公益社団法人 日本小児保健協会

日本小児連絡協議会 合同委員会

「子どもをタバコの害から守る」合同委員会
禁煙宣言

 私たちは、1999年12月の「小児期からの喫煙予防に関する提言」(日本小児科学会)をはじめとして、子ども達のための「タバコのない社会」の実現を目的に、提言あるいは宣言(*)を行ってきた。
  国際的には2005年2月WHOの「タバコ規制枠組み条約、FCTC=Framework Convention on Tobacco Control」が発効し、わが国もそれを批准している。国内においては2003年健康増進法が施行されたが、FCTCを遵守するためには、より実効性のある法的整備が求められている。
  わが国の喫煙率は年々低下しているが、医師を含めて保健医療福祉専門職の喫煙率は他の先進国に比べて未だに高い。そのような中で、日本小児連絡協議会「子どもをタバコの害から守る」合同委員会は、各自の喫煙問題に対する認識を更に高め、医療関係者として指導的な立場で禁煙推進に努めなければならないと考える。ここに今まで行われた小児科関連学会での提言・宣言の総括として、本合同委員会での議論を踏まえ、日本小児科学会・日本小児科医会・日本小児保健協会の会員は、社会に向けて禁煙に対する意思を発信するものである。以下に基本方針および具体的目標を示す。

<基本方針および具体的目標>

基本方針1:各会の役員・会員の禁煙を推進する。
(1) 各会会員の喫煙率を継続的に調査し、その結果を公表する。
(2) 今後5年間で会員の喫煙率の半減を実現する。
(3) 各会役員は、全員が非喫煙者であることを実現する。

基本方針2:各会及び学会関係機関が管理・運営する区域の禁煙を推進する。
(1) 各会総会その他の分科会等の会場施設は、懇親会等を含めて全面禁煙とする。
(2) 各会の会員が所属する機関(研究教育機関・病院・診療所)の禁煙化を実現する。
(3) 各会の会員及び関係機関を通じて、各種公共施設等の受動喫煙防止措置(無煙化)の推進に向けた普及・啓発媒体の提供等を行う。

基本方針3:喫煙と小児疾患の関連性についての研究発表を推進(奨励)する。
(1) 各会の総会では、毎年喫煙に関連する内容を含めたシンポジウム、教育講演あるいは市民公開講座などを行うように努める。
(2) 各会の総会では、各会に関わる領域における喫煙に関する研究、防煙教育・禁煙支援、受動喫煙防止に関する研究及びその発表を奨励する。

基本方針4:各会関連機関における禁煙教育の充実に努める。
(1) 各会会員が所属する機関(研究教育機関・病院・診療所)における医師・看護師など全ての職種の禁煙を実現する。
(2) 各会会員が所属する大学および教育関連施設における医学生・看護学生・保育学生などへの防煙教育の充実に努める。
(3) 各会会員が所属する大学での教育カリキュラムの中に体系化されたタバコの害に関する授業を組み込むように努める。

基本方針5:胎児期を含めた全てのライフステージにおける受動喫煙防止に努める。
(1) 各会に属する小児科医・産婦人科医は、妊産婦、小児および胎児の受動喫煙防止に積極的に努める。
(2) 各会会員は公共の場において子ども達が受動喫煙の害を受けないように環境整備を推進するように努める。
(3) 各会会員は未成年者がタバコ自動販売機やコンビニエンスストアから安易に買えるような環境を廃絶するために国や地方行政等に積極的に働きかけるよう努める。

2011年1月
社団法人 日本小児科学会
社団法人 日本小児科医会
特例社団法人 日本小児保健協会



参考(*)「子どもの受動喫煙を減らすための提言」(日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会、2002年1月)、「日本小児科医会の禁煙宣言」(2003年1月)、「未成年者の喫煙を無くすための学校無煙化推進」(日本小児保健協会学校保健委員会、2003年9月)、「禁煙推進に関する日本小児アレルギー学会宣言2004」(日本小児アレルギー学会、日本小児科学会、2004年11月)、「子どものための無煙社会推進宣言 」(日本小児科学会・日本小児科医会・日本小児保健学会合同委員会、2005年12月)