災害医学論文集(災害事例別) 鳥取県西部地震(2000) |
目次: The Journal of Medical Investigation、医学検査、心と社会、精神科看護、新見公立短期大学紀要、日本集団災害医学会誌、日本職業・災害医学会会誌、日臨救医誌、保健師ジャーナル、
■The Journal of Medical Investigation
■医学検査 ■救急医学
■心と社会
■精神科看護
■新見公立短期大学紀要
■日本職業・災害医学会会誌
■日臨救医誌
■保健師ジャーナル
Abstract:地震による喘息が悪化する危険性のある患者の特徴を明らかにし,地震後の喘息悪化予測因子を同定する目的で,鳥取県西部地震発生の1年以上前から鳥取大学病院に通院中であった喘息患者156例(18-89歳)を対象に,喘息症状とPEF(最大呼気流量)を記録し,後向きコホート研究分析を行った.17例(11%)が地震後1ヵ月以内に症状の悪化を来たし,これらの地震後1ヵ月の日中の最大呼気流量(PEF)変動を1年前の同時期と比較した.症例記録を基に症状悪化に関連する因子を同定しその寄与率を多変量解析により検討した結果,気流制限(airflow limitation)が地震後の悪化に関連する独立因子であった.急性喘息発作は地震後1週間以内に,日中のPEF変動を伴わずに起こる可能性が高いことが示された.地震後は喘息が悪化しやすいと思われる.
Abstract:我が国には、聴覚に障害を有する者が約36万人存在し、社会の高齢化とともに増加傾向にある。本研究では災害時における聴覚障害災害時要援護者支援機器の開発と実際の応用を目的として平成12年10月6日の鳥取西部地震を事例にとり調査研究を行った。回答状況は、米子市とその近隣地域111例(発送250)回答率44.4%であった。回答者は4級以上の高度難聴ないし聾難聴者が52.7%、6級以下の中等度難聴者の回答が47.3%と、ほぼ半数ずつの回答であった。高齢中等度難聴の被災体験者では、補聴器未装用、あるいは所有していても実際には使っていない事例が意外に多く、一方、高度難聴-聾被災者では補聴器の使用比率が低く、むしろ実際には、手話通訳や文字放送付きテレビ、筆談に頼っていた側面が明らかになった。災害発生時における聴覚障害災害時要援護者を支援する機器の開発にあたっては、補聴器が利用可能な軽度-中等度難聴者と文字、筆談、手話が有効な高度難聴-聾難聴者とを、対象を分離して進める必要性があると思われた。
Abstract:未曾有の大規模な都市型地震災害であった阪神・淡路大震災も,満5年を経過した.当時指摘された問題点,提言は,十分には解決,或いは,生かされずに過去のものと形骸化してきている.一方,この間,火山噴火や想定されていなかった震度6強の鳥取県西部地震による被害が発生し,著者等に注意,対処策の再検討を喚起しているようである.したがって,当時,指摘,提言された大規模都市型地震災害の医療上の問題点を再度,顧みることは有意義であると思われる.まず,阪神・淡路大震災の被害状況,震災直後の医療活動の状態を報告し,次いで,大規模震災での医療上の問題点を提示した.最後に,阪神・淡路大震災時の体験から大規模震災時の対応策について述べた。
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