アメリカ心臓協会(AHA)の心肺蘇生法ガイドライン 2005

第7部(3)症候性徐脈と頻拍の管理

(Part 7.3: Management of Symptomatic Bradycardia and Tachycardia)

目次
はじめに
不整脈の認知と管理
徐脈
頻拍
抗不整脈薬
要約
参考文献


[現在の翻訳レベル=一次チェック済み 070220] [原文

■はじめに(Introduction)

 不整脈は突然死の一般的な原因である。 突然虚脱した患者、冠動脈虚血や心筋梗塞の症状がある患者全員に、直ちに心電図モニタリング を行うべきである。 (訳者註:除細動の)遅れを避けるために、通常の除 細動器または AED用の粘着式パッドを装着するか、通常の除細動器のパドル誘導を用いる(use the "quick-look" paddles feature)。 急性冠動脈虚血の患者において、重篤な不整脈が発生する危険 性が最も高いのは症状出現から 4時間までの間である(
第8部「急性冠症 候群患者の治療」1を参照)。


■不整脈の認知と管理

 心電図と心リズムに関する情報は一連の患者評価の一環 として解釈されるべき(should be interpreted within the context of total patient assessment)である。 診断と治療の過ちは、ACLSプロバイダーが基本的な治 療に関する決定において臨床評価を無視し、調律 の解釈に基づいてのみ行ったときに生じがちである。 プロバイダーは患者の症状と臨床徴候(呼吸、酸素化、心拍数、血圧、意識レベルを含む) (括弧でくくりました)を評価して、臓器の潅流不全の徴候を探さなければならない。 本ガイドラインは臨床的評価の重要性を強調し、 2000年ガイドライン以来、洗練され整備されてきている(have been refined and streamlined)アルゴリズムに従った治療の原則を紹介する(highlight)2。 成人における不整脈の認識と管理の原則は以下の通りである。

 徐脈性不整脈と頻拍性不整脈の評価と管理について詳しく述べる事は 本ガイドラインの任を超えている(beyond the scope)。 さらに詳しい情報については下記の資料を参照のこと。

 この章(第7部3)には 3つの主要なセクションがある。最初の 2つのセクションである「徐脈」と「頻拍」は、 評価と治療から始まり、ACLSにおける徐脈と頻拍のアルゴリズムに集約されている情報について 概説する。 これらのアルゴリズムを簡素化するため、有用かもしれないすべての薬剤ではなく、 推奨されるいくつかの薬剤を盛り込むにとどめた。 この概説ではアルゴリズムに取り入れられた薬剤についての情報を提示する。 3番目のセクション「抗不整脈薬」では、薬物療法に関してより広い選択 肢について、より詳細な情報を提示する。


■徐脈

 図1(徐脈のアルゴリズム)を参照のこと。本文におけるBox番号は そのアルゴリズムにおけるBox番号を示している。

評価

 一般的に、徐脈は心拍数が1分間に60回未満と定義されている(Box 1)。 遅い脈が生理的である患者もいれば、1分間に60 回を越える脈が不適切である患者がいる可能性もある。 この徐脈アルゴリズムは臨床的に意味のある(significant) 徐脈の管理に対して焦点を当てている(例えば、臨床的な状態に対し て不適切な徐脈)。

 どんな徐脈の患者に対しても、初期治療は気道管理と呼吸管理に焦点を当てるべきである(Box 2)。酸素を投与し、モニターを装着、血圧・酸素飽和度を測定し静脈路を確保する。 補助的な酸素投与を行い、モニターを装着、血圧・酸素飽和度を測定し静脈路を確保する。調 律をより明らかにするために心電図をとる。 初期治療を行っている間に、患者の臨床状況を評価して可逆的な 原因が潜んでいないか検索する。

 プロバイダーは循環不全の徴候と症状を特定し、それらの徴候が徐脈で起こっているかどうかを判 断しなければならない(Box 3)。 徐脈による徴候と症状が軽微である場合がある。そして症状が ない患者に対しては治療は不要である。 そのような患者に対しては、症状が悪化しないかどうか監視すべきである(Box 4A)。 徐脈に関連した低血圧、急激な意識変容、胸痛、うっ血性心不全、痙攣、失 神またはその他の循環不全の徴候や徐脈が原因となったショックによる徴 候(signs of shock related to the bradycardia)を認める患者に対して は、直ちに治療を行う。

図1.徐脈のアルゴリズム原図

訳者註:Box 1「inadequate for clinical condition」は「循環不全の症状あり」と意訳した。


 房室ブロックは 1度、2度、3度房室ブロックに分類される。 それらは急性心筋梗塞や心筋症による構造的な 問題(structural problems)と同様に、薬物または電解 質異常によって引き起こされる可能性がある。 1度房室ブロックは PR間隔の延長(>0.20秒)で定義され、通常は良性である。 2度房室ブロックは Mobitz I型と II型に分類される。 Mobitz I型ブロックの伝導障害部位(block)は房室結節にある。この場合、ブロックは 概して一時的であり、無症状である。 Mobitz II型ブロックでの伝導障害は、房室結節より下 部のヒス束や脚で生じることが最も多い 。この場合、症状を伴う ことが多く、完全(3度)房室ブロックに進行する可能性がある。 3度房室ブロックは房室結節、ヒス束、あるいはヒス脚で起きることがある。 3度房室ブロックが存在するとき、心房と心室との間 の伝導が完全に障害される(no impulses pass between the atria and ventricles)。 3度房室ブロックは、原因により恒久的なことも一 時的なこともある。

治療(Box 4)

 アトロピン(または、決定的な治療を遅らせないならば第2選択 薬を用いて)に反応しない患者においては、直ちに経皮ペーシングを開 始できるようにしておく。 ペーシングは、ヒス―プルキンエ束以下のレベルでのブロックがある場 合(例:II型 2度房室ブロックまたは 3度房室ブロック)をはじめ、重篤 な症状を伴う患者にも勧められる。

