市民による除細動(PAD)に対し
MC協議会の検証を

AED詳細データの提供が必須

(救急・蘇生関連メーリングリストの論議より)


目次

メーリングリストACLSにおける意見交換

 林  [ACLS:4705] AED初救命例か?  遠藤 [ACLS:4706] Re: AED 初救命例か?  畑中 [ACLS:4707] Re: AED 初救命例か?  金子 [ACLS:4708] RE:4706,:4707 PAD検証作業  畑中 [ACLS:4713] PAD検証作業  遠藤 [ACLS:4714] Re: PAD 検証作業  金子 [ACLS:4716] Re: PAD 検証作業

救急医療メーリングリストにおける意見交換

 金子 [eml-nc5: 0982] PAD 検証作業  須田 [eml-nc5: 0983] Re: PAD 検証作業  A  [eml-nc5: 0984] Re: PAD 検証作業  山本 [eml-nc5: 0985] Re: PAD 検証作業  吉田 [eml-nc5: 0986] Re: PAD 検証作業  C  [eml-nc5: 0987] Re: PAD 検証作業  石井 [eml-nc5: 0989] Re: PAD 検証作業  C  [eml-nc5: 0990] Re: PAD 検証作業  吉田 [eml-nc5: 0992] Re: PAD 検証作業  井上 [eml-nc5: 0993] Re: PAD 検証作業  石井 [eml-nc5: 0994] Re: PAD 検証作業  平岡 [eml-nc5: 0995] Re: PAD 検証作業  石原 [eml-nc5: 0996] Re: PAD 検証作業  吉村 [eml-nc5: 0999] Re: PAD 検証作業  C  [eml-nc5: 1000] Re:PAD 検証作業  平岡 [eml-nc5: 1001] Re:PAD 検証作業  福井 [eml-nc5: 1002] Re: PAD 検証作業


メーリングリストACLSにおける意見交換


From: 林 峰栄(医師)
Subject: [ACLS:4705] AED初救命例か?
Date: Mon, 13 Jun 2005 15:41:58 +0900

みなさん、こんにちは。沖縄の林 峰栄です。

先日、愛知万博で一般市民によるAEDを用いた救命例が出ましたが、
今度は、以下のような情報が入って来ました。
この件について、何かご存知の方がいれば、また教えてください。

 ●一般人が男性救命/AEDを使用

記事内容(ウェブ担当者による要約):
 東京電力福島第二原発の事務本館で5月17日、男性社員が意識を失
 って倒れたが、別の男性社員や嘱託の看護師が館内に設置された
 自動体外式除細動器(AED)を使用し、一命を取り留めた。一般人
 がAEDで救命したのは初めてのケースと思われる。

- ER doctor & Violinist -      林 峰栄(はやし ほうえい)  
                 沖縄県立那覇病院・中部病院


Date: Mon, 13 Jun 2005 16:08:27 +0900 Subject: [ACLS:4706] Re: AED 初救命例か? From: 遠藤智之(医師) 峰栄先生、広める会の皆さま すっかりROM専門となってました東北大の遠藤智之です。 (中略) AEDを使ったのは看護師ではなく、男性社員の方らしく、 いわゆる非医療従事者のAED救命例は日本初ではないか、 といううわさです。 で、この例で使われたAEDには、データカード が入っていなくて、AEDのデータ解析ができなかったとのこと でした。 国内のPADの問題点はこの辺にあると思います。 AED設置の際にはその地域でPADのMedical Directorを決めて 検証まで含めた管理をしないと、「助かってよかったよかった」 で終わってしまうのでは?と危惧します。 ******************************************** 遠藤 智之 東北大学病院救急部 〒980-8574  宮城県仙台市青葉区星陵町1-1 ********************************************


Date: Mon, 13 Jun 2005 16:46:08 +0900 From: 畑中哲生(医師) Subject: [ACLS:4707] Re: AED 初救命例か? 遠藤先生、みなさま、お疲れ様です。 救急救命九州研修所の畑中です。 遠藤先生、いわく: > AED設置の際にはその地域でPADのMedical Directorを決めて > 検証まで含めた管理をしないと、「助かってよかったよかった」 > で終わってしまうのでは?と危惧します。 全くおっしゃるとおりだと思います。 残念ながら現状では、MCのあずかり知らぬところでPADが展開されているところ もまれではない様子です。PADを展開している企業なり団体さんを責めるのは的 外れだと思いますので、やはり各地域のMCには管轄範囲内でのPADの状況を把握 することにも目を向けていただきたいと思っていたところです。 費用対効果比の問題も含め、効果的なPAD展開を目指すための戦略的考察は、現 状のデータ把握があってこそのものだと思います。 -畑中哲生 救急救命九州研修所


