資料作成:2002年12月18日、四国がんセンター麻酔科 越智元郎
目次 (発信者の敬称は省略させていただきます)
From: "Kyoji Kimura"
Subject: [eml-nc2: 3686] 除細動の際の火災危険
Date: Sun, 29 Sep 2002 14:48:55 +0900
皆さん、こんにちは。
木村@桐生広域消防です。
AHAのHPのCurrents(Volume 13 Number 3 Fall 2002)からの話題です。
A Neglected Topic?
Danger of Fires From Defibrillation in an Oxygen-Enriched Atmosphere
見過ごされた話題?
十分に酸素化された環境下での除細動器からの火災危険。
もう既に読まれている方も多いと思います。
(訳ではありません)
除細動によって発生するアーク
燃焼をたすける支燃物(十分な酸素)
可燃物(寝具、毛布、紙、患者ガウン等)
火災の要素が重なった時に傷病者を死亡させるまでに発展する恐れがあります。
特に酸素についての認識に欠けることが沢山あります。
酸素を使用する救急現場、空気の流れのない閉鎖空間の救急車内等での除細動実
施の安全性は確保されているか再考する必要があるようです。
〜〜〜〜〜〜〜〜
桐生広域消防本部
木村恭二
From: 越智元郎
Date: Sun, 15 Dec 2002 22:43:34 +0900
Subject: [ACLS:2707] Re: 2706 心マの際の両手の置き方(除細動時の安全チェック
についても)
(中略)
〇除細動時の安全チェックの流れ
もう1点確認させてください。先月末に東京で開催された救急看護
学会で Mark Wallace氏+山梨大 田中先生の ACLSコースが開催され
ました。私はこの催しで2点印象に残りました。
1)救急看護学会は「看護師は医師の到着までに AEDによる除細動を
(緊急避難として、あるいは医師の包括的指示により)実施できる」
という前提をお持ちのように感じました。このことはまだ社会的に話
を詰めてゆかないといけない段階だとは思いますが、わが国における
現実的な取り決めとしてよいと私も思いました。
2)ここからが本題です。除細動時の安全確認時、Wallace氏は
I am OK. → You're OK. → Oxygen OK. → Everybody(everything) OK. → 放電
と指導していました。海外での出来事ですが、人工呼吸していた人が
酸素が流れている呼吸バックを気管チュ−ブにつないだまま身体だけ
離れ、除細動をかけたところ、発火した・・とのことです。これを受
けてAHAでは最近「Oxygen OK.」のチェックも入れている・・という
ようなご説明でした。私は文書ではこの事実は把握していませんが、
田中先生もご存知のようでした。
この方法を今後の「広める会」のACLSコースに反映させるとすれば
方法は2つあると思います。
イ.「放電します、離れて下さい。1、2、3、放電」の「2」の意
味するものの中に「人工呼吸している人が患者から離れていること」
および「酸素が患者に流されていないこと」の2つの確認を含める。
ロ。「放電します、離れて下さい。1、2、3、4、放電」あるいは
「放電します、離れて下さい。私よし、あなたよし、酸素よし、
すべてよし、放電」と、きちんと酸素のことを意識させる確認法に
する(最近AHAはこの方式とか・・・?)
とりあえず今度の高知コースなどはイ.の方法でよいとは思いますが、
引き続き情報収集と方針決定が必要なような気が致しました。
参考:第4回日本救急看護学会ホームページ
http://jaen2002.umin.jp/schedule.htm
ワークショップII.今日のACLSの対応を学ぶ
Mr. Mark Wallace(EMS Japan)
以上です。それでは皆様、また。
Date: Mon, 16 Dec 2002 09:40:32 +0900
Subject: [ACLS:2708] Re: (除細動時の安全チェックについても)
From: "YAMAHATA, Yoshihiro"
越智先生、みなさん、こんにちは。山畑@飯塚です。
一言レスです。
oxygenについての討論はまた後ほどとして、
> イ.「放電します、離れて下さい。1、2、3、放電」の「2」の意
> 味するものの中に「人工呼吸している人が患者から離れていること」
> および「酸素が患者に流されていないこと」の2つの確認を含める。
>
> ロ。「放電します、離れて下さい。1、2、3、4、放電」あるいは
> 「放電します、離れて下さい。私よし、あなたよし、酸素よし、
> すべてよし、放電」と、きちんと酸素のことを意識させる確認法に
> する(最近AHAはこの方式とか・・・?)
