研究テーマ − 研究紹介 《CT/MRI灌流画像解析法の比較検討》

研究の背景

CT,MRIによる灌流画像は,特殊な設備を使用することなく簡便に脳灌流情報が得られることから,急速に普及しつつある.灌流画像では,造影剤をトレーサとして静注しその動態を解析するが,解析のアルゴリズムはDeconvolution法が主体である.しかし,ひとことにDeconvolution法といっても,様々なヴァリエーションがあり,解析装置により異なっているのが現状である.これらの解析法にはそれぞれ得失があり,臨床に最適なアルゴリズムを模索する必要がある.

ASIST-Japan の取り組み

ASIST-Japanでは,多施設から提供された脳灌流データを,入手可能なほとんどすべての解析環境で解析し,アルゴリズムによるパラメータマップの差異を検討した結果,当初の予想を超えて大きなばらつきがあることを確認した [1,2].

同一症例のCT灌流画像データを,解析アルゴリズムが異なるA〜E各社のワークステーションで処理して得られたMTTマップ.左中大脳動脈領域の梗塞巣の範囲を含め,解析結果に大きなばらつきがある.


そこで,種々の解析アルゴリズムを理論的に検討した結果,造影剤の注入タイミングに影響されず,またノイズにも強いbSVD法(block-circulant singular value decomposition) [3]が最適と考えられ,各装置メーカーに本アルゴリズムの採用を働きかけている.


同一症例のCT灌流画像データを,解析アルゴリズムが同一(bSVD)のA〜C各社のワークステーションで処理し,さらにASIST-Japan推奨の標準LUT(a-LUT),および表示条件を用いて表示したCBFマップ.解析環境が異なっても,同等の解析結果を得ることができる.

典拠資料
1. Kudo K. Standardization of brain perfusion imaging. International Neuroimaging Symposium (Tokyo, June 2005)
2. Kudo K, et al. Various factors that affect image quality and quantitative value of CT perfusion. 90th Annual Meeting of RSNA (Chicago, November 2004)
3. Wu O, Ostergaard L, Weisskoff RM, et al. Tracer arrival timing-insensitive technique for estimating flow in MR perfusion-weighted imaging using singular value decomposition with a block-circulant deconvolution matrix. Magn Reson Med. 2003;50:164-74