From: 金子高太郎(医師) Subject: [ACLS:4708] RE:4706,:4707 PAD検証作業 Date: Mon, 13 Jun 2005 17:18:48 +0900 遠藤先生、畑中先生、皆様、 金子高太郎@県立広島病院救命救急センターです。 広島県では県のMC体制の中でPADの検証が考えられています。 すなわち、CPAですから当然救急車が呼ばれる訳で 呼ばれた救急救命士によって、PADの中の時間経過・治療経過を 検証表に記載するようになっています。消防機関・MC検証医を 中心に検証作業が行われます。 症例が蓄積されれば、費用対効果も出せるでしょう。 病院前もともかく、むしろ、病院内でのCPAに対するウツタイン 様式に基づく検証が大きく遅れているのではないでしょうか。 〒734-8530 広島市南区宇品神田1丁目5-54 県立広島病院救命救急センター 金子高太郎


Date: Thu, 16 Jun 2005 09:50:40 +0900 From: 畑中哲生 Subject: [ACLS:4713] PAD検証作業 遠藤先生、金子先生、皆様: 救急救命九州研修所の畑中です。 広島はしっかりとした体制ができつつあるようですね。 うーん、さすが。 > すなわち、CPAですから当然救急車が呼ばれる訳で > 呼ばれた救急救命士によって、PADの中の時間経過・治療経過を > 検証表に記載するようになっています。消防機関・MC検証医を > 中心に検証作業が行われます。 噂に過ぎませんが、MCとは直接の連携なくしてPADを展開している企業内でAEDが 使用された場合、その機械に残されているデータは「個人情報」ということで、 消防には渡してもらえない...救急隊は現場で使われたAEDに替えて、自前のAED を装着してから患者を引き継ぐ...検証はできない...という事態が発生している そうです。ホントだとしたら残念です。 -畑中哲生 救急救命九州研修所


Date: Thu, 16 Jun 2005 13:10:14 +0900 Subject: [ACLS:4714] Re: PAD 検証作業 From: 遠藤智之 畑中先生、金子先生、皆さま 遠藤智之@東北大学救急部です。 > 噂に過ぎませんが、MCとは直接の連携なくしてPADを展開している企業内でAEDが > 使用された場合、その機械に残されているデータは「個人情報」ということで、 > 消防には渡してもらえない...救急隊は現場で使われたAEDに替えて、自前のAED > を装着してから患者を引き継ぐ...検証はできない...という事態が発生している > そうです。ホントだとしたら残念です。 これが一番危惧されるパターンですね。 AEDのデータは広く日本でのPADを検証する上で必須のものであるはず ですし、患者を受け入れる病院にとっては非常に重要な診療情報である と思います。個人情報の管理は厳密である必要がありますが、やはり AEDを設置する場合は地域EMSは当然として、PADを展開するサイト(または ユニットとでもいいましょうか)が病院とも適切な連携を取るべきだと 思います。 ******************************************** 遠藤 智之 東北大学病院救急部 ********************************************


From: 金子高太郎 Subject: [ACLS:4716] Re: PAD 検証作業 Date: Thu, 16 Jun 2005 21:39:02 +0900 遠藤先生、畑中先生、 金子高太郎@県立広島病院救命救急センターです。 以下の、「PADデータが個人情報に当たるため出せない」状況は あってはならない状態です。 行政の指導の元、MC下に個人情報保護を念頭において検証され なければなりません。


救急医療メーリングリストにおける意見交換


From: 金子高太郎 Subject: [eml-nc5: 0982] PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 08:14:45 +0900 皆様、 金子高太郎@県立広島病院救命救急センターです。 PADによる救命例の報告が相次いでおりますが、PADのやり放題、野放し状態 が危惧されております。 あるべきPAD検証の方向性につき皆様のご意見をお聞かせください。 以下「広める会」のMLからの転送です。 (以下、省略)


