救急医療メーリングリスト(eml)より

一次救命処置の指導法に関する疑問

(980909、neweml 4304)


関連資料1:第17回日本蘇生学会(980925)
 シンポジウムII「蘇生法の国際標準をめざして」
 ○臨時発言:わが国の一次救命処置指導法は標準化されているか?
    
発言内容と日本語スライド英文スライド
関連資料2:日本医師会への意見書(981120)

【1】気道確保の前に必ず口腔内異物確認?

   自治省消防庁救急救助課・監修の「応急手当指導者標準テキスト」(法令出版)により心肺蘇生法の手順では、意識の有無の確認、助けを呼ぶに続いて、「口腔内異物確認」と「気道確保」が入ります。


心肺蘇生法の手順

1)意識はあるか(ない)

2)助けを呼ぶ

3)口の中を調べる(異物がある)

4)異物を取り除く

5)気道確保

6)呼吸はあるか(ない)

7)人工呼吸―2回

8)脈はあるか(ない)

9)心肺蘇生―心臓マッサ−ジ15回、人工呼吸2回を繰り返す。

  (フローチャートの一部は省略させていただきました)

 この資料では「助けを呼ぶ」の後、「気道確保」の前に必ず「口腔内内異物の確認」を実施するように指導しています。 American Heart Association や日本医師会、日本赤十字社などの指導法では、必ずしも全例で「口腔内異物の確認」をするようには指導していないと思うのですが、如何でしょうか?

☆     ☆     ☆     ☆     ☆

【2】心マッサ−ジの前に人工呼吸4回?

 厚生省救急救命士教育研究会・監修「救急救命士標準テキスト」(改訂第4版、東京、1998年、p.215)によりますと、一次救命処置の手順は以下のようになっています。


一次救命処置手順のまとめ

a) 意識の有無の確認

b) 応援を求める

c) 呼吸を確認する

  1. 呼吸があれば昏睡体位をとらせる。

  2. 呼吸がなければ2回の人工呼吸をまず行う

d) 脈拍の確認

  1. 頸動脈を触知できればそのまま人工呼吸のみを続行

  2. 触知しなければ再度人工呼吸を2回した後、心マッサージを開始する。

 上記の指導法ですと、心肺停止患者さんの場合、最初の心マッサージを開始する前に人工呼吸を合計4回実施するかたちとなります。これも American Heart Association や日本医師会、日本赤十字社などの指導法(d-2.で脈拍を触知しなければ、人工呼吸でなく心マッサ−ジを実施する)とは食い違っており、市民の混乱を招く恐れがあると思いますが、如何でしょうか?

 各組織による一次救命処置の指導法が、できるだけ統一されたものであることを願い、問題提起をさせていただきました。

文責: 愛媛大学医学部救急医学 越智元郎gochi@m.ehime-u.ac.jp


「市民のための防災教育と情報公開」研究会

―980918、京都リサーチパークで開催― (980914、neweml 4340)


 山口大学理工学研究科環境共生工学 村上ひとみです。

 下記の研究会を9月18日(金)に予定しています。
 参加ご希望の方には場所の案内をファックスしますので、 アドレス
hitomi@earth.csse.yamaguchi-u.ac.jp 宛、FAX番号をお知らせ下さい。

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京都大学防災研究所・研究集会(10K-8)
被災者の自立と社会的支援に関する研究会

「市民のための防災教育と情報公開」

 地域安全学会の調査企画委員会・「被災者の自立と社会的支援」研究グループ では京都大学防災研究所の助成を受け、下記の研究集会を計画しています。  災害のリスクを低減するためには、市民が地域や住まいにひそむ危険要因につ いて良く理解し、生命や生活の保全について努力するとともに、行政も地域の危 険度や防災対策について市民にわかりやすく説明することが大切であると考えら れます。これは医療現場で近年重視されている「インフォームド・コンセント」、 すなわち、心身の病の状態と治療オプション・得失を医師が患者に良く説明し、 患者本人が治療法を理解して選択する、に模す考え方です。

 今回計画している研究集会では、阪神・淡路大震災から3年半を経て、市民防 災への取り組み、学校での防災教育の問題、仮設と被災者の現状を紹介していた だく一方、ひろく住安全教育と防災の関わり、地域行政担当者の理解を高めるプ ログラム等について話題提供を頂く予定です。

 災害後の被災者への支援と自立は大切な問題ですが、災害のサイクルという長 期的な視点から、事前の対策として防災教育と危険・防災情報の公開を進めて、 脆弱な被災者を減らす努力も重要です。この会が教育や行政担当者と研究者の自 由な討論の機会となりますよう、参加をお待ちしています。

日 時: 1998年9月18日(金)午後1時〜6時
場 所: 京都リサーチパーク(東地区サイエンスセンタービル)4階 中会議室A
     京都市下京区中堂寺南町17番地(Tel: 075-322-7888)
     JR山陰線丹波口駅徒歩5分

プログラム
  午後1時〜5時 話題提供(1題につき発表20分+質疑応答10分)
    5時〜6時 ディスカッション、総括

・大西一嘉(神戸大学)
         「3年目を迎えた仮設の現状−定点観測調査を通じて−」

・福岡三郎(神戸市市民局市民安全推進室)
         「安全と安心のまちづくり/神戸市の活動」

・數越達也(兵庫県立芦屋高等学校)
         「伝えよう大震災をホームページで」

・瀧本浩一(山口大学)
     「マルチメディアを利用した防災教育ソフトウエアの開発とその評価」

・ 塩野計司(長岡工業高等専門学校)
         「地域行政の防災担当者を対象とした地震防災技術の普及
                   −高専の社会人向け公開講座として」

・小坂俊吉(東京都立大学)
         「市民はこれまで防災情報をどう受けとめてきたか」

・石川孝重(日本女子大学)
         「住安全教育と防災教育」

・鈴木祥之(京都大学防災研究所)
         「住宅の検査制度と性能保証−市民の理解を高めるために−」

定員:  40名(当日先着順)

参加費: 無料

問合せ先:山口大学理工学研究科環境共生工学専攻 村上ひとみ
Tel&Fax: 0836-35-9988
E-mail: hitomi@earth.csse.yamaguchi-u.ac.jp
京都大学防災研究所・総合防災研究部門 鈴木祥之
Tel: 0774-38-4045 Fax: 0774-38-4055
E-mail: suzuki@zeisei.dpri.kyoto-u.ac.jp


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