世の中には、およそ100人に1人の割合でてんかんを持つ人がいると言われています。この数字を見ると、患者さんの多さに驚かれるかもしれません。ただし、てんかん患者さんのタイプは実にさまざまです。生まれると同時にてんかんの発作が始まる人もいれば、高齢になって初めててんかん発作を経験する人もいます。一生のうちに数回しか発作が起こらない人もいれば、毎日数百回の発作がある人もいます。

多くの人は、少量の薬をきちんと飲んでいれば発作が起きません。てんかん発作を抑える薬(抗てんかん薬)にはいろいろな種類があり、現在も新薬の開発が続けられています。しかし、抗てんかん薬も万能ではありません。残念ながら約3割の人では、薬をきちんと飲んでいるにもかかわらず、発作を止めきれないのです。また、薬の副作用がほかの人よりも強く出てしまうために、有効な抗てんかん薬を飲めない人もいます。

このサイトでは、このような薬剤抵抗性てんかん(難治性てんかん)に関する情報や治療法を、専門医が解説します。日本では患者さんの数に比して、てんかん専門医の数は限られています(専門医一覧はこちらから )。
薬剤抵抗性てんかんに対する外科治療を専門とする脳神経外科医の数はさらに限られています。一方、抗てんかん薬の処方はどこの病院でも、どの科の医師でもできます。このことは患者さんにとって、とても便利である反面、有効でない薬、時には有害な薬が漫然と処方され続ける危険をはらんでいます。薬を飲んでいるにもかかわらず止まらないてんかんの発作に悩んでいる方は、是非一度専門医を受診されることをお勧めします。

このサイトの情報が、難治性てんかんでお悩みの方やご家族にとって、少しでも助けになることを願ってやみません。

手術について

開頭手術によっててんかん焦点を取り除く方法は、難治性てんかんに対する治療法としてもっとも長い歴史があり、50年以上前から行われてきました。主に「脳の一部を取り除く」ことへの抵抗感から、1960〜1970年代には一時、世界的な退潮期がありましたが、手術の高い有効性や安全性の進歩により1990年代に入って再び世界的な普及にいたっています。手術前の焦点診断や手術技法は現在も日々進歩しています。東大病院では、機能的MRIや脳磁図、PETなど最先端技術を診断に取り入れ、「頭蓋内電極留置術」や「側頭葉切除術」、「焦点切除術」「脳梁離断術」などの古典的手術のみならず「半球離断術」「広範囲軟膜下皮質多切術」「海馬多切術」などの最新技法を取り入れて安全な手術を行っています。
>>詳細ページへ

迷走神経刺激療法

開頭手術による治療法が進歩する一方、最近では開頭手術を行わない治療法の開発も進められています。その代表が迷走神経刺激療法で、日本を除くほとんどの 国で、難治性てんかんに対する治療法として認可されています。日本での認可には早くともまだ数年はかかりそうな状況なので、東大病院では「医師個人輸入に よる研究医療」として患者さんの自己負担での治療を開始しました。そのほかにも、脳の深部や表面を電気刺激して発作を抑える治療、頭の外から磁気をあてて 発作を抑える治療、脳を部分的に冷却して発作を抑える治療などの研究開発が、世界的に進められています。
>>詳細ページへ

ガンマナイフ治療法

開頭手術を行わない別の治療法として放射線を利用したものがあります。その代表は、ガンマナイフなどの定位的放射線治療で、てんかん焦点に集中的な放射線 を浴びせて焦点を破壊する方法です。有効性と安全性のバランスがまだ開頭手術レベルに達していないため、世界的に受け入れられる状況にはなっていません が、今後の進歩が期待される方法です。
>>詳細ページへ

東京大学ホームページへ東京大学脳神経外科ホームページへ