災害医学論文集(災害事例別) 有珠山噴火(2000) |
目次: 救急医学、共立女子短期大学看護学科紀要、口腔衛生学会雑誌、作業療法、天使大学紀要、 日本救急医学会関東地方会雑誌、日本災害看護学会誌、日本集団災害医学会誌、日本職業・災害医学会会誌、函館中央病院医誌、兵庫県立看護大学附置研究所推進センター研究報告集、保健師ジャーナル、北海道医報、北海道公衆衛生学雑誌、薬事、リハビリテーション医学、
■救急医学
■共立女子短期大学看護学科紀要
■口腔衛生学会雑誌
■作業療法 ■日本救急医学会関東地方会雑誌
■日本災害看護学会誌
■日本職業・災害医学会会誌
■函館中央病院医誌
■兵庫県立看護大学附置研究所推進センター研究報告集
■保健師ジャーナル
■北海道医報
■北海道公衆衛生学雑誌 ■薬事
■リハビリテーション医学
Abstract:噴火災害における避難所での救護活動のアセスメント能力を明らかにすることを目的に、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害、新島噴火災害において避難所での救護活動を行った日本赤十字社の看護師4名を対象に、半構成的面接を実施した。内容分析の結果、以下の3つのカテゴリー、および各サブカテゴリーが抽出された。1)【情報収集に関するカテゴリー】(サブカテゴリー:「ネットワークを作り情報交換を行い、被災地の状況を推測する」)。2)【援助技術に関するカテゴリー】(「環境が与える影響を予測する」「感染に対する知識を活用」「物品の有効活用と調達ルートの活用」「被災者の感情に寄り添う」)。3)【自己認識に関するカテゴリー】(「自分たちの行動の範囲と限界を知る」「自己の役割を認識し自己統制する」「情報収集をもとに自己の救護体制を整える」)。
Abstract:日本の有珠山が2000年3月31日に噴火した.火山の周辺に住む5,000人以上の住民は安全に避難することができた.北海道内の2つの大学歯学部と歯科医師会が歯科医療チームを編成し,各避難所を巡回した.各避難所で実施した歯科医療サービスとしては,歯科相談や保健指導に加え,義歯の調整,歯痛の緩和,脱離修復物の再着などの応急処置が多かった。
Abstract:2000年3月31日.有珠山噴火直後に現地入りした際に,「有珠山噴火における,重症患者多数発生時の道内及び道外への救急医療の確保について」検討した.1991年の雲仙普賢岳での多数重症熱傷患者発生の教訓より,そのような場合に備えて後方医療機関の確保を行った.札幌医科大学医学部救急集中治療部が調整し,重症熱傷患者は道内では10例まで対応可能で,10例以上の場合,厚生省を介して全国の医療機関に要請するシステムの案を作成した.しかし道外の民間空港への自衛隊機の着陸解決には時間がかかる.そのため,とりあえず北海道内で収まるシステム構築を行い,引き続き全国展開を視野に入れたシステムを考慮している.
Abstract:某噴火災難において身障者の避難状況,避難所での環境等についてアンケート調査を行った.その結果,身障者,児童は災害に対する正確な情報確保が困難で,避難所の環境設備,待遇等で不充分であった.知的障害児については,両親が主に介護担当し,又,避難もいち早く自主的に行ったが,避難生活が長期間に及ぶことにより,生活場の維持も困難となった.一方,独居高齢者や身障者について,避難情報,避難手段などが個別に連絡され,避難所への誘導が遂行されたが,避難所の構造上の問題,トイレの不備等の原因で,病院・施設への二次避難となった.以上のことから,身障者の支援については障害特性や個別性を考慮すべきであり,避難情報は正確に伝達できるシステムの構築が望まれ,又,避難所の環境整備もノーマライゼーションの立場からもユニバーサルデザインを優先すべきであると思われた.
Abstract:2000年3月の有珠山噴火非難時における虻田町在住の精神障害者83名(うち40名は施設入所者)を対象に,精神障害者の非難状況の実態を調査した.その結果,情報伝達が不十分であったこと,情報や地域での孤立化防止のため,相談・連絡相手の確保が必要であったこと,災害初期から内服薬を確保すること,体調の相談,特に,心のケア班が避難所に出向き,ストレス軽減のための活動が必要であったこと,避難場所の住環境整備が不十分であったこと,不眠,不安,焦燥感の増強がわかった.また,将来に対する提言として,情報連絡システムの構築,避難所の環境改善,避難生活の長期化に伴う生活の質の向上を図る必要があった.阪神淡路大震災時との比較では人的被害やPTSDは認められず,また,対象者はパニックも起こさず,原疾患の増強もなかった.精神障害者に対しては,早期には原疾患を増強させない対応,慢性期には生活再建における支援が一般住民以上に必要と考えられた.
Abstract:2000年有珠山噴火における避難時の医療状況や問題点について,33の地元医療機関を対象にアンケート調査を行い16機関から回答があった.医療人との使命感のもと,救護班を派遣した病院は7件で,その規模は数日・数箇所単位から延べ245日,11ヵ月まで.費用は2.6〜520万円.診療内容は外傷より風邪,不眠,便秘等が多く,慢性疾患が主体であり,避難生活が長期化したことに由来した.なお急性病変やSAHなど死亡例も報告された.発災二週目から慢性疾患治療薬が不足したが,地元医療機関の避難中のため救護班が対応した.一方,地元医療機関も避難所に自院患者を尋ねたが,管理事務所で拒否された例があった.以上より,以下の避難所医療体制の問題があげられた.1)救護班相互や同じ避難所で,申し送りも含め,連携不足していた.管理事務所に不適切な介在があった.救護班には,その選定基準が不明確であった.2)被災患者受け入れ病院での負担に対する弁償はなかった.3)「災害拠点病院」は,発災前の避難で機能しなかった.4)被災病院入院患者も「災害弱者」であるが,災害で受傷しない限り一般住民と同じ扱いである.
ウェブ担当者までご意見や情報をお寄せ下さい。