From: 須田高之(医師) Date: Sat, 18 Jun 2005 08:53:33 +0900 Subject: [eml-nc5: 0983] Re: PAD 検証作業 金子さん、遠藤さん、畑中さん、皆さん 最近ROM 状態の須田@霞ヶ浦です。 一昨年、おそらく茨城ではいち早く病院にAEDを設置しました。 其の時から、消防関係、MC内部ではPADに向けての検証について 何度となく話し合っております。はじめのうちは、CPA症例ということで 必ず救急隊が出動搬送するであろうから、検証票記載義務が生じる。 としておりましたが、個人情報保護法のもとでは、必ずしもそうではない という消防からの提言があり、現在も頭を悩ましております。 皆さんが危惧されておられるように、検証は正しく行われねばならないのは 明白なことと理解しております。法解釈上の問題もあり、行政のみならず、 司法関係者を巻き込んだ議論が必要なのかな?と感じております。 先日、MC内で、公共の場に設置されるAEDは必ずデータカードを義務付ける。 私的機関に設置する場合は消防に届け出て、助言を求める。といったような 議論もされましたが、現実的ではないと継続課題となっております。 非公式に町の担当者に尋ねたところ「???・・・」でした。 茨城ではPAD検証については、これから各関係に呼びかけて、方法を 探らねばと、考えていたところです。皆様の活発な御意見の交換を参考に させて戴きたいと考えております。 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 須田 高之 SUDA TAKAYUKI,M.D.Ph.D 東京医科大学霞ヶ浦病院 ER・救命救急部


Date: Sat, 18 Jun 2005 09:35:22 +0900 (JST) From: (医師) Subject: [eml-nc5: 0984] Re: PAD 検証作業  須田先生.EMLメンバーの皆様.全くROMのA です.須田先生のご意見に全く同感です.当地域でも県がPADに予算 をつけて動き始めているのは喜ばしいことですが,検証や講習体制などはもちろ んまったく考えておらず,そのことをコメントしますと,とたんに声が小さくな りました.PADとEMTのAED体制の問題や,AEDの機種の相違による問 題など行政が不勉強なのは仕方がないところですが,検証する立場にある医療サ イドから積極的に,地道に働きかけていくしかないでしょう.某病院では医師に 相談なく,AEDの機種選定し,入荷した後数ヶ月が経過するのに院内に設置さ れていないと聞きました.GOALであるVICTIMの救命のためには,Phase 0 とでも言うのでしょうか,まず啓蒙が大切であり,これに時間や労力をもっと注 がねばならないんだな〜と感じています.他地域のPADやMC体制についてご 意見を頂ければ参考になります.よろしくお願い致します.


Subject: [eml-nc5: 0985] Re: PAD 検証作業 From: 山本五十年(医師) Date: Sat, 18 Jun 2005 10:44:14 +0900 金子さん、須田さん、Aさん 山本五十年@東海大学です。 > 金子高太郎@県立広島病院救命救急センターです。 > PADによる救命例の報告が相次いでおりますが、PADのやり放題、野放し > 状態が危惧されております。 > あるべきPAD検証の方向性につき皆様のご意見をお聞かせください。 湘南地区MC協議会では、次の施策を行ってきました。 1)MC協議会によるAED講習指導者養成   ・A(C)LSインストラクターによる、消防職員(救急救命士)の指導者を対象    としたAED講習指導者養成セミナーの開催   ・その指導者が中心となり各消防本部の救急救命士を指導者へと高め、    他の消防職員および市民にAED講習を実施する。 2)非医療従事者が除細動を実施した場合、ウツタイン記録票に次の項目を   記載する。   ・除細動の初回実施時刻、実施回数を記入   ・波形確認の有無をチェック     確認できた場合は、除細動指示波形か、除細動非指示波形か、メモリ     ーチップ等による記録確認かをチェック   ・除細動の結果、自己心拍が再開したか否かをチェック 3)MC協議会の心肺蘇生ガイドライン2004に、次の指針を明示   ・AEDを用いた除細動を実施した場合は、実施者に事後連絡ができるよう    に必ず住所・氏名・連絡先を聴取し、AEDの所有者・保管場所、除細動実    施手順を簡潔に確認する。 4)心肺蘇生ガイドライン2004 Q&Aに、事後検証作業部会の回答を明記し、救   急隊員に周知。   Q) AEDを使用した場合でも心電図記録を事後検証に提出することが必要か。   A)救急隊員がAEDを使用した場合に心電図記録を事後検証に提出するこ     とは当然のことです。AEDに保存媒体がありますから、これによりPCで画     像を出し印刷してください。     救急隊員以外の消防職員や一般市民がAEDを使用した場合も、保存媒体     から心電図を印刷し、一次検証の上で二次検証に提出することが必要です。 救急隊員以外の消防職員や一般市民が実施した除細動もMCの対象であ     り、事後検証が必要です。 4)2005年度事後検証の指針に、次の項目を明示   ・必要な症例に適切な口頭指導、応急手当・処置が実施されていたか否か   ・消防・救助隊員による応急・救命処置が適切であったか否か   ・市民による応急・救命手当が適切であったか否か   ・通信指令員による口頭指導が行われていた否か PAD検証について事後検証作業部会で相当協議しましたが、問題は、消防職 員以外の者が実施した場合の波形確認でした。 消防隊・救助隊が除細動を実施した場合は、波形を事後検証作業部会に提出 することは容易ですが、消防職員以外の者が実施した場合は、記録媒体から心 電図を印刷するためには、AEDの種類に対応した各種ソフトを導入する必要が あるため、消防対応では難しいですね。MC協議会事務局等でソフトを導入し、 一括して印刷する必要があるかも知れませんね。 MC協議会の真価が問われる問題です。        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇        〒259-1193 神奈川県伊勢原市望星台        東海大学医学部専門診療学系救命救急医学                  高度救命救急センター                  診療部救命救急科            http://ems.ihs.u-tokai.ac.jp/                  山本五十年         自戒自守6箇条            ・なまけるな  ・おこるな  ・いばるな            ・あせるな   ・くさるな   ・おごるな        ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


