第3部 除細動
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(1)除細動前の戦略、(2)自動体外式除細動器(AED)の使用、(3)電極と患者とのインタフェイス、(4)操作変更の ための心電図波形の使用、(5) 初回通電の波形とエネルギーレベル、(6) 初回通電不成功後の手順 (2回目以降の通電など)、(7) その他の関連した話題
緊急心血管治療(ECC)のガイドライン20001では、心室細動(VF)を確認したならば、応答時間(レスポンスインターバル:虚脱からAED到着までの時間、訳者注)の長短にかかわらず、できるだけ早く除細動すべきであるとされている。しかし応答時間が4、5分以上の場合、除細動前に1.5〜3分の心肺蘇生術(CPR)を施行することで、傷病者の生存の可能性が向上することが明らかとなった。
院外でのAEDプログラム使用を支持するデータが徐々に蓄積されてきており、また院内でAEDを使用
することを支持するいくつかのエビデンスも得られている。VF波形解析により、除細動成功の可能性を予測することができる。そしてこの情報をもとに、救助者はCPRをすべきか、除細動をすべきかの指示をAEDから受けることができる。この技術はAEDの記録データ解析により開発されたが、除細動成功率を向上させる見通しが立つほど応用されてはおらず、研究プログラム以外には入手できない。
新しい除細動器はすべて二相性波形の通電を行う。いくつかの種類の二相性波形が存在するが、い
ずれの波形タイプが最良か、また至適エネルギーレベルによる通電の戦略(固定エネルギーとする
か、漸増エネルギーとするか)はまだ決定されていない。また二相性除細動器は単相性のものより
初回除細動の成功率が高い。このことは胸骨圧迫心臓マッサージ(以下、胸骨圧迫とする)の中断
が有害であるということと結びつけて理解すると、1回の通電戦略(1回の通電に引き続いて即座
にCPRを再開すること)が、VF/パルスレスVT(無脈性心室頻拍)に対する今までの3回の通電の手
順より望ましいことを示唆している。
これまで胸骨叩打法を前向きに評価した研究はない。VFとパルスレスVTを胸骨叩打法
で心拍再開させた症例集積研究が3つある(LOE 5、訳者註)2-4。(胸骨叩打法により)除細動できる可能性は時間経過とともに急速に低下した(LOE 5)4。不安定なVT、パルスレスVTは除細動成功率が高かった(LOE 5)2-6。
5〜40cmの高さから握り拳で叩打すると有効なことがいくつかの観察研究で示されている
(LOE 5)3,4,6-8。また上室性頻脈のような頻脈性不整脈も胸骨叩打法により停止することを示した観察研究もある(LOE 5)9,10。胸骨叩打法の合併症としてリズムの悪化があり、これにはVTの心拍数増加、VTからVFへの転換、完全心ブロック、心静止などがある(LOE
53,5,6,8,11,12、LOE 613)。現時点のデータでは、これらの合併症を正確に評価することはでき
ない。
推奨される処置:
モニターで心停止を確認したがすぐには除細動器が使用できない場合、1回だけ即座に胸骨叩
打を行うことは考慮してもよい。
除細動前の蘇生処置 W68、W177
応答時間(出動−現着)と除細動までの時間が4〜5分の場合、救急救命士や救急医が除細動
前に1.5〜3分のCPRを行うと、院外成人VF/VT例において、心拍再開率や生存率が改善されることを示した前後比較研究(LOE 4)14と無作為化試験(LOE 2)15がある。またこれとは対照的
に、同様の院外成人VF/VT患者において、救急救命士が除細動前に1.5分のCPRを行ったが心拍再開率や生存退院率を改善させなかったという研究もある(LOE 2)16。
VFを5分以上持続させた動物実験においては、除細動前のCPR(しばしばアドレナリン(エピネフリン)が投与されている)が血行動態や生存率
を改善した(LOE 6)17-21。
推奨される処置:
院外で発生した成人VF/パルスレスVT例の場合、救急医療サービス(EMS)応答時間(覚知−現着時間)が4〜5分以上ならば、
除細動前に1.5〜3分間のCPRを考慮してもよい。院内心停止例に対する除細動前のCPRに関しては支持するエビデンスも否定す