アトロピン

 可逆的な原因がないときには、アトロピンは今も症状のある急 性の徐脈における第一選択薬である(Class IIa)。 成人における 1つの無作為臨床研究(LOE 2)5 と追加的な低レベルの研究(LOE 4)6,7において、 アトロピン静注は心拍数を改善し、徐脈に関連した徴候と症状を改善した。 初期量 0.5mg(必要に応じて総量 1.5mgまで繰り返す) は院内および院外での症候性徐脈の治療において有効であった5-7。 ドパミン、アドレナリンといった第2選択薬による 治療がうまくいくこともあるが(下記参照)、経皮ペーシングは通常、 患者がアトロピンに反応しない場合に適応とされる。

 症候性の高度(2度または 3度)ブロックにおいては、速やかに経皮ペーシングを行う。 硫酸アトロピンはコリン作用によって生じた心拍数の低下を改 善する。そして、症候性の高度房室ブロック患者に対して、本薬は経皮 ペーシングを行う前の一時的な手段と認識するべきである(should be considered a temporizing measure while awaiting a transcutaneous pacemaker)。 アトロピンは症候性の洞性徐脈の治療に役に立ち、また房室結 節レベルでのどのようなタイプのブロックにも有用である だろう7

 アトロピン(the recommended atropine dose)は徐脈に対 して 3〜 5分毎に 0.5 mgを静注し、総投与量は 3 mgまでとする。 0.5 mg未満の硫酸アトロピン投与はさらに心拍数を低下させるといった、 逆説的な結果を引き起こすかもしれない8。 循環不全を伴う患者に対して、アトロピンを投与することに より体外ペーシングを遅らせてはならない。

 急性冠虚血または心筋梗塞がある場合、アトロピンは注意して使用する。 心拍数の増加は虚血を悪化させ、梗塞範囲を広める可能性 があるからだ。

 アトロピンは心臓移植後にも、適切にモニターしながら注意して使用してよい。 移植心は迷走神経支配を欠いているため、アトロピンは無効であることが多い。 1編の非対照研究(LOE 5)9は、心臓移植後の患者にアトロピンを投与したと き、逆説的な心拍数の低下と高度房室ブロックが生じたと報告している。

 II型 2度房室ブロック、3度房室ブロックおよび新たに QRS幅の 開大を認めた 3度房室ブロック患者ではアトロピンに頼らないこと (avoid relying on atropine)。II型2度房室ブロック、3度房室ブロック、新たに 広いQRS幅を認めた3度房室ブロック患者にはアト ロピンに依存するのは避けるように。それらの患者には速やかなペーシングが必要である。

ペーシング

 経皮ペーシングは症候性徐脈に対する Class Iの治療(intervention)である。 不安定な患者、とりわけ高度ブロック(Mobitz II型 2度または 3度) を有する患者では、直ちにペーシングを開始するべきである。 いくつかの制限がある。 経皮ペーシングは痛みを伴うかもしれない。また時に、有効な機械的捕捉(fail to produce effective mechanical capture)に至らないことがある。 心血管系の症状が徐脈によって生じたのではない場合、 有効なペーシングにもかかわらず患者は改善しないであろう(may not improve despite effective pacing)。

 経皮ペーシングは非侵襲的であり、心臓血管治療(Emergency Cardiovascular Care) のプロバイダーがベッドサイドで実施することができる。 アトロピンに対して全く反応しない場合、アトロピンが効きそうにない場 合および患者に重篤な症状がある場合は、直ちに経皮ペーシングを開始する。 機械的捕捉を確認し、患者の状態を再評価する。 疼痛コントロールのために麻酔薬と鎮痛薬を使用し、そして徐脈の原因を 検索する(try to identify the cause)。

 もし経皮ペーシングが無効な場合は(例えば捕捉が一定しない場合)、 経静脈ペーシングの準備をし、また専門医に相談することを考慮する。

考慮すべき代替薬

 これらの薬剤は症候性徐脈に対する第一選択薬ではない。 これらは徐脈がアトロピンに反応しない場合に、 ペースメーカーが用意されるまでの間の一時的な手段として考慮されるものである。 われわれはアルゴリズムを単純化するため、アドレナリンとドパミンを考慮すべき 代替薬のリストに含めた(class IIb)。これらはどこでも入手でき、臨床医(ACLS clinicians)は 使い慣れている。このセクションで、私 たちは考慮される他の薬物に関するエビデンスもまとめている。

アドレナリン

 アドレナリンの持続静注はアトロピンまたはペーシングが奏功しない症候性徐脈患者や低血圧の患者 に使用できる(Class IIb)。 2〜10μg/分から開始し、患者の反応を見ながら調整(titrate)する。 循環血液量を評価し、必要に応じて補液する。

ドパミン

 塩酸ドパミンはα、β両アドレナリン作用を有する。 ドパミン持続静注(2〜10μg/kg/分)はアドレナリンと併用、または単独で投与する。 患者の反応を見ながら投与量を調節する(titrate)。 (また)循環血液量を評価し、必要に応じて補液する.

