小児心肺蘇生法の最近の話題 1. インターネットを介した、 乳幼児心肺蘇生法の普及活動 ■ 2.国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)の小児一次救命処置ガイドライン ■ 愛媛大学医学部救急医学  越智元郎 (1999年11月27日、愛媛救友会大洲大会)

99/11/14


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小児心肺蘇生法の最近の話題 1. インターネットを介した、 乳幼児心肺蘇生法の普及活動 ■ 2.国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)の小児一次救命処置ガイドライン ■ 愛媛大学医学部救急医学  越智元郎 (1999年11月27日、愛媛救友会大洲大会)

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インターネットを介した、乳幼児 心肺蘇生法の普及活動(まとめ) あ ■乳児突然死症候群や乳幼児への救急医療が注目さ     れており、乳幼児心肺蘇生法普及の好機である。 あ ■メーリングリストによる人的交流を通じて、乳児の心肺   蘇生法普及のための具体的な動きが盛り上がった。 あ ■ホームページは啓蒙のための資料、講習会の案内・    記録などを掲載でき、すぐれた広報手段となる。

国際蘇生法連絡委員会 ILCOR (International Liaison Committee on Resuscitation) 世界中の主な蘇生組織が連携するための公開討論の場として組織された(1992年)。 ■ 目的:1)一次救命処置(BLS)、小児救命処置(PLS)、二次救命       処置(ALS)における国際的な治療ガイドラインを策定      2)教育訓練方法の有効性、組織作りなどに関して検討 ■ 構成組織:  アメリカ心臓学会(AHA)     ヨーロッパ蘇生会議(ERC)  カナダ心臓・脳卒中財団(HSFC) オーストラリア蘇生会議(ARC)  オーストラリア蘇生会議(ARC)  南アフリカ蘇生会議(RCSA)  ラテンアメリカ蘇生会議(CLAR) 日本心肺蘇生法協議会(JRC)

 心肺蘇生法に関するILCOR勧告          (1997年) ■  ■ はじめに Introduction ■  ■ 成人の一次救命処置 Adult BLS ■  ■ 二次救命処置の共通アルゴリズム     Universal Algorithm ■  ■ 早期除細動 Early Defibrillation ■  ■ 小児の心肺蘇生法 Pediatric Resuscitation ■  ■ 個々の状況での蘇生 Special Resuscitation ■           (http://ghd.uic.net/99/ilcor.html)

  小児の心肺蘇生法 (ILCOR)          Pediatric Resuscitation ●反応性の評価  ●気道  ●人工呼吸 ●循環 ●心臓マッサ−ジ  ●心臓マッサージ対人工呼吸の比  ●救急通信指令センターへの連絡  ●回復体位  ●異物による気道閉塞の解除  ●感染防護対策 ■ 【比較の対象】 ・ アメリカ心臓学会(AHA)の心肺蘇生法ガイドライン(1992年)   → 日本医師会、自治省消防庁、日本赤十字社 ・ AHAの新ガイドライン(2000年) ・ 日本心肺蘇生法協議会(JRC)のガイドライン(2000年)

   反応性の評価 (ILCOR)   反応が認められない場合には、気道・呼吸状態の評価、補助が必要となる。乳児や頸部の損傷が疑われる患者は,反応を確かめる際に身体を揺すってはならない。

    気道の確保 (ILCOR) ■ ●第1選択:頭部後屈・あご先挙上または下顎挙上(特に    頸椎が不安定であったり,頸部の損傷が疑われるとき) ■ ●上記がうまくゆかない時:舌・下顎引き上げ法も可 ■ ●口腔内異物が疑われないのに口腔内を視診することは 効果的でない。

    人工呼吸 (ILCOR) ■ ●最初の人工呼吸は2〜5回。ゆっくりと1.0〜1.5秒以   上かけ、胸をはっきりと持ち上げるだけの十分な力で。   胃へ息を吹き込み腹部を膨満させる可能性を認識。 ■ ●乳児には口対鼻人工呼吸も適切。 ■ ●乳児・小児にはより多くの換気(1分間当たりの呼吸回   数)を,成人には1分当たりのより多くのマッサージ回    数を。

