小児の心肺蘇生法と ILCOR・AHA ガイドライン

(プレホスピタルケア 13: (6) 49-55, 2000)

守田 央1)、円山啓司2)、越智元郎3)、畑中哲生4)、小田 貢5)、生垣 正6)、若林 正7)

1)尼崎市消防局北消防署、2)市立秋田総合病院中央診療部手術室、3)愛媛大学病院医学部救急医学、4)救急救命九州研修所、5)医療法人真誠会、6)市立砺波総合病院麻酔科、7)東京大学大学院教育学研究科


 目 次


●はじめに

 院外で発生した心肺停止(Cardiopulmonary Arrest: CPA)患者を救命するためには、バイスタンダーによる心肺蘇生法(Cardiopulmonary Resuscitation: CPR)が特に重要である。そのため、消防機関など諸団体による積極的な心肺蘇生法の啓発活動や救急指令員による口頭指導などが実施されている。しかし、成人と較べて小児のCPA発生率は低いこともあって、小児のCPRの啓発活動を積極的におこなっている消防機関は依然として少ないのが現状である。 

 著者らは先に、主に成人を中心として、わが国はいかなるCPRのアルゴリズムを採用すべきかという観点から、国際蘇生法連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation: ILCOR)や アメリカ心臓協会(American Heart Association: AHA)のCPRガイドラインを比較しつつ紹介した1)。そこで本稿においては、小児(新生児を除く)に対するCPRに的をしぼり、「心肺蘇生法に関するILCOR勧告(ILCOR Advisory Statements)」2)と2000年8月22日に発表された最新のAHAガイドライン3)(以下AHA2000)を紹介するとともに、小児のCPRの指導における問題点について言及したい。


●小児の救命講習

 小児の院外でのCPAは、両親などの成人の目前で起ることが多く。それゆえ、小児のそばにいる成人がしっかりとCPRを身に付けておけば、救命できる可能性は高まるはずであり、出産を間近に控えた両親、育児をしている両親、保育関係者、教師、スポーツ指導者などはCPRを身につけることが必要である4)

 近年、「身のまわりの子どもたちを守るためにCPRを学びたい」という要望は、年を追うごとに市民の間にも広がっている。CPRの普及啓発を重要な使命とする諸機関は、小児に接する機会が多い市民に対して積極的に働きかけ、小児に的を絞った救命講習をおこなう必要がある。

 その際、指導にあたる者には、小児のCPRについて熟達していること、その処置や知識が世界的に認められた十分な科学的根拠(Evidence based Medicine: EBM)に裏付けられていること、受講者を引きつけ必要事項を確実に伝達できる指導技術を身につけていること、そしてさらに、常に広く最新の知見を求めていく姿勢が要求されるだろう。


●小児のCPAの特徴

 平成10年の厚生省の人口動態統計によると、全死亡者数は936,480人で、そのうち0〜9歳の死亡者数は7,033人(約0.75%)であり、他の年齢層に比べ小児の死亡率が低いことがうかがわれる。しかし、主な死因(表1)をみると、不慮の事故が1〜14歳の死因の第1位となっており、小児でCPRを要する例が少なくないことが推察される。また、0歳児の死因でも、乳幼児突然死症候群(SIDS)が第3位、不慮の事故が第4位となっており、乳児においてもCPRを要する例は決して少なくないと考えられる。

 成人のCPAは心原性による心停止が多いが、小児では、呼吸停止に引き続き心停止に至ることが多い2), 3), 4), 5), 6), 7)。小児の心停止は、呼吸機能の悪化やショックが進行した場合の終末像であることが多く、典型例では徐脈が進行し、PEA(pulseless electrical activity、電導収縮解離と同義)や心静止(asystole)へと至る2)。また、心室頻拍(VT)や心室細動(VF)の発生率は15%またはそれ以下と報告されている。小児が、心停止に至る前の、呼吸停止の状態で発見され治療されたならば、生存率は60〜70%であるのに対し、心停止で来院した場合の生存率は10%であるとの報告がある5)。したがって、小児の救命には早期除細動よりも、早期の気道確保や人工呼吸が重要である。

