救急医療メーリングリスト(eml)からの情報

Letter to the editor

電話帳に応急処置法の掲載を!

浜松医科大学救急部 吉野篤人

日本救急医学会雑誌 1996; 7 (7): 364

(971106、neweml 0455・関連資料)


 現在一般市民への応急処置法の普及が図られていますが、期待したほど成果が上がっ ていないとも聞きます。講習会でよく耳にするのは「忘れてしまいそうだ」「実際に できるのか白信がない」等の声です。つねに教科書が近くにあれば、講習会で学んだ ことを正確に自信をもってできるのではないでしょうか?

 また以前、消防署指令室か ら団子による気道閉塞の患者に対して、家人に電話でハイムリック法を指導したこと があります。しかし、言葉だけで処置方法を指導することに難渋しました1)

 上記のような点から応急処置法のマニュアルを各家庭に配布できたらと考えました。 それには電話帳(NTT、ハローぺ一ジ・タウンページ)の巻末が適していると思われます 。電話帳には次のような利点があります。

 1)発行部数が多い―ハローぺ一ジ・タウンページで合計1億2,159万5,000部(平成6 年度)

 2)家庭内での設置場所が比較的一定している。

 3)電話ボックスなどにもあり、屋外でも設置してある可能性がある。

 4)電話機の近くにあることが多いので、消防署指令室から指導する場合にも参照 しやすい。

 応急処置法の」般市民への啓蒙・普及が 最も重要なことですが、それを補助するものとしての電話帳へのマニュアルの掲載は 非常に有用なものになると思われます。『救急のときはl19番へ電話、そして電話帳 のいちばん後ろのぺ一ジをみる』という慣習ができれば、プレホスピタルケアの充実 につながるのではないでしょうか。

文献

1)吉野篤人, 青木克憲, 他:電話指導にて救命し得た気道閉塞の1例. 日本救命医 療研究会雑誌 1995; 9: 7−12

著者連絡先:〒431-31 浜松市半田町3600番地
      E-mail:yoshino@hama-med.ac.jp


* web担当者(愛媛大学 越智)からの追加(971107, neweml:0479)

 上記資料は筆者の了承のもとに、全文を掲載させていただきました。

 電話帳への救急処置法の掲載につきましては、前に吉野先生から救急医療メーリングリスト(eml)でも ご提案いただき好評をはくしました。これについては伊藤成治さん(東大阪市消防局) の「救急医療とコン ピュータ通信 http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/97/h527emn4.html#04」 (エマージェンシー・ナーシング 1997; 10 (1): 65-71) でも以下のように紹介されています。

  | 1 身近なものに応急処置の方法を
  |
  | もし,家族の誰かが急に倒れたとしたらどうなさいますか? ほとんどの
  |方は119番通報をすると思います.そんな時,身近に応急処置の方法が書かれ
  |たものがあったらいいと思いませんか? 電話の近くにあって,ほとんどの
  |家にあるわかりやすいもの.あなたは何を思い浮かべられるでしょうか.
  |
  | 私たちのメーリングリストで出た1つの答は「電話帳」です.
  |
  | 119番通報を受けた消防の指令室員が,的確に応急処置の方法をアドバイス
  |しようとする時にそれがあれば,もっと効果があると思います.そして,そ
  |れが救命に直結してくるのです.


電話指導にて救命し得た気道閉塞の一例

浜松医科大学救急部

吉野篤人、青木克憲、野木村 宏、藤田 信、北山康彦

(日本救命医療研究会雑誌 Vol 9: 7-12, 1995)


目 次

要 約  はじめに  症例提示
検 討  考 察   結 語
参考文献 質疑応答

電話帳に応急処置法の掲載を!」もご参照下さい。


 要約: 脳梗塞の既往があり、高血圧及び糖尿病にて通院治療中の65歳男性が、自宅にて団子 による気道閉塞をきたした。家人からの119番通報に対してHeimlich法を電話指導し 、家人が摘出に成功した。その後、救急車で二次救急病院へ搬送され、翌日には完全 に意識が回復した。第5病日退院し、退院後は以前と変わりなく日常生活をおくるこ とが可能となった。通話記録を振り返り、さらに退院後に、本人及び家人による状況 再現を行い、電話指導においてどの程度意図が正確に伝わったかを検討した。異物の 摘出には成功したが、実際に行われた処置は著者のイメージしたものとはやや異なっ たものであった。

