東日本大震災及び地震による津波と福島第一原子力発電所事故に被災された方々にお悔やみ申し上げますとともに、速やかな復興を祈念いたします。



会長挨拶


  鍼灸術とはどのようなものなのでしょうか。
 むかし、黄帝は病に対して薬を飲んだり、メスで出来物を切ったりしないで、小さな鍼で人体の経脉の通りをよくしたり、気血を調えたり、ツボを使うことで、病を制御したいと、そしてその経典をつくりたいといいました。
 これは、小さな鍼やひとつまみの艾で身体のツボを使って、血液循環を良くしたり呼吸を楽にして栄養を身体のすみずみにまで亙らせ、自然治癒力や免疫機能を高めることで病を治す、という「もうひとつの」治療法なのです。
 例えば、中国の三国時代の名医華佗は鍼や灸も行いましたが、麻沸散という麻酔薬をつかって手術をする名人でもありました。病気になったら薬を飲む、出来物が出来たら切る、という行為は洋の東西に関わらず昔からありました。病んだ人を治そうとする思いは西洋も東洋も、そして昔も今も同じようです。
 しかし、鍼を体のツボに当て或いは刺し、米粒大の艾で灸をすることで、自分自身で発汗させたり、下させたりして治そうとする方法は鍼灸術しかありません。この何も足さない、何も引かない、体内で調和させるということで病に対処するというものこそ鍼灸術だと考えます。


2015年2月
古典鍼灸研究会(付脉学会)
会長 樋口陽一