Subject: [eml-nc5: 0986] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 11:22:22 +0900 From: 吉田竜介(医師) 吉田竜介@日本医大救急医学です。 >金子高太郎@県立広島病院救命救急センターです。 >PADによる救命例の報告が相次いでおりますが、PADのやり放題、野放し状態 >が危惧されております。  1999年 プレホスピタルケアにおけるメディカルコントロールの調査研究で 米国各都市に行かさせてもらいました。  当時、PADは14州で展開されてましたが、ボストンでは地元の赤十字とAHAが バックアップして消防が市民に普及啓発を行なってました。  その時、地元のメディカル・ディレクターへ施行例が集められて事後検証が 行なわれるというシステムでした。  日本でもPADが行なわれる現場にはほぼ100%?にちかく救急隊がコールされ るでしょうから、当然、救急隊の搬送票の流れから消防の検証→医師検証にあ がるようなシステムにするベきだと思います。  また現に某本部の搬送票には、そのPADの分を記入する欄もすでにもうけてい るところもあると聞きました。  細かい検証方法は次のステップの議論と思いますが、少なくとも検証に「乗 せる」べくシステム構築は、消防の検証票から入るのが一番てっとりばやいと 思われます。


From: (一般市民) Subject: [eml-nc5: 0987] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 12:39:51 +0900 Cです。 AEDにしぼって考えると、二つの戦略があると思います。 どちらもゴールは同じ。 いろいろな所にたくさんのAEDが設置されている。 市民の誰もが訓練も受け、操作できる。 このゴールに向かって、二つの道。 一つ目の戦略1は、 しっかり「野放し」にならないよう、あらかじめ、想定される危険が回避でき るよう、ルールを決めて、周知させる。 このメリットは、 もちろん、そういう危機管理はあたりまえですし、何か起こった時、必ずマス コミの言うセリフ「なぜ、もっと良く考えて進めなかったのか。ツメが甘い」 と いう批判も回避できます。 でもデメリットとしては、 AEDを設置するというような、儲けのタシにもならないものをやろうとしてい るのに、そんな難しい事、言われたらやってられない。責任取らされたらたま らない。(置いて事故が起こったら訴えられるかもしれませんが、置かないで 人が亡くなっても、誰も責められない)やめとこう。 もうひとつの戦略2は、 とりあえず、何も難しい事には触れない。美的な部分だけを煽って導入を進め る。 もちろん、これのデメリットは、 何かが起きた時、考えの甘さという事で、マスコミから糾弾される。その時の 対応いかんによっては、AEDの存在意義そのものも否定されてしまう。 でも、このメリットは、 とりあえず、ハードルを低くする事によって、設置数を稼ぐ。ルールの導入は 設置数が増えた後に行う。 ただ、もう一つデメリットがあって、後からの「ルールの導入」は、物理的な 設置方法に関しては、(記録できるようにしておくなど)後から変えるのが難 し かったりというのもあるかもしれません。 むろん、戦略1と戦略2では1の方が理想でしょう。 しかし、本当に設置してもらえるのでしょうか? 実際、空港とか公共団体がスポンサーというのだけでは、限りがあるでしょう。 オフィス街やショッピングモールなどは民間の理解が無いと設置されないでし ょうし、市民の意識も高まらないでしょう。 そこまでのビジョンを持った時、本当に1が正解なのか。。。 ただ、2にしても、全くの「野放し」というのではなく、市民にはアピールし なくても、危険は想定し、危機管理マニュアルのようなものを整備、もし、 PADで「失敗」が会った時のサポート体制をとっておく、というのは必要だと 思います。 > 消防の検証票から入るのが一番てっとりばやいと思われます。 これなら、私たち市民のハードルにならなさそうな気がします。