 一般市民の応急処置の普及が遅れている我が国では、電話指導はprehospital careの充実につながると考える。

 Key Words: 電話指導、Heimlich法、Te1ephone (assisted) CPR,Dispatcher assisted CPR


はじめに

 自宅にて気道閉塞を来たした65歳の男性の家人からの119番通報に対して、消防署指 令室からHeim1ich法を電話指導し救命し得た一例を経験したので報告する。

症例呈示

1、症例

65歳、男性

2、既往歴

昭和63年:脳梗塞

平成元年:

嚥下障害のため耳鼻科を受 診し声帯の動きの軽度の不良を指摘された。高血圧、糖尿病にて近医通院中

3、現病歴

 平成5年10月25日、夕食前に団子を食べてい たところ、のどにつまり呼吸停止をきたした。家人が119番通報。

4、通話記録提示

当日著者は浜松市申消防署指令室にいた。以下は当時の通話内容である。(一部聞き取れない部分、省略した部分がある。)

(これ以前は聞き取れない)

[息子]…みたいなんですけど。

[指令室]お宅、**町何番地ですか?

[息子]****

[指令室]お名前は?

[息子]え一、****

[指令室]はい、ちょっと待ってください。場所を確認しますので。

[息子]大至急お願いします。

[指令室]呼吸はできてますか?

[息子]できてません。

[指令室]できてない! 取り除けないの? 異物は。呼吸できてないの?

[息子]え一、みたいです。

[指令室]だったらね一、後ろからね、抱きかかえて、おなかの部分 を1回ぐっと締め付けてみて下さい。それで取れないようでしたら…。

[息子]とりあえず来ていただけますか。

[指令室]救急車の方はもう隣で出してますから。電話 番号だけ教えてください。

[息子]***―****

[指令室]それじゃあ、おじさんいくつになる?

[息子]え一とね、67,8かな。

[指令室]大至急今言ったことを やってみてください。

[息子]分かりました。

《通報覚知より1分10秒経過》

(ここまでの通話内容からさらなる支援が必要と考えた著者は、電話を指令室よりか け直していただき、電話を通じて指導に当たった。)

[著者]**さんのお宅ですか? 取れましたでしょうか? 消防署ですが。

[息子]あ一っ、取れない。だめ、もう。

[著者]救急車向かってますので努力しましょう、もう一度。いいですか? 後ろから 抱きかかえて…。

[息子]おなかをボンボンたたくんですよね?

[著者]たたくんじ ゃなくて、抱きかかえてますか?抱きかかえたらですね、締め上げて上へぐいっと引 き上げるように。あなたは体の後ろへ回ります。おへそのあたりで手を組みます、あ なたは手をね、わかりますね、抱きかかえて、そして少し上へ、締め付けるように斜 め上へ自分の方へ締め付けながらぐいっと締め上げてください。

[息子]おなかを…。はいはい、わかりました。

[著者]電話をつないで、そのままつないで頑張ってやってみてください。

[息子]そのままつないで?

[著者]ここで待ってますから。やりにいってください。

[息子→現場]え一とね一、おなかをちょっと、後ろから抱きかかえて、呼吸がない な一もう。

[息子]だめだそうです。

[著者]頑張れ頑張れ。今止まったばかりでし ょう? 5分以内なら大丈夫だから。

[息子]あ、ホントに?

[著者]頑張ってみまし ょう。(一部省略)

[息子]女の人がやってるもんだから、自分がやりにいくから。

[息子→現場]ちょっと電話出てくれる?(施行者が交代)

《3分30秒経過》

[著者]もう少し詳しく話しを聞かせてください。男の人、やりにいったんですね。

[夫人]お団子食べてて、のどにつかえて、ブヒン、ブヒンやってたもんで。いつも よくつっかかるんで“またかな一”と思っていたんだけど、今度はもう手のひらも真 っ白になってきて…。

[著者]お口を開いてもその団子は見えないんですね? のどの 奥の方へつまっちゃったんですね?取れましたかね?