最近の広める会コースでは、放電の瞬間にモニター波形を確認していること、
ということも強調していて、
「放電します、離れて下さい。1、2、3、モニター(ガチャ)」
とやっています。
「モニター」の言葉が入らないと、最終波形の確認が抜ける人が多いのです。
ですので、ロ。方式になると
「放電します、離れて下さい。1、2、3、4、モニター(ガチャ)」
「放電します、離れて下さい。1、2、3そ、モニター(ガチャ)」もあり?
******************
山畑 佳篤 YAMAHATA, Yoshihiro
麻生飯塚病院 救急部 ASO Iizuka Hp.
******************
From: "Hoei Hayashi"
Subject: [ACLS:2712] Re:除細動時の安全チェック&心マ
Date: Mon, 16 Dec 2002 11:49:36 +0900
林@岡大です。
山畑せんせいwrote.
> 「放電します、離れて下さい。1、2、3そ、モニター(ガチャ)」もあり?
これ、おもしろい・・・。
安全確認はとても大事だと思っていますが、放電するまでの時間がかかりすぎるのも
どうかと感じています。安全確認の説明のところで、“酸素に引火することもあるの
で気をつけましょう”ということを強調しておいて、“「1、2、3」の3は「酸素
の3」も含まれていると思ってください。”くらいの説明ではダメでしょうか?
(後略)
Date: Mon, 16 Dec 2002 14:22:40 +0900
From: "iwami taku"
Subject: [ACLS:2710] Re: 2706 心マの際の両手の置き方(除細動時の安全チェックについ
ても)
越智先生、・・先生、・・先生みなさん、こんにちは。
阪大石見です。
(中略)
除細動時の安全チェックの重要性については、救急医学会でお会いしたときに
滋賀医大の長谷先生からも教えていただきました。
ヨーロッパのALSコースを受講した際に安全確認をしつこく、指導され、酸素
をとおざけることも強調されていたということでした。
除細動時、バッグマスクは気道管理者の後ろにまわすようにしていたそうです。
実際に、着火例があったということなら、しっかり指導しておいたほうがよさ
そうですね。
酸素をとうざけるということでは、3連続ショックの間にむやみに換気だけし
ようとすることもとめたほうがいいのでしょうか???たいして効果は期待で
きない割りに、危険ですよね。
From: "小林 正直@大阪医大"
Date: Wed, 18 Dec 2002 08:52:13 +0900
Subject: [ACLS:2723] Re: 除細動時の安全チェックについても
越智先生,皆様,こんにちは。
小林正直@高槻ACLSコース@大阪医科大学附属病院救急医療部@one of ACLS大阪 MLお
世話係です。
・・消防の・・さんの指摘でPALS provider manualにこの記載があるということでし
たので,読んでみました。少々略しますが,以下のような記述です。
1. I'm going to shock on the count of four
One - I'm clear
2. Two - You're clear
3. Three - oxygen's clear
4. Four - everybody's clear
1.「4つ数えたら放電します、離れて下さい。」と宣言し,自分がベッド,患者に接
触していないか,パドルとモニターリード以外の器機が大丈夫かを見ます。
2.だれも触っていないことを確認します(気管チューブ,BVM,点滴係)
3.患者の胸部の上に高濃度酸素が流れているとスパーク・発火しますよ。
4.すべて大丈夫ならショックボタンを押して下さい。
....とこうなります。ちょっと今までの教え方と微妙に変わってきますね。
現在,大阪では
1:自分,2:BVM,3:患者の周囲360度,4:モニターと教えています。
このAHAの新しい記述に沿うなら,
「1:自分,2:BVM含め患者の周囲360度観察,3:酸素,4:モニターみてDon」です
ね。
ここから先はPALS PM 191のコピーです。ご興味の有る方はお読み下さい。
1. "I'm going to shock on the count of
four. One - I'm clear." Check to make
sure that you are not touching the pa-
tient, the bed or stretcher, or equipment
other than the paddle handles or elec-
trodes.
2. "Two - you're clear." Check to be sure
that no one is touching the patient or
equipment attached to the patient, such
as the tracheal tube, resuscitation bag,
and IV solutions.