Date: Sat, 18 Jun 2005 16:05:13 +0900 Subject: [eml-nc5: 0989] Re: PAD 検証作業 From: 石井史子(医師) 金子さん 皆様 岡山日赤の石井です 皆様のご意見興味深く拝見いたしました。 > ・厚生労働省は、 > ・PADを地域のMC活動の検証対象とすること > ・PAD使用された活動データは地域のMC活動に検証を依頼すること このことは「・・・報告書」ですでに明らかになっていると理解しておりました。 岡山県でも以下の様な対応に約束はなっております。 >> すなわち、CPAですから当然救急車が呼ばれる訳で >> 呼ばれた救急救命士によって、PADの中の時間経過・治療経過を >> 検証表に記載するようになっています。消防機関・MC検証医を >> 中心に検証作業が行われます。 今回のご投稿でとても意外だったのは ・記録(データ解析)ができないAEDが出回っている ・データが個人情報保護ということで「消防」に引き継がれない可能性がある の2点です。 これは早急に(誰がどうするのかはともかくとして)厚生労働省に対応を求める必要 があると考えます。 *********************** 岡山赤十字病院救命救急センター 石井史子 ***********************


From: Subject: [eml-nc5: 0990] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 16:38:58 +0900 市民のCです。 先日の愛知博のケースでは、助けた医大生は名前を明かさずに去ったとか。 そういう事はできないわけですね。 > ・データが個人情報保護ということで「消防」に引き継がれない可能性がある > の2点です。 > これは早急に(誰がどうするのかはともかくとして)厚生労働省に対応を求める必要 > があると考えます。


Subject: [eml-nc5: 0992] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 17:22:47 +0900 From: 吉田竜介 吉田@日医大救急医学です。 > 噂に過ぎませんが、MCとは直接の連携なくしてPADを展開している企業内でAED > が使用された場合、その機械に残されているデータは「個人情報」ということで、 > 消防には渡してもらえない...救急隊は現場で使われたAEDに替えて、自前のAED > を装着してから患者を引き継ぐ...検証はできない...という事態が発生している > そうです。ホントだとしたら残念です。  えーっと、米国でも企業ばかりでなくショッピングモールだのなんだのにでも、 管理者がおります(たぶんgeneral manager?)。 そこでAED設置については、こ の管理者に管理責任があります。  日本でも一定規模以上の企業には健康管理者、または「産業医」がいるはずです。  特に企業内でAEDを使うようなCPA事例が発生したら、当然、労働災害云々という 問題に発展するはずですし、当然健康管理という観点から産業医の出番になると思 われます。  もし万が一、企業側が消防に「個人データだから渡せない」と言い張られたとし ても、自然の流れとして産業医が業務として検証するのではないかと思われます。  当然、彼らがきちんと検証しなければならないようなシステムは前もって作るべ きと思います。  もちろんシステム構築と同時に産業医にAED(PAD)についての知識、技術講習は 行なわなくてはなりません。  でも産業医の管轄がどこの行政になるのかは自分は確認してません。  危惧していることは監督官庁自身に検証システムをつくるという予定やアイデア がまったくなく、かつ産業医が「PADなんぞ面倒臭い」として動かなければ、たしか に企業内のPADは空洞化するかもしれません。