表1.小児の主な死因(平成10年厚生省人口動態統計より)

 

第1位

第2位

第3位

第4位

第5位

 0 歳

先天奇形等

呼吸障害等

SIDS

不慮の事故

出血性障害等

1〜4 歳

不慮の事故

先天奇形等

悪性新生物

肺炎

心疾患

5〜9 歳

不慮の事故

悪性新生物

先天奇形等

肺炎

その他の新生物

10〜14 歳

不慮の事故

悪性新生物

自殺

心疾患

先天奇形等


●ILCORとAHAガイドライン

 わが国でのCPRの指針はAHAの1992年ガイドライン(以下AHA1992)9)にもとづいて定められている。しかし、指導内容は、市民に応急手当を指導している各種団体間でいくつかの違いが認められる10)

 AHA1992の発表を契機に、世界共通のCPRガイドラインを策定することを目的に、AHAを中心としてILCORが組織され、その成果として1997年にILCOR勧告が発表された8)

 筆者らが所属する日本救急医療情報研究会では、それまでほとんど知られていなかったILCOR勧告を国内で普及させたいと考え、電子メールの同報機能を利用した一種のフォーラムである「救急医療メーリングリスト(eml)」11)において翻訳版を作成し、AHAおよびILCORの了解のもとに、インターネットのホームページ上で公開した8)

 1999年7月には日本心肺蘇生法協議会(Japan Resuscitation Council: JRC)が結成され10)、ILCORへの参加を求めたが、いまだ成し遂げられていない。

 2000年8月22日、AHAは8年ぶりに新しいCPRガイドラインを発表した。AHA 2000は、AHAとILCOR所属の各国のCPR研究者などが協力をして、EBMにもとづいて策定された。それゆえ本ガイドラインは実質的にCPRの新しい世界標準と目されている。わが国の前回のCPR指針が AHA1992を下敷きにしたことからも、今回わが国の関連組織が AHA2000をもとにして新しい指針を策定し、国内におけるCPR指導方針の違いを解消することが期待されている。


●ILCORとAHAの小児の心肺蘇生法

 それでは、AHA1992やILCOR勧告、そして最新のAHA2000のなかで、小児のCPRがどのように記載されているか、その要点について私見を交えて述べる。

1.年齢区分

 CPRの実施基準となる年齢はどのように区分されているのか。一般に新生児は28日まで、乳児は1歳未満、小児は1〜8歳とされており3)、8歳以上については成人と同様に実施する。しかし実際には、これらの年齢区分は患児の体格や救助者の体格や体力によりかなり左右されるものである。これらの年齢区分は、明確な線引きというよりは、目安として考えた方がよいであろう。

2.いつ通報するのか

 救助者が一人しかいないときに、意識のない傷病者に遭遇した場合、いつ通報するのがよいのだろうか。先にも述べたとおり、小児の場合、心停止の主原因は呼吸障害によるものである。したがってAHA1992では、小児の傷病者に対し救助者が一人しかいない場合には、大声で助けを求めた後、患児のそばを離れて救急通報に行く前に、1分間のCPRを実施するよう推奨している。

 ILCORでも、通信指令センターへの早期の連絡や除細動よりもむしろ早期の人工呼吸,早期のCPRに集中することが妥当であろうとしている。

 AHA2000でも同様であり、乳児(<1歳)と小児(1〜8歳)に対しては“phone fast”(「早く通報せよ」-通報前に1分間のCPR)、成人(≧8歳)には“phone first”(「まずは通報せよ」-CPRの前に通報)」を採用した。この例外として、心疾患の既往のある小児が突然虚脱した場合があり、「まず通報せよ」とされている。

 このように年齢により手順の違いがあることを知らない指導者は意外と多い。市民に対し年齢による手順の違いを実際に指導するか否かは別として、指導者には必須の知識である。