3. "Three - Oxygen's Clear." Delivery of
a shock while high-concentration oxy-
gen mows across the patient's chest
might produce a small spark that could
ignite in an oxygen-rich environment.
4. "Four - Everybody's clear." Press the
SHOCK button to discharge the
defibrillator.
For the universal steps in operating a defib-
rillator, see Critical Concepts: "Typical
Defibrillation Sequence." For information
about labeling of defibrillator buttons,
see FYI: "Defibrillator Buttons."
Date: Wed, 18 Dec 2002 13:06:29 +0900
Subject: [ACLS:2728] 安全確認
From: Tomoyuki Endo
皆さん、こんにちは。東北大学救急部の遠藤です。
除細動時の酸素の確認に関しての議論がこれからと言うときだと思いますが、
さしあたって今週末にACLS東北コースを控えており、除細動時の酸素の確認
方法についてどう指導するべきか、ちゃんとした日本語の表現が無いような
ので、私たちのコースでは「1(自分)、2(換気の人&酸素)、3(みんな)、
モニター」でやってみようかと思っています。
そのほうがインストラクターの混乱を少なくできそうですので。
あと、皆さんのところでどのように指導されているかですが、パドルをあて
る前に「ジェルパッドを貼ってください(or パドルにジェルを塗ってくだ
さい)」という一言も義務づける予定です。コストの問題はありますが心マ
中滑らないように、パッドを推奨しようと思います。
********************************************
遠藤智之
東北大学医学部付属病院救急部
〒980-8574
宮城県仙台市青葉区星陵町1-1
********************************************
From: "Shin Tsuruoka"
Subject: [eml-nc2: 4535] Re: [eml-nc2: 4534] AHAのACLS指導:除細動時の安全チェック法に変更?
Date: Mon, 16 Dec 2002 00:14:19 +0900
越智さん、皆さん今晩は。鶴岡@取手協同です。
-越智さん-
> 2)ここからが本題です。除細動時の安全確認時、Wallace氏は
> I am OK. → You're OK. → Oxygen OK.
> → Everybody(everything) OK. → Shock!
> と指導していました。海外での出来事ですが、人工呼吸していた人が
> 酸素が流れている呼吸バックを気管チュ−ブにつないだまま身体だけ
> 離し、除細動をかけたところ、発火した・・とのことです。これを受
> けてAHAでは最近「Oxygen OK.」のチェックも入れている・・という
> ようなご説明でした。私は文書ではこの事実は把握していませんが、
> 田中先生もご存知のようでした。
AED使用時の発火に関しましては、確か以前桐生の木村さんより投稿があった
と思いましたが、AHA Currentsの2002年秋号の11〜12ページに詳しく載ってお
ります。
http://216.185.112.41/pdfs/Fall2002.pdf
********************************
鶴岡 信
取手協同病院 脳神経外科
〒302-0022 茨城県取手市本郷2-1-1
********************************
From: "滋賀医科大学・救急部 長谷貴將"
Subject: [acls-osaka:2786] Re: 安全で適切な除細動
Date: Thu, 19 Dec 2002 15:12:27 +0900
小林先生、石見先生
みなさん、こんにちは。
滋賀医大の長谷です。
安全な除細動に関する、救急医学会における私のコメントを覚えていただいてありがとう
ございます。
石見先生のご意見(メールより抜粋);
> >除細動時の安全チェックの重要性については、救急医学会でお会いしたときに
> 滋賀医大の長谷先生からも教えていただきました。
> >ヨーロッパのALSコースを受講した際に安全確認をしつこく、指導され、酸素
> をとおざけることも強調されていたということでした。
> >除細動時、バッグマスクは気道管理者の後ろにまわすようにしていたそうです。
> >実際に、着火例があったということなら、しっかり指導しておいたほうがよさ
> そうですね。
> >酸素をとうざけるということでは、3連続ショックの間にむやみに換気だけしよ