グルカゴン

 1つの症例集積研究(LOE 5)10では、入院患者におけるアトロピンに反応しない 薬剤性(例えば、β遮断薬やカルシウムチャネル遮断薬の過量投 与による)症候性徐脈に対して、グルカゴンの静注(初期量 3 mg、その後必要に応じて 3 mg/hで持続静注) を行ったところ、心拍数、徐脈による徴候および症状が改善した。


■頻拍(Tachycardia)

 このセクションでは多種多様の頻拍性不整脈の治療法をまとめる。頻拍性不整脈の概略、頻拍の初 期評価、治療法のまとめの後に、頻拍の治療に用いられる一般的な抗不整脈薬について述べる。

頻拍性不整脈の分類

 頻拍は QRS波の形によって何通りかに分類される。 ACLSレベルの専門家は洞性頻拍、狭い QRS幅の上室性頻拍 (SVT)と広いQRS幅の頻拍とを認識・区別できなくてはならない。 (しかし)ACLSプロバイダーが上室性リズムと心室性リズムを鑑別し難 いことがあるので、ほとんどの広いQRS幅の頻拍が心室由来であると考えるべきである。

 狭いQRS幅でリズム不整の頻拍の多くは心房細動か心房粗動であり、またはMATの可能性もある。 心房細動や粗動の治療法については後出の "リズム不整の頻拍" で述べる。

頻拍の初期評価と治療法

 頻拍性不整脈の評価と治療法をACLS頻脈アルゴリズムに示す(図2)。本文のBox番号はアルゴリズ ム図中のBoxの番号に対応している。網掛けされた("screened")Box(Box 9,10,11,13,14のように 他と区別して薄字で書かれたBox)は、病院内または専門医に相談できる状況下で行われることを意 図した治療である。

 このアルゴリズムは脈拍を触知することができる頻拍患者の治療をまとめたものである(Box 1)。いかなる状 況であれ脈拍が触知できなくなった場合は、第7部2のACLS心停止アルゴリズム:"心停止の治 療"を参照すること。

 プロバイダーは気道確保や呼吸のサポートをし、酸素を投与し(Box 2)、リズムを確認するために 心電図をとり、血圧や酸素飽和度をモニターしながら患者の状態を評価しなくてはならない。 プロバイダーは可能なら静脈路を確保するとともに、頻脈の原因として是正可能なものがあるか調 べ、治療しなくてはならない。

 十分な酸素投与および気道や換気の管理にもかかわらず症状や症候が続く場合、プロバイダーは患 者が不安定か、心血管障害の徴候が頻脈に起因するものかどうかを判断しなくてはならない(Box 3)。患者が心拍数に関連した心血管障害の状態にあり、意識状態の変化、持続する胸痛、血圧低 下、その他のショック徴候などの症状や症候を呈している場合は、直ちにカルディオバージョンを行 う(Box 4 - 後述)。心臓病のない患者では、毎分150回未満の心拍数で重篤な症状や症候を呈する ことはまれである。心機能に障害がある患者や他に重篤な病態を抱えた患者では、より低い心拍数 でも症状を呈するかもしれない。患者が狭いQRS幅のリエントリー型SVTで不安定な状態であるな ら、同期カルディオバージョンの準備をする間にアデノシンを投与してもよい(Class IIb)が、薬剤 投与や静脈路確保のためにカルディオバージョンが遅れるようなことがあってはならない。

 頻脈を呈する患者が安定している(すなわち頻脈に起因した重篤な 症状や症候がみられない)場合は、プロバイダーには 12誘導心電図 をとってリズムを評価し(Box 5)、治療法を選択する余裕がある。 治療は時として有害にもなりうるので、安定した患者では専門医に相談できるまで待ってもよい (may await expert consultation)。

図2.ACLS頻拍アルゴリズム原図

訳者註:Box 13―原文は「Repeat as needed to maximum dose of 2.2g/24 hours」となっているが、「最大 2.2g/日までを必要に応じて反復投与」と訳した。


同期カルディオバージョンと非同期ショック(Box 4)

 同期カルディオバージョンとはQRS波に合わせて(同期させて)ショックを与えることである。 同期させることにより心周期の相対不応期(「受攻期(vulnerable period)」 と呼ばれることもある)に電気ショッ クを与え、VFを誘発してしまうのを避けることができる11。 同期カルディオバージョンに用いられるエネルギー(shock dose)は非同期シ ョックに用いられるエネルギー(すなわち除細動のためのエネルギー)よりも少ない。 低エネルギーの非同期ショックはVFを誘発する可能性があるので、低エネル ギーのショックは常に同期して行われるべきである。 カルディオバージョンが必要だが同期が不可能な場合 (患者のリズムが不整 なときなど)は、高エネルギーの非同期のショックを行う(除細動のエネルギ−量で)。

 同期カルディオバージョンは (1)リエントリーによるSVTで患者が不安定な場合、 (2)心房細動で患者が不安定な場合、(3)心房粗動で患者が不安定な場合の治 療として推奨される。 これらの不整脈はリエントリーすなわち脱分極波が回帰する 異常な副伝導回路(an abnormal rhythm circuit)によって生じる。 ショックはその回帰(リエントリー)パターンを遮断することにより、これらの不整脈(リズム)を止めることができる。 同期カルディオバージョンは不安定な単形性(規則的な)VTの治療としても推奨されている。

 可能ならカルディオバージョンに先立って静脈路を確保し、患者の意識があれば鎮静薬を投与する。 しかし(このことで)、カルディオバージョンが遅れることがあってはならない。 専門医に相談することも考慮する。除細動 およびカルディオバージョンについての詳細は「第5部:電気的治療」を参照のこと。

 心房細動のカルディオバージョンにおけるエネルギーは単相性波形の除細動器 では 100〜200 Jで開始する ことが推奨される。 二相性波形の場合は 100〜200 Jが妥当である。 2回目以降の電気ショックでは必要に応じてエネルギーを上げ る。

 心房粗動や他のSVTに対するカルディオバージョンは通常はより低いエネルギ ーでよい。50〜100 Jの単相性減衰サイン波形(MDS)で開始すれ ばほぼ十分である。 初回 50 Jで失敗した場合は段階的にエネルギーを上げて繰り返す12。 二相性波形を用いてカルディオバージョンをする際の、各種条件 を詳細に比較してエネルギー推奨量(detailed comparative dosing recommendations)を提案するにはもっと多くのデータが必要である。