3.気道確保

小児の舌は口腔・咽頭と比べると比較的大きく、意識障害により容易に気道を閉塞させる4)。したがって小児の気道確保は極めて重要である。ILCORとAHA2000でも、従来どおり、頭部後屈あご先挙上法または下顎挙上法を推奨している。また、口腔内観察は、気道内異物が強く疑われる場合は優先されるが、盲目的な異物除去や口腔内異物が疑われない場合は口腔内をみても効果的でないとしている。なぜなら、気道の完全閉塞を引き起こしている異物は一瞥するだけでは普通見えないし、取り除く試みが逆に気管内へ押し込んでしまう可能性があるからである。

4.呼吸の評価

 呼吸の評価に要する時間は、AHA1992では3〜5秒であった。現在、われわれは通常5秒間と指導している。しかし一般市民が5秒間を数えようとすると短くなってしまうことがほとんどではないだろうか。

 これに対し、ILCORやAHA2000では10秒以内が採用された。脈拍の評価の項でも述べるが、AHA2000では一般市民のCPR手順の中から脈拍の触知が除外されている。このことからも、呼吸の評価の重要性が増していると考えられ、呼吸評価時間の延長は妥当であろう。

5.人工呼吸

 年齢により様々な体型を有する小児に対し、適切な換気量を数値的に表すことは困難である。そのため人工呼吸の呼気吹き込み量は患児の胸が上がる程度とされている2)

 AHA1992では、成人(≧8歳)に対する吹き込み時間は1.5〜2秒であるのに対し、乳児(<1歳)や小児(1〜8歳)では1〜1.5秒である。乳幼児の気道は狭いので、性急な吹き込みや、過量の吹き込みは胃膨満の原因となるため、食道を開かない圧力で、ゆっくりと適量を吹き込むことが重要である。

 これがAHA2000では吹き込み時間が成人(≧8歳)で2秒、小児(1〜8歳)で1.5〜2秒とされ、ゆっくりと時間をかけて吹き込むことがさらに強調された。

 乳児(<1歳)への人工呼吸の方法は、従来、口対口鼻人工呼吸が推奨されていた。しかし、救助者と患児の体格によっては口対口鼻人工呼吸が困難な場合もある。母親が1歳未満の乳児に人工呼吸をする際、口対口鼻人工呼吸が可能なのは7.8%であり、口対鼻人工呼吸が可能であったのは80.4%であったとの報告12)や、乳児は鼻呼吸が中心であることなどから、乳児には口対鼻人工呼吸を推奨している報告もある13)。ILCORでは口対鼻人工呼吸は適切であるとされ、AHA2000では口対鼻人工呼吸は乳児(<1歳)に人工呼吸をおこなう際の補助的な方法、もしくは口対口鼻人工呼吸に代わる方法として妥当であるとされた。指導者は口対鼻人工呼吸の指導についても考慮するべきであろう。

人工呼吸の回数は、乳児(<1歳)、小児(1〜8歳)とも毎分20回(3秒に1回)である2),3),4)

 AHA1992では、最初の呼気吹き込み回数を2回としていた。これに対しILCORでは2回の有効な呼気吹き込みができるまで最大5回まで実施するとした。しかし、AHA2000では従前の2回が採用された。ただし、少なくとも2回、明らかに胸部が挙上するような「効果的な吹き込みをおこなう」とされた。

6.循環の評価

 従来、循環の評価は、乳児(<1歳)では上腕動脈、小児(1〜8歳)では頸動脈における「脈拍の触知」によっておこなうこととされ、AHA1992では、評価に要する時間を5〜10秒としていた。しかし、一般市民が小児の脈拍の有無を確認するのは非常に困難であり、小児の心肺蘇生法手順における脈拍確認の必要性が疑問視されている2),4)。事実、成人の場合ではあるが、頸動脈の脈拍の有無を確認するためには5〜10秒よりもはるかに長い時間を要すること、95%の正確度に達するには30秒以上を要することが指摘されている2)。呼吸の評価の項でも述べたが、われわれが市民への指導に際して通常用いている「5秒間」はあまりにも短く、不確実であろう。