るエビデンスも共に乏しい。
訓練された市民応答者による公共の場での無作為化試験(LOE 2)22や、訓練された専門の応答者
によりカジノで施行されたCPRや除細動の観察研究(LOE 5)23、また空港(LOE 5)24や飛行
機内(LOE 5)25,26での市民応答者による同様の観察研究において、救急対応計画が効果的に実
行・維持されているならば、AEDプログラムは安全に実行でき、院外VF心停止後の生存を有意に増加させることが示された。訓練された初期応答者(例えば消防士や警察官など)による除細動は、目撃された突然の院外VF心停止例の生存率を改善させたとする研究がある(LOE 227・328,29・430,31・532)。一方、訓練された初期応答者によるAEDを用いた除細動は生存率を改善させな
かったとする研究もある14,33。
院外心停止の約80%が自室や屋内で起こっている(LOE 4)34が、自宅でのAEDプログラムの
有効性を支持するデータも否定するそれも現時点では十分ではない。
推奨される処置:
市民応答者にしても専門家にして訓練を受けた者がAEDを使用することは、心停止患者
の生存率を向上させるために推奨される。有効な対応計画が整備されているならば、心停止を目撃
する可能性のある公共の場(飛行場、カジノ、スポーツ施設など)でAEDを使用することは有用であ
ろう。その対応計画には、器材のメンテナンス、初期応答者のトレーニング、地域の救急医療シス
テムとの連携、プログラムのモニターなどが含まれるべきである。個人や家庭にAEDを配備
することに関しては明らかなエビデンスがなく、肯定も否定もできない。
AEDプログラムの質的保証と保守 W178
生存率を更に向上させるべくAEDプログラムを質的に改善した成果の有効性を評価した研究
はない。一連の症例報告はAEDの機
能(リズム解析と通電)、バッテリーやパッドの準備状況、実施者の行動、システム性能
(例えばモックコード;模擬演習(mock code#、訳者註)の有無、通電までに要した時間、結果)を検
証することにより、生存率を改善できる可能性を示唆している(LOE 5)35-42。
推奨される処置:
AEDプログラムは、その機能(リズム解析と通電)、バッテリーやパッドの準備状況、実施者の行動、システム性能(例えば模擬演習の有無、通電までに要した時間、結果)を最適化すべきである。
AEDの院内使用 W62A
AEDと手動式除細動器の院内での使用について比較した無作為化試験はない。通電適応の院内成
人心停止例において、手動式除細動器を用いた場合よりAEDプログラムにそって除細動された場合
の方が、生存退院率が高かったことを示す研究が1つあるだけである(LOE 4)43。動物モデルでのAEDの使用は手動式除細動器に比べ、胸骨圧迫を長く中断したり、大幅に遅らせたりした(LOE
6)44。マネキンを用いた研究では、AEDを使用することで連続3回通電する可能性が増えたが、手動式除細動器の場合と比べて通電までの時間も遅延した(LOE 6)45。 これとは対照的に模擬患者の心停止例において、モニターを装着し全自動
化された除細動器を使用した場合、手動式除細動器の場合より除細動までの時間が短縮された(LOE 7)46。
推奨される処置:
AEDの使用は病院での早期除細動を推進する上でも理にかなっている。
位置
ヒト心停止例でパッド/パドルの位置が除細動や生存率に及ぼす影響を評価した研究はない。カ
ルジオバージョン(例えば心房細動;AF *訳者注)や二次エンドポイント(例えば経胸壁電気抵抗;TTI)を評価した研究がほとんどである。
サイズ
パドルが大きいほど(8cmのパドルより12.8cmのパドルの方が)除細動成功率も高いこ
とを証明した臨床研究(LOE 3)57と動物実験(LOE 6)58が1つずつある。パッドのサイズが大きくなるとTTIが減じることを証明した研究が8つあった(LOE 353,57,59,60・561・
655,62,63)。大きなサイズ(8/12cm)の電極と比べて、小さいサイズ(4.3cm)の電極を使用すると、除細動後の心筋傷害が有意に増加すると報告した動物実験(イヌ)が1つあった
(LOE 6)64。
推奨される処置:
パドルや電極パッドは、胸部を露出して前−側胸部の位置に置くべきである。その替わりとして、前後方向(パドルとパッド)や心尖部と後方(パッド)に位置させてもよ
い。乳房が大きい患者においては、左電極パッド(パドル)を左乳房の側方や真下(尾側)に置
くとよい。8cmの電極を用いた場合に比べ、12cmの電極を用いると除細動成功率が高かった。小さな電極(4.3cm)は心筋損傷を起こす可能性があり、有害かもしれない。
粘着除細動パッド対パドル W71
1つの無作為化試験(LOE 2)65と2つの後ろ向き比較研究(LOE 4)50,66において、パッド使用時でもパドル使用時でもTTIは
近似していることが示された。パッドと比較するとパドルを8kgという最適な力で押し当てた場合、低いTTIを示したという前
向き比較研究が1つある(LOE 3)
67。慢性AFにおいて、粘着パッドと手動パドルの効果を、MDS(単相性サインカーブ波形)とBTE
(二相性切断指数波形)で各々評価した結果、効果は同程度であることを示した無作為化研究が1
つある(LOE 7)68。また通常の心電図モニターや除細動、病院前での除細動や周術期の除細動の際、パドルよりもパッドの方が実際上優れていることを示した研究がいくつかある(LOE 569-71・
672)。
推奨される処置:
粘着除細動パッドは安全かつ有効であり、手動除細動パドルの代替として使用できる。
VF波形から通電成否を予測 W64A, W64B, W64C, W65A
臨床例や動物実験、論理モデル(LOE 473-82; LOE 683-93)によるVF波形の後ろ向き研究によれば、その信頼性はさまざまではあるが、細動波形から除細動の成否を予測できることを示唆している。しかし除細動の成否を予測することによって、蘇生効果を改善すべく治療内容を変更しうるか
どうかについて評価した研究はない。
心室細動に対する二相性波形 対 単相性波形 W61A, W61B, W172
心停止に関する3つの無作為研究(LOE 2)94-96、そのうち1つの研究の再評価(LOE
2)93、心停止に関する2つの観察研究 (LOE 4)98,99、7つのEPSによるの無作為化メタアナリシス研究(LOE 1)100、および複数の動物実験によれば、二相性波形による除細動は単相性波形と同等以下のエネルギーで、同
等以上の除細動効果があった。心停止からの心拍再開率や生存退院率が高くなることと明らかな関
連性を示す特別な波形は(単相性であろうが二相性であろうが)なかった。1つの後向き研究(LOE
4)99では、単相性切断指数波形(MTE)に比べて二相性切断指数波形(BTE)による除細動の方が、生存退院率において劣ることを示していた(20%及び39.7%、P=0.01)が、生存率は二次エンドポイント
であった。またこの研究ではMTE群にCPRを施行された被験者が多かったという事実を含め、多くの
交絡要因がみられた。
2005年現在、種々の二相性波形を直接比較した報告はなされていない。
推奨される処置:
二相性波形は単相性波形に比べ、VFの停止において、安全
性・有効性ともに優れている。
除細動エネルギーレベル W60A, W60B
8つの臨床研究(LOE 294; LOE 3101; LOE 595,96,98,99,102,103) によれば、、二相性波形による初回
通電のエネルギーレベルは機種によって異なり、100Jから200Jまでであるが、至適エネルギーレベ
ルを明らかにしたものはなかった。またこれらの研究において、ショック抵抗性のVF/VTに対する2
回目以後の通電エネルギーレベルは機種により150Jから360Jの範囲であったが、やはり至適エネル
ギーレベルを明確に示したものはなかった。
安定した患者に誘発したVFを停止させる臨床実験研究
が7つ以上みられたが、これらは115Jから200Jのエネルギーレベルを用いて評価されていた(LOE
7)104-110。
臨床研究、実験研究のいずれにおいても、現在使用されているいかなるエネルギーレベルにおいても有意に優れていることや
有害なことを示すエビデンスはなかった。2回以上の320Jを用いた単相性減衰サインカーブ波形(MDS)による通電は、同じ回