 カルディオバージョンは接合部頻拍、異所性または多原性心房頻拍の治療には 有効ではないだろう。なぜならこれらの不整脈(リズム)は 「automatic focus」と呼ばれる、自発的に速い心拍数で脱分極する細胞群から の刺激が原因となっているからである。 通常はショックによりこのような不整脈(リズム)を停止させる ことはできない。 実際、速い「automatic focus」を有する心臓に対し 電気ショックを与えると、頻脈性不整脈の心拍数を増やして しまうことがある。

 心室頻拍(VT)に対するカルディオバージョンに要するエネルギー量は波形の性質や 心拍数によって決まる13。 単形性VT(波形も心拍数も規則的)で、患者の状態が不安定だが脈拍は触知できる場合は同期カルディオ バージョンを行う。 単形性VTを単相性波形によって治療する場合は、初回のショックを 100 Jで行う。 (そして)初回のショックに反応しない場合は、段階的 にエネルギーを上げて行く(例えば 100 Jから200 J、300 J、360 Jへと) この推奨は ECCガイドライン2000のときと同じである2。 特定の二相性波形を用いてVTを治療する場合に用いるべきエネ ルギー量を推奨するには、十分なデータがない。

 多形性VTで不安定な患者の治療はVFに準じて行い、高エネルギーのショック を非同期で行う(除細動のエネルギ−量で)。 まとまりのある(organized)心室調律の治療としては同期カルディオバージョ ンが好ましいが、多形性VTのようなある種のリズム不整な調律では同期させることが できない。 不安定な患者で、単形性であれ多形性であれ何らかの VTの疑いがあるなら、細 かなリズム解析にこだわってショックを遅らせてしまってはならない。その 場合は高エネルギー量の非同期のショックを行う(除細動のエネルギー 量で)。そのようなときはACLS心停止アルゴリズムに従うこと(「第7部2:心停止の治療」参照)

リズム整の QRS幅の狭い頻拍(Box 7、8、9、10)

洞性頻拍

 洞性頻拍は一般的で、通常、発熱、貧血、ショックのような生理学的刺激によ って起こる。 洞性頻拍は様々な刺激または交感神経刺激薬に反応して、洞結節の放 電回数が毎分100回以上になったときのことをいう。 特別な薬物治療は必要としない。 治療は原因となっている疾患(underlying cause)の診断とその 処置に向けられる。 心機能が低下しているときは、頻脈によって心拍出量が維持され ているかも知れない。 そのような代償性の頻拍では一回拍出量が限られているので、心拍数を 「正常化」することは有害かも知れない。

上室性頻拍(リエントリーSVT)

評価

 リエントリーSVTはリエントリー、つまり脱分極波が循環する異常なリズム 回路によって起こるリズム整の頻拍である。 この頻拍性不整脈はしばしば突然発症し突然停止することから、もともとは発 作性上室性頻拍 (PSVT)という名称が付けられた。 リエントリーSVTの心拍数は、P波が識別できるかどうかに無関係に、安 静時の洞性頻拍の上限とされる脈拍数(the typical upper limits of sinus tachycardia at rest)を超える(毎分120回以上)。 QRS幅が狭い(120ミリ秒(0.12秒)未満)場合、またはQRS幅が広い が変行伝導であるとわかっている場合、そのリズムは上室性起源であると考 えられる。 リエントリーSVTは、房室結節リエントリー性頻拍や房室リエントリー頻拍を 含んでもよい。

治療

迷走神経刺激(Vagal maneuvers)

 迷走神経刺激とアデノシンは、安定したリエントリーSVTを停 止させるために 選択されるべき第一選択の治療法である(Box 7)。 迷走神経刺激(バルサルバ手技、または頚動脈洞マッサージ)単独では、リ エントリーSVTの約 20〜25%が停止するだけ14であり、残 りの患者にはアデノシン治療が必要となる。 若い患者での安定したリエントリーSVTに関する 1編の研究(LOE 4)15がある が、(その中では)迷走神経刺激はたびたび不成功に終わっていた。

アデノシン

 リエントリーSVTが迷走神経刺激に反応しなければ、アデノシン 6 mgを急速 静注投与する(Class I)。 アデノシンは太い静脈(たとえば肘静脈)から 1〜3秒かけて急速投与し、 20 mlの生理食塩水で後押ししてその腕を挙上する。 1〜 2 分以内に心拍数がもとへ転換(convert)しなければ、 12 mgを一度に投与する。 初回の 12 mg急速投与が 1〜 2分以内に奏効しなければ、2回目の 12 mgボーラス投与をする。

 5篇の前向き非無作為化比較コホート試験(LOE 216;LOE 317-20) は、アデノシンが院内外のどちらにおいてもSVTの転換(converting)に 安全で有効であることを示した。 2篇の無作為臨床試験(LOE 3)17,21は、アデノシンとカルシウ ムチャネル遮断薬とで SVTの転換率は同程度であるが、前者はより早く 効き、重篤な副作用が少ないと報告している。 アミオダロンは誘発された持続するリエントリーSVTをほぼ 100%抑制するこ とができる(LOE 6)22

 アデノシンは妊娠中でも安全で有効である23。 しかしアデノシンにはいくつかの重要な薬物間相互作用 (drug interactions)がある。 テオフィリン、カフェイン、テオブロミンがかなりの血中濃度に達する患者で は、より多くの投与量が必要となる可能性がある。 ジピリダモールやカルバマゼピンを服用している患者、心臓移植後の患者、 あるいは中心静脈路から投与されるときは、初回投与量 を 3 mgに減量すべきである。 アデノシンの副作用はよく見られるが一時的である。その 中では顔面紅潮、呼吸困難、胸痛が最も多く認められる 24