[夫人]すみません、早くお願いします。

[著者]救急軍はもう向かっています。こちらとは無関係に。頑張りまし ょう。あせらないでね。男の人頑張って取れたかしら? 飛び出したかな? 聞いてみてください。

[夫人]まだ飛び出さんと思います。

《4分25秒経過》

[著者]それでは掃除機を、電気掃除機を持ってきて、先がとがったやつ。いつも使 う平たいのじゃなくて、隅っこを取るときの先の細いやつ、それをつけてのどの中に 入れてみてください。

[夫人→現場]あのね一、掃除機を持ってきてさ一…、出た? お団子ひとつかふたつ。

[現場→夫人](不明瞭)

[夫人]お団子ひとつ出たそうです。

《5分経過》

[著者]出ました? 出たら今度は人工呼吸をしましょう。息は止まってるんですか?

[夫人→現場]ほい、人工呼吸だって。

[著者]やりかたを教えます。いいですか…

[夫人]やってくれてます。

[著者]人工呼吸のやり方わかる? 口と口で…

[夫人]裏に看護婦さんが…。

[著者]看護婦さんがいるの?

[夫人]看護婦さんやったことのある人が…

[著者]やってくれているんですね?

(一部省略)

[夫人]どうにか呼吸するようになりました。

《119番通報覚知より自発呼吸再開まで約6分30秒の時間を要した》

5、経過

 その後救急隊は通報後9分で現場到着。通報後25分で患者は直近2次病院に搬 入された。着院時自発呼吸、自己心拍は再開していたものの、GCSで合計4点であり回 復は難しいとも考えられたが、翌日には意識は完全に回復し、第5病日退院となった 。現在も後遺症なく日常生活を 送っている。

検討

 患者退院後自宅に訪間し、本人および家人に再現していただき、著者の電話での指示 がうまく伝わったかについて検証した。

 著者の電話指示から、家人はまず椅子から崩 れ落ちている患者を抱きかかえ上半身を起こした(図1)。腹部に指を突き立て、胃 を強く押そうと意図した様である(図2)。それでも異物が除去できなかったため、 そのまま腹部をもって抱え上げていたとのことである(図3)。そこで異物が飛び出 し、電気掃除機は全く使用していない。その後著者は人工呼吸の指示を企図したが、 「もうやってます」の返事で指示を申止した。しかし実際には隣家の看護婦経験者に より、心臓マッサージしか行われておらず、人工呼吸は施行されていなかった。結果的には異物の摘出が可能であったわけだが、著者のイメージしたものと実際に行われた処置はやや異なっていたようである。

考察

 本症例は高齢者であり、脳梗塞の既往、高血圧、糖尿病の合併があるという条件的に は不利であったにもかかわらず完全な社会復帰ができた。今回の経験で電話で応急処 置の指導を行うことの困難さを痛感したが、一方で119番通報時点からの電話指導は 、気道異物の患者のみでなく、病院外心肺停止患者の救急車到着までの間のprehospital careの充実につながると考える。

 すでに米国の一部の州では指令室よりパラメディ カルがマニュアルに従って救急車到着までの電話指導を行っている 1), 2)。それによ ってbystander CPRの施行率が上昇していることが報告されている。また人形を用いた 検討では電話指導に基づいて行われたCPRは過去に応急処置法を学んだものが行うCPR にくらべより適切であったという 3)。心肺停止の判断についても十分可能と考えら れている 4)。最近ではさらに短時間で適切な電話指導法について検討されている 5) 。119番通報に対する電話指導は欧米諸国に比べ応急処置法の普及が遅れている日本 にこそ導入が必要と考える。また高校生及び運転免許受験者に対する応急処置法講習 が開始されたが、講習の場でよく耳にするのは「実際の場で行えるかどうか心配だ」 という声である。電話指導は応急処置法講習受講経験者に対しても自信を持たせるこ とができるのではないだろうか。

 また録音記録より振り返ると、119番通報より異物 摘出まで約6分30秒かかっている。一般のDOA患者に比べ、気道異物による窒息患者は prehospital careの充実により救命の可能性が山局い。Heim1ich法の危険性も一部で は指摘されているが 6), 7)、本症例で家人による異物摘出が行われなかったならば社会復帰の可能性は極めて低かったと考えられる。危険性が低くより容易な方法として 側胸下部圧迫法も提唱されてお り、一般市民への救急蘇生法の教育に当たっては、人工呼吸や心臓マッサージに比べ 普及の遅れている気道異物除去法の指導も積極的に行うべきであると考える。