Subject: [eml-nc5: 0993] Re: PAD 検証作業 From: yasushi inoue Date: Sat, 18 Jun 2005 19:31:53 +0900 EMLの皆様、日赤救急法指導員の井上です 私も現在のAEDの講習に関して不安を感じています。 金子先生が懸念されていらっしゃるとおり、私も現状ではPADのやり放題状態に発 展する可能性は大きいと思います。 A先生のおっしゃるとおり一般市民対象のAED講習自体、AEDが何で必要なの かを理解させその使い方を指導してるだけなのが現状です。 PAD実施に関して実施データを検証し以後のPAD等に生かしていくという大切な ことを教えていません。 「私が助けてあげたんだ」と市民が感じることは大切ですが「でも次回はこうしたほ うがもっといいよ」と教える制度が必要と思います。 救助者も助けれなかった場合に自分自身の手技やフローなどが適切であったか悩み続 けると思います。 「あなたはちゃんとやっていました」といってくれる人がいればそれは大きな自信に つながります。 記録を残して事後に有効に活用することの重要性を各団体の指導員すべてが理解し、 それを講習会で伝えておくことも今必要なことだと思います。 それと、データが必ず残る機種(AED)を配備するような官公庁による指示が必要 だと思います。まだ配備数が少ないうちに対応していただければと思います。やはり この辺は医師(MC医)の皆様のお力で官公庁を動かしていただくしかないのでしょう か。


From: 石井史子 Subject: [eml-nc5: 0994] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 20:37:53 +0900 C様 岡山日赤の石井です > 先日の愛知博のケースでは、助けた医大生は名前を明かさずに去ったとか。 私見ですがこれは差し支えないと思っています。ただ助けた人が誰であれAED使用が 医療行為である以上医学的検証は必要であると思います。現実には医療行為が必ず しも検証を受けているわけではありませんがPADが一般市民を巻き込んで行うという 前提があるわけですから、善意の市民を守るためにも検証は必要と思っています。 善意の市民を特定する必要があるとは考えておりません。名前を明かさずとも経過 は救急隊に申し送って欲しいし、使用したAEDに記録は残っていて事後に解析できる ようであって欲しいと思っています。 ついでに善意の市民が「初めての一般市民のAED救命例の○○さん」だとか何とかい ってマスコミの餌食にならないようにと願っております。 岡山赤十字病院救命救急センター 石井史子


From: 平岡範也(医師) Subject: [eml-nc5: 0995] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 20:59:30 +0900 平岡範也@京都第一赤十字病院です  個人情報保護法の目的は,AEDの記録を検証しないことではなく ○○さんをマスコミの餌食にしないことのはずです. > C様 岡山日赤の石井です >> 先日の愛知博のケースでは、助けた医大生は名前を明かさずに去ったとか。 > 私見ですがこれは差し支えないと思っています(以下略)


From: 石原 晋(医師) Subject: [eml-nc5: 0996] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 21:32:18 +0900 県立広島病院 石原晋です この話題で盛り上がっていることを、大変喜んでいる一人です。 この盛り上がりが、良い方向性に結びつくよう祈らずにはおれません。 いずれにせよPADの質は地域のMCの質に規定されるほかはなく、地域毎にがん ばるしかありませんですね。 以下は、某雑誌からの依頼で書いた作文です。この件に係る私の意見です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ウツタインシステム・・・MCの地域格差解消の切り札となるか? (中略) 現在、空港や競技場などへのAEDの設置が急速に進められている。開催中の愛知 万博では会場内に100台のAEDを設置し、スタッフ3000人に対して救命講 習を実施したというが、開幕3ヶ月を待たずして、すでに3名の救命例が報告され ている。 国際線の客室乗務員に対する除細動解禁、救急救命士がおこなう除細動の包括指示 化を端緒とする、ここ数年のPAD推進に向けた変化は極めてめまぐるしい。それ に追い立てられるかのごとく、病院内へのAED設置、医師・看護師などへのAC LS教育が活発化している。確実に関係者の意識は向上し、PADによる救命例も 増加している。大変喜ばしいことであるが・・一方で、一抹の不安も払拭できない。 これらの変化にインフラの整備は間に合っているのだろうか?砂上の楼閣ではない のだろうか?という不安である。インフラとは当然、MC体制の整備である。2001 年に視察した米国の4都市では、市中に設置されたAEDが取り出されると自動的 に911に覚知され、救急隊が出動する。使用されたAEDの内蔵メモリーチップは 地域のMC協議会に提出され検証がおこなわれる、などのことがおこなわれていた。 本誌の前号では、シアトル周辺で、PADの有効性を検討するため、地域をAED 指導地域と非指導地域に分けて生存退院率などを比較した大規模な研究の報告が紹 介されていたが、このような研究がおこなえるインフラの存在には脱帽するほかな い。 このように、AED/PADの健全な発展のためには、AED/PADがMCの枠 組みのなかに位置づけられることが必須である。そのためには、まず救急隊員の救 急活動にかかるMC体制が全国くまなくしかるべき質で担保されることが不可欠で ある。MC体制の質の評価手段としてのウツタインシステムに寄せる期待は大きい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以上です