数の175J、MDSによる通電に比べ、一過性の心ブロックの発生率が高くなることを示した院外臨床研究が1つあったが、臨床的
な遠隔成績に差はなかった(LOE 2)111
120Jから360Jの範囲で成体に除細動を行い、
有害であったとする動物実験の再評価が1つだけあった。
この研究では、高エネルギー通電による心筋傷害が指摘され
た(LOE 6)112。
院内VF100例について、単相性減衰サインカーブ波形
(MDS)による低エネルギー(200〜240J)、中等
度エネルギー(300〜320J)、高エネルギー(400
〜440J)での通電を比較した研究が1つあった(LOE 2)
113。初回通電効果(5秒以上のVFの停止)は、低エネル
ギー群で39%、中等度エネルギー群で58%、高エネルギー群で56%であり、これらに統計学的有意差は見出せな
かった。またAFに対して電気的カルジオバージョンを行った場合、単相性減衰サインカーブ波形(MDS)による100〜200Jの通
電に比べて360Jでの通電の方が効果的であったとする研究もある(LOE 7)114。しかしながら灌流心筋に対するカルジオバー
ジョンはVF心停止中の除細動と同じではなく、AFからの外挿的解釈は慎重でなければならない。
推奨される処置:
初回または2回目以後の二相性波形による通電において、現時点では特別なエネルギーレベルを支持するエビデンスも否定する
エビデンスもない。二相性除細動器を用いる場合、初回通電においては150〜200Jの二相性切断指数波形、もしくは120Jの二相
性直線波形が理にかなっている。単相性除細動器を用いる場合、初回通電は360Jが妥当である。
二相性除細動器を用いて固定エネルギーと漸増エネルギーを比較した小規模臨床研究が1つあるだ
けで(LOE 3)101、どちらの戦略にも明らかな利点を見出せなかった。
推奨される処置:
二相性波形による除細動においては、エネルギー固定式、漸増式のいずれを用いてもVFの持
続時間の長短にかかわらず、安全で効果的にVFを停止させることができる。
1回ショックプロトコル 対 3回連続ショック W69A、W69B、W69C
ヒトまたは動物研究において、どのようなアウトカムを設定したものであれ、1回ショックプロトコルと3回連続ショックとを比較した研究結果は発表されていない。初回またはその後の通電の成功の度合いは特定の患者群、初
期リズム、あるいは設定された結果によって異なっていた.
除細動の成功はショック後5秒以上のVFの停止と定義さ
れた。蘇生の成功とは心拍再開と生存退院の2つ
の基準がありうるが、以下には除細動成功に関してのみ引用する。
初回通電の成功
院外心停止の除細動に関する6つの研究によれば、初期リズムが除細動適応(VF/パルスレス
VT)であった患者で初回通電に成功した。
院外VF心停止例において初回除細動成功率が比較的高かったが、単相性減衰サインカーブ波形
(MDS)、単相性切断指数波形(MTE)、二相性切断指数波形(BTE)によって初回通電した場合の心
拍再開率(ROSC)の平均は21%(13〜23%)にとどまった(LOE 5)9999。
2回目および3回目の通電成功率
院外心停止例で初期リズムがVF/パルスレスVTの症例を対象とした6つの研究において、前
述した初回除細動成功率、及び(初回除細動が不成功の場合)その後の2回の除細動成功率を報
告している。以下に示す数値は初回通電後もVFが継続した症例についての記載であり、2
回目、3回目に除細動に成功した症例の比率を表している。
院外VF心停止例において、通電前のCPRや通電後のCPR、もしくはその両者を組み合わせて二相性波形で除細動した場合、3回までの初期除細動が成功して心拍再開する比率は26%であったとする研究が1つあった(LOE 5)116。
推奨される処置:
蘇生の際に優先されるべきこととして、除細動の必要性を迅速に評価すること(第2部;成人
の一次救命処置参照)、除細動器が使えるまでCPRを実施すること、胸骨圧迫の中断
を最小限にすることがある。救助者が最善のCPRを行い、CPR重視の通電タイミングや
通電波形とエネルギーレベルの組み合わせを最適化することにより、除細動が成功する公算を最大
限にできる。1回ショッ
ク戦略は、胸骨圧迫の中断を減らすことによ