結語

1)電話指導により家人にHeim1ich法を施行させ、救命し得た気道閉塞の一例を経験した。

2)電話指導は応急処置法の市民への普及が遅れている日本において、prehospital careの改善に役立つと考える。

3) 応急処置法の講習においては気道異物除去法の指導も積極的に行うべきである。


参考文献

1) Charles E. Saunders, Thomas Hearme: Prehospital Emergency Medical Service. Current Diagnosis & Treatment, Fource Edition (Charles E. Saunders & Mary T. Ho) Appleton & Lange, 855-867, 1992.

2) Micky S Eisenberg, Alfred P Hallstrom, William B Carter, et al.: Emergency CPR instruction via telephone. Am. J. Public HeaIth, 75: 47-50, 1985

3) Arthur L. Kelleman, Bela B. Hachman, Grant Somes: Dispatcher-assisted cardiopulmonary resuscitation. Validation of Efficacy, Circulation 80: 1231-1239, 1989.

4) J.J.Clark, L.Cuuley, M.Eisemberg: Accuracy of determining arrest by emergency medical dispatchers. Ann. Emerg. Med., 23: 1022-1026, 1994.

5) L. Cuuley, J.J.Clark, M.Eisemberg: Dispatcher assisted telephone CPR: Common delays and time stanards for delivery. Ann. Emerg. Med. 20: 362-366, 1991.

6)山本保博:心肺蘇生法. 一次救命処置(基礎的救命処置). CPRインストラ クターズガイド第1版(大塚敏文・小濱啓次監修、山本保博編)、医学書院、13〜21, 1994

7) A.C.Van-der-Ham, J.F.Lange: Traumatic rupture of the stomach after the Heimlich maneuver. J. Emerg.Med., 8: 713-715, 1990.


質疑応答

[座長 須崎紳一郎(日本医科大学多摩永山病院)]

須崎 吉野先生、ありがとうござい ました。大変生々しいテープで臨場感があったと思います。それではフロアの方から ディスカッションお願いします。

小濱(川崎医科大学) 異物の除去に関しては、背部 叩打法とか Heimlich法、それからもう1つ Heimlich変法、これは今は側胸下部圧迫法 と申します。Heimlich法というのは抱え込みがありますので重たいですし、大きな人 に対しては出来にくいんです。側胸下部圧迫法の方が、これは駒大の森岡先生が実験 されてますが、相当効果的であるということですから、私は一般の人の場合は、むし ろ側胸下部圧迫法の方がより簡単で有効であると思っているんですが、先生のご意見 は如何がでしょうか?

吉野(浜松医科大学) すみません。その辺の、Heimlich法と か、どういった方法が有用かということは、知識として持ち合わせておりませんでし た。実はこの時点ではこの方法しか知らなくて、しかも、この絵を知っていて頭の中 にイメージして“この絵を出来るだけ忠実に”と思って行いました。

小濱 異物除去に 関しては色々検討したんですけれども、私はこの Heimlich法を教えるよりは側胸下部 圧迫法の方がいいと思います。寝たままで、仰向けでも俯せでも出来ますし、それか ら森岡先生の実験では、Heimlich法よりはるかに高い気道内圧が得られるという事で すので、一般用には私は側胸下部圧迫法を薦めるべきだと思います。

吉野 はい、勉強 させていただきます。

須崎 確かに救助する方が一人の場合に、ぐったりした方をあの 原法のように持ち上げるのは非常に難しいと思います。私共でも、自宅で助かった例 を見ますと、複数の方で、家族の方何人かで背中を叩いたり押したり持ったりして、 つまり原法と異なった形で最終的に異物が除去されたという事が多いと感じておりま す。

 ところで吉野先生のところは、先生は常に救急部の方にスタンバイあるいはコミ ットメントされているわけですか?

吉野 いえ、この時は、浜松市の消防署指令室のほ うで、ドクターカーの検討ということで、たまたま週に1回のぺ一スで勤務しており ました。

 それで常時指令室にいたわけではなくていつもは控え室にいたんですが、た またま指令室にいて後ろでヘッドホンを聞いていたら、こういう場面に出くわした、 という事です。

須崎 119番を受けた指令室の方で、救急隊をディスパッチさせると同時に電話の相手先に対して非常に緊急度の高い指示を行うという事に関して、フロア の方からご意見とかご要望とか、実態について何かございますか?