From: 吉村雄之祐(防災関係者) Subject: [eml-nc5: 0999] Re: PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 23:01:52 +0900 吉村です 明日は夜明け前から仕事ですので、一言だけ。 平岡@京都第1日赤さんのご意見、私も同感です。個人情報保護法については、 運用面など、かなり幅をもった誤解や見解相違が見られるのが気になっています。 この件は、近日時間があれば論じたいと思います。 今宵は私はここまで・・・ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 誰もが安全・安心を実感できる社会を地域から作ろう ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽  発信 : 吉村雄之祐 yopi@pop06.odn.ne.jp   ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ◆ あんしんまちづくり京都都市青年団(KCYAC)団長   (都市青年団 URL) http://www.kyoto-ya.com/ ◆ 京都府災害ボランティアセンター   副代表 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


From: Subject: [eml-nc5: 1000] Re:PAD 検証作業 Date: Sat, 18 Jun 2005 23:43:03 +0900 Cです。 理想は、いっぱいあると思います。 でも。。。 *引用部分要約  企業体によっては、社員に使用させるのではなく、通行人(一般人)が  利用することが前提に設置を考えるというような発想を持った企業も出  てきている。AED設置の話題で企業イメージをUPすることだけが狙いか? これって、だめでしょうか? 企業イメージをあげるためが狙いではなぜいけないのでしょうか? 日本には大企業だけではありません。 (大企業だと構内の移動だけでも大変ですから、いくら「責任を持って」 と言われても、社内に1台では近隣住民はおろか、社内の人すら届けるの に何分もか かったりしそうです) 社員100人程度の会社もいっぱいあります。 創業50年、でも、一度も社員が倒れた事の無い。。という会社は多いで しょう。 そんな中、危機感を感じてもらうだけでも大変な事です。 ましてや「無責任な発想」と言われてしまったら、危機感どころか、反感 さえ持たれそうではありませんか? そもそも「責任を取る」とは何でしょうか? バッテリーのケア?社員への講習。。。 今の時代、どこの会社も儲かってしょうがない。。わけではありません。 30万ポッキリだと思ったから、イメージアップ/広告的効果の為、買っ てみたけど、あとからウルサくいろいろ言われる。あんなモノ買うもんじ ゃないね。 奇特な経営者さんからそんなセリフが出てこないようにしなければ、AED の普及は遠い話になるのではないでしょうか。 みんな訓練されていて、理想的な状況のAEDが10台あるより、 無責任なAEDが1000台ある方が、救命の確率が高そうな気がします。


From: 平岡範也 Subject: [eml-nc5: 1001] Re:PAD 検証作業 Date: Sun, 19 Jun 2005 03:28:28 +0900 平岡です.   Cさんの巧みなagitationにのせられて,出てきてしまいました. > 理想は、いっぱいあると思います。 > > でも。。。 > >> 企業体によっては、社員に使用させるのではなく、通行人(一般人)が >> 利用することが前提に設置を考える。なんていう、無責任な発想を >> 持った企業も出てきています。このような発想は、企業の責任追求から >> 来ているのでしょう。講習が義務付けでないが故の抜け道をしっかり >> 見つけ、AED設置の話題で企業イメージUPだけが狙いのように >> 感じてなりません。 > > これって、だめでしょうか? > 企業イメージをあげるためが狙いではなぜいけないのでしょうか?   全然OKでしょ?  AED設置でイメージアップ! それにプラスして定期的な講習で更にアップ!!    (そういう会社を受け入れる社会が,本当は重要だと思います) > みんな訓練されていて、理想的な状況のAEDが10台あるより、 > 無責任なAEDが1000台ある方が、救命の確率が高そうな気がします。   (出た出た!極論するCさんの最終必殺技(笑))  欲張りな小市民の私は,理想的なAED10台と,無責任な1000台を希望します.    おそらく,理想的なAEDと無責任なAEDは医療経済的にはどちらか選択する  という発想ですが,実際には理想的なAED 1台につき,無責任なAEDが100台  ついているんじゃないでしょうか?  (BLS, ACLSなんかもそういう風に普及してきた,なんていったら怒られるかな?) ************************** 京都第一赤十字病院               平岡範也 **************************