 (アデノシン投与後に)リズムが転換したら(Box 9)、それはおそらくリエントリーSVTであ る。 再発に備えて患者をモニターする。そして再発に際しては繰り 返しアデノシンで治療するか、またはより長時間作用性の房室結節遮断 薬(たとえばジルチアゼムまたはβ遮断薬)で心拍数をコントロールす る。

カルシウムチャネル遮断薬とβ遮断薬

 アデノシンによるリエントリーSVTのリズム転換が成功しなかった場合には (Box 10)、第2の手段の薬剤として非ジヒドロピリジン・カルシウムチャン ネル遮断薬(すなわちベラパミルやジルチアゼム)またはβ遮断薬を用いて 心拍数のコントロール(rate control)を試みる(Class IIa)25-27。 これらの薬剤は結節組織への直接作用により、房室結節を通過する 伝導を遮断することで心房性不整脈による心室の反応を遅くさ せるか、または房室結節を介するリエントリーSVTを停止させる。

 ベラパミルとジルチアゼム(ベラパミルほどではないが)は心筋収縮力 を低下させて、重症左心不全患者の心拍出量を危機的なところまで減少させる可能性がある。 房室結節に作用するカルシウムチャネル遮断薬(ベラパミ ルとジルチアゼムを含む)は、早期興奮(Wolff-Parkinson-White[WPW]) 症候群に関連した心房細動や心房粗動の患者には有害と考えられる。 β遮断薬は肺疾患やうっ血性心不全の患者には注意して使用すべきである。

 ベラパミルは 2.5〜 5 mgを 2分かけて(高齢者では 3分かけて)静注する。 薬剤への反応がなくしかも副作用もなければ、5〜 10 mgを 15〜30分ごとに総 量 20 mgまで反復投与してもよい。 代替的投与法としては、5 mgを 15 分ごとに総量 30 mgまで静注する。 ベラパミルは QRS幅の狭いリエントリーSVTの患者、すなわち上室性起源であ ることが確かな不整脈にのみ投与すべきである。 心機能低下患者や心不全患者には投与すべきでない。

 ジルチアゼムは 15〜 20 mg(0.25 mg/kg)を 2分かけて静注する。必要なら、15分 以内に 20〜25 mg(0.35 mg/kg)を静注投与する。 維持量は 5〜15 mg/hで、心拍数をモニタ−しながら調節投与する(titrated to heart rate)。

 上室性頻拍性不整脈の治療にはさまざまなβ遮断薬を投与する ことができる。 さらに詳細な情報を以下に記載 する。 β遮断薬の副作用として徐脈、房室伝導遅延、低血圧を来たす可能性がある。

広いQRS幅の頻拍(Box 12、13、14)

評価

 頻拍の管理上最初のステップは、患者の状態が安定しているか不安定かを判 断することである(Box 3)。 不安定な患者で広い QRS幅の頻拍があれば VTと推定して、直ちにカルディオバージョンを行 う(Box 4と上述)。

 患者が安定している場合の 2番目のステップは12誘導心 電図を記録し、QRS幅(すなわち、狭いか広いか)を評価することである(Box 5)。 この時点でプロバイダーは専門医に相談する必要性について考慮する。 どの時点でも患者が不安定になれば、同期カルディオバージョンを実施する。 患者が心停止になったり、多形性 VTで不安定であれば、VFと同様に治療し、 高エネルギーの非同期性ショック(除細動と同じエネルギーで)を行う。

 広い QRS幅の頻拍とは QRS幅が 0.12秒以上の頻拍であると定義されている。 広いQRS幅の頻拍で最も一般的な形は以下のものである。

 頻拍の管理における 3番目のステップはリズムが整か不整か を判断することである(Box 12)。 リズム整の広い QRS幅の頻拍は、おそらく心室頻拍(VT)または変行伝導 を伴う上室性頻拍(SVT)である。 リズム不整の広い QRS幅の頻拍は、変行伝導を伴う心房細動、早期興奮型の 心房細動(すなわち WPW症候群を伴う心房細動)、または多形性 VTの可能性があ る。 多形性 VTはトルサードドポアンツ(以下を参照)である可能性がある。 広いQRS幅の頻拍を治療するとき、プロバイダーは専門医への相談の必要性 を考慮する。

リズム整の広いQRS幅の頻拍に対する治療(Box 13)(Box 13)

 広いQRS幅のリズム整の頻拍が SVTと考えられるとき、アデノシンが推奨される。 用量(6mg を急速静注、心拍数が変化しないときは続けて 12 mg、さらに 12 mg投与してもよい) は、リエントリー型 SVTと同じである(さらなる情報については上記参照)。

 単形性の(リズム整の)広いQRS幅の頻拍には、特に患者に症状(例えば 意識障害)があるとき、同期カルディオバージョンが治療と して適切である。安定した患者でリズムが VTと推測(identified as likely VT)された ら、抗不整脈薬の静注が効果的かもしれない。 抗不整脈薬を投与する場合は、アミオダロンが推奨される(Class IIa)。 (投与量としては)150 mgを 10分かけて静注する。さらに必要に 応じて 24時間で最大 2.2 gまで 反復投与する。QRS幅が広いリズム整の頻拍に対する代替薬はプロカ インアミドとソタロールである(以下を参照)。

 アミオダロンを支持するエビデンスは、本薬がショ ックや薬剤に反応しない VTの停止に効果があることを示した 3つの観察的研究 (LOE 5)28-30によってもたらされている。 (訳者註:一方、)ショックに反応しない VTの治療に水溶性ア ミオダロン(aqueous amiodarone)がリドカインより効果的であると、 1つの無作為化並列試験(LOE 2)31によって示唆された。 アミオダロン投与については、ショックに反応しないVF/VTの院外心停止例で、 プラセボ32やリドカイン33と比較して 生存入院率(生存退院率ではない)が改善することを示した研究から外挿さ れた(extrapolated)エビデンス(LOE 7)によっても支持されている。