鈴木(東京女子医科大学) テープの中で電気掃除機を指示されていましたけれども、私も東京消防庁に 勤務してまして、今年の正月、電気掃除機で取ったという事例を2,3聞いているんで す。それでこういう餅だとか団子なんかのベシャッとしたようなものに関して、私は “それも効果があるのかな”と思っているんですが…。実際私自身は経験がないんで すが、先生は電気掃除機について調べられたことがありますか? もし分かったら教え ていただきたい。

吉野 電気掃除機について調べたことはないんですけれども、大分続 けてもらっても出ないということなのでもう胸腔内に空気が残っていないのではない かと思って、ふと電気掃除機を、実は昔テレビで観たのを思いだして、指導してみよ うと思いました。

鈴木 そうですか。最初から電気掃除機でやろうということではなか ったわけですね。

吉野 ええ、そういうことではありません。

山本(日本医科大学) 非常にすばらしい演題ありがとうございました。先程の座長の お話のように、東京消防庁にはテレフォンサービスがあります。そのテレフォンサー ビス(番号03212-2323)で、都民にCPRとかあるいは応急手当てのところまで情報を出そ うではないかという流れになってきておりまして…。そのテレフォンサービスあるい は東京消防庁が行う情報、その情報の伝達・指導をどのようにするかという検討会が 出来ましたので、これから、今みたいな非常に素晴らしいテープがありましたら、ち ょっと後で貸していただければ有り難いなと思います。

 これから東京消防庁では行わ れていくと思いますが、現在ではそういうテレフォンサービスのなかで24時間体制で このように指導を行うというのは東京でもないと思います。

須崎 他にいかがでしょう か?

鈴木 今山本先生がおっしゃった話はずいぶん前からありましたので、“今やっと 動いてきたか”という感じがします。実は以前の話なんですが、そういうテレフォン サービスで指示を出す場合の医師の責任、これについてずいぶん間題になりました。 私は緊急避難だから宜しかろうと思っているんですが。山本先生、そのあたりは委員 会で検討になりましたか? 以前から大分、ほかの先生から“診もしないのに指示を出 して”というクレームがあったことは事実ですよね。

山本 その話も当然出ますけれど も、それはもう、今みたいな症例もあるわけですし、例えば心肺停止になっている患 者さんがいるのに教えないということの方が、現状ではおかしいのではないかと。も し何かあった時には緊急避難としての対処で、法律的にも十分に対応できるの ではないかと思います。

須崎 こういう電話での指示というのは一例ですけれども 、市民に対して啓蒙と言いますか、改急も含めて、与える影響が非常に大きいと思います。以前、布施明とオリビア・ハッセーのお子さんが溺れたときに、電話でレスキ ューしたということが日本でも大きく報道されたこと がありましたが、今後とも非常に重要な活動だろうと思います。

 吉野先生、先程テーブがちょっと聞きにくかったんで1つお聞きしたいんですが、Heimlich法の前に まず口の中を指でスクーブするということの指示はあったんですか?

吉野 しておりま せんでした。“見ましたか?”と聞いただけで、見えないということだったので、そ れで終りにしています。

須崎 ありがとうございました。他にフロアからいかがでしょ うか?

上嶋(東邦大学大森病院) 今、山本先生からお話があったんですが、私の記憶 では119番コールが入った場合、指令医が確かいろんな指示をしていたというような ことを何例か聞いているんですけれども。今山本先生がおっしゃったのは“PRとして の”という意味でしょうか? 先生のお話ではそういうものを今後やらせたらというこ とですが、実際に私は、消防ではそういう場合にはやってるものだと思っていたんで すが、それは全国的ではないんでしょうか? 東京消防庁では普通、例えば気道閉塞が あったりしますと、119番に入った時点で実際に今お話にあったような指示をしてい るということを、私は聞いているんですけれども…。

山本 東京消防庁の場合、指導医 が対応できるときには24時間体制でおります。私が申しましたのは、テレフォンサー ビスは救急救命士の皆さんがやっておりまして、その流れの中で指導するということ をお話ししている訳です。24時間体制にいるドクターそのものに関しては、もちろん 対応できるときにはやっておりますけれども、それが本来の任務ではありませんので…。 そういった意味でございます。