り転帰を改善する可能性がある。3回連続通電については
(リズムに関係なく)、初回通電後すぐに有効な胸骨圧迫を再開し、リズム解析に要するCPR中断時間
を最小限にすることによりその効果を最大限にできる。
除細動器からデータを収集することにより心停止例での実地性能とトレーニングの結果とを比
較することができる。3つの観察研究の結果によれば、胸骨圧迫心臓マッサージの回数と深さ、
換気回数は、現行のガイドライン通りに実施できていないことを示唆している
(LOE 5)117-119。
推奨される処置:
心臓マッサ−ジの圧迫回数と深さ、換気回数のデータ収集ができるように改良されたモニター付き除細動器は、心
停止後の処置手順や結果をモニターしたり、改善したりするのに役立つかもしれない。
除細動時の火災の危険と酸素: W70A、W70B
高濃度酸素の存在する状況下において、除細動パドルの当て方が不十分であったために生じた火
花により火災が発生した事例がいくつか報告されている(LOE 5120-125)。高濃度酸素を含む空
気が酸素吹き出し口からいずれの方向へも 0.5m(1.5ft)以上広がることは滅多になく、
酸素供給源を取り除けば、酸素濃度は速やかに大気レベルに戻る(LOE 5122・LOE 6126)。
人工呼吸器の回路が気管チューブから外され、患者の頭の近くに置かれたまま除細動した時に最も深刻
な火災が起こった
(LOE 5121,123,125)。また除細動の際に発生した火花が、患者に装着され
ていた透明なシンプルフェイスマスクの中の酸素に引火した例が少なくとも1つある(LOE
5120)。
マネキンを用いた研究では人工呼吸器が気管チューブに接続され、15L/分の流量で酸素を
投与した状況下においても、マネキン周囲の酸素濃度の上昇はみられなかった
(LOE 6)126。
推奨される処置:
救助者は(パッド/パドルの配置や当て方に注意を払うことによって)、除細動の際に火花が出
るリスクを最小限にするように注意すべきである。また救助者は高濃度酸素下で除細動を実施しようと
していないことを確認すべきである。
脚注
【訳者注(060104)】■除細動前の戦略
(Strategies Before Defibrillation)■AEDの使用(Use of AEDS)
■電極−患者インタフェイス(Electrode-Patient Interface)
パドルや電極パッドを右上前胸部と左下側胸部に位置させることは有効であった。この事を示
す研究にはAFでのパドル研究(LOE 2)47、AFでのパッド研究(LOE 3)48、TTIでのパッド位置の効果
の研究(LOE 3)49などがある。その他の効果的なパッド位置として心尖部と後方;VF/AFのパッド研究(LOE 4)50、TTI評価によるパッド位置の効果の研究(LOE 3)49や前後方向;AFでのパドル研究(LOE 2)51、
AFでのパッド研究(LOE 252・353)、
TTIでのパッド位置の効果の研究(LOE 3)49などで報告されている;がある。
心尖部パドルを縦に置いて低いTTIを示した研究が1つあった(LOE 3)54。またパッドを乳房の上に置くと電気抵抗が上昇し、除細動の効果が減じる可能性があった(LOE 5)55。高電圧交流(例えば高出力ラインから)はAEDの解析を妨げた(LOE 6)56。【訳者コメント】
初訳者
1.「Mock code」は「模擬演習」と訳したが、computer programを含めたシステム工学関係に詳
しい方がおられたら、わかりやすい日本語訳を教えて頂きたい。
2.MLにupされた用語集に則り、日本語化した。ショック→通電、ランダム化→無作為化など。
3.日本語として読みやすく、わかりやすくするため、削除しても意味の変わらない、日本語とし
て十分意味の通じるような形容詞、副詞は訳出しなかった。
A
"mock code"という、初めて聞く言葉に興味を持ち、システム工学とは無縁ながら調べてみました。
偽(mock)の緊急事態(code)訓練というような意味だとの印象を持ちました。
学校でやった「地震発生時の避難訓練」のようなものだと思います。
仮に私の理解が正しかったとして、何と訳してよいものやら...
