乳児における人工呼吸法
市立秋田総合病院 円山啓司(enzan119@alles.or.jp)
口―口鼻人工呼吸の注意点
1歳未満では、口―口鼻人工呼吸を行うが一般的です。しかし、母親が乳児の鼻と
口を覆うのは無理で、母親の口径(横径)よりも乳児の鼻から口までの長さの方が長いのです。口の方から
位置を決めると、鼻まで完全に覆えない場合、鼻翼を口で押さえ、逆に鼻を閉塞させ
る危険性があります。
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1)あご先に人さし指を当て、ここを持ち上げて気道を確保する(あご先挙上法)。
2)鼻の上部で、目じりの高さに一方の口角を。
3)口を大きく開けて、口と鼻を覆う。
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4)口と鼻が覆えなくても、鼻だけは覆える。
5)息を吹き込む。(口―口鼻また
は口―鼻人工呼吸が可能)
注:乳児ではあご先挙上法での気道確保が困難なことが少なくないので、以下の下あご挙上法も習得して下さい。
下あご挙上法での人工呼吸法(一人で)
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1)乳児の横に位置し、下顎角の前後に指(前 → 指2本、後 → 指2本)を置き、持ち上げる。下顎角の後部に当てた両手の指を垂直に持ち上げ、受け口になるように口(逆咬合)下あご口を前方へ挙上する。
2)同様の方法で、人工呼吸。
3)心マッサージ
下あご挙上法での人工呼吸(二人で)
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1)一人が乳児の頭側に位置し、両人さし指を下顎角の後ろに置き、受けになるように下あごを前に出す。また、手全体と顔を固定する。
呼吸状態が悪く(上気道狭窄等)、気道確保が必要な場合は、この方法で。乳児の気道確保には、下あご挙上法が最も有効です。
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2)もう一人があご先を上げる。
3)同様の方法で人工呼吸。
4)その後、心マッサージ。
参考文献
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Tonkin SL, Davis SL, Gunn TR. Nasal route for infant resuscitation by mothers. Lancet 1995: 345: 1353-4.
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Segedin E, Torrie J, Anderson B: Nasal airway versus oral route for infant resuscitation. Lancet 346, 382, 1995
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Wilson-Davis SL, Tonkin SL, Gunn TR: Air entry in infant resuscitation: oral or nasal route? J Appl Physiol 82:152-155, 1997
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円山啓司ほか. 1歳未満の小児での口・口鼻人工呼吸は可能か、第24回日本救急医学会 1996年)
乳児の突然死撲滅キャンペーン/ 乳児の人工呼吸法について