須崎 上嶋先生がおっしゃったのは、テレフォ ンサービスではなくて、本当のエマージェンシーコールのほうの119で、ディスパッ チさせながら同時に指示をするという業務をやっておりますけれどもね。

 それでは時 間もまいりましたので、吉野先生、ありがとうございました。


インターネットを用いた日本救急医学会の広報活動について

愛媛大学医学部救急医学 越智元郎(971121、neweml 0621)


From: Genro Ochi 
Date: Fri, 21 Nov 1997 02:45:00 +0900
Subject: [neweml:0621] 乞うご期待・マルチメデイアセッション

 愛媛大学の越智です。

 今月末の日本救急医学会総会のマルチメディアセッションについては、先
日 "[neweml:0472] 日本救急医学会総会プログラムのホームページ収載" で
ご紹介いたしました。またこのセッションの演題は
http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/jaam/www/97/jaam2504 にも収載されて
います。

 座長からのご連絡によると、マルチメデイアセッションでは会場の聴衆と
の双方向の交信が可能であるらしく、ボタン操作によりyesまたはnoの意思
表示をした人の人数が会場のスクリーンか何かに表示されるようです。

 私は「インターネットを用いた,日本救急医学会の広報活動について」
という演題で発表の予定で、持ち込みのリブレットをビデオプロジェクタ
に接続し、WWWのブラウザ(ネットスケープ)でプレゼンテーションを行い
ます。音も動画もない素朴なものですが、カラーの静止画像入りのハイパ
ーテキスト形式のファイルを用いることから、辛うじてマルチメデイアを
用いた発表と言えるでしょうか。なお、この発表で用いるファイルを 
http://hypnos.m.ehime-u.ac.jp/GHDNet/97/hbjaam に
収載致しましたので、総会に出席される方も参加できない方もぜひご覧い
ただければ幸いです。皆様のご意見をお寄せ下さい。

 さて、聴衆への質問事項としては以下の5つを用意しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■会場の皆様にお聞きします
  1.あなたは電子メールアドレスをお持ちですか?
  2.あなたは World Wide Webを利用されたことがありますか?
  3.あなたは日本救急医学会の試験ホームページを利用されたことがあり
  ますか?
  4.あなたは電子メールで総会の演題応募や機関誌への投稿が可能になれ
  ばよいと思いますか?
  5.あなたは電子メールによる日本救急医学会会員の緊急連絡網ができれ
  ばよいと思いますか?
            ご協力有難うございました。 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 以下のような流れになるようです。皆様、ご期待下さい。
   演者が発表
    → 座長が演者の質問を聴衆に聞いて下さり、結果が表示される
    → 演者がまとめ

 追伸:マルチメデイアセッションはTV放映の対象にもなっています。
以下、「ケアネットTV」からの案内を転記してみます。

	来春スタートする衛星デジタルテレビ放送(約150チャンネル)
    の中で、医師のみを視聴者とする「医療専門チャンネル」ケア
    ネットテレビジョンが開局します。つきましては第25回日本救
    急医学会総会でのいくつかの演題を収録、放映させていただき
    ますので宜しくお願い申し上げます。

 以上です。それでは皆様、また。

第4回集団災害医療研究会(1999)のお知らせ


Subject: [neweml:0504] 第4回集団災害医療研究会のお知らせ
From: Yukihiro Watoh
Date: Thu, 06 Nov 1997 09:30:52 +0900

newEMLのみなさまへ

わとう@第4回集団災害医療研究会事務局です。

第4回日本集団災害医療研究会のお知らせです。

主催 金沢医科大学麻酔学教室
会長 青野 允(まこと)
場所 レオニオン(石川県青少年会館)金沢市
とき 1999年2月(11)12、13、(14)日
        ()はセミナーの日がどちらか未定です。
会場費 ¥5,000(昼食付き)

のみ決まっています。

皆様、御日程を御調整の上、ご参加頂けますようよろしくお願い致します。
わとうゆきひろ
金沢医科大学
麻酔科
http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/jadm/www/watoh/

■救急・災害医療ホ−ムペ−ジ 全国救急医療関係者のページ 救急医療メモ