「Resuscitation」誌のILCOR-CoSTR 関連文献:ERC 論説3: 心肺蘇生と心血管緊急治療における科学と治療推奨の2005年国 際コンセンサス会議におけるエビデンスの評価過程
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Resuscitation (2005) 67, 167-170
EDITORIAL: The evidence evaluation process for the
2005 International Consensus Conference
on cardiopulmonary resuscitation and
emergency cardiovascular care science
with treatment recommendations
Peter T. Morley, Arno Zaritsky
[現在の翻訳レベル=一次チェック済み 060403]
-- Robert Hayden、プリマス州立大学
この評価過程を開始するに当たり、国際的な専門家(ワークシート評価
者)に評価すべき課題が割り当てられた。課題はILCORの各専門委員会(例
えば、BLS、ACLS、小児など)や、ILCORのメンバーである蘇生協議会とそ
の訓練組織の調査結果より選択された。各課題の評価は2005年コンセ
ンサス会議のために開発された構造化したエビデンス評価ワークシートと
して仕上げられた。ワークシート評価者の多くは、エビデンスに基づく構
造化評価を実施した経験が全く無かったので、年2回のILCOR会議で教
育講座が開催され、効果的なエビデンスの検索方法、ワークシートの完成
方法、文献引用管理ソフトウェアの使用方法などをデモしたCD-ROMが作成
された。(また)さらなる質を保証するために、2人のワークシートの専門家
(Peter MorleyとArno Zaritsky)が任命された
彼等は提出された全てのワークシートを再評価した。彼等により完成し
たとみなされるまで、繰り返しコメント、修正、質問をワークシート評価
者に対して行なった。
2005年コンセンサス会議の為に完成したワークシートは、オンライ
ンの補遺資料としてこの文書の電子版からリンクされている。ほとんどの
ワークシート番号は見出しの近くに上付き文字として配置され、他の参考
文献引用と区別する為に文字Wで始まっている。この補遺の電子版の読者は、
リンクされたワークシートの付記をクリックすれば引用されたワークシー
トにアクセスできる。印刷版の読者は、この号(付録1参照)の最後にあ
る番号付けされたワークシートリストを参照することで、引用されたワー
クシートの完全なタイトルと著者を特定することが可能であり、その後に
会議のウェブサイト(www.c2005.org)
でそのワークシートにアクセスで
きる。以下の討論では、空欄のワークシートが引用され、参考の為にアク
セスすることが出来る。
手順1. 提議を記載し(1A)エビデンスを集めて選択する(1B)W277
全ての評価者は、割り当てられた課題を広範に検索するよう指示された。
評価者は検索の再現性を担保する為に、検索方針を文書化した。検索すべ
き最低限の電子的データベースとして体系的レヴューとCentral Register
of Controlled TrialのためのCochraneデータベース[http://www.cochrane.org/]、
MEDLINE[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/]、EMBASE(www.embase.com)、
アメリカ心臓協会(AHA)により照合された参照文献マスターなどである。
関連文献を最大限に特定する為に、必要に応じて学会誌、総論、書籍を手
作業で検索することも推奨された。
評価者は仮説に関連した文献が選択された理由を文書化した。(また)
文献を取り入れるか除外するかの明確な基準と文献の制限につい
て文書化された。全ての関連したエビデンス(ヒトでの研究ば
かりでなく動物や人体モデルでの研究からのエビデンスも)を取り入れる
ことが推奨された。
手順2. エビデンスの質の評価 W277
この手順においては、評価者は関連する文献のエビデンスレベルを決定
し(手順2A)、文献の研究デザインと方法の質を評価し(手順2B)、結論
の方向性を決定し(手順2C)、評価した文献をクロス表で評価する(手順
2D)ことが求められた。
2005年コンセンサスの過程(この号のPart 1参照)
2で用いられたエビデンスのレベルは、2000年に用いられ
たもの3,4を修正したものであった。多くの場合、人間を対象と
した臨床試験の結果が得られない為、結論の要旨はより低いエビ
デンスレベルに基づいていた。
評価者は研究のデザインと方法の質を評価し、各々の研究を5つのカテ
ゴリーに割り当てた:優、良、普通、可、不可。可、不可に割り当てられ
た文献は、その後の分析から除外された。
評価者は研究結果の方向性を、支持する、中立な、または反対するとし
て評価し、データを2つのマス目の一つに記載した(depicted the data in 1 of
2 grids)。マス目はエビデンス
の質とレベルをあらわした2次元配列のものである。評価者は、支持する
エビデンスのマス目と中立または反対レベルのエビデンスのマス目を完成
させた。
手順3. 推奨クラスのための推奨
CPRとECCのためのAHAガイドライン20055は、総合的な推奨の強さを
示す為に推奨のクラス体系を使っている。これらの推奨のクラスはILCORの
2005 CPRコンセンサス文書6では使われなかった。
この手順においては、評価者はAHAのための特定の推奨される治療や他の
協議会特有のガイドラインの総合的な推奨の強さに関して意見を述べる為
に招聘された。この部分に含まれる記述は評価者の意見を反映しており、
2005年コンセンサス会議、CPRとECCのためのAHAガイドライン2005、
またはその他の蘇生協議会からのガイドラインの合意された結論と合致する
場合もあれば合致しない場合もある。
手順4. 評価者の展望と利益相反の可能性 W277
全ての評価者は利益相反(conflict of interest)の公
開様式に記入し、ワークシートにも 利益相反の可能性について
記載した。このことによって評価過程の透明性が担保された。
もっと詳細な利益相反の公開過程はこの号のもう一つの論
説7に記載されている。
手順5. 科学的な要約 W277
ワークシートの評価者は科学的な要約を作成した。要約の書式においては、
評価者は結果の評価とデータのエビデンスの強さと限界を含めたエビデンス
の詳細な論考を提供するよう推奨された。
科学的な要約過程の最終手順は、合意された科学的声明と推奨される治療
