医療提供体制の改革について
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目 次
I 入院医療を提供する体制の整備[医療法関係] 1.新たな病床区分 (1) 基本的考え方 医療需要の高度化・多様化に対応し、患者の要望に適切に応えていくため、現行の一般病床を急性期病床(又は短期病床)と慢性期病床(又は長期病床)に区分し、患者の状態にふさわしい医療を適切な療養環境の下で効率的に提供していけるような体制の確保を図る。 1. 患者の状態に応じ人員配置基準及び構造設備基準を設定 現行の一般病床を急性期病床と慢性期病床に区分し、提供されるべき医療サービスの形態に応じ、それぞれにふさわしい人員配置及び構造設備の基準を設定 2. 区分の単位は原則病棟単位(100床未満の病院は病室単位で可) 3. 医療機関からの申請に基づき区分を実施 4. 新たな病床区分に基づき必要病床数をそれぞれに算定 (2) 急性期病床(又は短期病床) 【対象となる患者】 急性増悪を含む発症後間もない患者又は病状が不安定な患者 【提供される医療サービスの内容】 充実した専門スタッフの下で一定期間の集中的な医療を提供する。 【人員配置基準】 医師 他:現行の一般病床と同じ 看護職員:入院患者2.5人に1人(既存病院 経過措置3年間) 【構造設備基準】 病床面積:新築・全面改築の病室 患者1人当たり6.4u以上 既設の病室 〃 5.0u以上 (経過措置3年間) 廊 下 幅:新築・全面改築の病室 1.8m以上(両側居室2.7m以上) そ の 他:現行の一般病床の基準と同じ 【在院期間の取扱い】 病院管理者は、原則として、在院期間の概ねの上限(例:3ヶ月)以内に、患者に対する急性期病床における治療を終了させるよう努めるものとする。 (3) 慢性期病床(又は長期病床) 【対象となる患者】 病状は安定し、疾病若しくは障害を抱えている患者又は長期にわたる医療の提供が必要な患者 【提供される医療サービスの内容】 手厚い介護力とゆったりとした療養環境の下で長期にわたる療養を提供する。 【人員配置基準、構造設備基準】 現行の療養型病床群の基準と同じ。 (4) 経過措置 人員配置基準、構造設備基準に関し3年間の経過措置期間を設定。 ただし、へき地・離島等の病院又は100床未満の小規模の病院については、5年間の経過措置期間を設定。 (5) 適正な入院医療の確保 医療従事者数が一定期間以上基準を著しく下回っている場合を対象にした業務運営の改善命令等の規定等を新設。 2.医療計画の見直し
経過期間においては全体の必要病床数を算定し、本格実施期間においては、新たな病床区分に応じ急性期病床、慢性期病床それぞれに必要病床数を算定。
(2) 具体的な算定
具体的な算定に当たっては、都道府県知事の裁量により地域の医療の実情を反映することができるよう、流入・流出加算の見直し等を行った上で、各圏域での必要病床数の算定を行うこととする。
必要病床数という名称の見直しについて検討する。
U 医療における情報提供の推進[医療法関係] 1.カルテ等の診療情報の提供の在り方について (1) 基本的内容 【基本的考え方】 インフォームドコンセントの理念に基づく医療を推進するため、患者への説明の一環として、患者への診療情報の提供を行うこととする。 【法制化】 患者の求めがある場合について、診療記録を管理する医療機関の管理者の義務として診療記録の開示を法制化し、公布以後3年間の周知・準備期間をおいて施行し、施行に向けて必要な環境整備を推進。 【適用対象となる診療記録】 適用の対象は、施行日以降の診療記録とする。 【診療記録の開示方法】 診療記録の開示方法としては、当分の間、診療記録の提示や写しの交付に代えて、診療記録の内容を示す別文書を交付する方法を認める。 【情報提供の対象者】 情報提供の対象者は、本人が原則。遺族は、診療情報の提供又は診療記録の開示の対象としない。 【情報提供の例外事由】 本人又は第三者の利益を損なう場合等については、医療従事者の判断により、情報提供又は記録開示を留保することを認める。 【環境整備の推進】 診療記録の作成・管理体制の整備、医療従事者に対する教育の充実、記載内容・方法の標準化、ガイドラインの作成など必要な環境整備を進める。 (2) その他 診療記録に係る保存期間については10年間とし、必要な経過措置期間を設けることとする。
謝辞:本資料をご提供いただきました厚生省健康政策局指導課 ご担当者に深謝申し上げます(web担当者)。
2.医療法における広告規制の在り方について
診療所に関する広告規制を緩和し、原則自由とする。
III 医師・歯科医師の資質の向上[医師法・歯科医師法関係]
○ 医師の臨床研修を以下のように必修化する。
○ 歯科医師についても必修化を行う。
【臨床研修の必修化について意見書等を踏まえた現時点での考え方】
(平成10年11月25日医療関係者審議会においてとりまとめられたもの)
1 臨床研修の実施方法
・ 臨床研修以外の形で医業を行おうとする場合には、これに先立ち2年間の臨床研修を修了しておかなければならないこととする。
・ 臨床研修医は、一定の研修体制を有する大学付属病院及び臨床研修病院で研修を行う。
・ 臨床研修中の医行為の内容・種類については制限せず、医師法上の責務(処方箋の交付義務等)についても通常の取扱とする。
2 臨床研修病院等
・ 一定の基準に即して臨床研修病院を指定する。その際、「病院群」や「研修施設群」による研修等を含む多様な研修を認める。
3 臨床研修の質の確保
・ 研修の到達目標は、「卒後臨床研修目標」に基本的に沿うものとする。
・ 内科系・外科系双方を含む複数の診療科で研修を行うとともに、救急や外来の研修の機会の確保について研修プログラムの中に明確に位置付ける。
4 臨床研修医等の身分と処遇
・ 臨床研修修了前の医師については、厚生大臣の指定する臨床研修病院等において指導医の下でのみ医業を行いうるものとするとともに、研修中の医師については、その手当が支払われるよう必要な措置を講ずる。
5 施行時期等
・ 臨床研修病院の準備その他の体制の整備を勘案して2〜3年程度の猶予期間を置く。