障害と生活機能の理解と説明のために、様々な概念モデルが提案されてきた。それらは「医学モデル」対「社会モデル」という弁証法で表現できるだろう。医学モデルでは、障害という現象を、疾病、外傷、もしくはその他の健康状態により直接生じた「個人的な」問題としてとらえ、専門職による個別治療といったかたちでの医療を必要とするものとみる。その場合、障害のマネージメントは、治癒あるいは個人のよりよい適応と行動変容を目標になされる。その主な課題は、医療であり、政治的なレベルでは、保健ケア政策の変更あるいは改革が主要な対応となる。一方、障害の社会モデルでは同じ現象を、社会によって作られた問題とみなし、主として障害を持つ人の社会への完全な統合の問題として見る。障害は、個人に帰属するものではなく諸状態の複雑な集合体であり、その多くが社会環境によって作り出されるものである。それゆえこの問題のマネージメントには、社会的行動が求められ、社会生活の全分野への障害者の完全参加に必要な環境の変更を社会全体の共同責任とする。従って、課題は、社会変化を求める態度上または思想上の課題であり、政治的なレベルにおいては人権問題とされる。一口で言えば、障害は政治問題となる。
ICIDH-2はこれらの2つの両極端のモデルの統合に基いている。生活機能の様々な次元の統合を行う上で、「生物・心理・社会的」アプローチを用いる。したがって、ICIDH-2は一つの合成を成し遂げ、それによって生物学的、個人的、そして社会的なレベルから成る健康のいろいろな次元の首尾一貫した見方を提供しようとするものである。
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上記の図示(Haruna)