> うとすることもとめたほうがいいのでしょうか???たいして効果は期待でき
> ない割りに、危険ですよね。
>
> → 長谷先生は European Resuscitation Council(ERC)主催のACLS講習
> 会を受講されたのですね。このような形でAHA一辺倒でない情報収集
> をして、その結果 世界で一致していることについては積極的に採
> 用するという方針はとても良いと思います。
長谷の意見;
今春ERCのALS courseを受講した際、たいへん友好的な雰囲気のなかでも、除細動のブー
スだけはとっても真剣かつ緊迫した雰囲気であったことが印象的でありました。除細動操
作に問題のある受講生にたいしては、休み時間に別室で(本人のプライドを傷つけること
なく)やれるまで反復指導していました。インストラクターは、「もし評価中にpaddles
in the air(除細動後パドルを空中に持つこと)や片手で二つのパドルを持ったら、
certificationはあげることはできない。」と説明していました。
また、除細動の時、重要なことは酸素を遠ざけることです。さらに、ジェルパッドも葉
書大のメモ用紙で仮定として使用していました。
ERCの除細動の手順をコースマニュアルを翻訳しますと、
(1)心停止を確認する。
(2)心電図モニタによりVF/VTを確認する。
(3)除細動用のジェルパッドを患者の胸部に置く(コースではメモ用紙で代用)。
一つは右鎖骨下、もう一つは心尖部に。
(4)パドルをジェルパッドに押し付ける。
(5)適切なエネルギーを選択する。
(6)高流量の酸素が除細動領域に及ばないようにする。「酸素をはずして下さい。」と
いう。(コースでは、呼吸管理担当の助手がBVM、酸素マスクを背部に隠しながら一
歩下がる。)
(7)除細動パドルをチャージする。
(8)「みなさん下がって下さい。(Step back! Stand clear!)」と警告する。
(コースでは、目視にて自分の足もとも含めてベッド回り全体を術者の首も一周さ
せて確認していました。ゆっくりと首を一周させるところが重要で、決してone,
two,threeではありません。インストラクターはこの点を何度も強調していまし
た。)
(9)再度モニターでVF/VTを確認し、放電する。
(10)パドルを患者の胸部におき続ける。
(11)モニターでリズムを確認する。リズムに変化のある時だけ、助手が脈拍確認を行
う。
(12)もしVF/VTであれば、ステップ5-9に戻り、さらに2回の除細動に移行する。
チャージするのに時間がかかる場合を除いては、除細動の間にCPRを挟まない。
二回目と三回目の除細動の時、助手にエネルギーを上げるように依頼する。
三回目の除細動が終了したら、パドルを除細動器に戻す。
ERCの最終評価の主眼は薬物治療までのアルゴリズムを指示することではなく、それ以上
に安全な除細動操作ができるかどうかでした。「適切で安全な除細動ができるかの試験」
といっても過言ではないと思います。他の受講生に聴くとすべての評価に除細動操作が含
まれていましたから。
国際標準としてERCのACLSを体験し、大変納得したしだいです。この経験から本学の学生
臨床実習、研修医研修、また医師会の先生方への講習では、BLS+除細動については特に留
意しております。
日本救急医学会でも発言させていただきましたが、日本でも「効果的なBLSと安全で適切
な除細動」が広まるようACLSコースはあるべきだと考えます。
それでは。
Date: Fri, 20 Dec 2002 17:49:53 +0900
Subject: [acls-osaka:2795] 安全な除細動
From: "小林 正直@大阪医大"
ACLS大阪のみなさま
こんにちは。小林正直@高槻ACLSコース@大阪医科大学附属病院救急医療部@one of
ACLS大阪 MLお世話係です。
現在,安全な除細動を行う意味でマスク換気をしている酸素を遠ざけよう(若干でい
いと思います)という話題がでています。この話題は大事なことですが,最近大事な
ことが希薄化しているのではないかと思いましたので提言します。スパークを出させ
ないために通電ゲルを塗りしっかり圧着することの説明が希薄になっているように思
います。これは酸素よりもPriorityは上だと思います。
コースでは具体的に声を出させてはどうでしょうか?
「除細動します。」
「手袋してますか?。」
「通電ゲルを塗りしっかり圧着して下さい。」
「マスク換気の人は一歩さがって下さい。」
あとは,いままで通りでよいのではないかと思います。
=======================================================================
小林 正直
大阪医科大学附属病院救急医療部
〒569-8686大阪府高槻市大学町2番7号
救急医療部home page; http://www.osaka-med.ac.jp/deps/emm/index.htm
高槻ACLSコース; http://www.osaka-med.ac.jp/deps/emm/welcomeacls.htm