    循環の評価 (ILCOR) ■ ●小児において、CPR中の脈拍確認の有用性は疑問。 ■ ●脈の触知法を一般市民に教えるのはむずかしい。 ■ ●医療介護者は、よく訓練されているなら脈の触知は可    能であり,診断のために脈拍を探すのは当然。 ■ ●脈がはっきりと触知できないならば,蘇生が10秒以上   遅延されるべきでない。 ■ ●頸動脈の確認のみならず、嚥下動作や呼吸動作の色々    な動きを同時に見る。そして脈拍の有無を確認できなく   ても、嚥下動作や呼吸動作などの生命兆候が全く認め   られない場合は、心停止と判断し心マッサ−ジに移行。

    心臓マッサ−ジ (ILCOR) ■ ●開始: 脈が触れない、または著しい徐脈        (新生児は脈拍数 60/分以下で) ■ ●部位: 胸骨の下半分(剣状突起の圧迫を避ける)、        乳児・新生児は乳輪を結ぶ線の1横指下 ■ ●圧迫の深さ: 胸の厚さの約1/3まで ■ ●圧迫回数: 約 100回/分(新生児は 120回/分) ■ ●圧迫方法:   ・年長児(9歳以上): 両手(手掌基部で圧迫)   ・年少児(8歳以下): 片手(同上)   ・乳児:   指2本または3本   ・新生児: 指2本または両拇指 (encircling thumb)

 心臓マッサージ対人工呼吸の比                  (ILCOR) ■ ●1人法、2人法にかかわらず     心臓マッサ−ジ/人工呼吸 = 5:1                 (新生児では 3:1) ■ ●注意点  ・心臓マッサ−ジを行う場合は必ず人工呼吸も実施  ・心臓マッサ−ジと人工呼吸は同時には行わない 

救急通信指令センターへの連絡            (ILCOR) ■ ●「まず通報せよ」でなく、「早めに通報せよ」   (Call First)      (Call Fast)鼻   具体的には、1分間の蘇生人処置を行ったのちに119    通報をする。 ■ ●問題点: ・何歳まで「Call Fast」か? ・病態別の配慮は? ・地域の救急医療体制(特にレスポンスタイム)による差は? ・電話での口頭指導体制による差は?

    回復体位(ILCOR) ■ ●十分な自発呼吸と自己心拍があるが、意識障害を伴う    時にとる体位 ■ ●様々な回復体位が推奨されているが、そのうちのどれ   が最も優れているかは決定されていない ■ ●考慮すべき点  ・心停止の原因  ・頚椎の安定性  ・誤嚥の危険性  ・圧迫されている部位への注意  ・呼吸と循環の十分な観察      ・気道が確保されていること  ・患者にいろいろ処置ができること

異物による気道閉塞の解除 (ILCOR) ■ ●完全な気道閉塞に対しては迅速に認識し,対処すべき。 ■ ●異物の除去法として背部叩打法,胸部圧迫法,腹部圧   迫法の3つの方法があり、このうちどれが最も優れて   いるという結論は出ていない。 ■ ●年齢層による差異  ・1歳以上: 背部叩打法,胸部圧迫法,腹部圧迫法  ・乳児:   背部叩打法,胸部圧迫法  ・新生児:  吸引法

ILCORの小児一次救命処置(まとめ) ■      年長児 年少児 乳 児  新生児 気道確保  頭部後屈・あご先挙上(下顎挙上) 呼吸(最初)   2〜5回(1.5秒/回) 2-5(1秒/回) (その後) 12回/分 20回/分 30-60回/分 脈拍確認    頸動脈   上腕動脈  臍帯動脈 心マ部位  胸骨の下半分  乳頭線の1横指下    方法   両手  片手 2-3本指 2本指   深さ    胸郭のおよそ 1/3 の深さまで   回数    約 100回/分    120回/分 心マ/呼吸 15:2(5:1)  5:1   5:1 3:1 異物除去  背部叩打・胸部 背部叩打  吸引          圧迫・腹部圧迫 胸部圧迫

作成者 :越智 元郎