 ILCORでもすでに、循環の評価に際して、特に脈拍確認が強調されることはなく、「脈拍の触知を含む、嚥下運動や呼吸動作などの循環の徴候を10秒以内に探すこと」としていた。

 そしてついにAHA2000では、「一般市民に対しては脈拍の触知を指導しない」として、「正常な呼吸や咳、体動などの循環の徴候を10秒以内に探すこと」とされた。

7.心臓マッサージ

 ILCORでは、脈拍を触れない場合や、著しい徐脈の場合を心臓マッサージの対象としている。幼児期では1回心拍出量の増加を多くは望めないために、心拍数の上昇で心拍出量を補っている7)。すなわち、幼児期の心拍出量は心拍数に大きく依存している。そのため、著しい徐脈は心臓マッサージの適応となる2)が、「著しい徐脈」とはどの程度をいうのであろうか。AHA1992とILCORでは人工呼吸の後、脈拍を確認して脈が触れないときや脈拍数が60回/分以下で灌流不全の徴候があるときには心臓マッサージを開始するとしている。

 それでは、心臓マッサージの対象として「著しい徐脈」があることを、救命講習の受講者に指導する必要があるのか。先に述べたように、一般市民にとって脈拍の触知は非常に困難であり、「著しい除脈」ではさらに困難であることが想像できる。したがって、あえてこうした場合を指導する必要はなく、意識と呼吸がなく、脈拍や生命徴候が無い場合を心臓マッサージの適応と考えるのがよいと思われる。実際、AHA2000では徐脈についての教育は医療従事者に対してのみおこなうとした。

 AHA2000での圧迫部位は、乳児(<1歳)では乳頭ラインの1横指下、小児(1〜8歳)では剣状突起を避けた胸骨の下半分である。圧迫方法については、従来どおり乳児(<1歳)では指2〜3本、小児(1〜8歳)では片手で圧迫する。圧迫の深さは、胸部の1/3〜1/2の深さという表現にセンチメートルやインチによる距離を併記している。圧迫のペースはILCORでは成人から乳児までおおよそ100回/分であったのが、AHA2000ではAHA1992と同じく小児(1〜8歳)では「おおよそ100回/分」、乳児(<1歳)では「少なくとも100回/分」とした。

8.心臓マッサージと人工呼吸の比

 小児の安静時呼吸回数は1歳までは30〜40回/分、2〜5歳では25〜30回/分、5〜12歳では20〜25回/分であり7)、成人と比べるとかなり速い。しかも、小児の心停止の最も多い原因は呼吸障害であることを考慮すると人工呼吸が極めて重要である。したがって、心臓マッサージと人工呼吸の比に関してはILCORとAHA2000でも同じであり、乳児(<1歳)・小児(1〜8歳)については5:1である。

 なお、AHA2000では気管内挿管などの確実な気道確保がなされていない成人(≧8歳)に対しては、救助者が1人でも2人でも15:2に変更されている。

9.気道閉塞異物の除去

 気道閉塞異物、特に完全気道閉塞異物の除去方法には、背部叩打法、腹部圧迫法(ハイムリック法)、胸部圧迫法(心臓マッサージと同様の方法)がある。

 AHA1992では、気道閉塞を不完全閉塞と完全閉塞に分けて考えている。不完全閉塞ではいたずらに除去しようとせず励ましと観察をおこなう。完全閉塞に対しては乳児(<1歳)の場合には背部叩打法と胸部圧迫法の繰り返しを、小児(1〜8歳)の場合には腹部圧迫法を推奨している。さらに意識の有無に分けて、それぞれ手順が示されているのは興味深い。

 ILCORでは、胃内容物の気管内吸引や腹部内臓の損傷という危険性を考慮し、一次救命処置の処置の順序から腹部圧迫法が除かれた。腹部圧迫法は訓練を受けたものだけが小児(1〜8歳)以上に対しておこなう手技とされた。