リズム不整の頻拍

心房細動と粗動

評価

 リズム不整のQRS幅の狭いもしくは広い頻拍は、制御不能な心室反応を伴う 心房細動である可能性が最も高い。 他の可能性(diagnostic possibilities)としては 多源性心房頻拍(MAT)がある。 患者が安定していれば 12誘導心電図を記録し専門医に相談す ることが推奨される。

治療

 (訳者註:リズム不整の頻拍の)管理(Box 11) では、速い心室速度を制御する(心拍数コントロール)ことと、血行動態的に不安定な 心房細動を洞調律に転換する(リズムコントロール)ことに集中する。 心房細動が48時間以上続いている患者では心臓塞栓症 (cardioembolic events)の危険が増しており、リズムコントロール 前にまず抗凝固療法を行う。 患者が不安定でない場合や、経食道的心エコーで左房内血栓が無いとの記録がない場合には 、電気的または薬物的カルディオバージョン(正常洞調律への転換)は行わない。

 マグネシウム(LOE 3)34、ジルチアゼム(LOE 2)35、そしてβ遮断薬(LOE 2)36,37は、病院前(LOE 3)38でも院内でも、速い心室反応を伴う心房細 動の治療において、心拍数コントロールに有効であること が示されている。

 イブチリドとアミオダロン(LOE 2)39-41は院内での心房細動の治療 において、リズムコントロールに効果的であることが示され ている。

 まとめとして、早い心室反応を伴う心房細動の患者には、専門 医への相談と、ジルチアゼム、β遮断薬もしくはマグネシウムによる初 期の心拍数コントロールをすることが推奨される。 プロパフェノン、フレカイニド、ジゴキシン、クロニジン、もしくはマグネ シウムは、心房細動が48時間以内の患者のリズムコントロールに考慮 することができる。

 心房細動を発症する前に早期興奮症候群と判明した場合(すなわち、デルタ 波、WPWの特徴が正常洞調律の間に見られる)は、専門医に相談するのがよい。 アデノシン、カルシウムチャネル遮断薬、ジゴキシンといった 房室結節遮断薬(β遮断薬もこれに準じる(possibly β-blockers)) を早期興奮型の心房細動や心房粗動に使用しない(Box 14)。これらの 薬剤は心房細動の速い心房波によって、心室反応の逆説的な増加を引き 起こすことがあるからである。

多形性(リズム不整な)VT(Box 14)

 多形性(リズム不整な)VTは悪化して 心停止となることがあるので迅速な治療が必要である。 プロバイダーは不整脈管理の専門医に相談することを考慮する。

 再発性の多形性VTに対する薬物治療は、洞調律の間のQT延長の有無によって決まる。 洞調律の間にQT延長が確認されたら(その場合、そのVT はトルサードドポアンツである)、まず QTを延長すると知られている薬剤を中止する。 (また)電解質異常や他の急に生じた異常(acute precipitants)(例 えば薬物過量服用や中毒−第10部2:「救急心血管治療における中毒学」参照)を補正する。

 マグネシウムはトルサードドポアンツ VT(QT延長を 伴う多形性 VT)の治療に一般的に使用されるが、QT延長 患者に効果があることを示した、たった 2つの観察的研究(LOE 5)42,43に よって支持されているだけである。 1つの成人症例集積研究(case series)(LOE 5)44では、イソプロテレノー ルか心室ペーシングが徐脈や薬剤起因性QT延長に関連した トルサードドポアンツを停止させることに有効である可能性が示された。 マグネシウムはQT時間正常の多形性VTには有効ではなさそうだが(LOE 5)43、アミオダロ ンは有効かもしれない(LOE 4)45

 多形性VT患者が不安定もしくは不安定になってきたら(すなわち、意識レベ ルの変化、低血圧、または重度の肺水腫など他のショックの徴候が現れる)、 高エネルギー(すなわち除細動と同量)の非同期性ショックを与える。 まとまりのある(organized)心室調律には常に同期カル ディオバージョンが望ましいが、一部の不整脈では同期させることができない。 多形性 VTでは QRS波が多彩な形状を呈する ことやリズムが不整脈であるため、QRS波に正確に同期させることが困難 または不可能となる。 経験に基づく良い判断法(a good rule of thumb)としては、視覚的にそれぞれの QRS波 に同期できなければ除細動器も同期できないというものがある。

 不安定な患者で単形性か多形性のVTがあることに疑いの余地 がなければ、(訳者註:治療担当者が)詳細なリズム解析 をすることでショックを遅らせてはならず、(訳者註:速やかに)高エネルギー (すなわち除細動と同量)の非同期のショックを与える。 最近の研究により、最初のショックには二相性切断指数波形 (biphasic truncated exponential waveform)150〜200 J、 または矩形性二相性波形(rectilinear biphasic waveform)120 Jを選択し て使用することが妥当であることが確認されている。 2回目とそれに移行の二相性ショックは、最初のショックと同量またはより高 いエネルギーで行う(Class IIa)。プロバイダーはその二相性機器固有のエネルギー量を使うことになる が、デフォルトのエネルギー量は 200 Jである。 単相性除細動器を使用する場合、全て非同期にして 360 Jで行う(さらなる 情報は第5部「電気的治療:自動体外式除細動器、除細動、カルディオバージ ョン、ペーシング」を参照)。 低エネルギーでのショックを非同期設定で行うとVFが誘発される可能性 が高いため、これらの非同期ショックは低エネルギーでは行わない。

 ショックを行った後、ヘルスケアプロバイダーは直ちに CPR(胸骨圧迫から 開始)を行い、また心停止であれば ACLS心停止アルゴリズムに 移行する準備をする。さらなる情報 は第7部2「心停止の管理」を参照。