Date: Sun, 19 Jun 2005 11:53:47 +0900 (JST) From: 福井道彦(医師) Subject: [eml-nc5: 1002] Re: PAD 検証作業 福井:大津市民病院・NPO法人おうみライフサポート協会です。 (中略) さて、心地よい疲労感の中、メール開けたらPAD検証議論が活 発に交わされていて嬉しい限りです。結論言うと、地域コンセ ンサスが未熟なままAED器機だけがばら撒かれている。私は、 地域MCの責任で検証・AED管理体制を確立すべきと考えていま す。 売る方も、医療業界としたら経験しないほどの巨大民生マーケ ットに驚愕しつつ値引き合戦!台数も把握できないほど商品を ばら撒いたけれど、一息付いたら管理(医療品ですよ!)しき れない商品数を前に薄ら恐ろしいものを感じておられるのでは ないでしょうか? 「日本のPADは遅れている!」と医療者が乱売させた要素もあ るし、こんな状況で「AED売った業者にPADの責任を持て」なん て言い出したら小さな医療会社なら倒産するかもしれません。 (だから、小さな代理店は撤退したのかなあ?) 少なくとも、自動車のようにAEDに車体番号付けて地域で登録 して、「定期車検」を購入事業者に義務付けないと大変です。 多分、事業所への導入の多くは、医療者以外の「総務部」だの の担当者(異動でどこか行くかもしれない)が、「AEDは国際 標準安全」「3年間はメンテナンス不要」「入札で最安値」な んて書類で正当化して買っているだけなんです。導入した非医 療事業者に、自動車のように「登録」「定期車検」を購入後に 行う発想を持てというのは無茶。器機登録・点検に対しても医 療者が一定のコントロールする必要があると思いますが、器機 に問題が起こったら医療者までが「メーカー責任」を叫んで「 危機回避」するんじゃないかと危惧します。 すでにML上で議論されている、内部個人情報の扱いだの、AED 器機のリレー体制だの、・・・それらは全て病院前医療です(PAD したら全部病院に引き継がれるわけですから)。よって、MCで 協議されるべきだと思います。厚労省も2004年7月1日付けの厚 生労働省医政局「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED )の使用について」(医政発第0701001号)と、同年8月16日厚 同省医政局指導課よりの「自動体外式除細動器(AED)の講習 内容の取りまとめについて」(医政指発第0816001号)で地域MC を示唆していたと思います。 でも、MC協議会の多くは消防局長の下で予算難に喘いでいるか ら、「わしの部下の救命士業務を最適化するのにさえ十分なMC 予算がとれないのに、『XX百貨店のPAD』のために税金を使い 、わしが責任を取るのか・・・」ってな「金無い」「責任取れ ない」議論になるのは必定? 下手したら、CPAの搬送記録に「PAD □あり、□なし」なんて チェック欄だけ作って、PAD用のAEDはブラックボックスのまま (だって個人情報だもーーん!)。搬送記録だけ「MC検証」し て「PADは予後を改善しなかった」なんて恥ずかしくて世界に 見せられない不毛な議論を、平気で日本の学会展開するんじゃ ないかと危惧します。 内部データ使えよ! G2000の「CPR早期の精密な記録の重要性」は最高Classの推奨 じゃなかったでしたっけ? 自慢ですが、大津は今年度からMC協議会を市長直属にして消防 の外に置いて動き出すはずです。PAD関連事業費を消防と切り 離して確保できる可能性(あくまで可能性ですが・・・)もあ る? 私自身、PADは買い叩いたAEDを人目につく所に置くことではな い。PADという地域コンセンサスの確立こそがその本質だと思 います。それを実現する一法として、地域の首長から「PADと いう新安全インフラ、互いに助け合う文化を地域に根付かせま しょう!」といったポリティカルメッセージを出してもらい、 それを基にPADネットワークを整備していけないかと夢想して います。 逆の言い方をすると、「新たに整備された地域MCはPADをMCで きるかが試されている」と言えるのではないでしょうか?各MC 協議会が地元のPADをどのようにコントロールしていくのか競 い合って体制作りを進める必要があると考えます。 ***** 7月号の雑誌「治療」は蘇生特集号らしいです。越智さんが特 集の構成をされて、わたしはPADを担当させていただきました。 ご参照ください (上記段落、ウェブ担当者による加筆あり)


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