 AHA2000で採用された異物除去の手技は、意識のある乳児(<1歳)には背部叩打法と胸部圧迫法の繰り返し、意識のある小児(1〜8歳)には腹部圧迫法である。そして、意識や反応のなくなった傷病者に対する異物除去手順は、一般市民へは指導しないこととした。意識や反応のなくなった気道閉塞の傷病者にはCPRをおこなう。異物除去に固執して救急通報やCPRの実施が遅くなることを避けるとともに、胸部圧迫法が腹部圧迫法と同等の効果がある3)ことなどが考慮され単純化された。

 わが国では食物、玩具などによる気道異物事例の頻度は高く14),15)、BLSのうち気道異物の除去は重要な手技である。また最近、掃除機による吸引法がおこなわれることがあるが、この方法の有用性や危険性についてはほとんど研究されていない。この方法を含め、それぞれの異物除去法の位置づけについて、わが国で確かなエビデンスが蓄積されることを期待したい。


●小児の事故等の予防

 先にも述べたように、平成10年の0〜9歳の死亡数は7,033人で、そのうち不慮の事故による死亡数は1,066人でありこの年齢層のおよそ15%である。特に0歳児を除いた1〜9歳では不慮の事故がおよそ30%を占めている。このように、小児のCPAは不慮の事故によることが少なくない。不慮の事故の多くは予防可能なものであるいといわれ、救命講習で小児の保護者などに対して、事故の予防についての知識を普及することが重要である。アメやこんにゃくゼリー、ピーナッツなどの食品、ブロックなどの玩具、また容器のキャップなどの生活用品など、小児の口の中に入るものは全て気道異物となりうる。また、数pの水が溜まっていれば溺水する可能性があり、風呂場、プール、池、川や海などの水との接触する場所は常に危険であるとの注意を喚起することが必要である。

 また、SIDSはうつぶせ寝・母親の喫煙などとの関係が指摘されており、うつぶせ寝をやめる・禁煙するなどの指導も必要である。

 AHA2000でも「乳児ならびに小児のCPAの防止」と題して1章を割き、様々な事故等を取り上げ、前指針以上に予防を強調している。わが国の小児を念頭においたCPR指導においても、同様の配慮が必要であることは言うまでもないことであろう。


●おわりに

 AHA2000が発表されたのを受けて、わが国でも自国の疾病構造や救急医療体制などの特性を加味した上で、新しいCPR指針を策定する必要がある。しかし、わが国の新指針が発表されるまでは AHA1992にもとづいた現在の方法で市民への普及をせざるを得ず、CPR指導の分野では一種の混乱期に入ることになる。CPRの指導にあたる者は市民に対して知識に裏打ちされた指導をおこなうために、AHA1992やILCOR勧告、そしてAHA2000を熟読し、現在の指針の根拠を再確認し指針における問題点や改善点などを検証することが望まれる。

  最後に、AHA2000での年齢別蘇生法一覧表を表2に示す。


表2.AHA2000における成人、小児、乳児の蘇生処置の比較

文献3を翻訳、一部改変)

    処  置             

成人・年長小児

(≧8歳)

小児(約1〜8歳)

乳児(<1歳)

意識がなければ救急通報

 

 

 

気道確保(頭部後屈あご先挙上法または下挙上法)

頭部後屈あご先挙上法(もし外傷があれば下顎挙上法)

頭部後屈あご先挙上法(もし外傷があれば下顎挙上法)

頭部後屈あご先挙上法(もし外傷があれば下顎挙上法)

呼吸の確認:(10秒以内で見て、聞いて、感じて)呼吸があれば、昏睡体位。呼吸がなければ効果的な人工呼吸を2回おこなう。

 

 

 