緊急事態訓練では大げさですよねえ。
B
私も素人なのですけど、(英語圏で)生活していて聞いている単語のイメージとしての印象を
少し述べさせてください。
Mockという単語は、我々の研究では『見せ掛けだけで擬似の』という意味で
Mock interventionなどという言い方で使っていました。
(RCTのためにControlとして、被験者には本物に見えるけど実はうそというか形だけで
見せ掛けだけのInterventionというのを用いたことを表す表現でつかいました。)
CodeはMega codeなどで使われているCode(VF/VTのCodeとか、AsystoleのCodeなど)
と同じような用い方で、暗号・慣例・規範・規約という意味の伴う
AlgorithmのひとつとしてのCodeという方が近いような気がしますがいかがでしょうか?
ですのでMock codeは、(訓練用の擬似の)模擬アルゴリズム、もしくは模擬規約
(コンピュータ用でしたら、模擬回路?)
というような意味に近い訳になる気がしますが、みなさんはいかがお考えでしょうか?
初訳者
mock codeを調べてみると、Medicalには、mega codeと同様の使い方で、”擬似患者orマネキン
を用いた蘇生”の意味で、mock code trainingとかmock code exerciseなんかがhitします。
またcomputer programing関連のtermでもあるようで、後者かなと思っていました。
C
mock codeとは緊急コール(code)のまねごと(mock)を示します。
シナリオを作り、マネキンを使って実際の動きを演習するわけですね。
この文脈では、例えば虚脱した人を発見してからファーストショック
(もっと後まででも良いのですが)までの人の動きと時間経過などを
レビューすることで、AEDプログラムの改善をはかるということだと
思います。
「演習」「模擬演習」または「シナリオ演習」で如何でしょうか。
■波形解析(Waveform Analysis)
■初回通電波形とエネルギーレベル
(Initial Shock Waveform and Energy Levels)■2回目以降の通電
(Second and Subsequent Shocks)■除細動関連のトピックス
(Related Defibrillation Topics)
心肺蘇生と心血管緊急治療における科学と治療推奨の2005年国際コンセンサス
アメリカ心臓協会主催、テキサス州ダラス、1月23〜30日、2005年
Resuscitaion誌との共同出版
文中2回出てくるが、虚脱−AED到着時間、EMSの出動−到着
時間と異なる定義がなされている。 前述の日本語版を考慮
しないならば、応答時間と訳すのがbetterと思われる。
2.Mock codeは"模擬演習"とした。
3.MLにupされた用語集に則り、日本語化した。
ショック→通電、ランダム化→無作為化など。
4."ダウンロードして解析"など、訳さなくても意味が通
じるものは、日本語が複雑になるのを避けるため、あえて訳
出しなかった。
5.無脈性VTは、日本語化している"パルスレスVT"と
した。
6."Perfusing rhythm"は、心拍再開と意訳せず、"灌流
リズム"とした。
7."Precordial"は、救急医学会用語集では、前胸部と訳
されているが、MLでのdiscussionに則り、"胸骨"とした。
8."Responder"は、rescuerと区別するため、救助者とせ
ず、応答者(青字)とした。 Upされている用語統一リスト
の"実施者"はやや意味が弱くなると考えた。原文でも
responderとrescuerは意図して使い分けていると思われま
す。
9."shock"は一律に通電ではなく、文脈により除細動、通
電、ショックを使い分けた。
10."Effectiveness"は、effect(効果)ではなく、"有効
性"とした。
11."Precaution"はattentionと対比させるため、事前に用
心するの意味を強めた"警戒"を用いた。
12.Chest compressionは心臓マッサージと訳すのが、
laymanにとってもわかりやすいと思われるが、helthcare
professionalには胸骨圧迫が原語に忠実と思われます。 文
脈で使い分けた箇所もあります。
13.赤字の箇所は推敲しても"やはりこう訳したい"と感じ
ました。皆様のご意見を頂ければ幸いです。