■抗不整脈薬

アデノシン

 アデノシンは房室結節や洞結節の活動を短時間抑制する内因性のプリン体ヌクレオシドである。 アデノシンは以下の適応に対して推奨される。

アミオダロン静注

 静注アミオダロンはα、βアドレナリン遮断作用だけでなく、ナトリウム、カ リウムおよびカルシウムのチャネルに対する複合的効果を持つ薬物(a complex drug with effects on ・・) である。アミオダロンは以下の適応に合う頻脈性不整脈 に推奨される。

 10分かけて 150 mgのアミオダロンを静注し、続けて毎分 1 mgで 6時間点滴し、そ れから毎分 0.5 mgで 18時間持続静注する。 再発性あるいは抵抗性の不整脈に対して、メーカー推奨の1日最大 静注量(a maximum manufacturer-recommended total daily IV dose)の 2.2 gまで、 必要に応じて 10分毎に 150 mgを追加投与できる。 125 mg/hを 24時間で(総量3g)という比較的高用量のアミオダロンが心房細動患 者に効果的であったことを 1編の研究は述べている41。 心機能が著しく低下(severely impaired)していること がわかっている患者では、心房性、心室性不整脈に対して使われる他の抗不整 脈薬に比べて、アミオダロンの静注がより望ましい。

 アミオダロンの主要な副作用は低血圧と徐脈であり、これは薬剤の注入速度を 緩徐にすれば避けることができる。

カルシウムチャネル遮断薬:ベラパミルとジルチアゼム

 ベラパミルとジルチアゼムは非ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル遮断薬 で、房室結節における伝導を減速させ、不応期を延長させる(increase refractoriness)。 これらの作用により、リエントリー性不整脈を停止させ、様々な心房性頻拍 の心室応答頻度がコントロールされるかもしれない。 これらの薬剤は以下の 状況に適応がある。

 ベラパミル静注は狭い QRS幅のリエントリー性上室性頻拍を停止させるのに効 果的であり、かつ心房細動における心拍数コントロールにも使用できる。 ベラパミルの初期投与量は 2.5〜5 mgで、2分かけて静注する。 治療効果も薬剤に起因する副作用もない場合は、5〜10 mgの投与を 15〜30分 間隔で繰り返し、総量 20 mgまで投与できる。 他の方法としては、5 mgを 15分間隔で総計 30mgまで投与する。 ベラパミルは狭い QRS幅のリエントリー性頻拍もしくは上室性の起源であること が確かめられている不整脈にのみ、投与するべきである。 心機能低下、または心不全の患者には投与すべきではない。

 ジルチアゼムは 0.25 mg/kg、さらに続けて 0.35 mg/kgを投与す ると、ベラパミルと同等の効果となるようである25-27。 ベラパミルと、程度はそれほどでもないがジルチアゼムは、心筋収縮力を抑制 し、重度の左室機能不全患者では心拍出量を危険なまでに減少させる可能性が ある。 房室結節に作用するカルシウムチャネル遮断薬(例:ベラパミル、ジルチ アゼム)は、早期興奮(WPW)症候群 であることが判明している患者の心房細 動や心房粗動に投与すると有害であると考えられている。

βアドレナリン遮断薬

 β遮断薬(アテノロール、メトプロロール、ラベタロール、プロプラノロー ル、エスモロール) は、循環しているカテコラミンの効果を抑制し、心拍数 や血圧を低下させる。 これらの薬剤は急性冠症候群患者に対する、様々な心保護効果も持っている。 これらの薬剤は、急性の頻脈性不整脈に対しては以下のような状況における 心拍数のコントロールに適応がある。

 アテノロール(β1)の推奨投与量は、5 mgの緩徐静注(5分かけて)である。 不整脈が上記初回投与の 10分後も続いて おり、かつ初回投与後 も心機能が十分に維持されているなら、2回目の 5 mg緩徐静注(5分かけて)を行う。

 メトプロロール(β1)は、5 mgを 5 分間隔で総計 15 mgまで緩徐に静注/骨髄内投与する。

 代替薬はプロプラノロール(β1およびβ2遮断薬)で、 0.1 mg/kgを 3等分して 2〜3分間隔で緩徐に静注する。 投与速度は1mg/minを超えないようにする。必要なら、総投与量を投与した 2分後に投与 を繰り返してもよい。

 静注エスモロールは短時間作用性(半減期 2〜9分)のβ1選択性β遮断薬であ るが、まずは 500μg/kg(0.5 mg/kg)を 1分かけて静注し、続いて毎分 50μg/kg (毎分 0.05mg/kg)を 4分間注入し、総量 200μg/kg投与する。 効果が不十分である場合は、追加量 0.5 mg/kgを 1分かけて投与し、維持投与量 を毎分 100μg/kg(0.1mg/kg)に増量する(最大注入速度は毎分 300μg/kg(0.3mg/kg)。

 β遮断に関連した副作用としては徐脈、房室伝導遅延、低血圧がある。β アドレナリン遮断薬治療後の心血管系代償不全や心原性ショックはまれな合併症 である。βアドレナリン遮断薬使用の禁忌は II度および III度の房室ブロック、 低血圧、重度のうっ血性心不全、気管支痙攣を伴う肺疾患である。これらの薬剤 は、既知の早期興奮(WPW)症候群に合併した心房細動や心房粗動の患者に投与す ると有害である可能性がある。

イブチリド(Ibutilide)