最初の人工呼吸

1回に2秒かけ2回の効果的な人工呼吸

1回に約1〜1.5秒かけ2回の効果的な人工呼吸

1回に約1〜1.5秒かけ2回の効果的な人工呼吸

その後の人工呼吸

12回/分

20回/分

20回/分

気道閉塞異物の除去

(意識がなくなればCPR)

腹部圧迫法

背部叩打法

胸部圧迫法

腹部圧迫法

背部叩打法

胸部圧迫法

背部叩打法と胸部圧迫法の組み合わせ

(腹部圧迫法はしない)

循環の徴候:10秒以内に正常な呼吸や咳、体動、脈拍*を確認する。循環の徴候があれば、気道確保と人工呼吸をおこなう。循環の徴候がなければ、人工呼吸の間に心臓マッサージをおこなう。

 

 

 

脈拍の確認*

頸動脈*

頸動脈*

上腕動脈*

圧迫部位

胸骨の下半分

胸骨の下半分

胸骨の下半分(左右乳頭を結ぶ線の1横指下)

圧迫方法

片手の手掌基部(もう一方の手は重ねる)

片手の手掌基部

片手の2本の指(救助者1人の場合)
医療従事者2人の場合は一人が両手で胸を丸く掴むようにして両親指で圧迫(もう一人は人工呼吸)

圧迫の深さ

約4〜5p

胸部の1/3〜1/2の深さ

(約2.5〜4cm)

胸部の1/3〜1/2の深さ

(約1.5〜2.5cm)

圧迫の頻度

100回/分

100回/分

少なくとも100回/分

心臓マッサージと人工呼吸の比率

15:2(気道の防御がない場合の一人法と二人法)

5:1(気道が防御された場合の二人法)

5:1(一人法と二人法)

5:1(一人法と二人法)


参考文献

  1. 守田 央、越智元郎、畑中哲生 他:世界標準の心肺蘇生法の紹介-国際蘇生法連絡委員会(ILCOR)-について.プレホスピタル・ケア 2000; 13: 54-60

  2. ILCOR Advisory Statements: Advisory Statements of the International Liaison Committee on Resuscitation
    http://www.americanheart.org/Scientific/statements/1997/049703.html

  3. Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care: International consensus on science: American Heart Association. Circulation 2000; 102(No.8)

  4. 古賀俊彦、福山尚哉(監訳):基礎的救命法(第1版).福岡:株式会社マルコ出版部、1997;6-1-17

  5.   古賀俊彦、福山尚哉(監訳):高度循環救命法(第1版).福岡:株式会社マルコ出版部、1997;1-73-82

  6. 杉山 貢、森村 尚登:小児のCPA.救急医学 1999;23:1833-9

  7. 田中哲郎、羽鳥文麿、鈴木康之、他:小児の心肺蘇生マニュアル.東京:日本小児医事出版社、1998;1-24

  8. ILCOR Advisory Statements(救急医療情報研究会による和訳)
    http://ghd.uic.net/99/ilcor.html

  9. American Heart Association:Guidelines for cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiac care.JAMA 1992; 268:2171-2302

  10. 越智元郎、畑中哲生、生垣 正、他:CPAとプレホスピタルケア-心肺蘇生法の普及-.救急医学 1999;23:1883-7

  11. 越智元郎、冨岡譲二、伊藤成治ほか:インターネットによる救急災害医療情報の伝達.ICUとCCU 2000;24:91-96

  12. 円山啓司 他:1歳未満の小児での口・口鼻人工呼吸は可能か.第24回日本救急医学会総会、1996年・抄録
    http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/GHDNet/98/i425sids.html

  13. 円山啓司:乳児の人工呼吸法. 小児科診療 2000;63:395-399

  14. 竹田 豊、越智元郎、畑中哲生、他;気道異物に対する市民による異物除去の現状について.日本臨床救急医学会雑誌 2000;3-1:106
    (参考:
    平成11年度自治省消防庁委託研究 報告書

  15. Harris CS. Baker SP. Smith GA et al :Childhood asphyxiation by food. A national analysis and overview.JAMA 1984;251(17):2231-5


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