の草稿を作成することであった。声明の定型書式が包括的な情報の要約を標
準化する為に提供された。科学的な声明の定型書式に記載される合意された
要素としては、特別な介入、評価ツール、文献の数、エビデンスのレベル、
臨床的転帰、研究された母集団、研究の設定などが含まれる。推奨される治
療の定型書式の要素としては、特別な介入、評価ツール、母集団と研究の設
定、推奨の強さが含まれる。
評価者により草稿されたワークシートの声明は、評価者の推奨を反映して
おり、2005年コンセンサス会議の結論と合致する場合もあれば合致しな
い場合もある。
手順6. 参考文献
ワークシートの評価者は使われた参考文献を含んだデータベースファイル
を提出するように求められた。提出された参考文献は AHAにより照合された参
考文献マスターに加えられた。
手順7. インターネットでの公表
完成したワークシートはさらに評価を受ける為にインターネット上に公表
された。まず最初にワークシートを AHAのパスワードで保護されたイントラネ
ット上に公表した(ワークシート評価者はアクセス可能)。完成したワーク
シートは、ダラスの2005年のコンセンサス会議の前に更なる評価とフィ
ードバックを受けられるように、2004年12月に一般の人がアクセス可
能なインターネット上に公開された(http://www.c2005.org)。
関連したテーマに関する研究(LOE7)
多くの評価者は、評価者の当初の仮説を明確に扱ってはいないが、関連
した疑問に答える研究を同定した。例えば、成人のデータを小児のワーク
シートに外挿する、重篤な患者の血糖値の制御の結果を蘇生後の状況に外
挿する、などである。ワークシート評価者は外挿を意味するエビデンスで
あることを明確に指定するように指示された。評価者はそのような研究を
LOE7と表すよう指定されるか、または、評価者はエビデンスのレベルを研
究のデザインに基づくものではなく、他の目的のために集められたデータ
からの外挿であることを明確に示す為に、科学的声明に関する合意の草稿
において具体的に関連した詳細とともに「〜からの外挿である」というよ
うな言葉を含むように指定された。
動物実験と機械的モデル
動物実験は極めて洗練された方法論を使って、非常に制御された実験状
況下で行なうことが出来る。方法論にかかわらず、全ての動物実験と全て
の機械的モデル(例えば、人体モデル)を使った研究はLOE6と分類された。
これらの研究に関する具体的な詳細(方法論を含む)は、しかるべきとこ
ろで科学的な要約に含まれている。
診断または予後を評価した研究
2005年コンセンサスの過程のために使われた初期設定のエビデンス
のレベルは、診断や予後を評価する研究の評価を目的としたものではなか
った。これらの研究に対して、エビデンスのレベルを評価するその他の方
法が検討された(Oxford Centre for Evidence-Based Medicine
[CEBM http://www.cebm.net/]により提唱されているようなもの)。その他
のエビデンスレベルを含むことを計画しているワークシート評価者は、そ
のレベルを明確に定義し、初期設定のエビデンスのレベルをそのままにし
ておくように求められた。
□参考文献
1. Sackett D, Richardson W, Rosenberg W, Haynes R. Evidence-based medicine. How to
practice and teach EBM. London:Churchill Livingstone; 1997.
2. International Liaison Committee on Resuscitation. Part 1. Introduction. 2005
International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular
Care Science with Treatment Recommendations. Resuscitation 2005;67:181-6.
3. American Heart Association in collaboration with International Liaison Committee on
Resuscitation. Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular
Care-An International Consensus on Science. Resuscitation 2000;46:3-430.
4. American Heart Association in collaboration with International Liaison Committee on
Resuscitation. Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency
Cardiovascular Care. Circulation 2000;102(Suppl.):I 1-I 384.
5. 2005 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and
Emergency Cardiovascular Care. Circulation, in press.
6. International Liaison Committee on Resuscitation. 2005 International Consensus on
Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science with Treatment
Recommendations. Resuscitation 2005;67:175-9.
7. Billi JE, Zideman D, Eigel B, Nolan JP, Montgomery W, Nadkami V. Conflict of interest
management before, during and after the 2005 International Consensus Conference on
Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science With Treatment
Recommendations. Resuscitation 2005;67:171-3.
■はじめに
(In God we trust. All others must bring data.)
■エビデンス評価のための手順
■論議が集まった点(Controversies Encountered)
■まとめ