 イブチリドは短時間作用性の抗不整脈薬で、活動電位時間を延長させ、心組織の不応期を延長 させることで作用する。この薬剤は以下の状況で使用されてよい。

 イブチリドは比較的短期間の心房細動や心房粗動の薬理学的なカルディオバー ジョンに対しては最も効果的であると思われる。 イブチリドは体重 60 kg以上の成人では、1mg(10ml)を希釈してあるいは希釈 しないで、10分かけて静脈内投与する。 最初の量で不整脈の停止に成功しなかったら、10分後にさらに 1 mgを同様の速 度で投与してよい。 体重60kg未満の患者では、初期投与量として 0.01 mg/kgが推奨されている。

 イブチリドは血圧や心拍数にはわずかな影響(minimal effects)があるのみである。 本薬の重大な問題(major limitation)は、比較的高率におきる心室性不整脈(多形性 心室頻拍、トルサードドポアンツ(Torsades de pointes)を含む)である。 投与の前に高カリウム 血症や低マグネシウムを補正する。 イブチリドを投与される患者は、投与時とその後最低 4〜6時間は不整脈 が起こらないか持続的にモニターする。 イブチリドは投与前の QTc(baseline QTC) (心拍数で補正したQT間隔)が 440ミリ秒を超える場合は禁忌である。

リドカイン

 リドカインは、心室の異所性活動、心室頻拍、心室細動の治療に使用できる多くの抗不整脈薬の うちのひとつである。 現時点では、心室頻拍を停止させるためには他の薬の方がリドカインよりも 優れているという信頼性のあるエビデンスが ある46。 リドカインは以下の状況で考慮されてもよい(第一選 択薬とは考えられてはいないが)。

 初期投与量は 0.5〜0.75 mg/kgの範囲であるが、1〜1.5mg/kgまで増量して使用 してもよい。5〜10分毎に 0.5〜0.75 mg/kgずつを繰り返して、最大総計 3 mg/kgまで投与する。 維持投与量として 1〜4 mg/min(毎分30〜50μg/kg)を用いてもよい。 中毒反応や副作用としては、呂律障害、意識障害、筋攣縮、痙攣、徐脈が挙げられる。

マグネシウム

 マグネシウムは心停止のいかんを問わず、トルサードドポアンツ型心室頻拍の治 療に推奨されるが、これ以外の波形による心停止(non-torsades pulseless arrest) の治療に関しては有用であることは示されていない。 マグネシウムが速い心室応答のある心房細動患者の心拍数コン トロールに効果的である(LOE 3)34ということが、 低レベルのエビデンスではあるが示唆されている(LOE 2)40ので、こうした不整脈に対して考慮してもよい。

 硫酸マグネシウムの 1〜2 gを 5%糖液で希釈し、5〜60分かけて投与する。 安定している患者ではゆっくり投与するのが望ましい。 不安定な患者ではより急速に投与してもよい。

プロカインアミド

 塩酸プロカインアミドは心筋組織における伝導を遅らせることによって、 心房性および心室性の不整脈を抑制する。 1編の無作為試験(LOE 2)47は、自然に発生した心室頻拍を停止させること においてプロカインアミドがリドカインより優れていることを 示唆している。 プロカインアミドは以下の状況で(訳者註:投与を)考慮してよい。

 塩酸プロカインアミドは心室細動や心室頻拍性心停止以外の 不整脈に対し(for non-VF/VT arrest、訳者註)、不整脈が消失したり、 低血圧やQRS幅開大(投与前の50%以上)を来たさず、投与量総計が 17 mg/kg (70kgの患者で 1.2g)に達さなければ 20 mg/minで投与してよい。 本薬をボーラス投与すると中毒濃度に達したり、重篤な低血 圧を起こす可能性がある。 また本薬の維持投与は、5%糖液または生理食塩水 で希釈して 1〜4 mg/minで行う。 腎不全がある場合は減量する。

訳者註:原文は以下のようになっている。恐らくは著者の記載間違いと 考えられ、著者の本来の意図を汲んで上記のように意訳することとした。
Procainamide hydrochloride for non-VF/VT arrest may be given in an infusion of 20 mg/min until the arrhythmia is suppressed, hypotension ensues, the QRS complex is prolonged by 50% from its original duration, or a total of 17 mg/kg (1.2 g for a 70-kg patient) of the drug has been given.

 プロカインアミドは、すでに QT延長が認められている患者では注 意深く投与する。 一般的には、たとえどのようなことがあったとしても QT間隔を延長させる薬 剤とともに投与する場合は注意しなくてはならない(専門医に相談することを 考慮する)。 プロカインアミドを投与する間は心電図と血圧を持続的にモニターする。

ソタロール

 ソタロールは第一選択の抗不整脈薬ではない。 塩酸ソタロールはアミオダロン同様、活動電位持続時 間を延長させ、心筋組織の不応期を延長させる抗不整脈薬である。 本薬には非選択的なβ遮断作用もある。 1編の無作為比較対照試験(LOE 1)48は、ソタロールがリドカインよりも 急性かつ持続性の心室頻拍をはるかに効果的に停止させ ることを示している。 この薬剤は専門医との相談の上、以下の状況で 使用する。

 ソタロールの静注は通常 1〜15 mg/kgを単回投与し、それから 10 mg/minで持続投与する。副作用として は、徐脈、低血圧、不整脈がある。 心室頻拍の治療としてのソタロール単回投与後に トルサードドポアンツが起きる頻度は 0.1%であると報告されてい る45。 比較的緩徐に注入する必要があるため、ソタロール静注の使用は限られたもの となっている。


■要約

 徐脈や頻脈の治療の目標は、血行動態が 不安定な患者をすばやく同定し治療することである。 症状のある徐脈のコントロールにはペーシングや薬剤、もしくは その両方が用いられる。 症状のある頻脈に対してはカルディオバージョンや薬剤、もしくは その両方が用いられる。 ALSプロバイダーは安定している患者は専門医の診察までしっかりとモニター し(closely monitor)、状態が悪化したら積極的に治療で きるように準備をしておく。


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