講義プログラムなど説明(白川教授)
全国各地の会場にお集まりの皆様、こんにちは。愛媛大学医学部・救急医学講座の白
川です。本日は、MINCS衛星講義にご参加いただき、ありがとうございます。
心停止に対する蘇生法の基本は、胸骨圧迫心マッサージと電気的除細動ですが、歴史
を振り返ると、1950年代から60年代のはじめにかけて、アメリカで実用的な技術とし
て確立されました。そのいずれにも大きな功績があったのは、Johns Hopkins大学で
電気工学を教えていたWilliam Kouwenhoven教授です。彼のチームは、もともと体外
式の除細動器を開発していたのですが、犬の実験の最中に、たまたま胸を圧迫すると
循環が維持できることを発見して、さっそく、その手技を20名の心停止患者に応用し
ました。この臨床実験は1959年から60年にかけて行われ、論文が発表されたのは翌
61年ですから、今から、わずか40年前の出来事です。
その後、陽圧換気を組み合わせた心肺蘇生法は、洗練された技術に育ったわけです
が、やがて、別の問題が現われてきました。すなわち、一般市民が行うことのできる
救急処置として、大衆化路線をひた走り始めたとき、個別の医療技術としてみるので
はなく、社会全体としてみると、どのような方法を普及させるのが最も効果的である
か、という戦略的な観点です。
本日の衛星講義「心肺蘇生法2001年の展望」には、そうした背景があることをご承知
ください。
講師をご紹介します。講演の順に、愛媛大学救急医学 越智先生、救急救命九州研修
所 畑中先生、九州大学災害救急医学 漢那先生、市立いちりつ秋田総合病院 円山
先生、最後に長岡技術科学大学 齋藤先生の予定です。時間が許せば講義の合間と最
後に、質疑応答の時間を設けますが、大学の間で画像を切り替えるのに、少し時間が
かかるようですので、講師と同じ会場からの質問を優先的にお受けします。
なお、この衛星講義の内容は、ビデオ録画やその貸し出し、オンデマンドでの配信を
含め、あらゆる形態で、教育・研究目的の再利用を許可する方針です。講義だけでな
く質疑応答や会場の映像なども同様に扱われますので、受講者の皆様も御承知くださ
い。
それでは越智先生から、始めていただきます。