率的に遂行するため、市町村等の災害対策本部に緊急災害広聴に関する事務を総括する広聴専属班を設置して対応する。 
○ 広聴専属班の所掌事務の例 
イ 自主防災組織との間の緊急災害広聴協力体制の整備 
 上記のような緊急災害広聴のための相談窓口事務等を適切かつ能率的に遂行するためには、相談窓口等の開設に関する情報が相談等を求める被災者に的確に伝達されることが必要である。このため、日頃から市町村等と自主防災組織とが協力し、情報伝達体制の整備を図ることも必要である。 
 
 
 トルコ大地震、インドのサイクロン、ベネズエラやモザンビークの大洪水など、より多くの人々が自然災害や技術災害に巻き込まれることになり、各国政府その他の救援機関による災害救助は限界を超えるまでに活動している。しかし、この分野における国際法の整備に関しては、そうした難題に立ち向かおうとする人道的努力に追いついていないのが現状である。 
 
 
 
 
*さらなる法的発展が求められる問題 
 
第III章 現場トリアージ、1.現場におけるトリアージ
(山本保博ほか監修、トリアージ、荘道社、東京、1999、p.48-58)
1)現場救護所の定義
2)現場救護所の目的と役割
3)現場救護所設置場所の選択
4)現場救護所の構造
5)現場救護所での人員配置
(1)緊急部門 (2)非緊急部門 
 
第3章 被災地外の医療救護班活動マニュアル
(東京都衛生局医療計画部医療対策課、災害時医療救護活動マニュアル、社会福祉法人 東京コロニー、1996、p.42-48)
I.準備
II.出動要請
  a)被災地域の区市町村から要請があった場合
  b)被害が甚大で、被災地域内の応援医療救護活動が必要であると、都が判断した場合
 
 ――において、防災行政無線等により行う。また、各機関に対する出動要請は原則的にそれぞれの
所属長等の指揮者を経由して依頼する。
  「出動待機」:以下のときに行う
  「出動」:一時に多数の負傷者が発生し、医療救護活動を緊急に必要とする場合に行う。III.災害現場等での応急医療救護の実施
(2)応急処置の実施
(3)重症患者の搬送
(4)カルテの作成IV.避難所等での応援医療救護の実施
V.引継ぎ
放射線災害対策への取り組みの経験
(篠原照彦、原口義座ほか編・ワークショップ:原子力災害に対する国際的医療対応のあり方、p.85-104, 2000)
【環境モニタリング】
【住民の屋内退避と避難】
【臨界終息の努力】
【高線量被爆者の初期対応】
【情報不足とそれに基づく対応からくる誤解や誤報】
【原子力災害時医療】
【周辺の環境変化】
【防災行政の混乱】
【関係機関との連携】
【線量評価に対する不安】
【緊急被爆医療】
【事故後の各省庁等の整備の動き】
【原子力災害包括医療】
健康調査結果(第3次〜第7次)―サリン中毒の長期的影響について―
(関島良樹、松本市の保健衛生 vol.22 別冊、2000、p.36-41)
概要
調査方法
B判定:診察、検査結果に異常を認めるが、中毒との関連は低いもの。
C判定:中毒と関連している疑いのある異常あり。結果
健康診断 	対象者 	受診者 	異常者(判定C) 第3次(1年) 	154 	72 	5 第4次(1年8ヶ月) 	121 	29 	5 第5次(2年8ヶ月)	 87 	31 	3 第6次(3年8ヶ月) 	15 	10 	3 第7次(4年8ヶ月)	 17 	15 	6 合計   		107 	12 
重症度 	受診者	 異常者	 異常所見の内容 軽症 	74 	4 	PTSD (4)	
 中等症 	27 	2 	求心性視野狭窄(1)、PTSD(4) 重症 	  6 	  6 	脳波異常(4)、末梢神経障害(1) 心室性期外収縮(1)、 心筋障害(1)、低酸素血症(1) 微熱(1)、網膜感度の低下(1) 外傷後ストレス障害(1)	
 合計 107 12   
 軽症例は74名で4名にPTSDを認めた、中等症例は27名でPTSDと求心性視野狭
窄をそれぞれ1名認め重症例6例全員に異常を認めた。以上から身体的な異常所
見(後遺症)は、急性期の曝露量に相関していることが
明らかではあるが、異常所見の内容が均一ではなく個体差
や低酸素状態などの影響も考えられる。PTSDは急
性期の重症度とは相関せず、被災者の性格や生活環境の影響をうける。個々の後遺症についての考察
まとめ
第2章 緊急災害広聴の推進
(地震防災対策研究会、自主防災組織のための大規模地震時の避難生活マニュアル、(株)ぎょうせい、東京、1999, pp.277-289)
緊急災害広聴の基本的考え方
第8章 国際災害援助法の制定を目指して
(世界災害報告 2000年版、p.144-157)
(1)国際法−なぜ重要なのか
 災害救援活動は手続き上の混乱及び救援要員・機材・物資の効果的な配備を難しくするような政策によってしばしば妨げられている。国境を超えた救援を迅速かつ建設的に実施することを義務付け、指針を与えるような法律が存在していれば、もっと多くの人命を救うことができ、さらなる発展が必要な法の弱点や見解相違を確認するための枠組みが与えられることになる。(2)国際法と災害支援
 自然災害や技術災害に対する国際的な人道支援に関する規則やガイドラインは、長年の間にいくつかは形作られてきたものの、それらを広範に規定する法に類するものは存在しない。1990年代にはいくつかの組織的進展があった。国連総会は1990年から2000年を国際防災の10年と宣言し、災害に対応する国連人権問題調整事務所が設置された。現在進められているスフィア・プロジェクトでは何百という機関を巻き込んで、災害救援について専門的な最低実施基準を確立しようとしている。(3)スフィアプロジェクト(人道憲章と災害援助に関する最低基準の策定プロジェクト)について
 被災者の生命と尊厳をシステムとして保護できなかった状況を改善することを最重要な目標としている。これにより各援助機関は共同で活動の質を高め、法的な人道責任について各国政府に主張できるようになる。水と衛生、栄養、食料援助、避難所とその場所の選定、保健医療の主要5分野において、人道原則と基本的人権に基づいて合意された最低基準を設定している。(4)国際救援法
 国際災害援助法はまとまりのない多くの規則や法規を系統だった形にしていくための概念的枠組みとして提唱された。具体的形態についての考えや議論は多様なレベルで進められている。(5)まとめ
 21世紀の幕開けにあたり、国際災害援助法への一貫したアプローチは20世紀初めにおける状況から余り前進してはいない。我々の災害救援能力はたとえ自然災害と技術災害が地球上のさらに遠く広範に及ぶまで広がっても、向上している。強力かつ新たな災害救援に関する国際法が、地球社会への貢献の1つとしてみなされるべきだろう。